遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜   作:SOD

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ノーネームドの実力に説得力を持たせていく。


キマイラ教の狂徒

 水平線から朝日が登ってくる。小鳥達がチュンチュンと鳴き、風が今日という日の新たな空気を運んで来る。

 学園の殆どの人間は未だ夢と現の境を揺蕩い、昨日の身体や心の疲れを癒やしている最中。ラーイエローの角部屋の扉が開き、黒く緩いタンクトップを着た男が現れ、伸びをした。

 

 「っっ〜〜!! くぁぁっ……」

 

 コキコキと首を鳴らし、窓から外の様子を眺める。

 

 「おはよう御座います。我が主よ」

 

 ひとしきり身体を慣らし終わった頃を見計らって、偽遊より前から起きていた…………否、昨夜から一睡もしていなかった神楽坂が現れた。

 

 「若くても徹夜は寿命を削るぞ」

 

 「ーーっっ!」

 

 いい年こいたオッサンとしては当たり前のような気遣いの言葉だが、神楽坂は目頭が熱くなった。

 

 「やはり、オレたちは間違っていなかった。偽遊様はお優しい……っっ!!」

 

 「…………何か嫌なことでもあったんかお前」

 

 「不甲斐なくも我らが主がお心を砕いておられたことに気付くことも出来なかった愚鈍な身に、それほど温かなお言葉を頂ける我が身に、そのようなことがあろう筈がございませぬ……!

 

 それにしても偽遊様、今朝はお加減が良いご様子ですが……昨夜の疲れはもう癒えたのでしょうか?」

 

 「おう。それは大丈夫だ。

 

 まさかレイたんが一晩中添い寝してくれるとはなぁ……これはあれだ。処女同衾の奇跡ってやつだな」

 

 「は、はぁ……左様でしたか。

 

 良くは分かりませんが、回復されたなら何よりです!」

 

 「うん。柔らかかったし、いい匂いだったなぁ……アハハ。

 

 さて、丁度いいし機会だから神楽坂。ちょいと頼みがある」

 

 「頼みなどと水臭いことを。どうぞ何時でも御用命下さい!」

 

 「ん、そうか。じゃあ……俺が知らん間に出てきたらしい狂った奴ら……『狂徒』だったか? 把握しておきたいから向こうの時間がある時にちょっと会っておきたーー」

 

 偽遊がそう言い切る前に、足元に跪く影が一つ。

 

 「ーーい、うおっ!? な、何だこの伊之助は!?」   

 

 偽遊が足元の人間をしっかりと認識すると、ソレはイノシシの頭を被った人間だった。肌の露出が多く、衣服もレオタードのような何かを着込んでいる。肩幅や下半身から察するに女の身体のように見える。

 

 「お目汚しを失礼致しまス。キマイラ教の十二人狂徒の一柱に御座いまス。

 

 我らが主よ。いつ如何なる時も我らの内一柱が待機させて頂いております。なんなりとお命じ下さイ」

 

 「………………なるほど、狂ってるわぁ……」

 

 「既に他の11名への連絡は済ませました。ひとまず広場へ集まるようにしておきます」

 

 神楽坂が当然のように偽遊に伝える。手元には学生手帳だ。

 

 「え、嫌そんな今すぐでなくても良いぞ!? ってか今5時ちょいだよね? 全員起きてんの!?」

 

 「起きます。神からの御用命ですので」

 

 「そう言うの良いからね!? やだよ俺そんなブラック企業の老害社長みたいなマネさせんの!

 

 お昼とか放課後とかとかでいいじゃんか! 寝ようよ!」

 

 「しかしもう伝えてしまいましたので、既に脳みそは興奮状態で眠れないかと…………」

 

 「バーサーカーかお前ら!?」

 

 「恐れながら、()徒で御座いますので…………」

 

 「ああ…………一人ずつ個別に話すくらいの気持ちだったのに…………」

 

 「それでしたら、まずはそちらの者からお話されては如何でしょうか?

 我が主よ、昨夜は食事を取られていなかったはず。こちらで用意しておきますので、お好きなタイミングでお呼び下さい」

 

 「…………ああ。うん……ありがとう……」

 

 「勿体ないお言葉です……(感涙)

 では失礼致します」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 (う〜ん。狂徒ってのを舐めてたぜ…………レイたんが昨日の夜、俺をよしよししながら色んな話をしてくれてた中の一つだったから、ちょっとノーネームドの戦力把握ついでに、マジで味方になってくれそうだったらケースの機能使ってデッキの強化とか図ってみようかな〜くらいの気持ちだったのに…………)

 

 取り敢えず自分の方の部屋に招き入れて色々質問してみよう。 

 

 「立ち話も疲れるし、部屋へどーぞ」

 

 あ、鍵が掛かってる。レイたんはケース運んでくれただけで無く戸締まりもしてくれたのか。優しい。

 ポッケの鍵でガチャリンコ。

 

 「ーーっ!? は、はい。失礼しまス……!」

 

 イノシシの被り物をした人は、あからさまに緊張していて、手と足が左右同時に前に出て後ろへ下がっている。漫画かよ。アニメだったわ。

 

 「ねえ、もしかしてその被り物、『狂徒』は全員被ってるの?」

 

 「こ、こちらは、我々がキマイラ様に少しでも近付きたいと言う気持ちから始めたものでス!

