遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜   作:SOD

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 残り時間、15分



追記 ライトニング・ストーム を ライトニング・ボルテックス と打ち間違えるのはアウト寄りのアウト……修正ありがとうございます。


崩された仁王Ω。虚路居偽遊、敗色濃厚

 

 「さーて、そろそろ本気で行くわよ。背後が煩くてプレミする前にね」

 「違いねえ」

 

 「ドローフェイズ。ドロー。

 スタンバイ」

 

 「仁王Ωでゴー」

 

 宣言ははっきりと。とても大切。

 ああ、なんだろう。少しだけ心が癒やされている感じがする。

 全力で戦わないと勝てない対戦相手。これこそゲームの実力を上げることに対する最高の褒美。天衣無縫の極みやらゾーンやら、持てる力を注ぎ込んで戦えることこそ、プレイヤーとしての本懐だ。

 

 「残念ね。チェーンして『無限泡影』よ」

 

 「ははっ! 引かれたか〜」

 

 (…………なんだか偽遊、嬉しそう)

 

 「これでもう完全防御は崩れたわね?」

 

 「今更Ωが崩れても問題ねえ。状況次第では生き残り、次のターンから元通り。そうでなくても、情報の殆どが公開されているその手札なら、ミスもそうは起こらねえぜ。

 

 …………フゥ」

 

 

 「その驕りが、身を滅ぼすかもしれないわよ?」

 

 「その時は、奇跡の一つでも起こすさ」

 

 

 「フフッ。それは素敵な未来ね。

 じゃあ行くわよ。メインフェイズ。

 魔法カード『手札抹殺』を発動!」

 

 「ぐっ……そう来たかよ」

 

 これで稼いでいた情報アドは一つ残らずパー。

 ついでに俺の手札から獣王アルファとガゼルが消える。

 有利は一気に不安定な天秤に委ねられた。

 

 何せこっちの手札は5枚。向こうは6枚。それを全部捨ててその分だけのドローが発生する。そうなれば、それまでの有利不利なんて過去の栄光に成り下がって意味を成さない。

 遊戯王の勝敗は、今の積み重ねが総てだ。

 

 

 「フフフ。これは都合が良いわね。

 アタシは手札から『ライトニング・ストーム』を発動するわ。魔法・罠カードを破壊よ」

 

 

 ほーら来た。

 リバースカードの中には当然『合成獣融合』も伏せてある。だが今発動しても失う物のほうが多そうだ。

 

 「大人しく破壊されようか」

 

 落雷の衝撃が音となって鳴り響き、俺のリバースカード2枚は消滅した。

 

 「更に、サンダーボルトも発動よ」

 

 「カカッ!! 容赦ねえな〜オイ」

 

 似たような音がして、モンスターも葬られる。

 

 「殺されたシュライグの効果発動。除外されている獣・獣戦士・鳥獣族の枚数以下のレベルの獣・獣戦士・鳥獣族のモンスターをサーチする。

 除外されているのは、鉄獣の素材と、幻獣王キマイラとガーディアン・キマイラの5枚でレベル5以下だ」

 

 「チェーンは無いわ」

 

 「んじゃ遠慮なく」

 

 とは言ってみたものの、何を加えるのか。

 ガゼルはもう飲まれてもうねえしなぁ……あ、これで良いか。

 

 「レベル1 『D・Dクロウ』を加える」

 

 「D・Dクロウねぇ。これまでのアタシのデッキを見てそれが有効だなんて思うわけ無いし。ガゼルはゴードンに飲まれたのね」

 

 「まあね」

 

 「さっきから今ひとつ運に恵まれないわねえ。偽遊チャン」

 

 「いつもの事さ。

 それに、隼人にも翔にも俺は言ってきた。幸運の女神と喧嘩してもテメエのデュエルプランを通すのが一流だってな」

 

 「かっこいいじゃない。

 

 なら、それをしっかり後ろのお姫様にも見せてあげないとね?」

 

 背後。俺の背後にはレイがいる。いつ自分の身体が消えるのか分からない恐怖と戦い続けている少女が。さっきはあのデカい生ゴミの痛みにのたうち回る姿も見ている。つまり、ライフダメージが発生すれば自分にもリアルダメージが来ることも予想しているはず。

 

 「………………」

 

 ロリコンの必修科目。バレないようにチラ見でレイの様子を見る。

 俺が見ていないと思っていればこそ、レイは泣きそうな表情だ。呼吸が辛そうな感じが無いのは救いだな。

 

 「…………ハァ……ハァ……っ」

 

 テンション上げて誤摩化してはいるが、俺の方も大分息が辛い。このまま行けば頭痛もくるかもしれない。今のデュエルでそれは勘弁願いたい。

 どうにかして、次のターンでケリを付ける。そのためにはまず……。

 

 

 「このターンも、無傷で護り切る…………ッッ!」

 

 

 

 「ぶっ……! ギャハハハハー!!!! 何言ってんだアイツ。

 場が空っぽで無傷とかwww」

 

 

 ああ……頭痛よりコレの方がヤバいわ。頭痛とか別に気にしないかも。

 

 「それじゃあ、こっちはしっかりイかせてくわよ。

 

 墓地の荒魂とふわんだりぃず×いぐるんを除外して『ダーク・シムルグ』の効果発動よ」

 

 「チェーン。増殖するGの効果発動」

 

 「墓穴の指名者よ。効果処理。特殊召喚」

 

 ダーク・シムルグ ATK2700

 

 「罠の天敵(ダーク・シムルグ)……嫌なカードが出たもんだ」

 

 しかし特殊召喚をした以上、ふわんだりぃずの効果は使えなくなった。どうにかなれ。

 

 「まだまだこんなもんじゃないわよ?

