遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜   作:SOD

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立場が上に行くと、オッサンはキチゲが溜まっちゃうんだ☆


虚路居偽遊キチゲ開放

 

 「偽遊ー? どこにいるのー?

 偽遊ってばー!」

 

 ラーイエローの寮の中。レイが何時ものように偽遊を訪ねて部屋を訪れると、そこにいつも顔中の筋肉全てを弛緩させて待ち侘びている偽遊がいない。生徒手帳で連絡を取ろうにも電源が切れていた。

 仕方がないので、レイは偽遊を探して寮内を宛もなく彷徨いているのだった。

 

 「どこ行ったんだろう……お休みの日でも部屋の中で寝てるかゲームしてるくらいインドアなのに。

 

 ……あ!」

 

 キョロキョロと辺りを見渡すと、奥の方から三沢が歩いてくるのが見えた。

 

 「おや、レイちゃんか。丁度いい。偽遊がどこにいるか知らないか?」

 

 情報を聞こうと思っていたが、先手を打たれてしまい、あてが外れる。

 

 「ボクも探してるんだよ……部屋にもいないし、連絡も付かないんだ」

 

 「ふむ……やはりそうか。

 

 どうやら本気で隠れたらしいな。偽遊……」

 

 「隠れた? どういうこと?」

 

 「ああ。偽遊が学園選抜デュエルの代表選手を決める権限を持ってるのは知っているかい?」

 

 「もちろん。それを伝えたのはボクだからね」

 

 「なら話が早い。

 

 実は、学園代表を狙ってオレを含めた一部の生徒が偽遊に直談判をしていたんだが……」

 

 「だが?」

 

 「………………『ンニィィィィィィーー!!??』 と奇声を上げて逃げていってしまったんだ」

 

 「『ンニィィィィィーー!!??』!??

  

 何それそんな悲鳴聞いたこともないよ!?」

 

 「ああ。オレたちの虚を突くための戦術だろう。流石は偽遊だ。

 やつは常にオレたちの想像を遥かに越えてくる……」

 

 

 (…………多分、すっごく鬱陶しかったけど、追い返すための客観的な正論が思い浮かばなかっただけなんじゃないかな…………?

 あの人意外と敵以外には攻撃しないようにしてるし……) 

 

 ほんの半月にも満たない期間だが、色んな意味で密度の高い交流をしてきたレイは、他の生徒より偽遊に対する解像度が二周りくらい高かった。

 

 「……………………そっか。分かった。ありがとう三沢さん」

 

 「ああ。もし居場所が分かったら教えてくれ。じゃあ!」

 

 

 「……………………さてと」

 

 

 半目で口の端だけ苦笑いしながら、レイは生徒手帳を取り出した。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 オベリスクブルー男子寮 玄関。

 

 

 「ん? おいそこのお前、ラーイエローがオベリスクブルーの寮に何の用だ!?」

 

 「偽遊を迎えに来たの」

 

 あの後、レイは考えた。偽遊の隠れる場所を。

 

 答えは一瞬だった。ソレは見つからないでは無く、見つかっても誰も来れない場所。即ち。オベリスクブルーの帝王。カイザー丸藤亮の私室である。ここまで5秒。

 そしてすぐに亮に連絡を取ると、最初は返答に渋っていたが、レイの……。

 

 『明日香先輩をけしかけても良い?』

 

 と言う一手が決まり手となり、偽遊が瞬時に亮の所にいることを認めたのであった。人の心の無い獣に育てられた純粋な子どもは、着々と人の痛みを狡猾に利用出来るデュエリストに進化して行っている。

 

 そして今、目の前のエリート(爆笑)の人たちに対しては…………。

 

 「通してくれる? それとも……【キマイラ教】の()()を呼んでけしかけてもいい?」

 

 「ーーッッッ!?? キ……キマイラ狂徒…………っっっっ!!!!」

 

 

 

 

キマイラ教の狂徒

 

