グリッドマン ユニバース:Selected of two Souls Sigma Story.   作:キャメル16世

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第6回「英・雄:ハイパーエージェントの秘密」

「大丈夫ですか!?ナイト君!」

「はい、なんとか……しかし、グリッドマン…あの姿は」

戦いで消耗したナイトの肩を、2代目はゆっくりと支えた。ナイトは神々しくも重厚感のある姿を目にし、心打たれていた。

 

「えぇ…再びグリッドマンユニバースが復活し、レックスさんや蓬さん達、ゴルドバーンがグリッドマンに力を貸してくれたようです!」

「……そうか…俺が戦った事にも、意味はあったようですね…」

グリッドマンが力を取り戻した。この世界にはまだ希望がある。その事を確信したナイトは2代目に体重を預けた。

 

「えぇ、今はゆっくりと休んでください。お疲れ様でした、ナイト君」

 

『……』

またかまたかと、そんな二人を見つめる思念体。

ナイトから何かを読み取ったかと思えば、再びどこかに飛び去ってしまった。

 

『……このままではダメだ…早く何とかしないと…!』

 

 

「「「「「「「超竜王合体超人!ローグカイゼルグリッドマン!!」」」」」」」

「…ふふ…再びその姿を拝める事が出来るとは、正直感激だよ。だが、ボクにも使命がある…!」

キャリバーを突き出し、背中のブーストを使用しグリッドマンとの距離を縮めるグリッドマンダーク。勢いのままグリッドマンのキャリバーを突き刺し一閃……かと思われたが、グリッドマンの胸部にそれが触れた瞬間に停止。と言うよりそれ以上の全身が出来なかった。

 

「ローグカイゼル!グリッドビームッ!!」

「ぐわぁぁぁあ!!」

左腕を立ててダイナセイバーの発射パーツから協力なビームを放つグリッドマン。軌道に乗ったグリッドマンダークは空中に押し上げられ、そのまま被爆する。

 

「はぁっ!」

そのまま空に飛び立つグリッドマン。ダイナミックビックブレードを構え、技名を叫ぶ。

 

「ダイナミック…!ビックバンエーンドッ!!」

ダイナミックビックブレードの刀身が巨大化し、グリッドマンダークに斬撃を喰らわせる。だが、グリッドマンダークは間一髪でそれをガード。地面に叩き付けられる事にはなったが、致命傷とまではいかなかった。

 

「グリッドダーク!フルパワービームッ!!」

両肩のツインドリル、タンカーキャノン、キャリバーの刀身から漆黒のビームをグリッドマンに向けて放つグリッドマンダーク。

 

「はぁぁぁぁっ!」

それが胸にあたり、抵抗になるも、グリッドマンはグリッドマンダークに向けて急降下して行った。やがてグリッドマンダークに接触すると、両手の指先から青いビームクロー「ローグネイル」を展開し荒々しい戦闘スタイルでグリッドマンダークを翻弄する。

 

「まだだ…ボクはここでは終わらないッ!」

「「「「「「いいや、ここで終わらせる!」」」」」」

「カイゼルパワーチャージ!」

グリッドマンの両肩のドリルが高速回転する。それと同時にグリッドマンの身体を黄金のオーラが包み込み、エネルギーがダイナミックビックブレードに蓄積されていく。

 

「ローグ…!」

「「「「「「カイゼルパワー…!」」」」」」

「「「「「「「フィニーッシュッ!!」」」」」」」

とてつもない速さでグリッドマンダークに突っ込んで行くグリッドマン。ダイナミックビックブレードで一閃し、グリッドマンダークは大爆発を起こした。

 

「ぐあぁぁぁぁぁ!!」

大ダメージを負ったグリッドマンダーク。全ての合体が解かれ、自由になったアシストウェポン達は自分達の色と意志を取り戻した。

 

「……クッ…ククッ…」

脳天のポインターが点滅する中、膝立ちで持ち堪えるグリッドマンダーク。

それを見て勝利を確信したグリッドマンも、ダイナレックスとビックゴルドバーンと分離し素の状態に戻った。

 

『…た、倒したのか…?』

「あぁ、恐るべき強敵だった…だが、もう今の彼に戦う意思は無い」

「散々振り回しやがって…だがこれ以上グリッドマンの力を悪用なんてさせねぇ!さっさと正体を表しやがれ…!」

グリッドマンダークに怒号を吐くダイナレックス。グリッドマンダークが縋れるものは無い。もはや彼らに従う他道は無い。

 

「……ふふ…残念ながら、君達ではボクの正体を認識出来ない」

「あぁ?なんだと?」

「それもその筈……私もグリッドマン同様、実体を持たないエネルギー体…そして私の本当の名は…!」

グリッドマンダークは立ち上がり高らかに名乗った。

だんだん夜明けが近くなっていく。彼のタイムリミットも徐々に迫って来ている。

 

「…ダーガ…!」

「…なっ!?」

その名に驚きを隠せないグリッドマン。一方の周りの仲間は疑問を抱いていた。グリッドマンが動揺するその理由が不明だったからである。

 

「…ダーガ……ダーガだと!?」

『グ…グリッドマン…?』

「大将、一体どうした!?」

仲間が心配そうにグリッドマンに声を掛ける。だが、グリッドマンはそれどころでは無い。目の前にいる存在が、どれほど恐ろしいものなのか、この場で彼だけがそれを知っていた。

 

