山田太郎は居候 作:芋太郎
本日の主人公。
メイドちゃんには勝てない。
好きな動物は猫。
・アデレート・フォン・ライナー
しれっと外国語勉強会に混じりだした。
メイドちゃんの語学力に度肝を抜かれている。
好きな動物は小さい鳥。
・メイド少女
ニホンゴヨユーデス!
最近は何故か太郎より日本語が上手いという謎の自信がわいてきた。
通訳のお仕事で一攫千金できるでは?と秘かに考えている。
好きな動物はウサギ。
俺こと山田太郎は日本人である。
とんでも勘違い事件から5日が経ち、この世界に来て14日が経った今日、とある噂を耳にした。
使用人たちの間で、「ボーゼス伯爵領に異国から来た黒髪黒目の少女がいる。太郎と同じ国の人なのではないか」と話題になっているとメイドちゃんが言っていたのだ。
この世界では黒髪黒目は珍しく、見たことがないし聞いたこともない。
つまり、この国と本当に遠いところか、俺と同じように別世界から来たか。ということだ。
もし後者なら日本に帰る貴重な手がかりになりえる。
しかし、俺はこのライナー家にお世話になっている。
別貴族に恩を売るような事は簡単には出来ない。
それこそ、この家との関係をここで終わらせない事には軽率な事は出来ない。
今まで散々お世話になっておいて、何も返さずに出て行くなんで恩知らずな真似は出来ない。
俺はいったい、どうすれば良いのだろうか。
料理をすれば焦がしてしまい、掃除をすれば同じ所を延々とやり、勉強しようとしても右から左へ流れてしまう。
不甲斐ない事に何にも身が入らず、メイドちゃんやマルセルさん達、それにライナー家の皆さんに心配をかけてしまった。
特に、最近メイドちゃんと一緒になって日本語の勉強を始めたアデレート様には何度も休んだ方が良いと言われてしまうほど心配をかけてしまった。
拾ってくれただけでなく、調子が悪いと心配までしてくれる。控えめに言って聖女では?
彼女こそが真の主人公だった...?
ベッドの上でうだうだ考えていると、ノックの音が部屋に響いた。
「タロウさん、今ちょっとダケ大丈夫ですカ?」
「大丈夫だよ、入って。」
ありがとぉ。と言いながら、メイドちゃんが部屋に入ってきた。
彼女はこちらを心配そうに見ながら、こちらに寄ってきた。
メイドちゃんにもそんなに心配させてしまっている事実に、胸を痛める。
もっとちゃんとしなきゃ。
「...タロウさんは、例の少女、会いに行きたいですカ?」
「それは...」
「イエ、わかってマスよ。今日一日、ずっとその事、考えてまスたネ。私はイイと思いまス」
「え?」
「タロウさんが元の国に帰りたいって思ってルのを知ってるから、あの情報を皆が話題にしてル、デス」
「そっか、そうだったんだ...。皆にもお礼言わなきゃ。メイドちゃんもありがとう」
メイドちゃんの話では、皆が俺の事を考えてくれているという事だった。
この2週間で、皆に仲間のように思ってもらえるという事実。
それが凄く嬉しいし、自分の影を縫う杭の様にも思えた。
...うん、帰りたい。だけど、それ以上に皆にこの気持ちを返していきたい。
それに、その少女が異世界から来たのであれば直ぐに行動しなくても機会はある。
だから、今はまだこのまま。それに、寂しそうな顔をしてたアデレート様やメイドちゃんをこのまま置いて行きたくないんだ。
きっと例の黒髪黒目少女もいつかは王都へ来ると思うから、その時に会おうと思う。
そうメイドちゃんへ伝えると、メイドちゃんは嬉しそうに、笑顔一杯で俺の手をとって振り回した。
不思議と俺自身も笑ってしまう。
そうして暫く二人で笑いながら激しめのハンドシェイクをして疲れた頃に、もう夜も遅いからとメイドちゃんを見送った。
ここには俺の居場所もある。
だから、同郷の少女。どうか王都まで来てほしい。
もしこの世界に君の居場所がなくても、その時はきっと俺にも手助けは出来るはずだから。
誤字報告ありがとうございます。
そして、お気に入り登録や評価ありがとうございます!
今のところ5時に太郎、5時5分にアデレート嬢視点を投稿してます。
ただ、そろそろお仕事の関係で毎日投稿も厳しいかもです。
1話を1500字程度になるようにしているので、できる限りは毎日投稿したいな。