 

 

 ソレは、虚路居偽遊に忠誠を誓う神楽坂の思考回路が某ゾンビウィルスの如く脳に感染してしまった教団の過激派。或いは処刑人の意である。

 結成から僅か一週間の【キマイラ教】の中で、偽遊の教えを脳髄に刻み込み、デッキを研磨し、デュエリストレベルを跳ね上げた彼らは、それら全てを偽遊()からのギフトと思い込み、信仰と狂信の境を喰い破った。今や彼らは偽遊が死ねと言えば喜んで自らの口に腕を突き込み自害することだろう。

 無論その実力は切り込み隊長を出しただけでキャッキャッしているだけのモブリスクブルーの実力など鼻で笑う物へと至っており、モブの力関係は

 

 狂徒 》》》》》》教徒 》》》弱い教徒 》モブリスクブルー 》無信仰イエロー 》 無信仰レッド

 

 となっている。

 

 (昨日……オレは見た。他のオベリスクブルー生3人がキマイラの悪口を言った瞬間、津波のように押し寄せて来たキマイラ教徒と、大自然に飲み込まれて泣きながら許しを請うことしか出来なかった元エリートの惨劇を…………)

 

 「…………へ、へへっ……!

 あ、アイツラは虚路居偽遊の部下だろう……た、ただの教徒の一員にそんなこと出来るのかよ…………」

 

 「…………ボクのこと知らない? 早乙女レイって言うんだけど」

 

 「さ、早乙女レイ…………早乙女レイ!??

 

 あ、あのキマイラが編入を強要するためだけにクロノス教諭に泣きながら土下座をさせつつも高笑いしながらボロ雑巾にした理由の、あの早乙女レイ!?

 

 フェリーから救い出すために自分の血をカードに変えたなんて与太話が出る切っ掛けになったあの早乙女レイか!?」

 

 「そうだよ。こんなこと自分で言うのもどうかと思うけど、偽遊に溺愛されてる自覚もある。

 

 それでどうするの? ボクもう通っていい?」

 

 「………………くっ! 好きにしろ……っ!」

 

 ガクガクと膝を震わせながらも強がりを言って、モブは塞いでいた道を開けた。

 

 「ふぅ……それじゃあね」

 

 レイを見送り、姿が見えなくなると負け惜しみを言うのも忘れない。

 

 「…………ふ、ふんっ! 今日のところは特別に見逃しておいてやーー」

 

 瞬間。首筋に冷たい何が当たったーー。

 

 「…………え?」

 

 

 

 「ーー次は無イ。巫女姫様のお手を煩わせるナ下郎…………」

 

 

 

 「!!???」

 

 恐怖に震えて振り返ると、そこには誰もいない。加えて言うなら、ここは走り回れる程度には広い。隠れるような場所も無い。

 

 

 「どうなってるんだ…………幽霊でも飼ってるのか……【キマイラ教】は………………」 

 

 

 

 

 

 

 だが少なくとも、首筋のほんの僅かに引かれた切り傷が、気の所為や幻聴では無いことだけは主張していた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 コンコンと可愛らしいノックの音が鳴る。それに気付いた部屋主が扉を開けると、そこには予定にあった小さな少女の来客者。

 

 

 「レイ。入るといい」

 

 「はいっ! お邪魔します、亮サマ」

 

 

 亮は顔を見るや招き入れ、レイもにこやかな笑顔で誘いを受けた。

 

 少し前までは告白する者とされる者。だが、今の二人にはその雰囲気は無い。

 大切な後輩として扱う亮と、尊敬する先輩として見るレイ。二人の関係性は良好な友人だ。

 

 少女が奥へと進むと、黒いタンクトップを着た野性味のある髪型の男子生徒がジュラルミンケースの中を眺めながら何かをしていた。

 

 虚路居偽遊。レイを溺愛する獣の王。【獣王(キマイラ)】の名を冠する学園の王のもう一人。そして、紛うことなき変態(ロリコン)

