ジョジョと艦娘の奇妙な冒険 星魂滅棲   作:猫神瀬笈

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第4話 魂送り

 

 

多くの憲兵とすれ違いながら、浄花は正門に向かう。

 

正門には、多くの装甲車が並び、憲兵たちは声を掛け合いながら作業をする。

 

憲兵と艦娘の死体を運び、現場を写真に収めていく。

 

その場にやってくると、その中の1人が近づき敬礼したため、浄花も敬礼で返す。

 

 

 

「浄花少佐とお見受けします!私は、大本営臨時第一部隊隊長、神宮司 友康(じんぐうじ ともやす)であります!元帥殿の指令により、横須賀へと参りました!」

 

「ご苦労様です。臨時というのは?」

 

「はい!少佐も御存知とは思われますが、憲兵隊は一度、横須賀にて壊滅。その際、隊長含め、多くの憲兵たちが命を落としました。

 そのため、大本営所属であり、小隊長であった私を中心に部隊が再編成されました。」

 

「なるほど、それで臨時に…。貴方より上の人は?全員が無くなったわけじゃあないでしょう?」

 

「大本営の防衛であります。また、此処より離れた場所で活躍されており、現在持ち場を離れることができない状況です。」

 

 

 

隊長、友康より上の人間は、大本営に残っているらしい。

 

ここで多くの憲兵が亡くなった以上、同じ失敗はしたくないからだろう。

 

良い様に言えば『昇進』

 

悪く言えば『替えが効く兵士』

 

臨時に作られたことを考えると、後者の方が当てはまるだろう。

 

彼は、そんなことを微塵も思っていないだろうが。

 

まだ若さが目立つ、と浄花は感じだ。

 

そんな友康に、2人の憲兵が近づいてくる。

 

友康より年上に見える、30代ぐらいの憲兵。

 

2人は敬礼し、報告を始めた。

 

 

 

「隊長、全憲兵の遺体を回収しました。」

 

「艦娘の遺体は工廠へ運びました。今は魂送りの準備をしています。」

 

「分かりました。私達も工廠へ向かいましょう。人数が多いので、なるべく急ぎます。

その他の憲兵には、引き続き鎮守府の調査を。」

 

「「はっ!」」

 

 

 

友康は、すぐに走って工廠へと向かった。

 

さっきまでの隊長としての言葉ではなく、先輩に向けて言うような口調に変わった友康。

 

憲兵達は、その姿を見ながらやれやれといい、浄花に敬礼してから工廠へと向かった。

 

浄花もその後を追うつもりだったが、MS・キャットが戻ってきたため、一度止まる。

 

戻ってきた方角から、白露たちがやってきた。

 

そこにはあの部屋にいなかった2人、夕張と電もいた。

 

吹雪は扶桑に抱かれて眠っており、時雨以外の駆逐達は山城や夕張の後ろに隠れている。

 

 

 

「ごめん、時間がかかった。山城の移動とか吹雪とかがちょっとね。向こうの扉は私だと壊せなかった。」

 

「工廠の方ね。丁度そっちに用があるから、急いで向かいましょう。貴方たちも付いてきて。艦娘たちは工廠にいるから。」

 

 

 

浄花は、すぐに工廠へと向かい、白露は追いかけるように続く。

 

扶桑と山城は迷うことなく、時雨は少し迷い、駆逐達は置いて行かれないように続く。

 

夕張と電は、よく分からないまま、ついて行った。

 

 

 

 

 

工廠の扉は既に開いており、中では艦娘たちが並べられていた。

 

どの遺体も、ひどい状態だった。

 

身体が欠損していない艦娘の数の方が少ない。

 

必ずどこかが取れているか、体に穴が開いている。

 

明石の遺体が一番きれいな形で残っているぐらいだ。

 

それでも長物で右上から左下へと切られたような跡がある。

 

浄花は手を合わせ、白露はただ眺める。

 

扶桑と山城、夕張は悲しい顔で涙を堪える。

 

駆逐達は、自分の姉妹の亡き姿を見て、涙を流す。

 

憲兵達は帽子を深くかぶる。

 

友康は泣きそうになりながらも、この場で行うことを進める。

 

 

 

「これより、見送りを始めます!黙祷ッ!」

 

 

 

この言葉で、全員が黙祷する。

 

静かになる工廠。

 

聞こえるのは、未だに眠る吹雪の呼吸と外で鎮守府の捜査をしている憲兵の声。

 

約1分間の短く、長く感じる艦娘たちへ祷りの時間は、それ以外目立って聞こえない、静かな時間だった。

 

