グリッドマン ユニバース:Selected of two Souls Sigma Story.   作:キャメル16世

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久しぶりの投稿です。
まだまだ見切り発車な部分もありますが、感想・質問等などあったらどんどん言ってください!(今後の展開を示唆する質問などは御遠慮ください)

よろしくお願いします




第9回「聖・獣:正義のアシストアニマルズ」

「…なるほど、どうやらこの街は以前俺達がいた世界と似ているようですね」

「そっくりすぎて気味が悪ぃなぁ〜…んで?()()()の言ってたグリッドマンって奴は何処にいるんだ?」

「話聞いててよ…もうそのグリッドマンは居ない。敵にやられたんだって」

「グリッドマンを助けるのが今の俺達の役目……さぁ、()の元に行こうか」

巨人達が戦う街を見下ろす4人の男女。

全員白いスーツを着こなし、1人はきちっとした身なりの眼鏡の男。モヒカン風に頭の左半分だけ伸ばした髪を後ろに刈り上げる赤髪の男。ベージュ色の長い髪を頭の後ろに束ね片目を前髪で隠す女。金髪の襟足の長い褐色肌の青年。

ダーガの逃亡、そして怪獣の出現を目の当たりにし、4人は足を進めた。

 

 

「「青龍合体戦士!ドラゴングリッドマンシグマ!!」」

両腕に巨大な龍の頭部と尻尾を装備したシグマ。右腕の龍の頭部の牙は鋭く、左腕の尻尾はまるで刃のような鋭さを持つ。

 

『さっきの龍と合体した…!』

『これで、勝てるの…?』

「……さぁな」

『『はぁっ!?』』

素朴な疑問をシグマに投げ掛けた六花だったが、答えは酷いものだった。だが、その質問に応えるように、シグマはその姿のままバリボーグに向かって飛びかかった。

 

「…戦ってみれば…分かる事さ!」

「GRAAAA!!」

右腕の武装で怪獣を殴り飛ばす。続いて左腕の刃で切りつける。

 

「GRAAAA!!」

怪獣は怯むことなく丸まってこちらに向かってくる。突撃するも耐えたシグマは怪獣を持ち上げて投げ飛ばした。

怪獣は背中を見せて背中の針を発射させる。

 

「ドラゴンサーベルスラッシュ!」

左腕の刃に碧色のエネルギーが纏わり、それを振り回して全ての針を弾き飛ばした。

 

「「はぁぁっ!」」

針を弾き飛ばしたシグマは怪獣に向かって飛びかかった。ドラゴンサーベルを駆使し怪獣に斬撃を喰らわせようとした。

だが、怪獣は次の瞬間丸まり防御の体制を取った。

背中の針によって弾かれるドラゴンサーベルはシグマのバランスを崩させた。

 

「GRAAAA!!」

そこを怪獣は見逃さずタックルを決め込んで来る。

 

『あいつが操ってる怪獣…やっぱり強い…!』

激しい攻防の中、内海は再び怪獣の強さを悟る。

シグマの脳天のポインターが点滅し、タイムリミットが迫ることを全員に知らせる。

 

「決めますよ、シグマ!」

「…あぁ!」

そこを見計らいジュウガはシグマに声をかけ、シグマはそれに応える。

右腕のドラゴンの口が開き、銃口が露出。

銃口にエネルギーが蓄積し、シグマは身構える。

 

「グリッド〜…!」

「「ドラゴン…スマーッシュッ!!」」

銃口から放たれたの光線は龍のような形へと変わり、怪獣に噛み付くように直進する。それに合わせてシグマが怪獣に飛びかかりドラゴンサーベルで一閃する。ふたつの攻撃が同時に繰り出されたことにより怪獣は爆散した。

 

再びこの街に束の間の平和が訪れた。

 

 

「……ふぅ」

「…ハァ…ハァ……これ、意外と体力使うんだね……」

戦いを終えてジャンクから出てきた内海と六花。

長かったようで短かった戦い。だがこれが始まりだと思うと、気が引き締まる思いでいっぱいだった。

だが、まずは奴の陰謀をひとつ阻止し、更には自分達に仲間がいる事が証明された。それだけで、今は十分だった。

 

