ジョジョと艦娘の奇妙な冒険 星魂滅棲   作:猫神瀬笈

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前に書いたものを書き直しました。
なんか、行き詰まったので。


プロローグ「ジョジョの名を持つ女」

 

 

2020年

 

それは、この世界が我々の知っている『()()』という、正しい道から外れた、歴史の分岐点を生み出した年。

 

破壊されたシーレーン。

 

侵略され、支配された、いくつもの大陸。

 

深海から突如として現れ、世界中の海を支配し、船を沈め、殺戮(さつりく)を繰り返す。ありとあらゆる兵器をもってしても、傷がつかない黒い外装を身に付けた、様々な姿をした、白い体の謎の存在『深海棲艦(しんかいせいかん)』。

 

海上に光とともに現れ、謎の機械を身に付け、深海棲艦と戦う。人間とは似ていてどこかが違う、かつての戦船の名を持つ、少女の姿をした存在「艦娘」。

 

人間は艦娘の力を借り、深海棲艦と戦う道を選んだ。

 

それから10年の月日が経つ。

 

新たな艦娘・深海棲艦の顕現(けんげん)、繰り返される大規模作戦、支配された大陸の開放。

 

人間は艦娘たちと共に、少しずつではあるが、自分たちの世界を取り戻していた。

 

だが、世界は1年前から、再び道を外れ始めた。

 

新たな力を持った者たち、いるはずの無い存在の顕現、人間同士の内戦。

 

艦娘も、深海棲艦も、この世界と共に正しい道から外れていく。

 

これは、そんな道を外れていく世界に巻き込まれた、星の運命と重力に引き寄せられた、1人の女性の奇妙な物語の始まりだった。

 

 

 

 

 

2030年4月

 

~大本営~

 

 

 

「いきなり、こんなところに送り込むのは、申し訳ないと思っているッ!だが、君にしかできない事なんだ!頼む!君の持つ『力』を貸してほしい!その力で、横須賀を救ってほしい。」

 

 

 

大本営。

 

横須賀鎮守府の近くに置かれている大きな施設。

 

海軍の心臓部、と言っていいほど重要な場所であり、元帥や重役が集まっている場所だ。

 

その大本営のとある一室で、白い軍服に身を包み、腰より下まで伸びたベージュのポニーテールをした女性に、頭を下げる白髪の老人男性がいた。

 

女性より少し豪華な白の軍服に身を包む、彼の名前は「神城 穣作(しんじょう じょうさく)」。

 

この日本海軍における最高位『元帥(げんすい)』の称号を持つ人物である。

 

今の大本営は彼が統率しており、艦娘が軍人として、人として生活できる環境を作り上げた海軍の重要人物である。

 

 

 

「私からもお願いするのです。」

 

 

 

 そう言いながら、赤いリボンを付けた白セーラー服に「Ⅲ」のバッジを着けている、()()()()()()()()()()()()()()()()、杖を持った少女も頭を下げる。

 

彼女の名前は「(いなづま)

 

駆逐艦という艦種の艦娘である。

 

茶色の髪を後ろ側で束ねており、見た目は小学生ぐらいの少女だ。

 

しかし、書類作業や連絡を取る姿は、大人のように凛々しい。

 

そんな彼らが頭を下げていた。

 

頭を下げられている女性。

 

この女性こそが、この物語における主人公。

 

名は『空条(くうじょう) 浄花(じょうか)』。

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

彼女は1年前、大本営近くの海岸で倒れていた。

 

そこを、たまたま通りかかった穣作と電に保護されたのだ。

 

何故海岸で倒れていたかは、本人にも分かっていない。

 

唯一分かっていることは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、ということだ。

 

戸籍も、彼女が話した歴史も、『スピードワゴン財団』という組織も、浄花が話した内容の、そのほとんどが、存在しなかった。

 

海軍の情報網を駆使しても、だ。

 

その事実に、彼女はショックを受けていた。

 

数日の間、用意された部屋の隅で塞ぎこんでしまっていた。

 

そんな彼女をどうするか悩んでいた穣作は、思い切った行動に出た。

 

それは、浄花を継子として迎え入れることだった。

 

最初は、その提案を突っぱねて、穣作を警戒していた浄花。

 

