遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜   作:SOD

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ちょっとだけ最後の文に未来を暗示する夢要素入れてみた。本編の未来なのかイフなのかは、奇跡が起きて完結することがあったら決めます。



わたしはイフって好きよ。どんな結果になるか分からないけど、とりあえずその時は、救いがあるような気がするから


VSウォーター・ドラゴン

 オレのターンが終わり、三沢にターンが移る。このターンの攻防が一番激しかった。是非とも振り落とされることなく見ていて欲しい。

 

 

 

 「オレのターン、ドロー」

 

 三沢はカードを引いた瞬間、黙って手札を見つめた。その沈黙はまさに嵐の前の静けさだった。

 だと言うのにその時のオレは、その様子を三沢が既に諦めているなどと早合点していたよ。全く……この時に獣王(キマイラ)がオレの心を読めるようになっていなくて本当に良かった。

 

 「どうした三沢? 怖気づいたか?

 恥をかかない内にサレンダーしてもいいんだぜぇ?」

 

 恥ずかしいのはお前だ……当時のオレっっ!!

 

 「…………万丈目。お前の自信は分かるぜ。偽遊のカードを使っているという圧倒的なアドバンテージ。その超常的なチカラは、例えるなら麻薬のような全能感をもたらす。」

 

 「知ったような口を利くじゃないか。だがその通りだ!

 このデッキの使い方を夜通し叩き込まれてはっきり理解したさ。虚路居偽遊の強さは、この圧倒的な力を持つカードのチカラ!! 神のカードすら恐れるに足らず!!

 

 ーーつまり、アイツのデッキを使えば、誰もがキマイラ足り得るんだ!!」

 

 

 「………………それはどうかな」

 

 

 「証明してやるさ! お前を蹂躙してなァ!!」

 

 「『証明』か。良いだろう。ならばオレもこのデッキで証明してやるよ。虚路居偽遊というデュエリストが、カードの力に頼っただけの単純な存在じゃないと言うことを。

 

 そして万丈目。このオレに証明の勝負を仕掛けたことを後悔するなよ」

 

 「ほざけ、ラーイエロー!!」

 

 そこで、三沢はこのデュエルで初めて手札をプレイした。

 

 「手札から、デューテリオンを捨てて効果発動。デッキから『ボンディング』と名の付く魔法・罠カードを手札に加える。オレは罠カード『ボンディングDHO』を手札に加える」

 

 「ふん……罠カードか。だが残念だったな! ABC-ドラゴン・バスターは、1ターンに一度手札を捨てることでフィールドのカードを除外出来る。

 

 一度伏せて待たなければならないカードなど、頼るスキは無い!」

 

 「それはどうかな。魔法カード発動『手札抹殺』」

 

 「ーー何ィ!??」

 

 「せっかく手札に加えたカードを捨てるのか、三沢!?」

 

 オレと十代が同時に驚愕の声を上げる。一体どういうつもりなのか? その時まだキマイラのカードの恐ろしさの深淵を理解していなかったオレには、その行動の真意を掴めなかった。

 だが、そんなオレの未熟さなどお構いなしに、三沢は自分のチカラを発揮してみせた。

 

 

 「オレが捨てたカードは5枚。5枚ドローだ」

 

 「オレは4枚捨てて4枚ドロー」

 

 

 「これで準備は整った。さあ、実験を始めよう。

 

 ライフを半分と、墓地に存在する『トランザクション・ロールバック』を研究費(コスト)に消費して効果発動。

 

 たった今墓地に送った『ボンディングDHO』の効果を適応する!」

 

 三沢大地 LP2000

 

 「墓地から罠カードを発動するだと!??」

 

 「そうだ。この効果により、重水素(デューテリオン)1と、手札抹殺で墓地へ送った水素(ハイドロゲドン)1と酸素(オキシゲドン)1を化合して、墓地から重水『ウォーター・ドラゴン-クラスター』を特殊召喚する!!」

 

 

 

 ウォーター・ドラゴン-クラスター ATK2800

 

 

 

 「くっ……だが、ABC-ドラゴン・バスターの方が攻撃力は上だ!!」

 

 

 

 ABC-ドラゴン・バスター ATK3000

 

 

 

 「ウォーター・ドラゴン-クラスターの特殊召喚成功時、モンスター効果発動。ターン終了時まで相手フィールドのモンスターは攻撃力がゼロとなり、更にモンスター効果を発動出来ない!」

 

 「ぐぐ……っっ!!? な、ならばその前に効果を発動するだけだ!! ABC-ドラゴン・バスターの効果発動! 手札を一枚捨てて、ウォーター・ドラゴン-クラスターを除外する!!」

 