 

 アタシも『三戦の才』を発動。もちろんピーピングよ」

 

 「やられたらやりかえすか」

 

 俺の時は平等院はカードをディスクにセットしたが、俺の方はカードもソリッドビジョン。いや、パワービジョンって言ってたか。

 

 俺は手札を押し出すように平等院に晒す。

 

 「へえ。便利ねえ。

 リーダーは良いもの作るわぁ」

 

 「…………ああ。まったくだ」

 

 俺の手札↓

 増殖するG 増殖するG D・Dクロウ  炎舞ー天璣 炎舞ー天璣

 

 

 

 「……………………偽遊チャン……?」

 

 「フラクトールなら飲まれたが?(ゴードン)」

 

 「………………」

 

 

 それまで表情に余裕が見えた平等院が、あと少し崩れたら神エネルみたくなる所まで行っている。

 

 一方俺は余裕綽々で情報アドまで与えてあげる。これは実質勝ちなのでは?

 

 「………………D・Dクロウにしとこうかしらね」

 

 「おう。そうか」

 

 

 

 お分かりいただけただろうか? 盤外的な要因でもちゃんと苦しめられてはいたが、そもそもそれどころで無く負けそうなのである。

 

 そもそもな話。序盤でキーカード引きまくって、そのくせ『強欲で貪欲な壺』まで使っているのだから、デッキ枚数は半分以下だ。

 そりゃあ残り半分以下のデッキから5枚もカード引けばこのくらい悲惨にはなる。

 

 命がけの闇のデュエル中にこの状況に晒されて、それでも泣き崩れることも切れ散らかすこともなくドヤ顔で立っていられる精神。 

 褒めてくれてもいいのよ?

 

 「ちょっと気の毒だけど、まあ手は抜けないし。

 

 貪欲な壺を発動するわね」

 

 鬼かよ。

 

 「墓地のろびーな・えんぺん・ヴェーラー・幸魂・火之迦具土を戻して、2枚ドロー。

 

 あ……」

 

 「何よ。その不穏そうな『あ』は」

 

 「………………死んだら自分を恨みなさいよね。偽遊チャン」

 

 何か、悟りを開いたような笑みで怖いこと言ってるぞ。あのオカマ。

 

 「オネエさんよ?」

 

 「おにぎりとおむすびくらい誤差だろそんなの」

 

 「融合デッキとEXデッキくらい違うわよ!」

 

 「俺にとっては生贄召喚とアドバンス召喚くらいにしか感じねえんだが」

 

 「…………偽遊チャンとは今度じっくり話し合う必要があるわね。オネエってのはね、強く優しく美しく。そして繊細で苛烈で泥臭く。

 

 性別を超越した人間的魅力を探す探求者なのよ!」

 

 「その話長い? あと何秒話聞いてるフリすれば良い?」

 

 「コイツは…………ったく。良いわ。今度クッキーでも焼いてあげるから、お茶でも飲みながらじっっっくり話して上げるわよ。

 覚悟なさい? 生き残る覚悟をね」

 

 「覚悟なんかいらねえよ。さあ、掛かってこい」

 

 「上等よ、偽遊チャン。

 

 それじゃあ追加で『八咫烏』を召喚してバトルフェイズよ!」

  

 「ほんとに生き残らせるつもりある?」

 

 「大丈夫よ。偽遊チャンだもの。なんとかなるわよ、きっと。

 

 さあ、ダーク・シムルグと八咫烏でダイレクトアタックよ!」

 

 ダーク・シムルグ ATK2700

 

 八咫烏 ATK200

  

 デカいカラスが二匹。餌を求めてやってくる。だが求めるエサは俺。そして俺とレイは今一蓮托生。つまりコイツラはレイを食いにやってくる。

 

 「それは駄目だわ。イエスロリータノータッチ。魂の掟の元に、我らは幼女に触れてはならぬ。そして触れさせてはならぬのだ。

 

 墓地の光の護封霊剣の効果発動。このターンの直接攻撃を封じる」 

 

 

 「ずっと伏せてて使ってなかったカードってそれ?」

 

 「ライフゲインは抜いたが……コイツは保険にな。

 

 …………ハァ。ハァ……」

 

 やべえ……眠くなってきた…………まぶたが……重い…………目ェ開けてらんねえ……。

 

 

 「おい良いぞオカマ野郎! このまま暫くエンドせずに待ってろよ。

 コイツ自滅するぞ! そうしたら僕は助かるんだ! ぜってえ動くなよ!? オイ聞いてんのかよ!?」

 

 

 「アタシはこれでターンエンドよ」

 

 

 「何やってんだよオカマあああああー!!!!」

   

 

 

 「オネエさんよ?」

 

 「…………はい」

 

 

 

 (さあ、偽遊チャン。言ってた通り奇跡を起こして見なさい。

 

 あと一歩なんだから……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 「やばいぜカイザー! 
 偽遊がなんか眠たそうだ!!」

 「…………何? なっ!? いつの間にか押されている……!??」

 「気張れー偽遊ー!!」

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