穣作が近づけば暴れることもあり、蹴られることがよくあったが、穣作の人柄を知り、電の説得、艦娘たちとの交流もあり、警戒を少しずつ解いて継子になることを受け入れた。

 

現在は書類上、元帥の継子となっており、艦娘を指揮する司令官、『提督』と呼ばれる立場となるための学校、昔で言う『海軍兵学校』*1に入り、トップの成績で卒業した。

 

そんな彼女に2人がお願いしているのは、彼女自身が持つ力で、ある場所を救ってほしいと言うこと。

 

その力というのが、「コオォォォォオオ」という変わった呼吸をした後に、相手に電流のようなものを流したり、何かを叫ぶと、何もないところから『紫色の手甲』『銀色のレイピア』を出したりする不思議な力。

 

学校にいた頃、浄花の成績とスタイルの良さから、嫉妬や嫌がらせがあった。

 

中には、成績を囮に手を出そうとした上官や、何かと理由をつけて、体に触れようとした同期が大勢いた。

 

だが、全員もれなく、浄花の力で粛清されていた。

 

上記の紫色の手甲である。

 

容赦なくボコボコにした結果、未だに病院のベッドから降りられない者がいるそうだ。

 

それ程の力を持っているが故に、横須賀を救ってほしいと言われた。

 

では、そこまで言われる横須賀は、一体どうなっているのか。

 

それは、とても残酷な場所と化していた。

 

横須賀鎮守府。

 

日本海軍が軍港に置いた本拠地である『鎮守府』と呼ばれる機関、いくつもある鎮守府の中で『四大鎮守府』と呼ばれる、大規模かつ日本の防衛の要となる場所の1つ。

 

深海棲艦と戦う艦娘は、鎮守府に着任した元から軍にいる者、養成学校を卒業した者などの『司令官』または、『提督』と呼ばれる人間の下に就き、命令に従う。

 

今向かっている横須賀には、3年前に過去一番の優秀と言われ、養成学校を卒業した若い男の司令官が着任した。

 

着任早々から、他の鎮守府に引けを取らない指揮と判断・行動力で、いくつもの戦果を挙げた男は、人柄もよく、学生の時から優しい性格で、艦娘だけでなく学校の同期・上官からの評判も良かった。

 

しかし、今から約半年前。

 

とある艦娘によって、圧倒的な敗北を味わった。

 

大本営に入り浸っていただけの艦娘に、

実力者ぞろいの横須賀の艦隊が、手も足も出なかった。

 

『所詮はその程度』と言われているかのように、容赦のない攻撃を受けた艦娘たちは為す術なく倒され、海の上でぼろ雑巾のように浮かんでいた。

 

男は、その光景に絶望した。

 

今まで築きあげたものが、崩壊していくように感じた。

 

そして、この演習を機に彼は変わってしまった。

 

艦娘から食事を除き、休みを除き、何もかもを捨てた。

 

今までの栄光も、思い出も、何もかも。

 

大本営がその変化に気づいたのは、1か月前。

 

いつもなら演習に来るはずの横須賀が、連絡の1つもなく、大本営に来なかったのだ。

 

ショックが大きかったことから、休む時間が必要だと考え、今まで連絡を取ってこなかった。

 

送るとしても、書類による一方的なもの。

 

しかし、書類は期限が速いものが届いていた。

 

だからこそ、気づくことができなかった。

 

今は、連絡をしても反応がなく、書類は届かなくなっていた。

 

そこで、大本営は職員を横須賀に向かわせた。

 

次の日、その職員は()()()()()()()()()()()として、大本営に帰ってきた。

 

それから大本営は、憲兵・艦娘による調査を試みる。

 

しかし、憲兵は音信不通。

 

艦娘は、鎮守府の静けさと、艦娘の数が少なすぎることを無線で報告。

 

その後、何かを発見して驚いた反応が聞こえた途端、無線が途切れてしまった。

 

職員の前例もあり、不安になっていた大本営の予想は的中。

 

その艦娘は、熊よりも大きな爪のようなもので胴体を貫かれ、四肢を切られ、プラモデルのようにバラバラな状態で、大本営に届けられた。

 

その顔は、恐怖と絶望に染まっていた。

 

大本営は、すぐに緊急会議を開いた。

 

横須賀をどうするべきかと。

 

このままでは、いずれ大本営に牙をむくだろう。

 

