山田太郎は居候 作:芋太郎
本日の主人公。
メイドちゃんの言語習得力に完全敗北。
メイドちゃんとちょっとだけ距離が近くなった気がしてウキウキ。
もうメイドちゃんなしでは生きていけないかもしれない。
今一番の心配は、友達の兄に押し付けられたエロゲーが日本の自室においてあるのを誰かに見られていないか。
・アデレート・フォン・ライナー
勘違いしたまま今日が終わった。
ちょっと気になるけどデビュタントに備えなきゃいけないジレンマ。
でもデビュタントの準備を優先できる偉い子。
今一番の心配は、このままでは一生オムレツを食べれないのかもしれない事。
・メイド少女
ニホンゴトテモシャベレマース!
太郎がこの国の言葉を覚えるの遅すぎてちょっとビビってる。
もうほぼ日本語をマスターしているので、太郎をイジる程度造作もない。
今一番の心配はアデレート様がオムレツ欲しさに何か突飛な行動にでないか。
俺こと山田太郎は日本人である。
今はライナー様に無実の罪で問い詰めらているという、危機的状況である。どうしてこうなった?
遡ること数時間前。
朝食を終え、俺はメイドちゃんとともに自分の服を取りに来ていた。
この世界に来た時に着ていた服は、ここで洗濯してもらい、保管してくれている。ということで、
どうせなら借りている服ではなく、自分の服を着たい。
そう思ってメイドちゃんに相談した所、すぐに案内してもらえたのだ。
流石できるメイドちゃんである。
衣裳部屋に着き、自分の服を見た瞬間にテンション上がってしまって思わずメイドちゃんの手をとってしまったのは仕方のない事だ。
なんせ、この如何にも貴族!というような服から解放されるのである。
借りていた手前、文句は言えないがコスプレをしているみたいで恥ずかしかった。
メイドちゃんも一緒になって喜んでくれて、一緒にありがとうと言いあう謎時間もあった。
「ありがとう、メイドちゃん!」
「ありがとぉ、タロウさん!」
ありがとう、ありがとぉ、と暫く言い合って、どちらともなく笑いあって。
なんというか、その、尊い...
「...ぅん?」
「どうしたの、メイドちゃん?」
「―――-。イエ、扉に人が居た、でごいました?」
「どんな語尾なん?誰か居たのか。いやまぁ、見られて困ることもないし良いんじゃないかな?」
「見られ、困ル。良いですカ?」
「うん、良いよ。やましいことはしてないからね」
「そうデスカ。では、服!着替えてみまショ!」
メイドちゃんは誰かがこの部屋の前に居る事に気が付いたようで、俺にそのことを伝えてくれた。
とはいえ、何もやましいことなんてしてないのだから本当に良いんだけどね。
その後は、服に興味を持ったメイドちゃんに施され、服を着替えた。
カーキ色のパンツに、シンプルなボックスロゴだけが印刷されたパーカー、レイアップする人のマークのハイカットスニーカー。
この世界では珍しい恰好だからか、面白そうにメイドちゃんに見ていた。
貴族らしい恰好からは程遠いし、そりゃ気になるか。
メイドちゃんはこの服装を気に入ったようで、目をキラキラさせながら何度か頷いて俺の手を引いて厨房の方へと歩き出した。
どうやら、使用人仲間にも見せてあげたいようだ。
一瞬だけ、彼氏を自慢したくて仕方がない彼女みたいだ!と考えたけど、めちゃくちゃキショいあまりにも童貞な思考はすぐに捨てた。
流石に拗らせすぎだろ。
厨房について待っていたのはマルセルさん達ではなく、使用人の恰好をした印象に残らない普遍的な顔立ちの少年とマテウス様だった。
マテウス様が口を開き何かを告げてきた後、メイドちゃんが翻訳してくれる。
「―――。―――――――、―――――――?」
「聞きたいことが有るから、執務室に来てほしい。とマテウス様が言われております」
「わかった。了承したと伝えてくれるかな?」
「ハイ。―――――。――――。」
そうして、マテウス様について歩いていく。
道中で会話はなく、何か悪いことをしている訳でもないのに手汗が滲む。
緊張は解けないまま執務室に着き、マテウス様がおもむろに口を開く。
やはり俺には言葉が分からないから、メイドちゃんに翻訳してもらう。
「タロウさんは使用人へ口封じをしながら、メイドを誑し込んでいるというのは本当なのか?と、マテウス様が言われてルです」
「...はい???」
こうして冒頭になったのである。
メイドちゃんも目を白黒させて困惑している様子だ。
異国の貴族を助ける為に家に泊めさせて、悪いことをしないか監視係に送り込んだメイドちゃんはその男と恋仲に。
それでは監視にもならないし、何よりうちの家臣に手を出さないでもらおうか!...と、いうことだろうか?
しかし何故そんな事を言い出したのか皆目見当もつかない。
「マテウス様、そのような事実はありません。誤解です」
メイドちゃんに伝えて、翻訳してもらう。
しかし、それに対して反論が返ってくる。
まあ、確証もなくこんな事言い出したりはしないよな。
「使用人達に何か口止めをしているだろう。だから、万一の事を考えて今朝からタロウさんの事を見ていた。と言われているデス」
「口止めしていたのは、私が自分の国の料理をしている事です。口止めしていたのは、その事が貴族様へ伝わり、作るとなった際に、もし体に合わない料理であった時に責任が取れないからです」
マテウス様はこちらの言い分を聞いて、そんなことだろうと思った。納得した。というような表情で頷いていた。
だがしかし、メイドちゃんを誑かしているという件についてはまだ誤解が解けていない様子だった。
「さっきも衣裳部屋で手を握りキスをしていた。そして厨房まで手をつないで歩いていただろう。と言われてマス、デス!ワタシ、身分違いの恋物語みたいでコーフンしてきました!」
「メイドちゃんメンタル無敵かよ。いえ、それも誤解です。確かに自分の服が戻ってきて、気分が上がってしまいついメイドちゃんの手を握ってしまいましたが、キスはしておりません。手をつないで歩いていた件についても、そのまま厨房へ向かってしまっただけです」
メイドちゃんはこんな状況でも本当に興奮しているのか、目がキラキラワクワクと擬音が聞けてきそうな程輝いている。マテウス様の前でもこれとは...
メイドちゃんが翻訳すると、マテウス様が隣にいた少年をジト目で見始めた。
なるほど、監視していたのはその少年だったのか。
少年はあわあわと説明を始めたが、それに対してメイドちゃんが反論しマテウス様も納得した様子だった。
そして、少年とマテウス様はこちらに向き直り、謝罪をしてきた。
ちょっ、貴族様が頭下げないで!心臓に悪い!
「あ、頭を上げてください!誤解させるようなことをしていた自分にも問題があります!すみませんでした!」
こちらも全力で謝り、お互いにこの件は無かった事にしてこの場は解散。
肝が冷えるからやめてほしい...
流石に疲れて、この後掃除を手伝おうと思っていたが今回はやめにしてメイドちゃんと言葉の勉強に専念する事にした。
メイドちゃんは今回の件で何か一線をこえたのか、
「メイドと貴族が部屋、二人きり、何も起こらナイはずがナく...」
と言い出したしたり、自分からネタにしてからかってきた。
彼女いない歴=年齢の俺にそれは効くからやめて!
でも、この世界で一生暮らすとなったらここの人達と居たいし、その筆頭がメイドちゃんなのはおかしい事じゃないよな。なんて、誰にも言えないけど
ちょっと実験的に6時に投稿してみました。
何時がいいんでしょう?