遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜   作:SOD

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次回から原作ルートに戻ります。多分。

学園代表戦とかあるしな。


帰ってきた日常。偽遊は知らない天井へ。

 

 「…………知らない天井だ」

 

 真っ白なベッドに真っ白な壁と天井。あとベッドを囲む仕切り用のカーテン。どう考えても保健室のベッドです。

 因みに腕には点滴。注射嫌い……。

 

 「おかしい…………俺はたしかレイたんにお兄ちゃんと呼ばれて、何かご都合主義な感じになんやかんやしてどうのこうのしてた筈だが…………」

 

 なんか記憶がぼんやりする。エクゾディアを揃えて敵を焼き払ったような、もしくはキマイラで生きたまま敵を喰う罰を与えたような気もする。

 

 「あら、目が覚めたの?」

 

 「あ、はい」

 

 俺が絡まった記憶の糸を解こうとしていると、カーテンが開いて鮎川先生が出てきた。

 

 「なぜ俺はここに?」

 

 「ああ、覚えてないのね。

 

 フェリーの爆発の後、貴方はレイちゃんを救助して丸藤亮君に渡して崩れ落ちたのよ。あれから一週間になるかしらね」

 

 「崩れ落ちた? 何でそんな意味不明なことが…………」

 

 久しぶりのガチデュエル(命より重いものを賭けて)の疲労。

 闇のデュエルのスリップダメージ

 ラストデュエルまでの道中で現れた敵への対応(ステゴロとヤゴロ)(未収録)

 致死量を越えたギャグ的流血。

 昨夜レイたんと永遠のお別れと思うと眠れなくて完徹(未収録)

 死にかけからの復活。

 

 

 「あ、思いあたる節しかないわ。アハハ」

 

 「アハハじゃないのよ? 貴方が倒れてレイちゃん、ずっと心配してたんだから」 

 

 「ふむ。で、そのレイたんはどうしたの? もうお家帰った?」

 

 死ぬほど寂しいが、レイはもうここにいない方がいい。

 また転生者イベントが発生するかもしれんし、そうなればあいつらがまたレイを狙う可能性は否定できない。だってレイ以外のやつが生贄なら、LP1まで削っても俺の心はダイヤモンド並みに削れないもの。ハンマーで殴れば壊れるが、削りに関してはマジで硬いらしいからね。ダイヤ。

 

 だからもう、あの子はここにいないほうがいい。

 

 

 「レイちゃんなら……………………。

 

 あ、えっと。どこかしらね」

 

 「何? 今の間」

 

 頭が寝起きで全く働いてないが、そこまで露骨だと流石にわかるぞ。

 

 「ええっと……うーん…………」

 

 「全力で目を逸らす程何かあったのか」

 

 よく分からんないけど取り敢えず点滴を外してお出かけじゃ。

 

 「あっ! ちょっと駄目よ偽遊くん!! 貴方死にかけ過ぎてヘリで運ぶのすら危険な状態だったのよ!」

 

 「そりゃあどうもお世話になりました」

 

 ペコリと一礼。なんか平衡感覚が終わってるような感じがするけどまあいいや。

 

 「お世話になりましたじゃないの! どこ行くつもりなの!?」

 

 「便所っす」

 

 「嘘を付くんじゃないの! 貴方いまびっくりするぐらい怖い顔してるわよ!? 絶対にトイレじゃないでしょ!!」

 

 「別に最終的にあの世でも良い。レイの無事を確かめたい。それに話したいこともある」

 

 「だからダメだって!! レイちゃんならすぐ帰ってくるから!」

 

 「帰ってくるなら迎えに行っても一緒でしょ」

 

 くっそ。立ち上がろうとしてんのにめっちゃ抵抗される。あと力入んない。何この身体。今ならレイたんにも押し倒されるぞ。やっべえ押し倒されてえ。

 だが今は探索だ。ええいそこを退け年増!! 俺はお兄ちゃんだぞ!!!!

  

 

 「今年中には帰ってくるから待っていろ。オレにそう言ったのはお前だ。偽遊」

 

 

 俺が一方的に力負けしていると、何やらイケボが聞こえる。そして一瞬のスキを付かれて鮎川先生に押し倒された。やめてくれー背筋がゾワゾワするし何か生きた心地がしない!! 何故か喰われるような感じがする!!!!

 

 

 「もう……! 亮君、手伝って!」

 

 「大丈夫ですよ、鮎川先生。偽遊、レイなら今はトイレだ。すぐに戻ってくる」

 

 「……は? トイレ……??」

 

 「あーもう男の子たちは……女の子がトイレなんて軽々しく知られたくないものなのよ!」

 

 「…………すみません、鮎川先生。だがこれで偽遊も大人しくなるでしょう。なあ、偽遊。

 …………偽遊?」

 

 「……………………」

 

 どうしよう。邪な気持ちしか沸かない。

 

 「そうだよなぁ。普通美少女でもトイレ行くもんなあ」

 

 「…………お前は一体何を言っているんだ……??」

 

 あ、亮がドン引きしてる顔してる。ウケる。

 

 

 「ただいまー。相変わらずこの学園広いなぁ…………」

 

 「!!!!!」

 

 

 年増と野郎ばっかりの空間に突如お出しされたエンジェルの声!!!!

 

 

 「レイたーん! お兄ちゃんだよ〜〜!!」

 

 「うわっ!? 目が覚めたんだ偽遊」

 

 一気に飛びつきたい衝動に駆られるが、そこは我慢だ。俺!!