今は道、を閉鎖して監視を続けているが、いつ行動を起こすか見当もつかない。

 

原因となった艦娘には…

 

 

 

『私に伝えてどうする?奴らが来なくなっただけで、私には関係のない事だ。その程度で崩れ落ちる雑魚に興味は無い。…失せろ、あいつの頼みでも動く気はないぞ。』

 

 

 

そう言われてしまった。

 

だが、これ以上は横須賀を放っておくこともできない。

 

しかし、穣作自身、そんなところに娘を送りたくはない。

 

横須賀へ行くというのは、普通の人間からすれば、『死んで来い』と言われるようなものだ。

 

しばらく自分の中で葛藤した末に、浄花に頭を下げてお願いするという今の状況が出来上がった。

 

 

 

「何の力も持たない私には、こうやってお前に頼むことしかできない。横須賀を、そこにいる艦娘たちを、どうか救ってやってほしい。」

 

「…義父さんは優しすぎるわ。軍人なら、私のような不審人物を死んで来いと送り出せばいいのに。まあ、貴方にそんなことができないのは、1年も前から知っていたけどね。」

 

「すまない、こんな父親で。」

 

「気にしないで。優しいからこそ、私を含めたみんながあなたを慕っている。だから、わざわざそんなことしなくても、私は横須賀に行くつもりよ。元の世界に戻るまでは、役目を果たすつもりだから。」

 

「怖く、ないのですか?死ぬかもしれないのですよ?」

 

「死と隣り合わせ。そんな状況には…もう慣れっこなのよ。知り合いが…仲間が目の前で死ぬことなんて何度もあったし、何度も死にかけたし…。」

 

 

 

浄花は、今までの事を思い返す。

 

それは、いつ死んでもおかしくない数々の奇妙な冒険。

 

その冒険は、彼女に多くの出会いと別れ、経験を与えた。

 

吸血鬼、柱の男、因縁、殺人鬼、マフィア、紳士、可憐で儚き男、敵だった仲間、幽霊、愛した人…。

 

師に教わった『恐怖』

 

ある軍人に教わった『人間の偉大さ』

 

義兄に教わった『道』

 

青年から教わった『覚悟』

 

その全てが、浄花を成長させてきた。

 

既に、浄花の答えは決まっていた。

 

 

 

「どんな選択だろうと、私は後悔しない。覚悟は、もう決まっているの。だから、後は義父さん…元帥が、命令を下してください。」

 

「司令官…。」

 

「…分かった。では、空条浄花。本日より、貴殿を少佐に任命。()()()()()()殿()()()()と共に、横須賀鎮守府の調査と解放及び、提督の確保を命ずる。そして、横須賀鎮守府に着任し、暁の水平線に勝利を刻め!」

 

「はっ!」

 

 

 

返事をし、元帥に敬礼をした浄花は、部屋を後にした。

 

穣作と電は、不安に思いつつ、無事を祈って見送った。

 

 

 

 

 

数日後

 

晴天、雲1つない快晴。

 

鳥は優雅に空を飛び、風を感じている。

 

木々はさわやかな風に吹かれ、海は静かな波音を立てる。

 

そんな空の下、桜が舞い散る海沿い。

 

そこに、1台の車が通る。

 

太陽の光で輝いて見える、真っ黒の車。

 

どこの店でも売られている普通の車ではあるが、今はVIP用の車のように思える。

 

それは、周りに1台の車もいないから。

 

今走っているこの道が、その車の為だけにあるように、平和で静かな道であるからだ。

 

車以外は、何もない。

 

否、鳥は飛んでいる。

 

しかし、歩いている人も、道路を横切るような動物もいない。

 

その車には、3人の女性が乗っている。

 

1人は、後部座席にいる浄花。

 

緊張をしているからか、汗をかきながら運転している、スーツを着た若い茶髪のセミロングの女性。

 

浄花の膝枕で涎を垂らすほど、心地よさそうに寝ている、黒いセーラー服を着て赤いカチューシャを付けた、茶髪ショートヘアの少女。

 

少女の寝息と、車の静かなエンジン音しか聞こえない、静寂(せいじゃく)に包まれた車で、3人は、とある目的地へと向かっていた。

 

 

 

「あ、あの…空条少佐。これから向かう場所、ですが…。」

 

