インフィニット・オルフェンズ 鉄の華   作:狼ルプス

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真の

 

鉄華団とタービンズが兄弟の盃を交わした後、一夏と三日月、おやっさんと共に地球へ向かったイサリビとハンマーヘッドを見送っていた。2人が歳星に居るのかは2人のモビルスーツの整備がまだ終わっていなかったからだ。

 

「行っちゃったね」

 

「ああ、行っちまったな」

 

「なんだあ?寂しいのか?」

 

俺と三日月のつぶやきにおやっさんが聞く。

 

「うん、寂しいよ」

 

「みんなと離れる事自体あまりなかったので…」

 

「ふっ。バルバトスとマルコシアスの整備が終わればすぐに追いつけるじゃねえか」

 

「まあね」

 

「そうですね。それにマルコシアスに関しては厄際戦当時の姿そのままらしいじゃないですか」

 

「ああ、どうやら一部ではあるがあのセキュリティロックをあのオッサンが解除しちまったらしいからな…その一部の資料には厄際戦当時のマルコシアスに関してのデータがわんさかと出たそうだ。それにかなり興奮してだぜあいつ」

 

 

時は数日前…

 

『………ああ!まさかバルバトスとマルコシアス!伝説のガンダムフレーム2体をこの手でいじれる日が来るなんて!この美しいフレームデザイン!幻のツインリアクターシステム!メインOSの阿頼耶識システムまでまだ生きてるなんてッ!!そ、それにマルコシアスに関しては何かしらのデータ資料が現存している!!これはなんとしてでもセキュリティを解除しなくては!!』

 

『あの~。これってそんなにすごいんですか?』

 

『すごいも何も!コイツは厄祭戦を終わらせたとも言われる72体のガンダムフレームのうちの2体なんだよ!?ただ資料が少なくて、今じゃ幻の機体なんて呼ばれてる!そんな機体を予算上限なしで整備できるぅ~!』

 

 

ヤマギもおやっさんも歳星整備長の口から迸る言葉の奔流にただただ唖然とするしかなかった。

 

『………何か、すごいことになってるんだけど』

 

『何でも三日月と一夏がテイワズのボスに気に入られたらしい………』

 

『見ていてくださいっ!消耗品全交換はもちろん!フレーム・リアクターの再調整!集められるだけの資料を集めて完っ全なバルバトスとマルコシアスをご覧に入れて見せますよォッ!マルコシアスに関しては…もしかしたら厄際戦当時のデータが眠っている可能性も…!!』

 

 

歳星の整備長は目に炎が見えるほどの気合いっぷりで鉄華団の整備士達も引いてしまうほどのものだった。

 

 

 

 

 

「って事があってな…」

 

 

「すごいですね…俺も資料は見ましたけど翼のあるガンダムだったなんて…(それに…何処となく騎士っぽくも見えるな…)」

 

一夏は手に持っている端末でマルコシアスに関するデータ資料を見つめる。そこには火星で見つけた当初の姿とは違いバックパックと腰部には翼のようなバインダーが存在しており何処か騎士のように見え、優雅さすら漂う機体フォルムが特徴でとても悪魔の名を冠する見た目とは思えない姿だった。

 

「(一部のセキュリティは未解除…残りは何が眠ってるって言うんだ…)」

 

 

そうして話しているとテイワズの技術者のおじさんが来た。

 

「おーい!三日月君、一夏君。阿頼耶識のシステムチェックを始めるよ」

 

「うーっす」

 

「分かりました」

 

 

2人は返事を返し各機体に向かった。そしてシステムのチェックを終わらせ休憩所で待機していた。

 

「それにしても、お前ら何をどうしたらテイワズのボスに気に入られるんだ?」

 

「別に、何もやってない」

 

「マクマードさんは爺の気まぐれだって言ってましたけど…そういえばおやっさん、俺達はどうやってイサリビを追うんですか?」

 

「テイワズから輸送機を二機提供されるらしいぞ」

 

「輸送機?」

 

「ああ。確か名前は『クタン参型』って言ってたな」

 

「へ~、じゃあそのクタン参型ってのでイサリビを追いかけるんですか?」

 

「そういうことになるな。ま、整備が終わるまで時間はある。それまでゆっくりしようや」

 

「そうですね」

 

一夏はオーバーホールが終わるまでマルコシアスに関するデータを閲覧する。

 

 

そんな話をしているとテイワズの技術者のおじさんが休憩所に来た。

 