 

 「………………鮎川先生、何で偽遊の上に乗ってるの??」

 

 え!? これはまさか嫉妬か!? フラグが立ったのか!?

 

 ……あ、違うわ。なんか呆れてる顔してる。これ絶対にフラグ立ってない顔だ。

 

 「もういいや。ふて寝しよう」

 

 「今の一瞬で情緒になにがあったの!?」

 

 鮎川先生が驚いた声を上げる。全く、漢女心の分かってない先生だ。

 レイたんを見習って欲しいものだ。この子ったら自分が死ぬって状況であんなに優しくしてくれたんですよ? お兄ちゃんって呼んでくれながらママだったね。妹でママ。最高かよ。

 

 ああ、目をつぶると思い出す。あの優しい声音。耳に触れた柔らかいほっぺと、そして……そして……ちょっと唇も耳に触れたんですよあの時。もうわが人生に一片の悔いなし。でも出来ることなら結婚したい。出来なくても結婚したい。

 

 ほら見てみろよ。第二次性徴すらまだの寸胴体型でありながら、サラサラの髪に、ボーイッシュとガーリーを超融合させたラーイエロー制服を改造したような黄色のノースリーブ…………。

 

 「……………ん? アレ? 

 なんか今レイたんの格好がおかしかったような…………?」

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 「………………」

 

 「うわぁえっち……じゃなく、レイたんその格好どうしたの?」

 

 「ええーボクのことあんなに好きって言っといて気付くのおそいよ偽遊……。

 

 これはね、ボクのラーイエローの制服だよ。可愛くないから鮎川先生に教わってアレンジしたの。あんまり変えると怒られるかもしれないから簡単にだけど」

 

 「………………ああ。アレか。私服用か」

 

 「ううん。違うよ。

 

 ボク、デュエルアカデミアに入学したいの」

 

 「…………………………(宇宙猫)」

 

 「偽遊、大丈夫か?」

 

 亮が心配してるような、苦笑いしているような表情で俺に声をかける。

 

 「だめ。脳みそが腐っててよく分かんない。

 説明して」

 

 

 「…………まず、レイの両親だが。傷はまだしも、更に闇のデュエルが行われていた場所に長時間滞在した悪影響と思われる疲労が出ていて、会話は出来るが身体が動かせないという未知の病状だ」

 

 「そうか。それは大変だ。そうなるとレイたんは親戚とかに預か…………」

 

 むにゅう。

 

 突然レイたんが俺の両頬を両手でむぎゅっとして、強制的にアヒル口をさせられた。レイたん可愛いなあ。でも今鏡だけはぜってえ見たくねえ。

 

 「だ・か・ら! ボク暫くデュエルアカデミアで暮らしたいの」

 

 「はいいいーー????」

 

 何言ってんだこの幼女。

 

 「偽遊も言ってたじゃない。デュエルアカデミアに入学しろって」

 

 「レイたん。それは語弊がある。俺は入学()()()にハクが付くよと言ったんだ。

 小学5年生が高等部に入学なんてそんな滅茶苦茶なこと出来る訳がーー」

 

 「でもボク、実力で編入までは行ったよ?」

 

 「…………行ってたね。うん」(セキュリティガバガバ学園め……仮にもオーナーが海馬だろうがよクソが)

 

 「それにボクの実力なら、すぐにラーイエローに入れるとも言われたんだよ?」

 

 (言ってたねえ。大徳寺が……あの壊れかけ裏切りホムンクルスほんとマジ……) 

 

 「だから、ボク、今からデュエルアカデミアに入学してもやっていけると思うんだよ!」

 

 「ああ。行けるだろうよ。きっと行ける。絶対に今編入出来ないってことに目を瞑ればな」

 

 こんな世界でも学園ってのは大人の事情が大いに関わる。子どものワガママで編入なんて出来るわけもなく。何より俺としてはもうこの子を危険に巻き込むのは勘弁願いたい。ここはレイたん嫌われて死ぬ覚悟でもって説得する。それが……大人の義務ってもんだろ?

 

 「だから……レイをデュエルアカデミアに入学させてほしいな。お兄ちゃんっ♪」

 

 「ーー分かりました。入学させます」 

 

 「偽遊!??」

 

 「虚路居くん!?」

 

 「…………あ!?」

 

 「やったぁー! 約束したからね、偽遊! ぶいっ!」

 

 

 「………………アアアアアアアア………!!!!」

 

 

 だって!! だって!! 妹が!! ママが!!

 

 アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

やっちまったアアアアアアアアーー!!!!? レイたん可愛いなぁアアアアアアアアーー!!!!!

 

 「れ、レイたんあのな……」

 

 

 「ボクがデュエルアカデミアに入学したら、毎日いっぱいヨシヨシして褒めてあげるからねっ☆ 偽遊」

 

 「……………………(涅槃のような安らかな笑み)」

 

 

 

 

 こうして、大人の義務は煩悩に焼き払われて、俺はレイたんの小学生時に高等部編入と言う、原作よりも更にハードルの高いことを実現する方向に動くことになったのでしたとさ。

 

 

 おかしい……恋の対象もいないのに、何で『早乙女レイ』がこの学園に残るフラグなんてもんが立ったの????

 

 

 俺、またなんかやっちゃいましたか……?

 

 

 




偽遊「…………なまじ出来るだけの汚職の証拠とかは集め終わってるんだよなぁ……でも、出来れば穏便に事を進めたい。さてどうするか。

 やっぱデュエルかな」




 レイが偽遊に恋する乙女になったわけではありません

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