 

 

この静寂に耐えられなかったのか、将又(はたまた)コミュニケーションが大事だと考えたからなのか。

 

運転手は、浄花に話を聞く。

 

 

 

横須賀鎮守府(よこすかちんじゅふ)の…現状は、どこまでご存じ…でしょうか…?」

 

「大体の事は、元帥から聞いているわ。優秀だった提督が、いきなりの豹変(ひょうへん)、休み無しのスケジュール、行方不明の艦娘、等々。やれやれだわ、面倒くさいことになりそうね。」

 

「どうして…あの方は、こんなことを…。あんなに、いい人だったのに。」

 

「横須賀の提督は、どんな人だったの?」

 

 

 

浄花は、横須賀の提督の経歴しか知らない。

 

人物像が優秀であるという情報しかないため、知っていそうな運転手に聞いた。

 

 

 

「彼が優秀だった…ことは、聞いたと思います。それ以外…だと、彼、面倒見が良くて…。艦娘だけでなく、同期の子たちにも、人気だったんです。いつも笑顔で、困った人がいたら、手を差し伸べてくれる。そんな子でした…。」

 

「その人は、今まで負けたことがあるの?」

 

「負けなし、でしたよ…。当時の2番目の人…今は、大本営にいる中将さんですが、その方を圧勝するほどでした。鎮守府へ着任してからも、大きな被害は、ありませんでした。」

 

「それほどの艦隊が、1人の艦娘に敗北か…。そして、それが原因で提督が変わった。」

 

 

 

その提督の事を口にして、浄花は頭の中で整理して、一つの結論を出した。

 

 

 

「…その人は、子供なのかしら?」

 

「いえ、確か29歳のはずです。私と10は違ったはずなので」

 

「…ガキか……。今まで負けたことがなかったのかしら?初めて負けて、その悔しさを周りにぶつけて、艦娘たちを傷つける。馬鹿な話よね。」

 

「私は、驚いています。どうして、ここまで変わってしまったのか…。今まで見せてくれた、あの笑顔や優しさは…嘘だったのでしょうか。」

 

「さあね。それは、これから本人に聞けばいいのよ。」

 

 

 

そう言いつつ、浄花は考える。

 

変わった原因が単純に負けたことなのか、それとも別の何かがあるのか。

 

艦娘や職員が、無残(むざん)な姿で戻ってきた。

 

このことから、単純に負けたことが原因ではないと推測できる。

 

あくまでも、要員の1つなのだろう。

 

また、上辺(うわべ)だけの優しさの可能性も否定できない。

 

浄花は、そう言う人物を知っている。

 

思い出したくもない、吐き気がするような邪悪な存在。

 

そいつも上辺だけの優しさだった。

 

良い子の振りをして、とある家を乗っ取ろうと考えていた、どうしようもない悪。

 

横須賀の提督は、上辺だけの優しさで、本心はあの男のように腐りきっているのだろう。

 

そう思うと、段々と怒りが込み上げてくる感じがした。

 

 

 

「しょ、少佐。ど、どうかしたのでしょうか…。少し、怖いです…。」

 

「…ッ!ああ、ごめんなさい。昔に会った、嫌な奴の事を思い出してね。横須賀の提督もそいつと同じように感じたの。」

 

「そ、そうでしたか…。」

 

 

 

運転手は大汗をかく。

 

緊張と先ほどの浄花の表情。

 

見ただけで、体全身が震えるほど怖い顔をしていた。

 

体が動かなくなるのではないか。

 

そう感じるものだったため、冷や汗をかく。

 

さっき以上に緊張した車内。

 

相変わらず聞こえるのは、少女の寝息と車の静かなエンジン音。

 

場の緊張感とBGMが、何一つ合わない。

 

緊張に押しつぶされそうになる運転手だったが、ある物が目線に入った。

 

それは、自分たちが向かう目的地、横須賀鎮守府だった。

 

 

 

「少佐、見えましたよ。あれが、横須賀鎮守府になります。」

 

「ああ、あの建m…ッ!車を止めなさい!今すぐ‼」

 

「え、どうしt…」

 

「早く!」

 

「はいッ!」

 

 

 

浄花の指示に従い、運転手は急ブレーキをかける。

 

