インフィニット・オルフェンズ 鉄の華   作:狼ルプス

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未来へ

タカキが目覚めてからしばらく経った後、一夏と三日月はオルガからの指示で拙攻として出撃するためにノーマルスーツに着替えていた。すると突然、扉が開き。視線を向けるとそこに昭弘が居た。

 

「先に行くんだってな」

 

「うん」

 

三日月が答えると明弘は何か思いつめた顔をする。恐らく弟の事を考えているんだろうな。

 

「…奴らが出てきて。そん中にもし弟が、昌弘が居たら……そん時は…」

 

「分かってるよ。昭弘が来るまで、適当に時間を稼いでみるよ」

 

「すまない」

 

「謝るなよ。ただ…こっちがやられそうになった時は約束は出来ない。それだけはわかってくれ」

 

一夏は絶対にとは敢えて言わず、もしものことがある為昭弘に念を押す。

 

「…ああ、分かっている」

 

 

「じゃあ一夏、先に行く」

 

「おう」

 

三日月はスーツに着替え終えるとそのままモビルスーツ格納庫へ向かった。

 

 

「……」

 

昭弘は何も言わず三日月の背を見る。

 

「さっきはああ言ったが、お前を弟と会わせる。心配するな」

 

「…すまない」

 

「謝るなって、仲間なんだから当然の事だろ」

 

「……そうだったな」

 

「それじゃあ、俺も行くわ」

 

「ああ」

 

「ああそれと…もしお前の弟が説得の中、グダグダ言っているようなら、昭弘…お前の想いをぶつけてみろ…きっと弟にも届くはずだ…」

 

「俺の…想いを?」

 

「たった一人血の繋がった家族なんだろ。昭弘らしくガツンと言ってやればいい」

 

一夏は安心させるように昭弘の背を軽く叩き、そのまま格納庫に向かう。そして格納庫に着くとそこにクーデリアとアトラが居た。

 

「あれ?二人共、こんな所で何してるんだ?」

 

「三日月にお弁当を渡して来たんです」

 

俺が聞くとクーデリアさんが答える。

 

「一夏さんの分もありますよ」

 

アトラがそう言うと一夏に弁当を渡し受け取る。

 

「ありがとう」

 

弁当を受け取った一夏は三日月と共に出撃する。そして各機体を後ろから来るクタン参型に接続する。

 

『ブースターとのドッキング完了』

 

ドッキングが完了しラフタの百里が近付く。

 

『しばらく三人旅だね。よろしく三日月、一夏♪』

 

『悪いね。面倒な事に巻き込んじゃって』

 

『良いって良いって♪昭弘の弟を助けに行くんでしょ?んな話を聞いちゃあ、こっちも黙ってられないっての♪』

 

そんな話をした後、俺達は機体をさらに加速させる。

 

「そう言えば三日月、前の戦闘で太刀を使いにくいって言ってたよな?」

 

『うん。正直、あまり役に立たないと思う』

 

「俺はあれの使い方知ってるんだけど、教えようか?」

 

「あれの使い方知ってるの?」

 

三日月は首をかしげながら聞く。

 

「ああ。扱いなら多分鉄華団の中じゃ俺が一番詳しいと思うしどうだ?」

 

『じゃあ、お願い。何も知らないより、少しはマシになると思うし』

 

『何の話?』

 

ラフタさんが俺達の会話に割り込んで来た。

 

「太刀の使い方について三日月に話そうとしてたんです」

 

『ふ~ん、そうなんだ』

 

ラフタは二人の話に興味無さそうに言うと通信を切る。それに一夏は苦笑いしながらも話を戻す。

 

「それで三日月はあの時太刀をどんな感じで使ってたんだ?」

 

『いつも使っているメイスと同じ感じでやってた』

 

「(メイスと同じ感じって、要はただ殴ってたってことか?)」

 

一夏は三日月が刃物の扱いに慣れていないのだと直ぐに察した。

 

「三日月、太刀はただ叩いて攻撃する武器じゃないんだよ。まず…」

 

俺は三日月に自分が知っている太刀の構えや斬り方などを説明する。

 

 

 

 

 

―数時間後―

 

 

 

 

 

「…とまぁ、こんな感じなんだけど…分かった?」

 

『なんとなく』

 

三日月は弁当を食べながら答える。

 

「こればかりは実戦で物にするしないからな。この戦いが終わったらそれを踏まえてまた教えるよ。お前の場合身体で覚えるのは得意な方だし、直ぐに扱えるようになるぞ」

 

『三日月、一夏、そろそろ回廊に入るよ』

 

二人は視線を前に向けるとブルワーズが潜んでいると言われているデブリ帯が見えて来た。

 

