インフィニット・オルフェンズ 鉄の華   作:狼ルプス

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赤い空の先の景色

 

本部出立から数時間が経ち、鉄華団の主要メンバーを乗せたシャトルは宇宙に上がった。

 

「(これが、宇宙か。束さんが見たかった景色…)」

 

その中で一夏は宇宙の景色を窓から覗いていており人知れず感動していた。普通なら一生に一度は見てみたい景色だが、この世界では宇宙進出は当たり前の世界で、一夏の世界からすればあり得ない事だった。

 

「どうしたの一夏?」

 

「いや、俺たち…本当に宇宙にいるんだなと思って…」

 

「そっか、一夏のいた世界じゃ普通じゃなかったんだっけ?」

 

「まぁな…と言うか、覚えてたのかよ」

 

鉄華団の中で一夏の素性を知っているのはオルガと三日月の2人だけで、一夏はまさか三日月が覚えているとは思わず珍しそうに三日月を見ていた。

 

「三日月は地球に行ったら何かしたいとかないのか?」

 

「特にないかな、けど前に一夏が話してくれた三日月は見てみたいな…」

 

「ああ、お前の名前の元になってるやつだもんな…だけど地球から見る月は日が経つに連れ形を変えていくから運次第だな。長期滞在する事があれば確実にみれるが…それも仕事の状況次第だな」

 

 

そんな話をしながら時間を潰していき、この後オルクス商会の低軌道輸送船に拾って貰い、低軌道ステーションに入る予定だ。

 

「あ、あれがオルクスの船じゃないですか?」

 

鉄華団のメンバーの【タカキ・ウノ】が、近付く光を指差す。

 

「予定より少し早いな…! あれは!?」

 

「ギャラルホルンの…モビルスーツ!?」

 

「オイ、その奥にも何かいるぞ!!」

 

シャトルに、ギャラルホルンのMSが4機接近し、その奥には戦艦が2隻。

 

「はあ!? どうなってやがる!」

 

「トド、説明しろ!」

 

「お、俺が知るか!ギャラルホルンなんて聞いてねぇ!おいどけ!俺がオルクスと話を付ける!」

 

トドは通信でオルクスに繋げるが「我々への協力に感謝する」と言って通信を切る。

 

「協力ってどういうことだ!てめえ、俺達を売りやがったな!」

 

それを聞いたシノは怒鳴りながら切れてトドを殴る。

 

「(わかっちゃいたがこのままじゃまずいな)オルガ、どうする?」

 

一夏はこの状況に慌てる事なくオルガに指示を仰ぐ。

 

「入港はいい、そのまま振り切れ!」

 

オルガの指示にシャトルの操縦者は従うが直ぐにMSに囲まれる。

 

「モ、モビルスーツから有線通信!クーデリア・藍那・バーンスタインの身柄を引き渡せって言ってますけどぉ!?」

 

「さ、差し出せ!俺達の命までは取らねえだろ!」

 

「てめえは黙ってろ!」

 

「ほかに方法があるっていうのかよ!?」

 

「うぐ!?それは」

 

「どうすんだ、オルガ!」

 

船内は静寂に包まれる。

 

「私を差し出してください!」

 

「それは無しだ」

 

「ですが!」

 

「俺らの筋が通らねえ」

 

オルガの言葉にトドは反論しようとするがまたシノに殴られる。

 

「ビスケット!」

 

「うん、行くよ!三日月!」

 

ビスケットの言葉に仲間たちは疑問を抱く中、オルガは不敵な笑みを浮かべ一夏はやる事を察する。

 

 

後部貨物室のハッチが開き、そこから煙幕が吹き出して敵MSの視界を奪う。その直後、滑腔砲を装備した三日月のバルバトスがコックピットに砲身を突き付け、そのままゼロ距離で発砲しコックピットを打ち抜き、敵が落としたバトルアックスでワイヤーを切断し飛び出す。

 

 

敵はシャトルを狙うがバルバトスに妨害を受けて標的をバルバトスに向ける。すると今度はオルクスの船がこっちに向けて砲撃を始める。だがその上からもう一隻の船が降りて来た。

 

『待たせたな。団長』

 

通信で昭弘の声が聞こえた。

 

「ナイスタイミング!」

 

「時間通り。良い仕事だ昭弘!」

 

 

 昭弘達が持って来た船イサリビに回収された鉄華団はオルガの指示で一夏、昭弘の2人のMSで三日月の援護の為に出撃することになった。

 

「おやっさん!マルコシアス は?」

 

「おう!もう終わっているぞ!」

 

「そうか、ありがとう!」

 

一夏はパイロットスーツに着替えてマルコシアス に乗り、マルコシアス には三日月が使うメイスが装備されており、そのままMSはイサリビのカタパルトに設置

 

『カタパルトスタンバイ、いつでも出れるぞ』

 

通信が入り後はパイロットの了承を得て出撃するのみとなる。一夏は少しだけわからず考え込んだ

 

「(えっと、こう言う時は確か)織斑一夏……マルコシアス、出撃する!」

 

急激な射出によるGが襲ってくるが一夏は平気そうな顔をしながらイサリビから猛スピードで発進した。それに続き昭弘が乗るグレイズ改もマルコシアスに続き出撃して来た。

 