 

 レイとしては、その辺の気持ち悪さは少し直してほしいとも感じる。

 

 「………………なるほどな。このケース自体がマスターデュエルと同じポイント性でカードを複製出来たのか。

 SRやURのポイントは従来の十倍のポイントが求められる分シビアになっているが……うん。ノーマルや字レアに関しては、過去の箱買いがそのままポイントになってるっぽいお陰で、キマイラ教に配っても問題ないレベルが溜まっているみたいだな…………これは使えそうだ」

 

 「…………」 

 

 一方で、今の偽遊はレイに気が付いていない。緩んだ目も、レイを見ていちいち可愛いと限界化しながら軟体動物のような人外の動きで興奮したりもしない。

 年月を重ねた職人が仕事に向き合っているような真剣な目。大人の瞳だ。

 

 稀に部屋の外でそういう目をしている偽遊を見てしまった女生徒が、まるで産まれて初めて異性を見た処女のように視線を奪われてしまう。

 眉間にシワを寄せつつ、瞳は澄んだ水のように穏やか。そんな普段の凶獣振りからは想像も付かない様子を運悪く見てしまったごく一部の女生徒は、眠れぬ夜を自分で慰めながら過ごすばかり。怖いサキュバスがいるのもソレを助長させている。

 

 

 「………………転生者の特典的なやつなんだろうか……そもそも俺は俺である前からこの世界に居て、活動していたらしいことは平等院からの発言で分かる。

 つまりこのケースと合わせて、俺と話して違和感を感じていないヤツの様子から、俺が元々生きていた人間に憑依してしまった説は切り捨てて良さそうだ。一つ不眠の種が消えたな…………良かった。

 

 俺のせいで消えた若者はいなかったんだ……………………っ」

 

 

 「……ん? 偽遊、レイがーー」

 

 「……っ! しぃーっ! 亮サマ。少し待っててもらって良いですか?」

 

 「? それは構わないが……迎えに来たんじゃないのか?」

 

 「そうですけど…………ああいう顔した偽遊は、滅多に見れないんです。一日中一緒にいても見れないくらい凄いレアなんですよ。あの素敵な偽遊は」

 

 「…………? 素敵? どういう意味だ?」

 

 「……………………ボクを命がけで護ってくれた時の偽遊って、あんな感じの目をしてたんです。

 背中向いてたから、あんまり沢山は見れてなくって。

 

 もしも偽遊が、ずっとあんな表情してたら、今頃ボクのほうが偽遊に迫ってたかもしれないですね。 

 

 あの偽遊が、キマイラでもロリコンでも無いあの姿が、多分一番素に近い偽遊なんだと思います」 

 

 レイもその表情をした偽遊に関しては、年上や異性としての魅力を感じていないわけではない。が…………。

 

 「あとはこれでレシピ作って纏めて作れば完了か………………ふぅ。

 

 

 ん? おお〜レイたん〜お迎えに来てくれたのぉ〜? わぁ〜い(ブリッジでカサカサと動き回る喜びの舞)」

 

 

 「………………はぁ……」

 

 こ れ で あ る 。

 

 キモい声音とキモい表情。キモい動き。

 

 大人の魅力? 異性としての魅力? 女の子が疼く? あのキマイラにそんなもんあるわけねーじゃん。頭でも打ったのか?

