へちょラモーヌさんと妹アルダンさんのなんてことはない日常 作:雅媛
うちのお姉様は、だらしない人です。
「あるだん、みかんとってきて~」
「自分で取ってきてください」
下着姿のまま炬燵にこもって、こんなことを言うぐらいにはだらしない人なんです。
皆さんはメジロラモーヌとはどういうウマ娘だという印象を抱いているでしょうか?
魔性ともいうべき美貌
圧倒的なレースセンス
とてつもなく鋭い末脚
自立した美意識を持つ
どれも間違いではありません。
お姉様は確かに妹の私が見てもドキッとするぐらい綺麗ですし、レースになるととてつもない実力を持っています。
また、お姉様の美意識は独特ですが素晴らしいセンスを持っているのは、ずっと隣にいた私がわかっています。
ですが、妹である私と二人きりの空間になると、とたんにへちょります。へちょです。
今日なんか、朝起きて、ベッドから出て、そのまま炬燵に直行して、一切出てきません。朝ごはんを蜜柑で済ませたぐらいのへちょぷりです。
今は休養期間ですし、減量中ですからあまり文句は言えないのですが、それでも垂れパ○ダならぬ垂れラモーヌとかいう製品が作れそうなぐらいのへちょっぷりを見せられるといろいろ考えてしまいます。
「あるだん、おねがい~」
「自分で取ってきてください」
「だってさむい~」
そんなことを言う姉様ですが、私はあえて適当にあしらっています。
姉様のために蜜柑を取ってくるのもやぶさかではないのですが、この垂れラモーヌを甘やかすとどこまでも垂れそうなので、心を鬼にしているのです。
「じゃあ、じゃんけんで負けた方が取ってくるのでどう~?」
「まあ、いいですけど」
「じゃあ私はパーを出すわ~」
「では私はチョキを出しますね」
「じゃ~んけ~ん」
「「ぽん」」
当初の宣言通り、姉様はパーを出し、私はチョキを出したので姉様が負けました。
これは、高度な駆け引きの結果起きたもの……
とかいうことは一切ありません。
脳みそまでへちょっている状態の姉様は何も考えていません。
パーを出そうと思ったからそのまま口に出して、パーを出しただけです。ホントにへちょいです。だから私は宣言通りチョキを出したという、本当に薄っぺらい駆け引き以下の何かしかありません。レースの時に他のライバルを出し抜く狡猾さは、多分こたつ中とかに落としてしまっているのでしょう。
「むー、しかたがない」
姉様はもそもそと炬燵から出てきました。
うつ伏せでうごめくその姿は、まさに海岸に打ち上げられたワカメか何かのようです。
「あるだーん、きがえてつだってー」
「はいはい」
蜜柑がある場所は部屋を出て屋敷の裏手にある物置部屋の中です。今の姉様の格好、スポーツブラと綿のパンツだけの姿でそこまで行くのは、外聞的にいろいろ不味いわけです。
姉様のへちょ姿はメジロの他の仲間はもちろん、両親にすら気づかれていないものですから、外にバレるわけにはいきません。
うごめくワカメ状態の姉様に、バスローブ的な、真っ白でモコモコのガウンを着せます。
一気にゴージャス感が出ます。セレブっぽさが半端ないです。中身は色気のない下着ですが、見えなければシュレディンガーのパンツです。
起き上がって、髪を軽く整えれば、いつもの外行きのゴージャス姉様になりました。
「じゃあ、蜜柑とってくるわね、アルダン」
「いってらっしゃい」
姉様はキメ顔をして旅立っていきました。
もっともあの格好で蜜柑箱を丸ごと担いで強奪してくるわけにもいかないでしょうから、数個回収できればいい方でしょう。
見た目は完全に外面になっていましたが、中身はそこまで考えが回っていない当たりまだへちょったままだったようです。
次は私が箱を担いで持ってこよう。そんなことを考えながら、ドアの向こうに消える姉様の背中を見送るのでした。
コミケコピ本で出ようと思っているのですが、内容に迷いますね。