 十二獣の獣や、ネコなど、様々な物があります! 同じ物を被るとややこしいので、それぞれ別の物を被りまス!!」

 

 「そ、そっか……えっと、君の名前は?」

 

 「は、はい。我らには最早名前など不要ですので、お気になさらズ」

 

 「 工エエェェ(´д`)ェェエエ工 」

 

 なんなのどうなってんの!? 中二病なの子!?

 

 「…………個体名が要らないってことは無いでしょう。呼ぶとき不便じゃんよ……」 

 

 「では、主の思うままに呼称ください。我らは主の決定に全て従いまス」

 

 「…………………………俺の決定に全て……ねえ?」

 

 上等じゃねえかよこの野郎……どこまで従えるのか見せて貰おうか!?

 

 「キミは女子だよね? 俺が服脱いで奉仕しろって言ったらどうする?」

 

 「お、おお、お望みとあれば喜んデ!! わ、我が主のごご、寵愛をーー!!?」

 

 「よーし今言ったことは無しの方向で。その両肩から外した肩紐部分を今すぐ戻すんだ」

 

 「あ…………申し訳ございません……このような貧相な身体で思い上がったことを…………やはり天上院明日香のような肉感的な身体の方がーー」

 

 「と言うか、イノシシの被り物をした女と性的に絡むのはAVとしても特殊寄りなんよな。

 

 あと俺は貧乳派だから。サキュバスの話はよせ」

 

 「は、はい……すみませんでしタ……」

 

 「ふぅ……まあいいや。

 

 取り敢えずキミ、デッキを見せて貰っていい?」

  

 「はい! 喜んデ!!」

 

 遊戯王おじさんデッキ確認中…………

 

 

 

 

 「ふーん……ゴブ突系モンスターで火力を確保しながら最終突撃命令や重力解除でデメリットに対処して、2300を越える攻守に対しては強制脱出装置で対応。ついでに必要なら守備表示から変えられないゴブ突を回収して召喚することで表示形式の弱点をカバー出来る……か」

 

 (す、凄い……私が3日かけて纏めたアイディアを数分で看破されてしまった…………ああ。やはり我らが主の前では我らは丸裸も同然なんダ…………!)

 

 「一見脳筋に見えるが、これはどっちかってーと対応出来る幅を広めに取りつつ、火力不足にならないようにしているわけだな。実際レベル5以上のモンスターは採用されてないし。ならず者傭兵部隊とか懐かしいな。増援でアタックと除去、両立の3パターンに対応出来るのも良いな。

 フフッ。毎日毎日放課後勉強会開かされてる努力が浮かばれるぜ……」

 

 (あ、ああ……! 褒められてる!! 私、偽遊様に褒められてりゅううううー!!!!)

 

 「………………良し、大体分かった」

 

 俺はイノシシにデッキを返して、ケースから数枚のカードを取り出す。

 

 

 「お前にコレをやろう。『獣王アルファ』。

 上級モンスターだが、相手の場のモンスターの攻撃力が自分の場より高ければ何度でも手札から特殊召喚出来るモンスターだ」

 

 「わ……わたしに…………カードを!? それも、このような強力なモンスターカード!?」

 

 「あとコレ。『ライトロード・ハンター ライコウ』。

 

 リバースモンスターで、効果を発動すると自分のデッキの上から3枚を墓地へ送ることになるが、人喰い虫と違って、モンスター・魔法・罠のどれかを破壊出来る。

 

 そのデッキはコンボの要素が薄いから、墓地へ落ちて困るカードってのも少ないだろう」

 

 

 「あ……ああ……!!」

 

 「これ持ってるかな……? 『魂を喰らうもの バズー』墓地のモンスターを3体まで除外出来て、一巡するまで攻撃力が枚数×300アップ。つまり攻撃力2500になるんだ。

 タクティクスより火力を上げたいって時には選択肢になるぞ」

 

 「お……おおほほほおおー…………!?」

 

 「あとは何か…………」

 

 「お、おお……! わ、我が主よぉ!!」

 

 「うん? どした? なんか欲しいカードある?」

 

 「お……お……お……!」

 

 「お? 何だ? 何のカードだろう?」

 

 「も、もう……おゆるしくだしゃひぃぃぃ…………」

 

 全然顔が見えないけど、泣いてるのだろうか? まずったな……なまじモブの子だった子が才能見せたから、つい遊戯王オジサンの子どもを沼に沈めたい欲が出てしまったようだ…………。

 

 「ご、ゴメンな。もう大丈夫だから。ほ〜ら怖くないよ〜よしよ〜し」

 

 「ーー!!!!!?」

 

 イノシシ被ってるから全然頭当たってないけど、そもそもこれセクハラか……? やっべ。レイたんの添い寝貰って俺の頭が馬鹿になってるわ…………。

 

 

 「ふ……ふゅぅぅぅぅ〜〜……………!!!」

 

 

 

 

 「………………………………溶けた、物理的に……!?」

 

 

 

 そうか……狂徒って……溶けるのかぁ。

 




頑張って運んでくれたレイたん


【挿絵表示】

偽遊を『なんかよくわかってないけど取り合うレイ』VS『性的に取り合う明日香』

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