『トンネルみたいになっているわけじゃ無いのか』

 

『そりゃあ肉眼で確認できるわけ『トンネル』…てか、何やってんの?『勉強』へえ~…』

 

「(読み書きが出来るようになれば見てる世界も広がる…これが三日月にとって吉と出るか、凶と出るか…)」

 

三日月はサンドイッチを口にくわえながら文字を書く。一夏はその会話を聞き笑みを浮かべる。

 

『あ、そろそろ船との通信が取れなくなるよ』

 

『分かった』

 

「了解」

 

ラフタからの忠告を聞いた二人ははそのままデブリ帯の中に入り俺はモニターから機体の周りを見る。そこには破壊された船やモビルスーツが大量に漂っていて、その様はまるで墓場のような印象を持つ。

ビスケットから聞いた話だとこの中に漂っている稼働中のエイハブリアクターから発生した重力の影響で集まっているらしい。

 

『さて、そろそろポイントのはずだけど』

 

『何も見えないね』

 

「ああ…不気味なくらいにな…」

 

『気を付けて。もういつ見つかってもおかしくないよ』

 

俺達は周りを警戒しながら進む。すると前方に複数のリアクターの反応が出た。

 

『この反応、あいつらか』

 

俺は目の前の敵をにらむ。すると敵が三人向けて攻撃し、三人は別々に散らばる。敵も複数に分かれて三人を追いかける。

 

「くそ、ここのデブリが邪魔で思うように動けない」

 

一夏は愚痴を吐きながら周辺に漂っているデブリを避けながら逃げる。

 

『ああ~もう!こう狭くっちゃやりにくい!』

 

ラフタも一夏と同じ感想のようだ。

 

『確かに、ブースターが邪魔だから…』

 

ビー!ビー!

 

『っ!このリアクターの反応』

 

「ああ、間違いない…」

 

『ラフタ、昭弘の弟が来てる』

 

そうか、出て来たんだな。

 

『オルガ達は?』

 

『まだみたい』

 

「まだかよ。そろそろきつくなって…うお!?」

 

敵の攻撃がクタンのスラスターの部分に当たる。それを外し、爆発から逃れる。

 

『まだなの?ダーリン!』

 

ラフタが中々来ない名瀬達を呼ぶ。すると別方向からイサリビとハンマーヘッドの反応が出た。

 

『オルガ!』

 

「やっと来たか!」

 

『待たせたな、ミカ!一夏!』

 

『遅い!』

 

 

 

「敵艦正面!」

 

「うちの船が何で”ハンマーヘッド”って名前なのかを教えてやれ!」

 

「あいさ!総員、耐ショック用意!」

 

「リアクター出力最大!艦内慣性制御一杯!」

 

「突貫!!」

 

名瀬さんが叫ぶとハンマーヘッドはそのまま敵艦に突っこみ、そのまま敵艦を岩に押し付けた。

 

「こっちも負けてられねえぞ!!」

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

オルガ達も負けじともう一つの敵艦に取り付く。

 

「よし、こっちも行こう!」

 

「了解!」

 

「分かった!」

 

一夏と三日月はクタン参型を分離し、ラフタは百里をモビルスーツ形態へ移行する。

 

「さあ!どっからでもかかってらっしゃい!」

 

―――――――

 

 

 

 

 

明弘はグレイズ改のコックピットで待機していた。

 

「待たせたな、昭弘」

 

通信でオルガが明弘に話しかける。

 

「すまないオルガ、ヒューマンデブリの俺らなんかの為に「まだ言ってんのかよそれ、いい加減聞き飽きたぜ?」…」

 

オルガはうんざりした様子で言う。

 

「今までどうだったかなんて変えられねえよ、俺らだって宇宙ネズミだ。ただ、これから先は変えられる。俺らの手でいくらでもな。それをまずお前が証明して見せろよ?今、ここでな」

 

「……ああ!昭弘・アルトランド。グレイズ改、出る!」

 

覚悟を決めた昭弘は合図とともにイサリビから出撃すると目の前に敵が二機こちらに向かって来る。だが昭弘の後ろからアジーとアミダの百里が出て来て敵を追い払う。

 

「お前達の相手はあたし等だ。明弘に近づけさせはしないよ!」

 

「急げ昭弘!」

 

「…ああ!」

 

敵を二人に任せて進む。そして弟の昌弘が乗るモビルスーツを見つけた。

 

「……昌弘」

 

向こうもこちらに気づいたのかマシンガンを向けて撃つ。だが昭弘は恐れず突っこみ、昌弘にしがみ付く。

 

「な、何を!?」

 

「待たせたな昌弘。迎えに来たぞ」

 

「迎…えに?」

 

「ああ、約束しただろ?」

 