車は、けたたましい音を鳴らし、速度を落とす。

 

浄花は、膝に頭を乗せている少女を抱きしめ、助手席の後ろにしがみつく。

 

車は、少しだけ地面を滑ってから止まった。

 

運転手は、何度も呼吸をし、高速で高鳴りを続ける心臓を、ゆっくり落ち着かせる。

 

浄花は、車が止まったことを確認し、すぐに車の外へ出る。

 

 

 

「…何なの、この大気は。『ワムウ』『エシディシ』程ではない。だけど、それに近いものを感じる。この世界にも奴らが?いや、それほどの『スタンド使い』がいるの?」

 

 

 

横須賀鎮守府を見ながら、ブツブツと1人でつぶやく。

 

運転手は、その独り言が聞こえていたが、何を言っているのか分からないため、聞こうとはしなかった。

 

なぜ、車止めるように言ったのか。

 

彼女が知りたいのは、そのことについてだ。

 

独り言をずっと呟く浄化に話を聞こうとすると、後部座席の扉が開いた。

 

先ほどまで浄花の膝枕で眠っていた少女が、目を擦りながら浄花に向かって歩き出し、後ろから抱き着いた。

 

 

 

「浄花~着いたの~…ふぁぁぁ。」

 

「まだよ。でも、ここから警戒しないと、やられる可能性がある。あいつほどではないけど、かなり強いわよ。」

 

「ええ~、あの人より弱いなら、まだいいじゃんか~。まだ寝たい~。」

 

 

 

先ほどと違って緊張感がない。

 

この光景に、運転手は驚きを隠せない。

 

大本営に長い間務めている彼女は、多くの艦娘を見ている。

 

自由な子もいれば、真面目な子も、変わった子もいる。

 

だが、どの艦娘も『軍人である』という雰囲気が伝わる。

 

羽目を外しすぎず、自分たちなりの線引きがある。

 

また、提督と愛し合っている艦娘であっても、節度(せつど)は守っている。

 

だが、目の前の少女はどうだろうか。

 

浄花に抱き着き、また寝ようとする。

 

軍人という雰囲気が見えない、心の底から『寝たい』という思いだけが伝わってくる。

 

初めて見るタイプの艦娘だった。

 

 

 

「いい加減にしなさい、白露(しらつゆ)。今回の命令は、横須賀の調査と解放。それと提督の確保。艦娘も保護するし、後であそこに着任するのよ。」

 

「ぅぅ、面倒くさい~。」

 

「そう。じゃあ、貴方の妹たちは、守れなくなるかもね。」

 

 

 

その言葉を聞いて、白露と呼ばれた少女は、浄花から手を離す。

 

そして、思いっきり、自分の顔を叩いた。

 

 

 

「ふぅー。早く行って、助けるに決まってるでしょ?私は一番のお姉ちゃんなんだから!」

 

「やる気が出たようで何よりだわ。ここからは、走って鎮守府に向かうわ。警戒を怠らないで。」

 

「了解!」

 

「貴方は、このまま大本営に帰投して。これ以上は、貴方の命が危うくなってしまうから。」

 

「…この先に、何かあるのですね。」

 

「ええ、とんでもないものがね。だから、急いで安全な場所まで戻ってちょうだい。貴方のような人には、死んでほしくないから。」

 

「分かりました。それでは、私の任務はここまでとなります。空条少佐、白露さん。お二人の無事と健闘を祈ります。」

 

 

 

2人に敬礼した運転手は車に乗り込み、進んできた道へ反転して進む。

 

浄花達は敬礼をしたまま、車が見えなくなるまで見送った。

 

 

 

 

 

~鎮守府前~

 

 

 

「何、これ…。ひどい匂いだし、腐っているの?」

 

「死体ね。この服は…間違いなく、消息を絶った憲兵たちよ。」

 

 

 

鎮守府の前まで走ってくると、そこには異臭を放ち、辺りに散らばった血痕と、肉片と思われる腐った何かがあった。

 

ほとんどの死体がその原形をとどめておらず、身元も元の体も分からない。

 

その死体の山の中で、形を残している死体を発見した。

 

それには、大きな刃物で切られたような傷や細かい穴が開いていた。

 

 

 

