グリッドマン ユニバース:Selected of two Souls Sigma Story. 作:キャメル16世
「ナイトキャリバー…!エーンドッ!!」
「GAOO!!」
グリッドナイトとビッグゴルドバーンはゼッガー
「GYYAAAA!!!」
「ぐはぁっ!」
「GAOO!!」
だが怪獣は刺々しい触手のような手足を伸ばしてナイトとゴルドバーンを薙ぎ払う。
『ナイト君っ!私も援護します!』
すると、上空を浮遊するサウンドラスの砲門から追尾機能を搭載したビームやミサイルがゼッガーθに向けて放たれる。
「GYYAAAA!!!」
だが、ゼッガーθがその砲撃に対して咆哮をあげると、砲撃は空中で爆散。被弾すること無く不発だった。
奴の口から放たれた衝撃音波で攻撃に干渉したのだ。
『えっ…!?』
「クッ…奴の力は、明らかにオリジナルの力を超えている。それに、あの時は……」
そう、それはまだ彼が「アンチ」と呼ばれてた時代。怪獣となった新条アカネを救う為ゼッガーに1人立ち向かったグリッドナイト。ゼッガーの中に入り込み取り込まれていた新条アカネを引きずり出した事により怪獣は機能を停止した。
《お前は怪獣じゃない…!新条アカネだっ!》
その為、あの怪獣に対する戦闘知識が少なく、対処法が見つけにくいのだ。近付く前に衝撃波で吹き飛ばされ、近付けば電撃に焼かれる。
彼は苦戦を強いられていた。
「……っ」
レプリキャリバーの柄を握る拳に自然と力が込もる。
彼はここに来て自分の無力さに苛まれようとしていた。
しかし……
『ナイト君!あの怪獣、攻撃をする前に少しだけ溜めがあります!』
「……っ」
『私が怪獣に攻撃を仕掛けますから、ナイト君とゴルドバーンは渾身の一撃を奴に放ってください!』
「GAOO!!」
「……2代目……ゴルドバーン…」
そうだ、今の彼には仲間がいる。
どんな時でも彼を支えてくれた少女。人間の善意から生まれた、人の心が解る怪獣。一見アベコベで、一貫性のない集団。
だが、そんな彼らが彼を…「ナイト」を支えてくれた。
「……そうか、これが…」
この時、彼は改めて実感した。
何気に2代目が発していた、あの言葉の意味を…
《私たちは、『グリッドナイト同盟』です!》
彼には分からなかった。
同盟って、なに?
同じ意志を持った者の集まり?
ひとつの敵に立ち向かう勇敢な者たち?
どれもが違い、どれもが正しい。
各々に抱えた熱い思い。それが彼らを繋いでくれた。
《お前も、信じられる者の為に戦え》
ふと、シグマの言葉が脳裏をよぎる。
独りじゃない。いつの日も、どこまでも。
今の彼には、みんなが居る。
その言葉が、再び彼を駆り立てた。
「……フッ…余計な真似を…!」
「…GAO?」
「…ゴルドバーン!息を合わせるぞっ!」
「GAOO!!」
ナイトの声掛けに勢い良く咆哮を上げるゴルドバーン。
続けてサウンドラスから
『全砲門!発射っ!』
「GYYAAA!!!」
サウンドラスが続けざまに砲撃を放つ。とめどなく撃つことによって怪獣に隙を作らせる。
ゼッガーθも負けず劣らず、衝撃波によって相殺し、更には手足を伸ばしてナイト達を牽制する。
「グリッドナイト!乱れサーキュラーッ!!」
その攻撃を掻い潜り、乱れサーキュラーによってその殆どを切り落とすことに成功した。
「GYYAAA!!!」
「GAOO!!」
もがき出したゼッガーθにゴルドバーンの追撃が加わる。
これで完全に隙が出来た、と思ったのも束の間。
ゼッガーは自身の身体をまるでアルマジロのように球状に変化し籠り始めた。
「クッ…奴め、籠って身体を再生させるつもりか!?」