 

 

「昭弘、阿頼耶識なしのモビルスーツだが、やれるか?」

 

「まだこいつに慣れていないが。まあ、何とかやってみるさ」

 

「そうか、無茶はするなよ?」

 

一夏と昭弘は三日月の下に行くと三日月は敵に攻撃されそうになっていた。

 

「させるか!」

 

一夏はそのまま接近し、昭弘はライフルで撃ち、敵の足を止める。

 

「三日月!」

 

一夏はメイスを三日月に向けて投げる。三日月はメイスを受け取り、一夏と昭弘は三日月の下に行くと三日月は昭弘に滑腔砲を渡し、昭弘は一夏にライフルを渡す。

 

「足の止まったのからやるぞ、援護を頼む」

 

「分かった」

 

「ちょっと待て!俺はまだこいつに慣れてねえんだ!」

 

昭弘は何か言って来るが2人はそれを無視し、マルコシアスは右手に大太刀、左手にライフルを持って敵部隊に向かう。

 

一夏は敵に大太刀で斬りつけるがアックスで防がれ、後ろからもう一機がアックスを振り下ろそうとする。

 

「甘い!」

 

そのまま目の前のグレイズを蹴り飛ばし、背後にいるグレイズを斬り裂き、ライフルで目の前のMSの頭部を破壊する。

 

「次は」

 

一夏はライフルで撃ちながら敵の動きを止め、大太刀で敵に斬りつけ破壊。 

 

後方にまた敵が近づいてくるが昭弘のグレイズが動きを止め、その隙に大太刀で破壊する。

 

「たく、三日月の野郎、こっちには阿頼耶識が無いんだぞ」

 

「サンキューな昭弘、まだいけそうか?」

 

「ああ、問題ない。まだいける」

 

「そうか、それより三日月は?」

 

周りを見渡すと三日月を見つける。見慣れない色のMSとまだ戦闘中だった。

 

「俺はこのまま三日月の援護に向かう。昭弘、後は任せる」

 

「分かった」

 

一夏は昭弘に残りの敵を任せ三日月の下に向かう。

 

「ん?あれは……」

 

一夏は三日月が戦っているMSに眉をひそめる。その敵は今までの奴とは違い一機は紫色に、もう一機は青色に塗装されていた。

 

「今まで見た事が無いタイプ……新型、か?」

 

紫色の敵は左腕のワイヤークローで三日月を拘束した。その2人は通信で三日月に話しかけていた。

 

『大人しく投稿すれば、しかるべき手段で貴様を処罰してやるぞ?」

 

「投降はしない。する理由が無い」

 

『その糞生意気な声、お前、あの時のガキか!』

 

『そういうあんたはチョコレートの隣の人』

 

「(チョコレートの隣の人?)」

 

一夏は通信に越しに聞こえる三日月の相手の呼び方に首を傾げる。

 

『ガエリオ・ボードヴィンだ!』

 

ガエリオと名乗った男はスラスターを吹かし、三日月を引っ張る。

 

『火星人は、火星に帰れぇぇぇぇぇ!!』

 

「(まずい!)やらせるかよ!」

 

 

すぐさま加速し一夏は紫のMSに接近する。

 

「っ!」

 

一夏は少し離れた場所にもう一機の青いMSの攻撃を即座にシールドで弾丸を防ぐ。

 

「ほう、あれを防ぐか。動きにも隙が無い…あの機体も阿頼耶識か」

 

青のMSのパイロットは冷静に分析し、機会を伺う。一夏はもう一機に警戒しながら三日月が交戦している紫のMSにライフルを発砲しながら接近し、三日月を拘束していた左腕を切り落としそのまま蹴り飛ばす。

 

 

『ぐっ!えぇい!そこのクソガキの仲間か?』

 

一夏の通信にも相手のパイロットの声が聞こえ瞬時一夏はパイロットが何者かを気づく。

 

「この声、確かあんた農場で会った…」

 

『その声、貴様もあの時のガキか!』

 

「確か、ガエリオ…って言われていたよな?」

 

『そうだ!そこのガキと違って少しはまともらしいな…』

 

一夏は三日月と背中合わせにし、近くにいる青のMSにも警戒する。目の前と同じタイプのMSだが、一夏は青のMSのパイロットが誰なのかを瞬時に悟る。

 

「と言う事は……あの青のMSのパイロットは、いや…今は後回しだ。三日月、大丈夫か?」

 

『ああ、大丈夫』

 

一夏は三日月の無事を確認するとオルガから通信が入る。

 

『ミカ!一夏!昭弘!この宙域から離脱する!帰投しろ!』

 

「分かった」

 

「了解」

 

「ああ」

 

三日月と一夏、そして明弘はオルガの指示に従いイサリビへ帰投する。

 

 

 

 

その後、オルガから聞いた話によると元一軍のトドが言わずもがな、今回の出来事の元凶らしく、そいつをシノがボコボコにした後、パンツ一枚にしてカプセルに入れ、メッセージを書き宇宙に放り出したとのこと。

 

一夏はトドには同情は無く、「当然の報いだと」内心で思っていたのだった。

 

 

こうして鉄華団を乗せたイサリビは火星を後にした。

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