遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜 作:SOD
デュエルもおざなりになる辺り、扱いが雑ですわ。やっぱし特に愛着も無いキャラだとどうにも熱が入らない……。
まるで、夢を視ている気分でした。
万丈目くんは、中等部で有名なデュエリストでしたし、実力もありました。だからこそ彼はオベリスクブルーに選ばれたし、目に余るような横暴さも出ていたのだと思います。
そして、三沢くんは高等部からの入学でありながら、オベリスクブルーの生徒もまるで歯が立たないほどの知識を持った秀才で、正しくラーイエローの主席と呼ぶに相応しい力を持っていました。
そんな二人がデュエルをするとなれば、当然レベルの高い攻防になることは予想していました。けど、現実として目の当たりにした光景は……そんなものでは済みませんでした。
三沢大地 LP2000
手札4
ガーディアン・キマイラ ATK3300
ウォーター・ドラゴン DEF2600
万丈目準 LP4000
手札5(アサルト・コア1)
C-クラッシュ・ワイバーン DEF2000(Bユニオン)
「カードを一枚伏せてターン終了」
1ターン目に万丈目君が、切り札のABC-ドラゴン・バスターを融合召喚した時には、一方的なデュエルになるのではないかと思っていました。しかし、蓋を開けてみれば一巡目の終了時にはこの状況です。
万丈目君を上回る勢いでの最上級モンスターの連続召喚。果てはガーディアン・キマイラと言う、伝説の青眼の白龍を上回る攻撃力と、破壊、手札補強。最強と呼ぶに相応しいモンスターを喚び出して、戦況は一気に三沢くんの有利。
……少なくとも、私はそう思っていたんです。ですが、この凄まじい攻防のデュエルをいつものような眠たげな目で見ていた虚路居偽遊は、誰に聞かせるわけでもなくポツリと言った一言が、私の全身に衝撃を走らせました。
「やっぱ一巡目は万丈目の有利になるか〜ハハッ」
「ーーっっ!???」
身の毛がよだつのを感じました。乾いたしめ縄で全身を締め付けられたような、カラダを無遠慮に撫でられるような感覚です。自分の心臓を突然握られたらこうなるのではないかと言う、幻覚じみた物さえありました。
その余りの居心地の悪さに、私は普段は遠慮して話しかけないようにしていたことすら忘れて、彼と距離を詰めて行きます。
「どういう事なの? 今は明らかに三沢くんの有利な状況でしょう?
どうして万丈目君が有利なの?」
「ーーうぉうっ!??」
私が詰め寄ると、彼は手に持っていたスナックの袋を手放して、瞬時に私と距離を離していきました。まるでホラー映画で驚かせるシーンでも観たかのような反応に、いつもは少し距離を取り直すんですが、その時ばっかりは逃がすわけには行きませんでした。
このまま分からないまま彼に逃げられたら、私はこの全身を這い回る乾いたしめ縄に、一生縛られているような気がしたんです。
なので私は、飛び付くように彼を椅子に座らせて、逃さないように全身でガードしたんです。
両肩を両手で掴んで、片膝を彼の脚に乗せて、立ち上がれないように上から見下ろしました。
「今日だけは逃さないわよ」
「………………(≧ω≦;)キュー」
「お、おい明日香、何やってるんだよ……!?」
「あ、アスカさん……なんて大胆な。羨ましい……。そして妬ましい。偽遊くん…………っっ」
「マンマ・ミーア!? シニョーラ明日香! 学園でそんなに堂々と不純異性交遊をされては困りますノーネ!??」
「馬鹿なこと言ってねーで助けてよ!!!!(>ω<;)」
「さあ、説明して頂戴。どうして今の状況で万丈目くんの方が有利なの?」
「い、いやそんなの次のターンを見てれば嫌でも分かるからーー」
「わたしは貴方のクチで直接聞きたいのよ」
「説明終わる頃には万丈目のターンが終わっとるわ!!(>ω<;)」
「良いから説明しなさい。でなきゃ、当分貴方に着いて回るわよ?」
「俺、学園生活男子便所で隠れて過ごすの……?」
「大丈夫よ。男子トイレにだって押し掛けてあげるわ」
「クロノス先生イジメです!! イジメが起きています!!!!」
「イチャイチャしてるようにしか見えないノーネ」
「それって貴方の感想ですよねぇ!?」
「来い!! AtoZードラゴン・バスターキャノン!!!!」
AtoZードラゴン・バスターキャノン ATK4000
私が虚路居偽遊の抵抗に手間取っていると、万丈目くんの声が響いた。その声に振り返ると、さっきのABCドラゴン・バスター以上……神と同等の攻撃力を持つマシーンモンスターが特殊召喚されていた。
「あのモンスターは……いつの間に」
「あのデッキはABCモンスターをエンジンに、フュージョンタグを使ってユニオン融合を簡単にするというコンセプトで組み上げたユニオンデッキ。ターンさえ回ってくれば大型モンスターを喚ぶのに困ることが無いように構築、調整してある。
三沢はあのデッキと戦う最適解として、常に大型モンスターを処理し続けなきゃあっと言う間にライフをゼロにされる。
アドバンテージの概念が死んでる馬鹿な万丈目にぴったりのパワーデッキと言うわけだ」
「むぅ……何よ貴方。喋ろうと思えばちゃんと喋れるんじゃない」
「ああ。喋れる。喋れるから、その目に毒な五体を早く離してくれ」
「誰が目に毒よ!」
「じゃあ大層ご立派な『ご立派さま』を早く退かしてくれ。デュエルが見えない」
ああー!! 言い方を変えても、結局わたしなんか見たくないってことじゃない! 本当にあの人はいつもいつも人を妖怪か何かと思ってるのかしら!!
デュエルが見えないからって言われなければ一晩くらい話をしていたところよ。
ただ、デュエルは私も見たかったからその時は引くことにしたけど。
「………………仕方ないわね」
今思えば、私がアイツに積極的に交流を持つことにしたのは、これがきっかけだったのよね……。
え? なに? ストーカー? 何言ってるのよ。あんまり逃げるから仕方なく行動を予測して先回りしたり、三沢くんに情報を貰ったりしただけよ。そうでもしなきゃ、絶対にわたしだけ3年間仲間外れにされてたじゃないの。
わたしだって、例えば偽遊が女性恐怖症ですとか言ったら諦めてたわよ?
……………………でも違ったじゃない。アイツ…………(ゴゴゴコゴゴゴコゴ…………!!!!!!!)
三沢大地 LP1300
手札3
万丈目 LP4000
手札5
AtoZードラゴン・バスターキャノン ATK4000
「あーあ。万丈目のターン終わっちゃったよ。
不用意にデュエルを中断したり、切り貼りするのは嫌われる要因なんだぞー」
「あら? 何かお気に召さなかった? ごめんなさいね?
もしよかったら、今度時間を取ってじっくりお互いに知り合ってみない?」
「いや、みないっすね」
「……………………」
本当に……本当にアイツはあああああーー!!!!!
アンケートの結果、男らしく巨乳でドロッドロなヤンデレを目指してみることにしましたとさ。ワロス。