『そうなる前に倒しましょう!私達、全員の力を合わせて!』
「GAOO!!」
「…はいっ!2代目、サウンドラスをお借りします!」
『はい!存分に使ってください、ナイト君!』
ゆっくりと下降して来るサウンドラス。グリッドナイトはゴルドバーンの力で少しだけ身体を大きくし、サウンドラスと合体出来る大きさまで適応する。
『サウンドラスをバトルモードに移行。変形プロセスを開始します!』
サウンドラスの各部が分割し、フォートレスモードからバトルモードへの変形プロセスへと移る。
本来2代目が合体するべき所にグリッドナイトが合体し、頭部付近のシャッターから顔を覗かせるナイトには特殊なメットパーツが付けられていた。機械的なバイザーが着いているメットパーツだ。
「『戦艦武装騎士!グリッドサウンドラーナイトッ!!』」
「GAOO!!」
2体が並ぶと、サウンドラーナイトは装甲の砲門に紫と緑のグラデーションが掛かったエネルギーを充填し、ゴルドバーンは口に黄金のエネルギーを充填しだした。
「……」
同盟とは、まだ何かはっきりとは分からない。
だが、信じられる者が自分と共に戦ってくれる。信じられる者同士が集結する。つまり、守りたいと思う気持ちは皆一緒だ。
「…借りは返すぞ…グリッドマンシグマ」
充填したエネルギーがフルパワーまで溜められた。
サウンドラーナイトは体制を整えて衝撃に備える。
「グリッドナイト…!!」
「『ユニオン…!ストォォォムッ!!』」
「GAOOOOO!!」
サウンドラスの全砲門から放たれる破壊光線とゴルドバーンから放たれる破壊光線がひとつの束となり強力な破壊光線を生み出す。
「GY…!……YAAA…!!!」
攻撃に包まれたゼッガーθは攻撃に耐えられず爆散する。ナイトたちは憂いもなく、晴れた心でそれを見届けた。
「ふっ!てやぁ!」
「はぁっ!」
「グッ…!クハッ!」
グリッドマンとシグマの、ダブルグリッドマンによる攻撃に押されるダーガ。
ゼッガーθとガギュラΩの爆散を確認し、シグマは安堵の表情を見せた。
「…よし、後はお前だけだ!ダーガ!」
「武史の心を、解放してもらおうか!」
「…クッ…う、嘘だ…!このボクが…負ける筈が無いんだ…!」
動揺するダーガ。頭を抑えて嘆き始める。
「コンピュータワールドをボクのものとし、武史が自由に怪獣を解放出来る世界を作るんだ……その為には、君達が邪魔だ…!とっとと…ボクの前から居なくなれぇ!」
自暴自棄になったダーガは無作為にアクセプターからビームを放つ。
「はあっ!」
「てやぁっ!」
「ぐはぁっ!」
だがふたりのドロップキックによって制圧されてしまう。
「もう諦めろ!お前もオレと同じ、武史に作られた存在……同じ心を持ったお前を、いたぶる事は出来ない…!ならばせめて、潔く武史を解放してはくれないか!?」
悶えるダーガに、シグマは強く問い掛けた。
「……フッ…フフッ」
「……?」
すると、ダーガはふたりをまるで嘲笑うかのように立ち上がる。
「…武史を解放しろ…だって?馬鹿な事を言わないでくれ!武史は自ら望んでボクと合体している!彼がボクを望んでいるんだ!それを引き離そうとして……武史の幸せを奪おうとしているのは、他でもない君じゃないかっ!」
「違う!彼は忘れてしまっているだけだ!自分を見失っているだけだ!お前にも分かるだろう!?武史の心の叫びが…!」
「……そんなもの…聞こえないねぇ!」
一気にシグマとの距離を縮めるダーガ。アクセプターが淡くどす黒く光り出す。
「ボクはボクの使命を果たすまで、消える訳にはいかない!彼の理想の世界を創造し、彼の心を救ってみせる!ボク達の心は…ひとつだっ!」