 相手モンスターを相手のターンに除外出来る。そんな強力なモンスターを従えている状況は、オレに圧倒的なアドバンテージを与えている。このモンスターこそが、オレに敵はいないと思い上がらせるチカラの象徴そのものだった。だが、それがたった一体のモンスターに覆されようとしている。当時のオレの頭は混乱でいっぱいだったよ。

 

 「ならば、ウォータークラスターのさらなる効果を発動。このカードを生贄に捧げることで、手札、デッキから『ウォーター・ドラゴン』を2体守備表示で特殊召喚出来る!」

 

 「更にこちらもABCのさらなる効果発動! このカードを生贄に捧げ、除外されている光属性・機械族ユニオンモンスターを3種類特殊召喚出来る!!」

 

 相手を葬ろうと一方が動けばソレを躱し、一方が動けば躱される。まさに一進一退。だが、互いの足はまだ一歩たりとも前には出ていない状態だった。

 

 「ーーそして、ユニオン格納庫の効果でクラッシュ・ワイバーンにデッキから二枚目のバスター・ドレイクをユニオンする」

 

 

 

 三沢大地 LP2000

 手札5 

 ウォーター・ドラゴン DEF2600 ×2 

 

 

 万丈目準 LP4000

 手札4

 ユニオン格納庫

 A-アサルト・コア DEF200 B-バスター・ドレイク DEF1800 C-クラッシュ・ワイバーン DEF2000(Bユニオン)

 

 

 

 

 「す……凄いチェーンの応酬だったっす……」

 

 「お互いに、モンスターを除去しあった筈なのに、お互いにモンスターが増えているなんて……あの二人、一体どう言う次元のデュエルをしているの……!?」

 

 天上院くんと丸藤翔が声を上げた。二人とも、獣王(キマイラ)のデュエルは見ていた筈だ。だが、それはあくまでも虚路居偽遊が怪物であるがゆえと言うのが、正直な認識だったのだろう。

 まさか目の前の凡庸なデュエリスト二人が、獣王(キマイラ)に迫るデュエルをするなどと、予想はしていなかったに違いない。

 

 …………いや、あの男に迫る。思い上がりも甚だしいな。それでも、他に表現の仕方が分からない。言葉の綾として聞き流して欲しい。

 

 「せっかく出した上級モンスター(ウォーター・ドラゴン)も、守備表示では意味が無いな」

 

 「本当にそう思うか?」

 

 「…………ふっ」

 

 ああ。ただの強がりさ。虚路居偽遊がカードでバックアップしたデッキが、モンスターを特殊召喚しただけで満足する幼稚なデッキで済むはずがない。前日の夜に畏怖と共に刻み込まれた狂気。デュエルに求める水準の異常さを分からされたオレは、アレでターン終了ですなどと言われたら、却って疑心暗鬼になっていた。

 

 挑発は恐怖心に対する強がり。そして鼻で笑ったのは……まだ三沢大地がオレが理解出来る範疇のデュエリストとして留まっていることを確かめられた安堵だ。

 

 「墓地の『ボンディング-DHO』を除外して、効果発動。墓地からウォーター・ドラゴン-クラスターを手札に加える。さらに手札からハイドロゲドンを召喚。

 

 そして、魔法カード発動『融合』。

 

 フィールドのウォーター・ドラゴンとハイドロゲドン。手札のウォーター・ドラゴン-クラスターで融合!」

 

 「水を三重に重ねて、プールでも作るつもりか?」

 

 「いいや。生み出すのは……キマイラだ」

 

 

 

 「「「「「ーー!!!!」」」」」

 

 

 三沢の言葉に、獣王以外の全員が戦慄した。

 

 「来い、ガーディアン・キマイラ!!」

 

 

 ガーディアン・キマイラ ATK3300

 

 「ばかな……そのカードは、キマイラの…………ッッッ!!!!」

 

 

 信じられない物を見た気持ちだったよ。呼吸は乱れて上手く息が吸えずに、心臓の音が何よりうるさく聴こえた。

 

 (ーー違う!! アレは違う!! アレは虚路居偽遊の使うキマイラじゃない!! 違う!! 違う!!!!)

 

 叫びだしたくなるほど恐ろしかった。泣き出したくなるほど怖かった。

 

 「ガーディアン・キマイラの効果発動!! ユニオン格納庫とアサルト・コアを破壊する!」

 

 三沢の指示を受けて、3つのケモノの頭を持つ怪物がオレのフィールドの格納庫を粉砕して、アサルト・コアを引き裂いた。

 

 その様子は、正しくモンスターと呼ぶに相応しい暴力と凶暴性。 

 

 「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……っっ!!?」

 

 

 機械族モンスターを破壊される光景が、あの時の合成魔獣キマイラを想起させる。

 

 

 「カードを一枚ドロー。

 

 ……万丈目? どうした? 大丈夫か?」

 

 「ーーハッ!?