昭弘がそう言うと昌弘は顔を下に向ける

 

「……今さら何言ってんだよ?」

 

「何?」

 

「俺…ずっと待ってたよ?…兄貴を……だけど分かったんだ。期待するだけ無駄だって……期待しただけ辛くなって」

 

「だから、こうして迎え「それが無駄なんだよ!!」っ!?」

 

「こうしてさぁ。兄貴が迎えに来て、兄貴について行って、それで何が変わるっていうんだ?」

 

「昌弘……」

 

「遅かれ早かれみんな死ぬんだ。……だってそうだろ?俺達はヒューマンデブリなんだ。地面でなんて死ねない」

 

そう言って昌弘は涙を流しながら話を続ける。

 

「デブリは皆、宇宙でゴミみたいに死んでいくんだ」

 

「……そうだな、俺も最初はそう思っていた」

 

「は?」

 

「俺もお前と同じデブリだ。何をやったってどうしようもねえ、このまま何も変わらねえってずっと思っていた。けどな昌弘、俺の仲間の一人ががこう言ったんだ。過ぎた過去は変えられねぇ、けど…未来は変えられるってな」

 

昭弘のこの言葉を聞いた昌弘は呆けた顔をする。

 

「未来を…変える?……そんなの出来るのかよ?」

 

「やる前から諦めてたらそれこそ何も変わらねぇ。それにこれは出来るか出来ないかじゃねぇ。やるかやらないかなんだよ…」

 

「……けど」

 

「けどもでもでもねぇ!!俺達の所に来い……昌弘!」

 

「……何でだよ?なんで…」

 

「言っただろ?迎えに来たって。それに、もうお前と離れ離れになるのはごめんなんだよ!」

 

昭弘は自分の想いをぶつけ笑みを浮かべながら言う。

 

「だから帰ろう昌弘。俺達の家に!!」

 

「に…兄ちゃん…っ」

 

昌弘の目からは更に涙が溢れており、昭弘の言葉は確かに昌弘に届いた…

 

―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「分かってはいてもこいつらの装甲は厄介だな…でも」

 

俺は目の前に居る敵の右腕の関節部に大太刀を突き刺す。

 

「関節や僅かな隙間さえあればこう言う武器の攻撃は通るんだよ」

 

敵は残った腕で鉈のような武器を取り出し攻撃しようとするがその腕を切断し、さらにコックピットに突き刺して蹴り飛ばす。

 

「よし、敵はあらかた片付いたから三日月の援護に向かうか」

 

一夏は三日月の所に向かう。

 

「あそこか」

 

一夏は以前スラスタ付きのハンマーを持った敵と戦っている三日月を見つける。敵は目の前の大岩の後ろに回りハンマーで砕くが、三日月の動きを止めるだけに留まるだけだった。そして敵は三日月を無視して別の方に向かって行く。

 

「なんだ?どこに向かって…」

 

俺はレーダーを確認すると敵が向かっている方向に説得中の昭弘と弟が居た。

 

「まさかあいつ、昭弘達を狙っているのか!?やらせるかよ!」

 

一夏はスラスターを吹かして先回りして大太刀を振り下ろす。敵は左腕で装甲が切り裂かれながらも防ぐ。

 

『てめえぇぇぇ!!邪魔するんじゃないよ!!』

 

敵が通信で大声をあげる。一夏は嫌な予感を感じ、回避行動を取ると敵の胴体から何かが撃ちだされ、後ろにあった岩に命中すると粉砕する。

 

『一夏!』

 

ここで三日月が来て敵の左目の部分を太刀で破壊し、敵も負けじとハンマーを振るうがそれも躱してハンマーを弾き飛ばす。

 

「(三日月のやつ…この戦いで感覚をつかんだな。上手く使いこなせてるじゃん)」

 

一夏は三日月が太刀を上手く使いこなしているのを見て感心していた。

 

 

敵は一旦離れようとするがマルコシアスは接近し回避した際に大太刀を納刀しバスタードメイスに切り替えそのまま殴り飛ばし昭弘達から距離を取らせる。

 

『またてめえか!おい、誰か援護しなさい!おい!』

 

敵は仲間を呼んでいるが誰も応答しない。ラフタ達にかかりっきりか殆どが無力化されていたのだ。

 

『ああんもう!どいつもこいつも使えねぇ!!命を懸けても、ただの囮にすらもなれない!煮ても焼いても揚げても食えない役立たずのゴミ屑共だよぉぉぉぉぉ!!』

 

 

プツン……

 

その瞬間…一夏の中で何かがキレた…

 

 

 

 

「おい、そこのクズ野郎…」

 

『あぁ!!?』

 

「お前、さっきの発言はどういう意味だ?」

 