すると、ダーガは左腕を天に掲げて中指と薬指を開くようにポーズをとる。
「インスタンス・ドミネーションッ!!」
「…っ!?」
「な、なに!?」
すると、空から怪獣が降ってきた。それも一体では無い。10、100、いやそれ以上。
ツツジ台に降って来た無数の怪獣は動かぬまま佇む。
『あいつ!今更怪獣呼び出してどうするつもりだ!?』
『でもこの数、私達じゃどうにも……』
疑問がふたりの中に流れる中、ダーガは今度はその怪獣達に向かってアクセプターを突き出した。
「さぁ、全てのマルチバースの怪獣よ……ボクとひとつになれ。これがボクらの…アクセスフラッシュだ!」
右腕をアクセプターにクロスさせたダーガ。それに反応するかの如く、無数の怪獣は光の粒子となってダーガに集まって行く。
その光の粒子はダーガの身体を更に巨大化させ、ダーガの各部にカオスブリンガーの点滅と共にアーマーを装備させる。肩には禍々しい模様の赤い装甲、胸部は銀色の怪獣の頭部を模したアーマー。脚部には金色の装甲がまとわりつき、腰には短い尻尾。頭部には金、赤、黒、そして銀色のメットパーツが追加されていた。
ダーガが幾多もの怪獣と合体し、その身体の大きさを何倍にも膨れ上がらせ、グリッドマンとシグマに威圧感を与えた。
「な、なんだあの大きさは…!?」
『で、でかい…!』
「…これが、ダーガの本来の力。怪獣と無理やり合体し、その力を身に宿す。武史の作り出した、最凶の超人だ」
グリッドマンやシグマ、内海や六花、そして裕太は奴に恐怖した。これまでに感じたことの無い、絶望や悪意にまみれた姿に。
「超暗黒怪獣合体超人…!ガイストグリッドマンダーク!!」
ガイストグリッドマンダークとなったダーガはその巨体でグリッドマン達に猛威を奮った。
足を薙ぎ払うだけで暴風が彼らを襲い、地面を踏み荒らせば地震の如く大地は揺れる。
更にその巨体が先程と大差ないスピードを発揮してくるのだから、その力は底を知らない。
「ぐわぁぁぁっ!」
「ぐはぁぁぁっ!」
そんなダーガを2人が対処出来る筈もなく、形勢は完全に逆転していた。
「……クッ…」
「…一体…なんなんだ……この、底知れぬ力は…!」
「これが彼の…武史の願いなのさ!彼の願いはボクが叶える!だからシグマ、君達は用済みだ!」
するとダーガは左腕を重厚感のある銃口へと変化させ、そこに禍々しいエネルギーを蓄え始める。
「ガイストグリッド…!ダークビームッ!!」
「……っ!」
その強力な攻撃が直撃する直前。
何者かがその攻撃を阻んだ。
「GAOOO!!!」
「……ゴルドバーン…!」
ビッグゴルドバーンが彼等の盾となり、その攻撃を跳ね除けたのだ。攻撃の反動で少し苦しそうであったが、振り向いた彼の表情は安堵の表情だった。
「……オレを…守ってくれたのか…」
「あったりめぇだろ!!」
「…っ!」
するとレックスの声と共に、ダイナレックスやキマイラゼノン、パワードゼノンにグリッドサウンドラーナイトが彼等に駆け付けてきた。
「…俺達、もう仲間じゃないですか?」
「……仲間…」
「私達シグマさんのこと、まだ知ったばかりですけど。他人の事に頑張れる貴方は、私は嫌いじゃないです」
蓬に続き、夢芽が声を掛ける。
「貴方が死んじゃったら、また法事が増えるんで」
「今度、シグマさんの絵も書かせてくださいよォ!」
「…シグマ、俺は前に言いました。貴方を信頼しているわけではない、と…ですが今なら断言出来ます。怪獣の未来も見据える貴方なら、信頼出来る」
「らしくねぇ事言ってねぇで!今は俺らを頼れよ!」
「大丈夫。この行く末がどんな結果であろうとも、きっと私達は後悔しないから」