 

 

「黙祷、止めッ!これより、艦娘の魂送りを行います!」

 

 

 

憲兵達が艦娘たちを二人一組で運ぶ。

 

運ぶ先にあるのは、始めからこの部屋にあった、溶鉱炉のような機械。

 

そこに運ばれていることに、疑問に思った時雨が呟く。

 

 

 

「あれは解体用の溶鉱炉。一体何を?」

 

「そうか、貴方たちは知らないわよね。扶桑たちは?この鎮守府でしたことは?」

 

「ありませんね。提督は使うつもりは無いと言っていましたし、本来ある場所から端に移動するように、妖精さんに頼んでいましたから。」

 

「浄花は何か知ってるの?」

 

「あれは『魂送り』、人間で言う葬式よ。艦娘は人間のように自然に戻ることは無いし、火葬しても人の形をした炭にしかならない。水葬なんてすれば、深海棲艦になる可能性もある。だから、解体と同じプロセスで、疑似的な葬式のようなことをしているのよ。ほら。」

 

 

 

浄花が指を差す方向を見ると、憲兵たちが、運んだ艦娘をその溶鉱炉へと入れていた。

 

艦娘が陸上で命を落とすことは基本的に無い。彼女たちに対して、現代兵器は核レベルで無いと効果がないからだ。

 

警察が使っている拳銃の弾ぐらいでは傷つかず、軍の使用する武器でもかすり傷ぐらいだ。

 

大きな傷を負わせられるのは、深海棲艦と艦娘が主になる。

 

そもそも、船である彼女たちの戦場は海の上である。

 

最期は海に沈んでいくため、人間のように葬式を上げる必要がない、というより難しい。

 

だが、空襲による陸上での死や、今回のような例外がある。

 

その場合は、先程浄花が言ったように火葬や埋葬ができないため、解体という形を取っているのだ。

 

 

 

「すみません、確か魂送りというのは…。」

 

「ええ、本来は盆に戻ってくる霊たちを送り返すものよ。でも艦娘の場合は葬式の意味合いで使っている。これは艦娘が、かつての船の魂が人の形を模したと考えられているから。遺体を残していれば、その魂が体に縛られて帰ることができない。だから、遺体を解体することでその縛りを解く。それがこの魂送りの本質、らしいわ。」

 

「らしい、なんだ。」

 

「学校で教わった事だからね、どこまでが本当かなんて分からないのよ。表向きはそう言って、本当は処分しやすいからかもしれないし。どうであれ、艦娘たちを見送れるなら、それで良いとは思うわ。普通ならこんなことはできないのだから。」

 

 

 

魂送りという名の艦娘用の葬式。

 

次々に溶鉱炉へと送られる艦娘たちを、浄花達は見送った。

 

カーネーションに包まれた明石も、最後まで誇りを持ったビスマルクも。

 

全員の見送りが終わると、憲兵は一列に並び、友康の号令で敬礼した。

 

それに倣い、私達も敬礼する。

 

 

 

「以上で魂送りを終わります。憲兵は、引き続き鎮守府の探索に掛かれ!」

 

『はっ!』

 

「少佐と艦娘の皆さんは、ご自由になさってくださいッ!」

 

「分かりました。私が確認できていない場所もあります。危険だと感じたら、すぐに撤退してください。」

 

「分かりました!ご忠告感謝しますッ!それではッ!」

 

 

 

友康は憲兵達と共に工廠を後にする。

 

それを見送り、浄花は工廠の奥、地下への扉まで向かう。

 

明石が背を預けていた固く閉ざされた扉。

 

最初に来た時には無かった、こちら側を向く丸い膨らみが、白露が壊せなかったという証拠だと分かる。

 

浄花はそれを見るとスタンドを発現させ、先ほどの戦闘のように紫の手甲を纏い、全力で殴る。

 

 

 

「ボラボラボラボラボラボラ―ッ!」

 

「すげえ。扉がハチの巣になってやがる」

 

 

 

分身している様に見える高速なラッシュは、壁にいくつもの凹みを作り、扉をぶち壊し抜いた。

 

扉の先にある、長い廊下が顔を見せると、浄花はその場に大の字で倒れた。

 

息は荒く、体中から大汗をかいている。

 

 

 

「だあ~ッ!しんどいッ!はぁ…はぁ……。」

 

「浄花、大丈夫?」

 

「大丈夫だと、思う…?」

 

 

 

白露は首を振る。

 

自分が破れなかった扉を壊しただけでなく、今日はここの提督とも戦っているのだ。

 

