へちょラモーヌさんと妹アルダンさんのなんてことはない日常   作:雅媛

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3 姉様とメジロわんことおせんべい

「姉様、ちょっとくつろぎすぎでは?」

「ん~」

 

 せんべいを口に咥えながら、うつぶせで畳に寝ころび、漫画雑誌を読んでいる姉様。

 相変わらず下着姿で、可愛い綿のクマさんパンツがこんにちはをしています。

 あまりにミスマッチすぎていろいろ別の意味で目に毒なのが困りどころです。正気度的な意味で。あまり見ていると頭がおかしくなりそうです。

 

 通販で取り寄せた、置き畳、というか、ポータブル畳というか、保管が簡単な薄い畳が姉様の最近のお気に入りです。部屋ではずっとこの上から動きません。下手するとそのまま寝落ちすることもありますから、その場合はベッドに運ぶ必要もあったりします。

 そんなだらし姉様を観察しながら本を読んでいましたら部屋の扉が急に開きました。

 

「ブライト、今週のウマ少女、そっちにある?」

 

 入ってきたのはメジロドーベル、同じメジロ家所属の後輩のウマ娘でした。

 普段は部屋の扉には鍵をかけているのですが…… おそらく姉様が漫画雑誌を持って戻ってきたときにかけ忘れたのでしょう。

 メジロのお屋敷は同じような廊下が続きますから、部屋を間違えるのも珍しくはありません。ですが、彼女が部屋に入ってきたのは明らかにタイミングが悪すぎました。

 

「あ、え?」

 

 ドーベルは固まります。当たり前です。

 部屋を間違えただけならまだそこまで動揺しないでしょう。しかし目の前にくまさんパンツを履いたメジロラモーヌが、だらしなく寝そべっているわけです。

 妹であり姉様のことを理解し、慣れた私でも目を背けたくなるような光景です。ましてやメジロの中でも箱入り度合いが高く、おそらく姉様に憧れを持っていたドーベルには、とても受け入れがたいでしょう。

 

「え、え? え?」

 

 錯乱し始めそうな気配がしますが、このまま返すわけにはいきません。

 姉様の秘密を知ったわけですから、ちゃんとお話が必要です。

 私はドーベルの後ろに回り、扉を閉め、カギをしっかりかけます。

 

「ドーベル。ちょっとお話ししましょうね?」

 

 そう言って私はドーベルを部屋のソファに座らせます。

 この間2秒です。

 なお、だらし姉様は、見られたショックで固まっていましたので、まったく役には立ちませんでした。

 

 

 

 だらし姉様は、急いで着替えていつもの私服になりました。大人っぽいスカート姿ですが、スカートの中はくまさんパンツなんですよね、と思うと微妙な気持ちになります。ドーベルも微妙な表情をしていましたので恐らく同じことを考えていると思います。

 

「先ほどまでのことなんですけど、忘れていただけないかしら?」

「え、えっと……」

 

 姉様が強気に言いますが強く言えばどうにかなるとかいう考えがあるわけではなく、単にテンパっているだけだと思います。

 ドーベルが言い淀むのは、単純に忘れられるわけないと思っているからでしょう。

 確かにあのくまさんおぱんつだらし姉様を忘れることはなかなか困難でしょう。おそらく夜とかに思い出してうなされる系の忘れたい記憶でしょうが。

 

「おねがい、御煎餅あげるから」

「なんで御煎餅で釣れると思っているんですか、しかもかじりかけ」

「だって、さっき全部食べてしまったんですもの」

「お夕飯食べられなくなりますよ」

 

 姉様が差し出したかじりかけの御煎餅でどうにかなるはずがありません。

 それを受け取って喜ぶのは一部の変態だけです。ドーベルが受け取って黙っているとか言い出したら、私は別の意味でドーベルとお話し合いが必要になります。

 幸いドーベルにはそういった特殊性癖はなかったようで、困惑しているだけですが。

 

「だって、どうすればいいかわからないですし……」

「ほら、姉様、またへちょってきてます。頑張ってシャキーンとしてください」

「(`・ω・´)シャキーン」

 

 もう隠しようもないへちょっぷりですが、隠してもしょうがないので諦めました。

 

「ドーベル、このことは他の人には言わないでほしいの。外部の人にはもちろん、メジロの他のウマ娘にも、おばあさまにも、お願い」

「は、はあ、わかりました」

 

 ドーベルは真面目な子ですし、あまり交友関係も広くないですから、言いふらすことはないでしょう。

 どうにかこれで話がまとまった。この時はそう安心しました。

 

 

 

「それで、どうしてドーベルまで部屋に入り浸るようになったんですかね?」

「ふへ、ふふふへへ」

「おせんべい食べながらしゃべらないでください。だらし姉様」

「ラモーヌさんが、いつでも遊びに来ていいと言ってくれまして……」

「……ライアンあたりに見られたら卒倒されそうですね……」

 

 遊びに来るのは構いません。姉様のへちょっぷりもバレてしまいましたから、ドーベル相手に関しては隠すつもりもないですし。

 また、少女漫画趣味のドーベルが私の収集している少女漫画目的に部屋に来るのも問題ありません。

 

「何でドーベルまでだらしない恰好なんですか?」

「ラモーヌさんの真似したら、予想以上に快適でして……」

 

 なぜかドーベルまで下着姿でくつろぎ始めるのはいったいなんでなんでしょうか。しかもドーベルはベジキャロリンパンツです。女児ですか、と突っ込みたい気持ちしかありません。

 ですが下手に叱ってだらし姉様がばれるのも嫌ですし、そもそも叱るならまずだらし姉様から叱るべきですし……

 

 ダメなメジロが二人に増えてしまったことに私は頭を抱えるのでした。

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