「お~い!三日月君、一夏君。バルバトスとマルコシアスのオーバーホールが完了したよ!」

 

それを聞いた3人は立ち上がりモビルスーツ格納庫に向かった。

 

 

 

「……!はは、データ資料では見ていたけど、これがお前の真の姿ってやつか」

 

一夏は完全な姿に戻ったマルコシアスを直に見て笑みが浮かぶ。

 

 

「あ、そうそう。一夏君の使ってるマルコシアスは少し名前を変えているよ」

 

「え…名前をですか?」

 

「そうとも、機動させれば端末に表示されているよ」

 

「わかりました」

 

一夏はコックピットに乗り込み端末を操作し起動させる。

 

 

【GUNDAM FRAME TYPE MARCHOSIAS・TRUE ASW-G-35】

 

 

 

 

「トゥルー?」

 

「ああ、【本当の、真の、本来の】意味を込めてこの名前にしてみたんだが、どうかね?」

 

「…本来の…確かに300年の時を超えて本当の…真の姿を取り戻した…今のこいつにはピッタリの名前ですよ」

 

「そうか!気に入ってもらえて何よりだ」

 

 

 

格納庫に着いた3人はクタン参型にモビルスーツを格納した状態で歳星を出発してイサリビを追いかけた。ちなみにおやっさんは三日月のバルバトスを積んでいるクタンの操縦席に乗っている。

そしてようやくイサリビに追いつきそうな時、さらに向こうに複数のリアクターの反応があった。

 

一つは昭弘のグレイズ改だが他の三つは知らないもので一夏と三日月は即座に敵と判断する。

 

「三日月…」

 

『うん。おやっさん、このまま突っ込む』

 

『はあ!?おめえら何言って……』

 

 

状況を把握すると2人ははクタン参型をさらに加速させる。

 

『これのコントロール、そっちに返すね』

 

『ちょっ…おい待て!俺は操縦なんて…』

 

「おやっさん落ち着いて。確か自動操縦モードがあるでしょ、それに移行すれば勝手にイサリビに戻れるから」

 

 

そして速度を維持したまま三日月はバルバトスをクタン参型から分離して発進させ、昭弘の下に向かう。

 

クタン参型の操縦を返されたおやっさんだが、なんとか自動操縦モードに無事移行し辺りを彷徨う事なくイサリビに向かう。

 

 

「俺も行くか、さて…お前の力、見せてもらうぞ…マルコシアス」

 

一夏もクタンをおやっさんの乗ってるクタンについていくよう設定し、自動操縦モードにしてから分離し、三日月の後に続くようスラスターを吹かし昭弘の下へ向かう。

 

 

「…すごい…加速もスピードも前の時よりも比べ物にならない…」

 

一夏は完全な状態に戻ったマルコシアスのスピードに感嘆しながら進み三日月に追いつくと、モビルワーカーを背負った昭弘のグレイズ改に接近した時、丁度バルバトスがテイワズから提供された太刀で敵と思われる緑色のモビルスーツのコックピットを貫いていた。

 

「(上手い事装甲の隙間を狙ったか…)」

 

刀の扱いに詳しい一夏は敵のモビルスーツの特徴を分析する。すると残った二機の内一機がバルバトスに向かって発砲しながら接近して来た。三日月は倒した敵を盾にして防ぎ太刀を抜いて蹴り飛ばし敵にぶつける。

 

その隙に敵から距離を取りつつ昭弘達の状態を確認した。

 

 

『昭弘、大丈夫?』

 

『おう、何とかな』

 

『三日月さん!』

 

『え?なんでタカキが』

 

『昭弘さんと哨戒に出てたんです。そしたら…』

 

「あの丸いモビルスーツに襲われってわけか…」

 

『その声…一夏か?とにかく助かったぜ三日月』

 

『礼はいいよ。一夏、昭弘とタカキを連れてイサリビに戻って。殿は俺がやる』

 

「分かった」

 

そうしている内にさっきのモビルスーツ二機が追って来た。

 

『一夏、行ってくれ』

 

「分かった!」

 

一夏は後ろの二機を三日月に任せ、昭弘とタカキを護衛しながらイサリビに向かう。

 

『三日月さん』

 

『あいつなら大丈夫だ。今のうちに…!』

 

ここでレーダーに別の反応が複数現れ、後ろを向くと先ほどのモビルスーツ三機とそれより一回り大きく背中にハンマーのようなものを装備した機体が襲って来た。

 

