「っ!ここはいったい…」
目が覚めると廃墟のようなところに手足を縛られて居た。
俺は織斑一夏。第二回IS世界大会《モンド・グロッソ》に出場する姉の織斑千冬を応援するためにドイツに来ていた。
一回目の大会で優勝した千冬姉は当然のように有名になり、俺は周りの人達からいつも姉と比べられ、『出来損ない』やら『凡人』やら罵られ、『織斑千冬の汚物』だの『お前みたいなやつが何故存在しているの?』と言われたこともある。
だけど、そんな自分を理解してくれる人は少なからずいた。千冬姉は勿論のこと、数少ない友達の五反田弾やその家族,御手洗数馬.鳳鈴音,IS 《インフィニット・ストラトス》の生みの親である篠ノ乃束だ。
この人たちだけがいつも俺を支えてくれた。
「(確か俺は、試合が始まるまで余裕があったからトイレに行って……客席に戻ろうと歩いている途中、誰かに布のようなもので口と鼻を抑えられて……)」
自分の身に何が起きたか確認し、今に至る。
「気が付いたか、織斑一夏」
俺は声がした方に振り向くと数人の男女がこちらを見ていた。
「お前達は?」
「俺達は織斑千冬の大会二連覇を阻止するためにお前を人質にした」
男は誘拐の理由について説明したその時、部下と思しき男が目の前の女に近づいた。
「織斑千冬が試合を放棄しました」
「そうか、それじゃあこいつは用済みだな」
女はそう言うと、懐から拳銃を取り出した。
「悪く思うなよ、ガキ。目撃者でもあるお前に私達の事をバラされるわけにはいかないからな。恨むんなら非力な自分を恨むんだな」
女は銃口を俺に向ける。
「(まずい、このままじゃ…)」
しかし……
ピシ、パリン
突然何かが割れる音がした。
「なんだ?」
「なんの音だ?」
自分を誘拐した仲間の一人が上を見る。俺も上に視線を向けると何もない空間に亀裂が入っていた。
「な、何だ、あれ?」
ピキ、ベキ、パキ
「お、オイ、何がどうなってやがるんだ?」
亀裂は徐々に広がる。すると、突然、吸い寄せられるほどの強風が吹き、手足を縛られていた俺は、その中にいとも簡単に引き寄せられた。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
一夏が亀裂に飲み込まれた後、空間は元に戻った。
「す、吸い込まれやがった…」
「お、オイどうするんだ!人質が消えちまったぞ!」
「狼狽えるんじゃないよ!消えたのなら寧ろ好都合だ。目的は遂行した。もうこの場所には用はない」
その後、誘拐犯は爆薬を辺りに仕掛け、廃墟から離れた。その直後、大きな爆発を起こし、廃墟は跡形もなく消え去った。
織斑一夏は、この誘拐事件により、死亡扱いとなった。
「……い……か?……」
誰かに呼ばれる声が聞こえる。
「おい、お前大丈夫か?」
「ん、んん…」
目を開けると俺と同じくらいの二人の少年が居た。一人は褐色の肌に銀色の髪をした少年、もう一人は俺と同じ黒髪でサイズの合わないブカブカな服を着てる少年。
俺は起き上がると銀髪の少年が安心した様子で話しかけてくる。
「やっと起きたか。お前、何があったんだ?手足が縛られていたみたいだし、一応切っておいたが」
一夏は手足が自由になっている事にようやく気づき、銀髪の少年が無造作に置かれた縄に指さす。どうやら縄をほどいてくれたみたいだ。
俺は周りを見渡すと見た事が無い建物が並んでいた。
「ありがとう、それとここは何処だ?俺はドイツにいたはず…」
「ドイツ?ここはクリュセ独立自治区だけど?」
「クリュセ?ここ、ドイツじゃないのか?」
目を覚めたらいきなり知らない場所にいる事に混乱する一夏。
「クリュセを知らないのか?」
「ああ」
「クリュセを知らないって、どこに住んでたんだお前?」
「生まれは日本で、俺はドイツの第二回IS世界大会《モンド・グロッソ》の会場に居たんだ。けど変な奴らに攫われてどこかの廃墟に捕らわれてたんだ」
そう話すと二人は首をひねる。
「にほん?あいえす?もんど・ぐろっそ?なんだそれ?」
「え?」
ISは世界でも常識的になっており褐色銀髪の少年が言った事に一夏は戸惑う。
「ISを知らないのか?」
「少なくとも俺は知らねぇな。ミカ、何か知ってるか?」
「知らない」
「……なあ、少し聞きたい事があるんだけど」
一夏はそんな事はあるはずがないと思いながらも褐色の少年に問う。
「なんだ?」
「この世界の情勢とかを聞いても良いかな?」
「え?別に良いけど、俺達が知っているのでいいか?」
「ああ、それで良い」
少年からこの世界について聞いた。厄祭戦、ギャラルホルン、モビルスーツなど聞きなれない単語に戸惑うが何よりここは火星ってことに心底驚いた。
そして話を聞く限りここは自身が居た世界とは違う世界ということが分かった。
「…とまあ、こんな感じだけど…分かった?」
「うん、大体分かった。ありがとう(もしかしてあの亀裂の入った空間に飲み込まれたからか?入った瞬間の時の記憶が全くない)」
一夏はいくら状況整理をしても空間に飲み込まれた以降の記憶が全くなく、どうやってここに辿り着いたのかわからなかった。
「それじゃあ次はこっちが聞く番だ。こっちだけ話をしてフェアじゃねぇしな」
「わかった。流石に信じられない内容かもしれないと思うけど…話すよ」
一夏は自分の事を出来るだけ2人に説明する。2人は最初は信じられなかったが、一夏の表情を見て黙って話を最後まで聞いてくれた。
「おいおい、別世界の人間って…地球出身ならまだしも、住んでい
た世界そのものが違うって」
「俺はここが火星って言う事実が信じられないよ…俺の世界じゃそのMSやら厄際戦、ギャラルホルンという組織も聞いた事もない」
黒髪の少年は話を聞いているだけで、銀髪の少年は考え込む。
話をした後、不安でいっぱいだった。これからどうすれば良いのか。何時、元の世界に帰れるのか。そう考えているとまた銀髪の少年が話しかけて来た
「ちょっといいか?」
「え?う、うん」
「もし良かったら…俺達と一緒に来ないか?」
「……え?」
予想外の言葉に戸惑う。俺の心を察したのか少年は話を続ける。
「どうして?今の話…普通なら信じないだろ?」
「目を見れば嘘じゃないことくらいわかるよ。それに何かお前、寂しそうな目をしているんだよ。まるで、どこにも居場所が無いみたいにさ」
「俺、そんな目してたのか?」
「ああ、それでどうする?一緒に行くのか?行かないのか?」
一夏は少し考え込み、行き場所もなく、行き当たりばったりするよりは目の前の2人と行動を共にすことが最善と至る。
「……行くよ。どの道、帰る場所が無いから」
「よし、決まりだな!俺はオルガ・イツカ、オルガって呼んでくれ。それで隣に居るのは」
「三日月・オーガス、三日月で良いよ。あんたは?」
「俺は織斑一夏、名前は後で来るから、一夏って呼んでくれ」
「そうか。よろしくな一夏」
「よろしく一夏」
「ああ、こちらこそよろしく。オルガ、三日月」
一夏の扱うガンダム(スピンオフから一夏にあいそうなのを挙げました)
-
マルコシアス
-
アスタロト
-
アスモデウス