一度入渠した白露より疲れているのは、いくら波紋法が使える浄花であっても当たり前である。

 

何度も息を吸って吐いてを繰り返し、呼吸を整えていると、その扉から色々ものが出てきた。

 

 

 

『ヒャッハー!久々ノ、シャバノ空気ダー!』

 

『オマエラ!荷物全部運ベ!元ニ戻スゾ!』

 

 

 

元気な声と共に、2頭身の小さな生物が何人?も出てきた。

 

まるであのGのように沢山出てくると、色々な機材を扉の奥から運んでくる。

 

跳ねもないのにどのように飛んでいるのか分からない生物だ。

 

 

 

「すげぇ。こんな量の『妖精さん』は初めて見た。」

 

「妖精さんの量は、その鎮守府の規模や妖精さんへ貢献度で決まるの。ここが大規模だし、私と明石がお礼に金平糖を渡していたから、これほどの大規模なのよ。」

 

「ああ、だからか…。でも、地下に居た時はどうしてた?この量を賄うのは、さすがに無理があっただろ?」

 

「それは皆の意思よ。明石が『私達を信じて』って頼んでくれたから、皆が力を貸してくれたの。おかげで私達は、あの地下で生きていられたの。」

 

「なるほどな。」

 

 

 

夕張の説明に納得した白露。

 

すると、妖精の1人が浄花の方へ飛んできた。

 

 

 

『貴方ガ、新シイ提督サンデスネ。私ハ、工廠妖精デス。ヨロシクデス!』

 

「……」

 

『ア、アレ?聞コエテ無イ?』

 

「浄花、妖精さんが呼んでる。」

 

「え?ああ、そうか。鎮守府ではそれが当たり前なのよね。忘れていたわ。」

 

「浄花さん?何をおっしゃっているのですか?」

 

 

 

浄花の反応に戸惑う扶桑。

 

他の艦娘たちも、その反応に疑問を抱いていた。

 

妖精たちも、全員が動きを止め、浄花の方を向く。

 

そんな艦娘たちと妖精たちに、浄花はあることを告げた。

 

 

 

「ごめんなさい。私には、妖精さんが見えないの。影も形も、声さえ聴くことはできない。」

 

 

 

それは、艦娘と妖精さんたちにとって、衝撃的な話だった。

 

海軍が定めている提督になる条件は2つ。

 

1つは海軍の学校を卒業している事。

 

これは提督としての指揮や艦娘・戦術・艤装などの最低限の知識を必要とするためだ。

 

成績上位者であれば、即戦力として、鎮守府に配備される。

 

成績が上位でなくとも、憲兵や自衛隊のような部隊に配備されるようになっている。

 

2つ目が妖精さんの視認と会話。

 

これは、1つ目よりも優先される重要事項である。

 

妖精さんは鎮守府の運営から、艤装の整備や開発、戦闘まで幅広く手を貸してくれる存在だ。

 

鎮守府の運用にも大きく影響するため、会話ができなくとも、見えるだけで必要とされる。

 

その条件の内、2つ目を満たしていない浄花は、本来なら提督になることができないのだ。

 

提督になる条件は、艦娘たちも知っている。

 

浄花が着任するものだと思っていた扶桑たちにとって、衝撃的な言葉なのだ。

 

 

 

「それでは、浄花さんは、どうするつもりなのですか?大本営に戻られるのですか?」

 

「このままここに着任するわよ。元帥からの指令は、提督に確保と横須賀への着任。元帥が決めたのなら、此処に着任する事は確定、変わることは無いわ。」

 

「しかし、条件が…」

 

「普通なら無理でしょうね。でも、此処の現状を考えれば、上層部は納得する。憲兵隊を壊滅させた提督のいる鎮守府に、命を懸けてまで優秀な人材は割けない。艦娘が敵になっていれば、被害がどれだけ出るか分からない。なら、立場上利用しやすく、謎の力を持っている私を向かわせれば、鎮圧と厄介払いの一石二鳥を望める。それに加え、妖精さんが鎮守府を捨てて去っていると考えるでしょう。」

 

「一般の提督に必要な妖精さんがいなくても、話せない浄花さんには関係ない。だから、着任に反対しない。ということですか?」

 

「ええ、その認識で間違いないわ。まあ、それだけで済めば、いいのだけれどね。」

 

「それはどういう?」

 

「それはn「お話中、失礼いたします!」…あなたは?」

 

 

 

浄花の言葉の意味を聞こうとした扶桑だが、そのタイミングで憲兵がやってきた。

 

魂送りの場で作業していた憲兵だった。

 