「怪獣の自由の為に…いや、世界の自由の為に、まだ俺達と戦って欲しい」
「……お前達…」
シグマはいつからか思っていた。
自分という存在を作り上げるのは、自分を信じ、自分を信じてくれる者を信じる者だと。
武史やグリッドマンを奪われ、独りだと思っていたシグマは、いつしか自らを「孤独のヒーロー」と思っていた。
「お、お前がいなければ…奴から出る事は出来なかった」
「我々は君に感謝している。君こそ、正真正銘の、グリッドマンの弟だ」
「そんなかしこまんなって!俺たちが居れば大丈夫だからよ!」
「ま、退屈しないし。店の手伝いしてくれるならもっと助かるかなっ」
「……ふんっ」
「こらこらナイト君〜ちゃんと言いたい事言わなきゃダメですよぉ?」
だが、それは間違いだった。
彼を信じる者も、それを信じてくれる者も、もう既に身近に存在していたのだ。
「シグマ、私は君を信じる。君は、私たちを信じてくれ」
「……兄さん」
「私もみんなも、思いは一緒だ。そうだろう?裕太」
『うんっ!勝とう、俺たち皆の力で!』
グリッドマンと裕太が隣でシグマに呼び掛ける。
『……シグマ…』
『…シグマ……』
「……内海、六花…」
いつしか彼らは向かい合い、そして何も言わずに頷いた。
そう、彼は「孤独のヒーロー」でもなく、
「夢のヒーロー」でもない。
ひとりで戦い続け、誰からも忘れられてしまったと思っていた彼が、幾多もの命を繋げてかけがえのない仲間と出会った。そして、やがて世界を救う事になる、「幻のヒーロー」なのだから。
『…まだ行けるか?裕太!』
『……うん…!もちろんだよ内海!』
『…やろう。私達にしか出来ない、私達の…やるべき事…!』
そして裕太、内海、六花の心が重なった。
その重なった心が、シグマやグリッドマンに無限のエネルギーを与える…!
「…今こそ全員の力…いや、全員の心を…!ひとつにする時だ!」
シグマの言葉に、全員が返事をする。
グリッドマンはダイナレックス、ビッグゴルドバーンと合体し、再びローグカイゼルグリッドマンへと合体した。
「「「「「「「超竜王合体超人!ローグカイゼルグリッドマン!!」」」」」」」
シグマの両腕にジュウガドラゴン、脚部に二足に変形したムジナタイガー、胸部に変形したオニジャタートルにタイガーの頭部とタートルの髭。背中にシズムフェニックスが合体し、フェニックスのメットパーツに各メンバーのイメージカラーである黄、ピンク、水色、黒のラインが入っている。
翼を大きく広げたシグマは、未だかつて無い姿を見せる。
「「「「「「「超獣王合体戦士!グランドグリッドマンシグマ!!」」」」」」」
ローグカイゼルグリッドに負けず劣らずの覇気を放つグランドグリッドマンシグマ。これが怪獣優生思想の4人と心をひとつにしたシグマの更なる力である。
『やっぱりシグマも全合体出来たか!』
『ちょっと、内海君だけ盛り上がらないでよ〜…』
『いやいや……こんなの、興奮せずにはいられないでしょ!』
『……へへっ!』
夜の街に並び立つローグカイゼルグリッドマンとグランドグリッドマンシグマ。彼らの後ろにはパワードゼノンとグリッドサウンドラーナイトがそびえ立つ。
その光景を目の当たりにし、内海は興奮を隠し切れずにいた。そんな彼らに、裕太は微笑みを浮かべていた。
「「行くぞ!みんな!」」
シグマとグリッドマンの言葉に全員が勢い良く返事する。その合図とともに4体の巨体がダーガに迫って行く。
いよいよ、最後の戦いが始まろうとしていた……!
次回
「もう君は、独りじゃない」
第22回「総・和:SSSS.GRIDMAN