 これが通常のオベリスクブルー女子の評価と認識である。

 

 

 「偽遊、いつまでも亮サマのお部屋にいたら迷惑だから帰るよ」

 

 「だが断る。俺、しばらく、ここにいる」

 

 「何言ってるの! ワガママ言わないの!」

 

 「………………イエロー寮にいるとな、三沢も神楽坂も十代も翔もやってくるんだ。代表選手にしてくれって言ってくるんだよ。デッキを持って自分が強いよアッピルしてくるんだよ」

 

 「それは……早めに代表決めてあげたらいいんじゃないの?」

 

 「だって最近【キマイラ教】始めたじゃん。正しい知識と経験を得たデュエリストの成長って言うのは、もう才能に比例するから、そこらへんちゃんと把握しないと決めらんないんだよ…………」

 

 「偽遊のそう言う真面目な所は、ボク好きだよ」

 

 「そんで、何とか実力を把握する手段は無いかなって探してたんだよ…………でも、喧しくてそれどころじゃないんだよ……」

 

 「そ……そうなんだ。大変だったね…………」

 

 「それに、最近はクロノス先生がやたら質問をしてくるようになっててさ……最高責任者として、教師として恥ずかしくないようにしたいってさ…………断れるわけないじゃんそんなの」

 

 「頑張ったね……うん。よしよ〜し」

 

 流石にいたたまれなくなってきたのか、レイが抱っことヨシヨシのいつものやつをやり始める。本人曰く、恥ずかしいからあんまり人前ではしたくないらしいが。元はと言えば【キマイラ教】はレイが偽遊の話を拡めたせいで爆発的に広がり、クロノス先生に関しても自分を編入させるためにやったことだ。本人なりのケジメだろう。

 

 「挙句の果てには最近ヤンデレからサキュバスに進化したあのクィーンが、もう遠目で見るとかって話じゃなくなって接近しまくって胸やら脚やら押し付けて来るようになってよぉ!!

 その内鍵とか壊して夜に押しかけてくるんじゃないかと思うと、俺もう怖くて怖くてよぉ!!!!(被害者の涙)」

 

 「……………………吹雪の血だろうか…………(遠い目)」

 

 「よしよ〜し…………」

 

 「だから俺当分ここにいるぅ!!

 誰も押し掛けてこない平和な場所で静かに暮らすんだァ!!」

 

 「あー…………亮サマ、なんとかなりませんか?

 多分一番心労に来てるのは明日香先輩なんだと思うんですけど…………」

 

 「…………オレも、ここに居るのが抑止力になるのなら、偽遊が居るのはむしろ望むところだ。近くにいてくれた方が気軽にデュエルも出来ることだし。

 

 

 …………だが、偽遊。オベリスクブルー女子寮はこちらの男子寮の方が近いと思うが」

 

 

 「え…………」

 

 「うん。デュエル・アカデミアの校舎を挟んでるラーイエローの寮の方が女子寮からは遠いんだよ偽遊」

 

 「……………………」

 

 「それに、亮サマの見てる前でいつもみたいに甘えられても、ボクちょっと困るんだけど…………」

 

 「……………………」

 

 「ねえ、もう帰ろう? 今日は偽遊が眠るまでボクが居てあげるから。ね?」

 

 

 「……………………うん」

 

 「はぁ……それじゃあ亮サマ、今日はこれで失礼します。

 

 偽遊がお世話になりました。ほら、偽遊もお礼言わないと……」

 

 「…………ありがとうな亮。また来ていい?」

 

 「いつでも歓迎するよ」 

 

 「うん…………」

  

 

 「よし。無事に解決したし、お家に帰ろう偽遊」

 

 「うん…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 このあと、偽遊と一緒にラーイエローの寮に帰ったレイは、お風呂に入るために一瞬目を離した後にンニイイイイイイイイィィィーーーー!!!! と言う奇声を聞くことになるのだった。

 

 

 




よく分かるキマイラ狂徒解説。

バカテスのFFF団と、このすばのアクシズ教徒を掛け算して薄められなかった狂気の原液。忌み子。

FFF団のように敵を狩り取り、アクシズ狂徒のように妄信するその様はまさに狂信者。 

偽遊を『なんかよくわかってないけど取り合うレイ』VS『性的に取り合う明日香』

  • ちょっとくらいなら見てみたい気もする
  • ガッツリ見たい(ラブコメ)
  • ガッツリ見たい(偽遊の不幸的に)
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