「(一機だけかなりゴツいな、あの形、何かしらの飛び道具も搭載してるのか…)昭弘!こいつらは俺がやる!」

 

『分かった!』

 

『一夏さん、気を付けて!』

 

昭弘は一夏から離れイサリビに向かう。一夏は旋回しバックパックからバスタードメイスを装備する。

 

「真の姿を取り戻したお前の力を見せてもらおうか、マルコシアス!」

 

一夏の言葉にマルコシアスはツインアイの光を増し腰部に搭載されているレールガンを撃ちながら敵に接近する。

 

数発は当たるが遠かったせいかあまり効いてなく、四機の内三機の動きが他とは違うことに一夏はすぐに気づいた。

 

「この動き、他の二機は俺達と同じ阿頼耶識か?」

 

相手の正体に気づき冷静に行動に移そうとした時、ニ機のモビルスーツが昭弘の下に追いかけ始めた。

 

「行かせるか!」

 

一夏はその二機を追いかけようとするがハンマーを装備した敵がそのハンマーを振り下ろしてくる。

 

「チィ!邪魔だ!」

 

それを難なく回避し攻撃を与えるが、装甲が厚いのか多少凹む程度でしかダメージを与えられなかった。

 

「…速いうえに装甲も硬いのか。それにこの周波数…俺と三日月のモビルスーツに似てる?」

 

一夏は敵の乗ってるモビルスーツの発しているエイハブウェーブにある推測が出るが敵はハンマーを振り上げるとそのハンマーの後部から炎が噴き出し、かなりの速度で振り下ろしてきた。

 

「スラスター付きのハンマーかよ⁉︎」

 

一夏はとっさに防ぎ、剣術の受け流しでなんとか振り下ろされたハンマーを受け流した。受け流された事に相手側も驚いたのかマルコシアスから距離を取る。

 

すると敵の後ろから三日月の乗るバルバトスが敵に滑腔砲を撃ちながら来た。

 

「三日月!」

 

『一夏ごめん。遅くなった』

 

そう言うと三日月は太刀を振り下ろすが弾かれてしまう。

 

『ち、使いにくい』

 

「(まさか三日月、あの太刀扱いきれていないのか?)」

 

通信越しに三日月はうっとうしい様子に一夏は動きを見て刃物を扱いきれていない事に気づく。

 

『一夏!三日月!』

 

すると増援に来たラフタが敵に発砲しながら来た。すると敵は信号弾を出し撤退した。

 

 

「ラフタさん、助かりました」

 

『助かったよラフタ、飛ばしてきたから推進剤がもうやばかった。それで、明弘とタカキは?』

 

『あ…それが…』

 

ラフタの歯切れが悪く言う。それに一夏は胸騒ぎを感じ急いでイサリビへと帰還する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「タカキ!」

 

 

 イサリビに戻った一夏は急いでタカキのもとに向かう。目の前の光景に言葉を失う。そこには先に帰還したグレイズ改と装甲がひしゃげたモビルワーカー、その中から降ろされたタカキと仲間たちが居た。ダンテがタカキのインナースーツを開くとそこから大量の血が溢れていた。

 

「タカキ!タカキ!」

 

「うるせえ!とりあえず閉めろ!スーツが血を止めてたんだ!」

 

「兄貴の船から医者がやって来る!それまで持たせろ!」

 

「持たせろって言われてもよ!」

 

 

「みんな何もたついてんだ!どけ!」

 

仲間たちがうろたえている中、一夏は冷静にタカキに近づきインナースーツを開き応急処置を始める。

 

 

「(幸い内臓や重要な箇所は避けられてる。けどこのまま血を流しすぎたら失血死する)お前ら何やってんだ!応急キットがある筈だ、早く持ってきてくれ!それと誰か包帯と輸血パックを何時でも出せるように誰か近くに居てくれ!」

 

「お、おう!!おい応急キットって何処だ!!?そこか!!」

 

「ゆ、輸血パックです!!」

 

「サンキュ!絶対死なせるか……!!(今までの経験が役に立つとはな)」

 

一夏は現状鉄華団に専属の医者がいない為、ここまで時間がある時は応急処置のやり方などの勉強をした為、後は経験で今まで怪我をしていた団員達の手当をした経験もあった。

 

途中治療道具を持ってきたクーデリアだが、この光景を見て萎縮してしまいテイワズからの仲介役、前の宴会で会った女性、メリビット・ステープルトンがクーデリアから治療道具を受け取り、メリビットは応急処置とはいえ自分がやる事がもうかなり少なくなり後少し行えば大丈夫というところまで来ていた。

