へちょラモーヌさんと妹アルダンさんのなんてことはない日常   作:雅媛

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2 姉様とトレーナーさんと雪見大福

 姉様であるメジロラモーヌと私、メジロアルダンは同じチームに所属しており、トレーナーさんも同じです。

 

 トレーナーさんは、指導力に定評がある中堅のトレーナーで、特に体調管理を得意とされていて、脚が弱い私も姉様も非常に頼りにしている方です。

 性格はまじめで紳士であり、スーツを決めた姿はカッコいいと評判で、特に姉様と並ぶと絵になると評判の、自慢のトレーナーさんです。

 

 まあ、外面は、なんですが。

 トレーナー室に戻ると、トレーナーさんはへちょります。姉様といい勝負ができるへちょり具合です。

 そして姉様もへちょります。

 姉様にとってトレーナーさんは身内判定のようです。

 

 その結果、スーツを脱ぎ捨ててアンダーシャツとトランクス姿になったへちょトレーナーさんと、シャワーから戻ってきて、制服を脱ぎ捨てて下着だけになったメジロへちょ~ぬが、トレーナー室に置いてあるソファにだらしなく座っている状況になっています。

 男性トレーナーとウマ娘があられもない格好で、二人きりでソファに座っている、なんて言ったら通常うまぴょい(隠語)ですが、二人とも色気もくそもありません。ただへちょっている二人がだらしなくソファの上に乗っているだけです。

 さらに言えば、二人きりでもなく私もいるわけですが。

 

 

「あるだん~」

「なんですか?」

「あいすたべたい~」

「仕方ないですね」

 

 

 姉様がそんなことを言いだしましたので、冷凍庫を確認します。

 冷凍庫を開けると雪見大福が入っていました。これでいいでしょう。

 

 

「姉様、雪見大福です」

「わ~い」

 

 

 へちょったメジロへちょ~ぬ姉様は、IQもおそらく半分ぐらいになっているのでしょう。

 嬉しそうに雪見大福を受け取りました。

 ふたを開けて、嬉しそうにプラスチックの楊枝を取り出すと、片方の雪見大福に突き刺しました。

 

 

「とれーなーさん」

「なんだい?」

「あーん」

「あーん」

 

 

 おもむろにトレーナーさんに食べさせ始めました。

 下着姿で寄りかかる姉様と、それを胸で抱き留めるトレーナーさん。文字だけで見たら色気がやばいですが、実物を見るとそこはかとなく残念なオーラしか出ていません。

 そもそも姉様は雪見大福を丸ごとトレーナーさんの口に突っ込んだので、トレーナーさんがもごもごと食べるのに苦しんでいます。

 

 そんな苦しむトレーナーさんを全く無視して、姉様はもう一つの雪見大福を刺すと私に向けてきました。

 

 

「あるだんも、あーん」

「いえ、私は結構ですので、姉様が食べてください」

 

 

 私は部屋に帰ればハーゲンダッツがあります。そちらをおいしくいただく予定なので雪見大福は不要です。後、今あーんするとトレーナーさんと同じく丸ごと口に突っ込まれるという拷問じみたことをされそうですし。

 

 

「え、だってはずかしい」

「これ以上掻く恥はないと思いますが、何が恥ずかしいんですか」

 

 

 下着姿でトレーナーさんに寄りかかるこのだらし姉以上に恥ずかしいものはないです。

 仮に第三者に見られたら、メジロの力で抹殺するしかないでしょう。

 

 

「だって、とれーなーさんとかんせつちゅーになっちゃう」

「かんせつ、ちゅー」

 

 

 魔性のウマ娘と言われ、人妻感があるとすら言われる見た目はアダルティな姉様ですが、中身は箱入り娘であり、ぴゅあぴゅあです。間接キスでも姉様には刺激が強かったようです。

 いやまあ、口に突っ込んだだけだし、間接キスにもなっていないと思いますが。

 

 

「でも、私がいただくと、私がトレーナーさんと間接ちゅーになっちゃいますよ」

「むむ、それはだめ」

 

 

 そう言って少し悩んだ姉様は、そのまま持っていた雪見大福を食べ始めました。

 

 

 

 

 

「そろそろ食事の時間ですし、寮に帰りましょう、姉様」

 

 

 トレーナーさんが雪見大福をどうにか飲み込んだのを見計らって、私は声を掛けます。

 それに反応して姉様とトレーナーさんが起き上がり、一瞬にして服を着ます。手品レベルですね。外行きモードの姉様とトレーナーさんになりました。

 

 

「そうね、アルダン。トレーナー、明日もよろしくね」

「はい、頑張りましょう」

 

 

 そうして私たちはトレーナー室を去ります。

 そうして寮に戻る道中、姉様がおもむろに私に話しかけます。

 

 

「アルダン、トレーナーは譲らないから」

「……そうですか」

 

 

 姉様はトレーナーさんをひどく気に入っており、おそらく恋愛感情もあるのでしょう。そうじゃないとあのへちょ状態を見せないでしょうし。

 姉様のことなら何でもわかる私ですから、当然それも気づいていましたし、別に止めようとも思いません。

 一方で私はトレーナーさんにそう言った感情は一切ないのですが、姉様は私がライバルになると勘違いしているようです。

 

 ですがすいません、一回りを優に超えて年上のトレーナーさんは私の好みではないです。

 ジジコンな姉様の趣味だけは、共感ができないのでした。




なお、アルダンが部屋の冷凍庫に保管していたハーゲンダッツはチヨちゃんが食べていたので、この後喧嘩になりました。
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