山田太郎は居候   作:芋太郎

1 / 10
・山田太郎
本日の主人公。
気が付いたら森でオオカミに追われててちびりそう。
猫派。
昨日の晩御飯はオムライス。

・ライナー子爵家
行き倒れを助けてあげた優しい貴族。
娘のデビュタントが近くて大変そう。
今日の朝ごはんはパン。

・メイド少女
ワタシニホンゴワカリマセン。助けて。
今日の昼ごはんはスープ。


山田太郎は必死である

 俺こと山田、山田太郎は、日本人である。

日本人を代表する様な名前すらいえる。しらんけど。

そんな俺は今、見知らぬ森でオオカミに追われている。

いやそうはならんやろがい!いやなっとるやろがい!

なんで絶滅したオオカミに追われてるの!?てかここどこ!?

いつの間にコンクリートジャングルに居たはずなのにリアルジャングルに!?

 

 「クソッ!跳んでくるなナァーーー!って、オワァッ!」

 

 走りなれない森、ガムシャラに駆け回ってたら足を取られる。

当然の事だが、足元にまで注意がいかずに木の根に引っ掛かりずっこけてしまった。

勝ちを確信したのか、3頭のオオカミはじっくりと囲むように歩いてくる。

 

 くそっ、こんなよくわからん所で死ねるか!!

何かないのか!?

必死で後ずさりながら逃げようとしていると...

っ!石!これで目を潰せればワンチャンあるか...?

 

 「いや、やるしかないよなぁ!?おら、くらえっ!」

 

 乾坤一擲、あのボスオオカミの目に当てれなければ死。

オッズ1000倍、最低の大博打!

足元に落ちていたコブシ大の石を握り、目標を注視。

...今!まっすぐ飛ぶようにオーバースロー!リリースポイントは頂点!

俺の手を離れた石は、少し右曲がっていきながら飛んで行った。

そして、にじり寄ってきたボスオオカミの目にドンッと当たった。

 

キャインッ!と鳴きながらボスオオカミがひっくり返り、2頭のオオカミの意識もそちらへ向く。

逃げるなら、今だ!あばよケモノども!

後を振り返らず、今度は根に引っ掛からないよう足元も見ながら走る。走る。走る!

 

 そうして、走り続けて気が付けば森を抜け、街道へ。それも抜け、街へたどり着いた。

一休みできる場所を探してふらふらと、よろよろと彷徨って...

もう、むり、歩けな...

 

 「―!?――――!――――!」

 「――――――!――――――!」

 

 


 

 

 

 「知らない天井だ」

 

 いやー、人生で一回は言ってみたかったんだよね。

それにしても、ここはどこなんだ?

やけに広い、綺麗な部屋だ。

ダブル。いや、クイーンサイズ?の大きなベッドを中心に、全体的に洋風な部屋。

大豪邸。とても日本とは思えない。

そう言えば、意識を失う前に誰かいたような...?

寝起きで回らない頭で色々と考えていると、少し離れたところにある戸が開きメイド服の少女が入ってきた。

起きていると思っていなかったのか、少女は慌てた様子で何かを告げるとそのまま来た道を引き返して行ってしまった。

 

 「さっきの女の子...何だったんだ?それに、聞いたことない言葉。英語でもないし、ましてや日本語でも...」

 

 いくら考えても何もわからない。

かといえ、この知らない場所で二度寝するだけの勇気はない。

起き上がり、窓へ近寄り外を見る。綺麗な青い芝生に、石でできた外壁。

アニメで見たような、中世ヨーロッパ風な所だろうか。

まるで異世界転生だな。今日から俺がなろう系主人公だって...コトッ!?

まいっちまうゼ、何も転生特典なんて持っちゃいないんだぞ!

 

 「無双!ハーレム!異世界最高!」グッ!

 

 ガチャっと音がして、そちらを見ると先ほどとは違う銀髪の高貴そうな恰好をした美少女と、その両親らしき人が。

もしかしなくてもこれ貴族の人では!?

びくびくしていると、父、母、娘の順に口を開いた。

 

 「―――。マテウス・フォン・ライナー――。――――?――――――」

 「――――――。――アマーリア・フォン・ライナー――。―――――――?」

 「アデレート・フォン・ライナー――。―――――?―――――――」

 

 「あ、えっと。俺は山田...じゃなくて、タロウ・ヤマダです。この度は助けていただきありがとうございます」

 

 自分を指さしながらタロウ・ヤマダと繰り返す。

全く言葉は分からないが、名乗ってもらった事だけは分かる。

それに、すごく丁寧にしてもらっている気がする。

身振り手振りで何とか、体調は問題ないことと感謝を伝える。

それだけでは足りないかと、ポケットから財布を取り出して中からなけなしの諭吉3枚を手渡す。

日本のお金がここでは価値がない事くらいわかってはいるが、自分の持っているもので一番の価値があるものがこれなのだ。

マテウスと名乗った貴族の父は、お札の端っこが光ったり、真ん中に透かし絵が入っていることにとても興味を示していたようだった。

その後もボディーランゲージで一人であること、違う国の人であること、行き先がない事を伝えた。

その甲斐もあってか、しばらくここに住まわせてもらえる事になった。そのうえ、着替えまでいただけることに。

暫くして、3人が退室すると入れ替わりでメイド少女が一人入ってきた。

このメイド少女が俺付きになるらしい。監視役のようなものだ。

美少女が付くなんて、俺の異世界生活は超好スタート。そう、なろう系主人公無双ハーレム物語はまだまだここからだ!(山田先生の次回作にご期待ください)でもまだ少し続くんじゃよ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。