 

 

 ………………何でもない。続けろ」

 

 「分かった。ならばバトルフェイズだ。ガーディアン・キマイラで、バスター・ドレイクを攻撃!」

 

 ガーディアン・キマイラ ATK3300 VS B-バスター・ドレイク

 

 

 「ぐうっ……! 破壊されたバスター・ドレイクの効果発動! デッキから、ユニオンモンスターを手札に加える。

 アサルト・コアを手札に……っ」

 

 

 正直ここで虚路居の顔を見るか、声を聞くのが先だったら……オレは崩れ落ちていたと思う。

 あるいは、使っているデッキが普段のものだったとしてもそうだろう。

 どちらにしても、これだけは間違いない。当時のオレは…………虚路居偽遊に心底から怯えていたんだ…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……ん? ああ。もうこんな時間か。すまないが、インタビューはここまでにしてくれ。

 

 

 (キマイラ)を起こさなければいけないんだ。あれだけ偉大なデュエリストだと言うのに、学生時代から寝起きだけは悪い人でな。起こさないと起きないんだ。

 

 まったく、プロになったと言うのに……何故今でも俺がマネージャー紛いなのか。困った人だ。ふっ……。

 

 

 




おまけ。天上院明日香の視点




「バトルフェイズだ。ガーディアン・キマイラで、バスター・ドレイクを攻撃!」

 ガーディアン・キマイラ ATK3300 VS B-バスター・ドレイク
 

 「ぐうっ……! 破壊されたバスター・ドレイクの効果発動! デッキから、ユニオンモンスターを手札に加える。
 アサルト・コアを手札に……っ」

 万丈目くんと三沢くんのデュエルはまだまだ始まったばかり。だと言うのに、戦況は既に一歩間違えたら敗北に繋がるような緊張感を放っている。

 この超高速化したデュエルこそ、虚路居偽遊のカードがぶつかり合うデュエルの真髄なのかもしれない。

 そう言えば……。

 
 「さっきから万丈目くん、同じユニオンモンスターばかりをデッキから呼んでいるけど……どうして他のモンスターを使わないのかしら?」

 「もしかしたら、他にモンスターが入っていないのかもしれないっすね」

 私の疑問に素早く応えてくれたのは、なんと翔くんだった。

 「他にモンスターがいない? それはいくらなんでもおかしいわよ。ABCのモンスターだけだと、3枚ずつデッキに入れてもたったの9枚よ?」
 
 「確かにモンスターは9枚っすけど、少なくとも『ユニオン格納庫』にはユニオンモンスターを手札に加える効果があったから、実質的には12枚っす。それに、融合派兵はデッキからモンスターを特殊召喚出来るカードだから、これで15枚。フィールド魔法を手札に加えるテラフォーミングや、手札を増やすカードがあればそれで更に増やせるっす。

 モンスターの枚数を絞って魔法・罠カードで対応力や柔軟性を上げる戦法は確立されてて、寧ろ得意分野のデッキだって、偽遊くんが言ってました」

 しっかりとしたデッキ構築理論を語りながら、理路整然とデッキの中身を予想するその姿は、かつて私と十代のデュエルにあたふたとしていた彼と同一人物とはとても思えなかった。

 これも、虚路居偽遊が修業を付けたから?

 「虚路居くん、そんなことまで出来るの……!? 翔くんもそんな高度なことまで教わっているの!?」

 何故か異常に避けられてるから、私から話しかけるのは極力控えていたけど。
 本当は私も彼の授業、本格的に受けてみたいのよねぇ……何かいい方法はないかしら? せめて今都合よく彼が解説してくれたら……


 「実際どうなんすか? 偽遊くん」

 (ーーチャンス!!)


 「ん? ああ、それは」

 「ーー私も是非聞きたいわ虚路居くん! 」
 
 「(ビクッ)うおっ!? あ、はいっ」

 もおおぉぉーーっ!! どうしていつもいつも私が話しかけると少し後ずさるのよ!? レッド寮の食堂で授業してた時も私にだけ当ててくれないし、目も合わせてくれないし! 

 わたし、何で嫌わてるのかしら……? 特に怒らせた覚えなんてないのに……。
 せめて普通に会話くらい出来るようにならないと、授業どころじゃないわ。













 「ーー今度強引にでも二人きりで会って、ジックリ話をシないと……絶対ニガサナからね。()()()()
 











 (ーーうん? 何か急に背筋がゾワッとしたぞ。なんだろう、生前死ぬ直前に感じたのと同じ気配がする。カラダの中に飼ってた休眠状態のTウィルスでも目覚めたのかな?) 

 

明日香のヤンデレ化は

  • あり
  • 無し
  • ドロッドロになるならあり
  • 男らしい巨乳が好きです
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