 

「後は私がやります、あなたは医務室のメディカルナノマシンベッドを!」

 

「あ、あんたは…わかりました。後はお願いします!」

 

 

一夏は以前歳星で会ったメリビットに驚くが急いで医務室にあるメディカルナノマシンを使えるよう準備に向かう。その後は団員はメリビットの指示に従い、慌ただしく動いた。その後、タカキはメリビットのおかげで一命を取り留められた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…」

 

「お疲れ一夏…大丈夫?」

 

「ああ、なんとかな…」

 

「いる?」

 

「もらう…」

 

一夏は付着した血を洗い流した後道中三日月と会い、今は手元に火星ヤシがない為、三日月に渡された火星ヤシをもらい口に含む。

 

その後オルガとも合流しタカキの様子を見ようと、医務室に来るとそこにメリビットと昭弘が居た。

 

「……罰が当たったのかもしれねえな」

 

「罰がどうしたって?」

 

「お前ら」

 

「昭弘。お前がタカキの事を自分のせいだと思っているならそれは違う。あれは俺が指示を出した」

 

「ああ、悪い」

 

「なんからしくないな。昭弘」

 

「…そうだな。らしくねえんだよ俺は。ヒューマンデブリらしくねえ」

 

「何だそりゃあ?」

 

「……弟が、居たんだ」

 

「弟?」

 

「昌弘つって、ヒューマンデブリとして俺とは別々に売り飛ばされた。迎えに行くって言ってたのによぉ。いつの間にかどうせもう死んでると勝手に思い込んでた」

 

「その……弟は?」

 

「タカキを襲ったモビルスーツに乗っていやがった」

 

「あの中にお前の弟が…」

 

「ああ。俺、最近楽しかったんだ。お前らと鉄華団を立ち上げて、一緒に戦って、『仲間の為に』とか言ってよ。姉さんたちにしごかれるのも楽しかった。楽しかったから、俺がゴミだって事を忘れてて……ヒューマンデブリが楽しくて良いわけがねぇ。だから、罰が当たったんだ!」

 

昭弘は忌まわしそうに言う。

 

「そっか、俺達のせいで明弘に罰が当たっちゃったんだ」

 

「これは責任を取らないとな、どうする…団長?」

 

三日月と一夏はそう言うと明弘は慌てる。

 

「ん…ああいやあ、そう言うわけじゃ」

 

「そうだな。鉄華団が楽しかったのが原因ってことは団長の俺に責任があるな」

 

「な!?違う、俺が言いてえのは…」

 

「責任は、全部俺が取ってやるよ。昌弘って弟の事に」

 

「何を言って…」

 

「お前の弟は、別に望んで俺達の敵になったわけじゃ無いんだろ?」

 

「それは、分からない」

 

「どの道、お前の兄弟だっていうなら、俺達、鉄華団の兄弟も同然だ。なあ…そうだろお前ら?」

 

オルガがどこかに視線を向けながら誰かに聞く。明弘は医務室の入口の方に視線を向けるとシノ、ビスケット、ユージン、おやっさん、ダンテといった鉄華団の仲間達が居た。

 

「あったりめぇだろ~」

 

「なんの話かと思えばよぉ?」

 

「水臭えにもほどがあるだろ?」

 

「だね」

 

「んじゃ、責任の取り方をみんなで考えようか」

 

「お、お前ら」

 

すると医務室が騒がしくなり始めた。ここでどうするか会議になろうとした時…

 

「あ、あの~」

 

突然の申し訳なさそうな声に一同は視線を向ける。

 

「なんか、うるさくて寝てらんないんですけど」

 

そこには今まで眠っていたタカキが目を覚ましていた。

 

「「「「「「…た、タカキ!」」」」」」

 

年少組の子たちが一斉にタカキの所に行く。

 

「え、あれ?」

 

「おお~!気ぃついたか!」

 

他のみんなもタカキが目を覚ましたことに喜びまた騒ぎ始め、一夏と三日月とオルガの三人はその光景を温かく見守っていた。




アンケートの結果は厄際戦当時の姿に決定しました!
読者の皆様、ご協力ありがとうございました!

マルコシアスの姿について

  • 厄際戦当時の姿に改修される
  • 一部厄際戦当時に近い姿で改修される
  • バルバトスのように形態変化で行く
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