憲兵は全員に向けて敬礼をし、浄花の方を向く。

 

 

 

「大本営より、少佐にお客様がいらっしゃいました。」

 

「このタイミングで?一体誰が来たの?」

 

「名前は伺っていませんが、貴方を連れてこられた運転手だと。今は正門で待機していただいております。」

 

「あの子か…。分かりました、すぐに向かいます。続きはまた後で。今日は自由にしていいから。」

 

 

 

浄花は正門へと向かい、白露は何も言わずに後ろを追いかけていく。

 

扶桑は、浄花が何を言おうとしたか気になったが、後で聞けるだろうと考え、工廠で妖精さんの作業を見ながら待機することにした。

 

自分の腕の中で、寝息を立てている吹雪を心配そうに見つめながら。

 

 

 

 

 

工廠から走って正門に向かうと、見覚えのある車と女性が目に映る。

 

女性は浄花に気づくと、走ってやってくる。

 

 

 

「空条少佐!白露さん!ご無事で何よりです!」

 

「ありがとう。貴方も無事で、何もなくて良かったわ。それで、なぜここに?」

 

「はい!元帥より、空条少佐への伝言を預かっています。『早急な鎮守府運営を求む』とのことです。」

 

「いくら大規模な鎮守府とはいえ、あまりにも急ね。なるべく早く運営する予定だけど、数日は欲しいわ。あの子たちの心の整理もあるし、この鎮守府も見て回りたいから。」

 

「分かりました。しかし、私の立場上、直接元帥には伝えられないので、少佐から直々に。」

 

「伝言を頼まれただけのようね。そうか、貴方は運転手だから。」

 

「はい。私は指示を仰ぐだけですので。…あ、忘れるところでした。運営するにあたって、2名ほどこちらに着任します。ですが…。」

 

「何か問題でも?」

 

「いえ、その…「いつまで待たせるのよ!」ヒィッ!ごめんなさい!。」

 

「明石、そんなに怒鳴ったら駄目「あ“ぁん!」ヒィ!」

 

 

 

運転手は明石を怖がり、浄花を盾にするように後ろに隠れた。

 

浄花はため息をつきながら声のする方を見ると、見覚えのある2人の女性がいた。

 

さっき見送った艦娘と同じ姿をした2人。

 

1人は、ガムを噛みながら運転手を睨む明石。

 

もう1人は、おどおどしながら明石を止めようとして、威嚇されて縮こまる大淀。

 

よく見られる性格とは全く違っている2人がいた。

 

 

 

「それで?この2人が?」

 

「はぃ、此処に着任すると、聞いています。」

 

「……上層部を一度でも馬鹿じゃないと言った自分が恥ずかしいわ。まさか、この2人を連れてくるなんて。」

 

あ“ぁ⁈私が来たら悪いか?えぇ⁈

 

「相変わらず態度だけはデカいわね。白露が出てから、少しはマシになったと思ったけど、そうでもないのね。大淀も、あまり変わっていないのね。」

 

 

 

明石と大淀の事を知っている様に話す浄花。

 

明石は、なぜ目の前の女性が自分の事を知っているのか疑問に思ったが、大淀は浄花の事を見て、何かを思い出した。

 

 

 

「あ、あの。もしかして、浄花お姉さん?」

 

「はぁ?何言って……。あ、まさかお前、白露の!」

 

「よう明石、まさか忘れてないよな?」

 

「げッ!白露!なんで此処に居やがる!」

 

「そりゃこっちのセリフだ、機械いじりの鳥頭。まさか、浄花の顔すら忘れるとは思わなかったわ。」

 

 

 

白露の顔を見た瞬間、明石は青ざめた。

 

じりじりと白露に間を詰められ、後退りしている。

 

逆に、浄花の顔を見た大淀は、さっきよりも笑顔になり、泣きながら浄花に抱き着いた。

 

 

 

「ああ、浄花お姉さん!会いたかったです!あの鉄格子の部屋は、とても冷たくて寂しかったです。」

 

「ここはそんなところじゃないから、安心しなさい。」

 

「あの、空条少佐?お二人とは面識が?」

 

「ええ。確か8月ぐらいかしら?白露と初めて会った時に一緒にいたのよ。」

 

 

 

そう言って、浄花は当時の事を話し始めた。

 

 

 

【⇦ To Be Continued】

 

 




進行はかなり遅め。
月1、2で出せたらいいぐらい。

本文の文字数はどれぐらいがいいか。

  • 約1万字(プロローグ~2話)
  • 約5000字(第3話)
  • 約3000字
  • お前が決めるんだ……
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