裕太と同じ体験をしたふたりは心底裕太やグリッドマンに感謝した事だろう。ここまで大変とは思わなかったからだ。合体するのは裕太、戦うのはグリッドマンだと思っていたが、実際合体するのも戦うのも自分達なのだと、本当にあのふたりは“合体”していたのだと、思い知らされた。

 

「お疲れ様です。おふたりとも」

「…えっ?」

上を向き息を整える内海と両膝に手を置き息を整えていた六花には気が付かなかった。自分達の目の前に4人の男女が居る。全員白いスーツを身に纏った…まるで新世紀中学生をまんま反転させたかのような印象だ。

 

「…だ、誰?」

思わず質問する内海。

すると、長身で眼鏡の男が質問に答えた。

 

「俺達は、世界を守る怪獣です」

「……は?」

思わず心の声が漏れる。

この人は何を言っているのだろう。姿形はどう見ても人間のそれであり、どう見ても怪獣には……

 

「……あっ」

と、内海が声を漏らす。グリッドナイトのように人間と怪獣の姿に自由に変化出来る特殊な人達なのでは?と。

だが、その予想が少しだけズレる事を内海はこの後知る事になる。

 

『彼らは「怪獣優生思想」。オレ達とは協力関係にある人物達だ』

「…怪獣…優生…?」

「待って待って、全然分かんない…」

ジャンクの中のシグマが答えを教えてくれたようだが全然ピンと来ない。

ふたりの頭の中で「怪獣優生思想」というパワーワードが飛び交う。

 

「俺はジュウガ。先程君達と戦った、あの青い龍ですよ」

「青い龍…って、やっぱりレックスさんみたいに変身してたのか!?」

「おぃおぃガキぃ!あんな奴と一緒にすんじゃねぇよ!」

「ひっ!」

すると、今度は赤髪の強面の男が内海にメンチを切って来た。内海は反発的に片足の脛を抑える。

 

「彼はオニジャ。そこで商品を物色してるのがシズム。席でコーヒーを飲んでるのが、ムジナです」

ジュウガは店内にいる怪獣優生思想のメンバーの紹介を丁寧にしてくれた。

…っていうか、俺達への興味ほとんどねぇ!?

 

なんだかマイペースな人達が自分達の仲間になった、あるいは仲間だったという事実を聞き、内心「またこの人達に苦労させられんのかな…」と、落胆する内海であった。

 

「……」

そして、そんな空気を聴きながらも、まだ不安を拭いきれない六花であった。

 

『……』

 

 

「……」

「…なにか不安ですか?」

「……あ、えっと…」

次の日、学校では怪獣騒ぎで大パニックの中、またしても通常運転の授業に疲れ、六花は別校舎の屋上のベンチに腰掛けていた。

すると、またしてもどうやってこの学校に入ったのか、ジュウガが声が聞こえて来た。

困惑する六花に、ジュウガは優しく声を掛ける。

 

「改めまして、ジュウガです。何か大変な事に巻き込まれたみたいですね」

「あぁ…宝多六花です……まぁ、ついこの間までそんな感じだったんで、全然大変ではないんですけど……」

両手を太ももの上で握って親指どうしを摩る六花。

 

「…あのっ…怪獣優生思想って……もしかして…」

「……えぇ、俺達はかつてガウマさん…レックスさんや蓬君達と戦った怪獣使い…つまりは、彼等の敵でした」

「……やっぱり…」

六花は怪獣優生思想という名に聞き覚えがあった。

夢芽やちせからダイナゼノンや彼等の物語を描く為情報収集をしていた際、その名前が彼女等の口から出ていた事を六花は覚えていた。

 

「俺達は5000年前に死に、この時代に蘇り、彼等との戦いで敗北し、本来ならこの世界に存在しない筈の人間です」

「……」

「ですが…魂だけとなった俺達に、()が問い掛けたんです。そうして俺達は新たな命を得る事が出来ました」

レックスや蓬、ナイト達との戦いに敗れた怪獣優生思想。怪獣「ガギュラ」とひとつになった彼等はダイナレックスとグリッドバーンナイトによる決死の攻撃に敗れ消滅した、筈だった。だがその意識だけは残り、そんな彼等の前に突然シグマが現れ命を与えられたという。