今の一夏の声はとても低く冷たい声で敵に問う。

 

『ふん!そんなの決まってんじゃない。あいつらヒューマンデブリは何の役にも立たないゴミと同じよ!だからそいつらを捨て駒にしようが何しようが俺達の勝手だろうが!』

 

「……そうかよ」

 

その瞬間…マルコシアスの深緑のツインアイが光を増した。

 

 

「三日月、こいつは俺に任せてくれないか?こいつは……

 

 

 

 

俺が殺す…」

 

 

 

『……わかった』

 

三日月は一瞬だけ敵機と一夏を見比べただ一言返す。三日月はすぐに機体を翻し昭弘たちの方へ向かった。

 

『昭弘、説得が終わったなら弟連れて先に下がって』

 

『あ、ああ!』

 

昭弘は昌弘を庇うように後退し三日月は接近してくる敵に応戦する。

 

 

「……来いよ」

 

『あぁ!?調子乗ってんじゃないよガキがぁぁ!!』

 

 敵機は咆哮と共に近くに漂っていたスラスター付きハンマーを回収して振り上げ、一気に突撃して来る。

 

 

だが、一夏は動かない。敵が間合いへ踏み込んだ瞬間―――

 

 

「遅い」

 

マルコシアスが横へ滑るように加速。

 

「なっ―――!?」

 

敵の視界から一瞬で消えたマルコシアスは、そのまま敵機の懐へ潜り込む。

 

 

ガギィィィン!!

 

 

バスタードメイスが敵機の脇腹へ直撃。

 

「ぐあぁぁっ!!」

 

重装甲の外板が大きく陥没し、敵機が吹き飛ぶ。

 

 

「このっ……!!」

 

敵は姿勢を立て直し、胴体から射出兵器を放つ。

 

 

だが―――

 

「もう見た」

 

マルコシアスは最小限の動きで回避。次の瞬間、腰部レールガンが至近距離で火を吹いた。

 

 

「ぎっ―――!?」

 

敵機の右脚関節部が吹き飛ぶ。

 

 

「ヒューマンデブリがゴミだと?」

 

 

一夏の声は静かだった。だが、その静けさが逆に怒りの深さを物語っていた。

 

 

「必死に生きてる奴を……家族の為に戦ってる奴を……」

 

 

バスタードメイスをバックパックに背負い、大太刀を抜き放つ。

 

 

「お前みたいな奴が……勝手にゴミ扱いしていいわけねぇだろうが!!」

 

 

一夏に感応するようにマルコシアスのツインアイの片目から線が溢れ出させながら斬撃。敵機の左腕が宙を舞う。

 

 

「うあぁぁぁぁ!!」

 

敵は狂ったように叫びながら後退する。

 

 

『ば、化け物が!!』

 

「化け物はどっちだ」

 

一夏は低く吐き捨てる。

 

 

「仲間を使い潰して、命をゴミみたいに扱って……そんな奴が人間ぶるな」

 

 

敵はなおも逃げながら通信を飛ばす。

 

 

『誰か!誰か来い!!助け―――』

 

 

だが返事は無い。周囲では既に鉄華団とタービンズが戦況を制していた。しかし一夏は追撃をやめずレールガンを撃つ。

 

 

『くっ……おい!てめぇ楽しんでんだろ?人殺しをよぉ!!』

 

「はあ?何言ってるんだお前?因果応報って言葉知ってるか?自分がしてきた事が今、全部お前に返ってきてるだけだ…」

 

 敵機は最後の悪あがきとばかりにハンマーを最大出力で射出する。炎を噴きながら迫る巨大ハンマー…

 

 

 

 

だが一夏は冷静だった。

 

 

「………」

 

 

マルコシアスは半身になり―――

 

 

大太刀を振るう。

 

 

ズバァァァァァン!!

 

 

敵のハンマーが真っ二つに両断された。

 

 

『は……?』

 

 

敵が呆然とした、その瞬間。マルコシアスは一気に踏み敵の上に乗り大太刀を逆手に持替え背部と腰のサブアームを展開させる。

 

 

 

 

『ひっ……』

 

 

敵パイロットの息を呑む声が通信越しに漏れる。マルコシアスから4本のサブアームが展開され光を増しているツインアイが敵を睨みつけ、その姿は騎士の姿から悪魔のような姿へと変貌していた。

 

 

「終わりだ」

 

 

5つの刃が敵機の胸部を突き刺した。

 

「グアァァァァァァァァァ!!!!」

 

 

突き刺したコックピットから敵の断末魔が響き渡った。

マルコシアスの姿について

  • 厄際戦当時の姿に改修される
  • 一部厄際戦当時に近い姿で改修される
  • バルバトスのように形態変化で行く
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