「これは切った後、こっちは…まるで極悪中隊(バッド・カンパニー)と同じような傷ね。でも、このサイズだと少し大きい。大きさを見た感じ、1番小さい機銃かしら。そうなると、艦娘による攻撃の可能性が高い。」

 

「浄花、何か分かったの?」

 

「確証はない。だけど、艦娘が攻撃している可能性があるわ。」

 

「艦娘が…どうして?ここって、()なんでしょ?」

 

「可能性は、いくつかある。考えられるのは、艦娘たちがそうせざる負えない状況にあるということよ。大本営には、艦娘による謀反(むほん)*2を阻止するために制御装置が用意されている。これは貴方も体験しているわよね、」

 

「うん、営倉に入れられた時に、チョーカーを付けられたよ。」

 

「それは、各鎮守府に合計で12個、提督の部屋に保管されている。つまり、12人までなら、艦娘の動きを制限できる。」

 

「そうか、制限すれば人質にできる。そうすれば、他の艦娘は指示に従うしかない。」

 

「そう、だから艦娘による攻撃が憲兵に向いているのが納得できる。でも、それだと1つ、今のこの状況では納得できないことがある。」

 

「納得できない事?」

 

 

 

浄花には、納得できないことがあった。

 

今の仮説が正しいのであれば、自分たちがなにもされていないはずがない。

 

この憲兵たちのように、肉片か蜂の巣になっているはずだからである。

 

その証拠に、この鎮守府はあまりにも静かすぎたのだ。

 

 

 

「話では、休みなく鍛錬や遠征に行かされているはず。それなのに、聞こえてくるのは波と草木の音と鳥の鳴き声だけ。」

 

「確かに静かすぎる。でも、どうしてこんなに静かなの?」

 

「ここの艦娘が、死んでいる可能性が高いからよ。」

 

「なんで?人質じゃなかったの?」

 

「それはあくまで可能性の話。でも、私の中では、何となくだけど話が結びついている。腕だけの職員、死体の山となった憲兵、四肢を解体された艦娘。その全てが、無残な殺され方をしている。つまり、ここの提督の目的は、死に関することか、それに類似したこと。」

 

 

 

浄花は今までの情報を基に、提督の目的を考えていた。

 

そして、一つの確証したことがある。

 

それは、車の中で考えていたことの内、『単純に負けたこと』が原因という線が無くなったということ。

 

単純に負けたことが彼が変わった原因、若しくは要因だとするならば、あそこまで無残な殺しをする必要がない。

 

そのため、他に何がないか考察をする。

 

何かしらの他の要因、例えば『死』という概念に関する特殊性癖を持っている可能性。

 

1年前に現れた、力を持った者たちと同じ力を手に入れた可能性。

 

一定量の血を求めた故に、殺して奪ったという可能性。

 

あのクソ野郎のように、愉悦(ゆえつ)(ひた)るために行った可能性。

 

いくつもの可能性が浮かんでくる。

 

一体何が目的なのだろうか。

 

提督の事を考察していたが…

 

 

 

「そこで何をしている!提督と艦娘だな、どこの所属だ!」

 

 

 

声のする方を向くと、そこには、1人の女性と子供が立っていた。

 

1人は、耳のような機械と黒い眼帯を付けた女性。

 

血で黒ずんだノースリーブの白シャツに、短い丈のスカート。

 

その右手には、血で汚れた長い剣が輝いていた。

 

もう1人は、金髪ツインテールの女の子。

 

白いセーラー服に黒の襟と黄色のリボン、黒いキュロット。

 

紺色の長袖を羽織り、三日月型のバッチを付けている。

 

腰には二振りの刀。

 

そして、その2人の首には、チョーカーが付いていた。

 

 

 

【⇦ To Be Continued】

 

 

*1
今でいう東大レベルの学力が必要だったらしい。この作品ではそこまで高い学力がいらない場所になっている。

*2
反逆の事。




長文を書くと、話の方向が纏まらなくて
かなりグダグダしてます。

誤字脱字を見逃すこともあるので、ご報告お願いします。
モチベが上がるので、出来れば感想が欲しい…。

続きも頑張って書いているので、
長らくお待ちください。
次回をお楽しみに。



艦これ×ジョジョの小説増えないかな…。

本文の文字数はどれぐらいがいいか。

  • 約1万字(プロローグ~2話)
  • 約5000字(第3話)
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