オジテン〜異世界おじさん現代(風味)転生〜 作:またたび五郎
「先生! なんで俺は朝起きたら! シロをくくり付けた状態で! 空から落とされてるんですか!」
「学園で侮られないようにする為の特訓をする為だね さぁ能力を使ってどうにかしてみて」
拝啓 先生が経営する会社で元気に働いている父さん母さん。不肖の息子ですが今日も元気に理不尽と相対しております。
なんてふざけてる場合じゃ無い。どうする.......スグに頭のスイッチを切り替え掌の中に傘を作り出しロクロを開いて傘を広げる。
ちなみに先生がさも当たり前にように浮いているのには触れないでおこう。
どうせ考えても無駄だし、仮に落ちても先生なら無傷でケロッとしてそう。
俺?もちろん即死だよ。
あっだからシロが括り付けられてるのね。
「そのまま海に激突して生きた肉塊になりたくなければ傘を拡げて減速しなさい」
生きた肉塊って例えが具体的すぎて嫌だ!。
先生が言うならまず間違いなくそうなるに決まってる。
けれど広げるってなんだよ!もう開いてるぞ!
「先生!減速出来ませんよ!」
「開く では無く 拡げる ですよ灰原」
「シロ!通訳!」
背中でうなじの産毛を抜き続けていたシロに縋る。
「灰色は異能の解釈がヘタクソ 具現化した異能は変えようが無いけれどその力は思ってるよりも柔軟に変化してくれる」
......なるほど!
アレか?傘の本質は変えれないけど形は変えれるって事で良いのか?。
アレだ番傘とかやたら骨が多い傘とかのイメージで良いのか!。
なるほど?よく分からん!。
「やるしかねぇんだ!やってやる!」
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意味も無い叫びを上げて落ちていく灰原を見ながら不意に灰原と出会った時の事を思い出した。
『おっバネちゃん べっこう飴気に入ったのか? 待ってな』
違う コレじゃない。
『おいバネちゃん もんじゃ焼きを吐瀉物と呼ぶのはゆるさねぇぞ』
アレは美味い吐瀉物だ。
そうじゃないコレでもない。でもあの時は赤羽根だからバネちゃんと呼ばれてたな。
久しぶりに呼んでも貰おうか......なんて考えている間に灰原が海面に激突しシロが死ぬ前に体を治している。
直ぐに異能を使い灰原を上空に放り出して再び思考に潜る。
灰原はチグハグだ。
若いが老成してる。
戦いを忌避しているが逃げない。
命の大切さを説くが容赦が無い。
倫理を説くがシロを当たり前のように受け入れる。
弱いが負けない。
矛盾の塊のような人間だ。本人は芯がないだけだど言うが、そんなつまらない人間なら私が興味を持つはずがない。
きっと灰原は理想も現実も全てを抱えて死ぬのだろうね。
現実を抱えて理想を挫くのだろう。
理想を抱えて現実に立ち向かうのだろう。
アイツは白と黒の間にいる灰色なのだから。
「少しデカくなった!行けるか!」
「ムリ 潰れる」
「冷静に惨状を言わないでくれるかな!」
灰原は諦めない、きっと何かを諦め続けるがそれでも足掻き続けるのだろう。
「ん スグ治す」
だから私はキミを死なせないように全力でバックアップするよ。
キミが笑って死ねるように。
「よし!どうだ!もう覚えたぞ」
「ちっ 灰色のクセに生意気」
「どうしてそんなこと言うの!たまには飴くれない?」
「黒飴あげる」
「また渋いの持ってるねキミ......しかもスゲェ溶けてるやつだ全然取れねぇ」
それはそれとして私を除け者のして楽しそうに話すにはダメだ。
少し意地悪で傘の制御を崩すと灰原はお手本のような悲鳴を上げて落ちていく。
その際にシロが恨めしそうにコチラを見ていたが黙殺する。
そもそも治療の為とはいえ羨ましい。
性別の設定はしてないはずなのにどうしてこうなったのか。
本当に灰原が関わると楽しい。
今まではどんな状況でも計測すれば既知の未来しかなかった。けれど灰原と出会った2年前から既知が未知へと変わった。
そして、あの日に全てが転換した。
『異能力者』灰原レンが生まれた日だ。
『キミのその力は異能力 ようこそ灰原 コチラの世界へ』
何も分からないキミを私の元へ抱え込んだ。
私に未知を教えたキミを手放す気などない。どんな事があろうと、世界を敵に回しても。
既にキミのいない世界なんて価値など無いのだから。
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「それはそうと引越しの準備は終わってるんです?業者が来るとはいえデータとかは預けられないでしょう」
「忘れてたよ 後で私の部屋に来てデータの整理を手伝ってくれ」
「あっ 灰色が気絶した」
ご読了有難うございました。以下は蛇足なので読み飛ばして結構です。
灰原が異能に目覚めた理由はありません。表の世界で異能力者目覚める人は数は少ないですが一定数はいます。
大体は政府に囲われるか、犯罪組織に攫われるかのどちらかです。
なのでこの時の赤羽根の行動は政府に目をつけられかねない危険な行動です。それだけオジサンとの交流が心に響いたのでしょう。
まぁ政府に囲われてた方が平和に過ごせてましたが。