「……ダーガは…はるか昔に我々ハイパーエージェントを裏切り、ハイパーワールドを永久に追放された存在……彼は、私と同じ存在なんだ…!」

「…なっ…!?」

『…嘘…でしょ……』

グリッドマンの言う通り、ダーガはグリッドマンがこの世界にやって来るはるか前、ハイパーワールドにて悲惨な事件を起こした凶悪な存在。ハイパーワールドで裁かれた彼はハイパーワールドを永久に追放される事となった。だが、そんな彼が今自分の目の前にいる。その恐怖に怯え、彼は動揺を隠しきれていなかった。

 

「改めて、久しぶりだね…グリッドマン。この世界に来た君はその姿と名を与えられ、随分と楽しんだそうじゃないか……」

「…クッ……」

「…だが、偶然この世界に迷い込んだボクも、君を見つけ、君の活躍を目にし、同時に君を欲したいと思った。だからボクは君の力と姿を我が物とし、その時を伺っていた」

ダーガは数年前からグリッドマンを監視し、裕太や六花、内海等の人間達と関わり新条アカネの心を救った所を目にし、更に様々な宇宙の創造とそれによる全宇宙との合体。無限の可能性を秘めた彼を監視し続け、彼を我が物とする為様子を伺っていた。

そして、その時は訪れた。

 

「…俺と、付き合ってください」

「……はい…お願いします」

 

「グリッドマン!俺六花と付き合う事になった!」

『あぁ!なんの事かさっぱりだが、君が幸せそうで良かった!』

 

「聞いたかよキャリバー…グリッドマンが作り出した宇宙が消えていってるだとさ〜」

「ふ、再び世界に異変が起こっているのか」

「もしかして、またグリッドマンが原因?」

「グリッドナイト同盟も、既に調査を進めているようだ。我々も各宇宙に散らばり状況を探るぞ」

 

裕太の心の綻びがグリッドマンの心の綻びを生み出した。グリッドマンユニバースの消滅。もう彼の仲間は存在しなくなる。あとは彼自身を叩けば……ボクがこの世界の覇者となれる…!

 

「マルチバースの消滅を確認したボクは手始めにマックスの力を吸収。他のメンバーと接触出来なかったのは残念だが、まぁ結果オーライだ」

「何言ってやがる!?もう勝負は付いた!」

「そこで大人しくしてろ!さっさとこの世界から消してやるからよぉ!」

レックスとボラーがダーガを威嚇する。

 

「…ふふ…残念ながら、君達がボクに勝つ事は出来ない。それを1番知ってるのは、グリッドマン自身だ」

「…なにぃ!?」

「……奴の言う通り…奴を倒すことは出来ない」

「何言ってんだよグリッドマン!もしかしてまだ仲間意識とかあるのか!?あいつはお前を裏切った奴なんだろ!?」

「…そうでは無い……我々ハイパーエージェントには、命がない。裕太達と関わりを持った私にはその命が与えられた…だが、奴は命を得る事無く私の力を行使した。ハイパーエージェントで奴が追放となったのは、それが原因だ」

ハイパーワールドから来たハイパーエージェントは思念体であり、命がない。それ故に大罪を犯した彼でさえも死という概念が無い以上追放という手段しか無かった。

そしてその命を持たない思念体が力を持った。だからこそ彼はダーガを恐れた。今のような戦いが永遠に繰り返される事が目に見えているからである。

 

「さぁ!そろそろ覚悟してもらおうか…グリッドマン!」

すると、ダーガ両手を胸に置き、胸部のトライジャスターを展開させた。

 

「な、何をするつもりだっ!?」

「君達はボクとひとつになってもらうよ…統合された宇宙、グリッドマンユニバースの力を全てボクに集中させ、ボクが本物のグリッドマンとなる!」

トライジャスターはグリッドマン同様蒼く光り、そこから黒と金が混じったような汚い色のビームがグリッドマン達に向かって放たれた。

 

「グリッド…!ダークフィクサービームッ!!」

「だぁぁぁあ!」

「ぐわっ!何だこれぇ!?」

『…俺達の力が…あいつに吸い込まれていく…!?』

「…それだけじゃない…私達の姿も、心も…全て奴の力に…!」

ダークフィクサービームを受けたグリッドマン達は自身の力がどんどん奴に奪われていくのを自覚した。だが為す術なく仲間達がどんどんと消えていく。

 

「さぁ!ボクとひとつになれ!ボクを本物のグリッドマンへと、覚醒させろぉ!」

「…クッ…おのれぇ…!ダーガ…!」

最後まで足掻くグリッドマンを、ダーガは嘲笑った。

 

「…ふふ…グリッドマン、君はよく頑張ったよ。新条アカネの世界を救い、全宇宙を救い、君は正に“ヒーロー”だ」

「…クッ…!」

「…だが、それももはや過去の話だ。これからはボクがこの世界のヒーローになる。君の代わりに世界を救ってみせるさ」

「……クッ…何がヒーローだ、何が世界を救うだ!私は、お前を決して認めないッ!」

「…残念だよ。君なら分かってくれると思ったのに…!」

すると、ダーガはグリッドマンに近付き、グリッドマンの胸に手を置いた。まるで、もうこれ以上抗うのはよそう、と言っているかのようだ。

 

「……さらばだ、“過去の英雄”…!」

「……グッ…ぐあぁぁぁぁ……!」

ダーガにその姿と力と心を奪われたグリッドマンは消滅。朝日が昇り戦いが終わった事を告げるかの如く燦々と光り輝いた。

 

「……さぁ…全ての舞台は整った。始めようか…ここからが、ボクの…逆襲だ…!」




次回

「私達に出来る事、きっとまだあるよ」

第7回「一・心:熱いハートと共に」
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