そんな嘘みたいな話…と、疑いたくはなるが、この世界の不条理を体感している彼女にとって、それを飲み込むのはさほど難しい事ではなかった。

 

ところで、六花にはひとつ疑問に思っていた事がある。

 

「……なんでシグマは…私達を選んだんでしょうか…?」

「……」

シグマが自分と内海を選んだ理由。シグマはふたりの人間と合体しなければ実体化する事は出来ない。そしてグリッドマン達の戦いをすぐ側で見てきた自分達が選ばれるのは必然なのかもしれない。だが、それだけではない気がする。

シグマの言葉の節々にそう思わせる雰囲気があったことを、六花はずっと考えていた。だからこそ授業にも身が入らず、こうして放課後にいつもとは別の場所で休憩していたのかもしれない。六花は右腕に装着されたアクセプターを見つめながら、ジュウガの回答を静かに待った。

 

ジュウガは六花が何を言いたいのか察したかのように、静かに目を閉じて口を開いた。だが…

 

「……さぁ…彼は多くを語ってはくれませんでしたから」

六花の満足する回答を得られることは無かった。

 

 

『オレは彼等に命を与える代わりに、兄を救う為に協力してもらうように頼んだ。利害が一致した彼等に、オレをアシストする為の聖獣…「アシストアニマル」へ変身する為のプログラムを彼等に送り込んだ』

「…アシスト…アニマル?」

六花家のリサイクルショップに帰って来た内海と六花はシグマに詳しい説明を求めた。シグマはまず、なぜ怪獣優生思想のメンバーがレックスのような怪獣メカの姿になれるのかを説明した。

 

「元々俺達は怪獣使い。怪獣に精通していたから、怪獣に近い見た目に変身出来るんだね」

「やはり、怪獣達の未来はまだ終わってはいなかった…ダーガに囚われた全宇宙の怪獣の救済、それが俺達の目的です 」

「…いやいや、冗談でしょ」

シグマの説明にシズムとジュウガが捕捉を入れるが、あまりにも物騒な事を言う為、内海はボケかと思ってツッコミを入れた。

 

「怪獣ってのはなぁ…全ての人間を殺す為にあるんだ。それを私利私欲の為に使うなんて許せねぇ!怪獣はあいつの奴隷なんかじゃねぇ…神をも恐れぬ偉大な存在なんだよ」

「…私達には怪獣しかない。そうわかっちゃったから、助けたいって思うのは当然でしょ?」

オニジャとムジナな当たり前でしょ、とでも言いたげな顔でふたりを見る。そのあまりにも純粋な思いに触れたふたりは顔を合わせて絶句してしまった。

 

『…確かに…彼らはかつて、怪獣でひとつの宇宙を危機に晒した。だが、彼等にも心はある。怪獣を奪われた彼等の気持ちを汲んでやることは出来ないか…?』

「……まぁ、仲間を奪われたのは俺達も同じだし…」

「…今はお互いに助け合おう、って事だよね…?」

『あぁ、その通りだ』

怪獣優生思想の4人の顔を伺うふたり。

そして思い至ったのか、その4人に向かって頭を下げた。

さすがのこの行動には4人も驚き、絶句する。

 

「…お願いします。グリッドマンを…みんなを助けるのを、協力してください」

「きっとあんた達がいなきゃ、俺達は奴に負けてた…だから、怪獣がどうとか関係ない。仲間を助けたいって思いは同じなんだ!……今はそれだけで十分だ」

ふたりの言葉を聞き、4人はほのかに微笑んだ。

 

「…もちろん、俺達に出来ることがあるなら」

「足は引っ張んなよォ?ま、俺様がいれば最強だけどなっ!」

「大変だろうけど、頑張ろうね」

「これからもよろしくね」

4人はふたりを認め、ここに新たなる同盟が生まれた。

その同盟に名は無い。だが、確かな絆があることに、彼等は気が付いていた。

 

『……これが、友情というものなのか…』

人間同士の営みをひとつ知ったシグマは、彼等の行動を観察し、空虚の中に息を吐いた。

 

『…………武史…』




次回

「一緒にお風呂、入っていい?」

第10回「信・頼:怪獣日常デイズ」
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