インフィニット・オルフェンズ 鉄の華   作:狼ルプス

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地球に向けて

 

ギャラルホルンとの戦闘からしばらく経ち、一夏と三日月は食堂で飯を食っていた。

 

「すごい食欲だね。二人共」

 

「仕事の後は腹が減るんだよ」

 

「ああ、特に力仕事とかをよくするからな」

 

「……そうなんだ」

 

「ん?どうしたアトラ?」

 

「あ、あのね、ああゆうのってこれからもあるの?」

 

アトラは不安そうに2人に聞く。

 

「多分ね。クーデリアを狙っている奴らが居るみたいから」

 

「そうだな、引き受けた以上…犠牲と戦いは避けられないからな」

 

「……三日月、一夏さん、怖くないの?」

 

「別に?」

 

「あまり無いな、俺も…」

 

「……どうして?死んじゃうかもしれないんだよ?」

 

2人の答えにアトラは納得出来ない様子。一夏は気持ちは分かるが既に割り切っている。

 

「どの道戦わなければみんな死ぬ。簡単に戦いを避けることはできない。戦わないと、何も変えることなんてできない。そうだろ、三日月?」

 

「一夏の言う通りだ。それに」

 

三日月は左腕につけたアクセサリーをアトラに見せる。三日月から聞いた話だとアトラが作ったお守りらしい。

 

「俺にはこれがある」

 

「う、うん」

 

三日月の言葉にアトラは顔を赤くしながら笑う。

 

「(……お守り…か)」

 

二人の様子を見ていた俺は首にかけた物を見る。これは束からもらったお守りだ

 

「(……これも俺の事を守ってくれているのかな)」

 

脳裏に元の世界の事を思い出す一夏。住んでいた世界は女尊男卑とかで酷かったが、この世界と比べると平和な方と思っいた。

 

「そういえば一夏さん」

 

昔の事を思い出していると、アトラが聞いて来た。

 

「ん?なんだアトラ」

 

「今まで気になっていたんですけど、その首にかけてる綺麗なペンダントは誰かに貰ったんですか?」

 

一夏の首にかけたペンダントに指さす。

 

「ああ、これか?これは昔、よくしてもらった知り合いに貰ったんだ。今は訳あって会えないけどな…」

 

「…そうなんですか?」

 

一夏は三日月とオルガ以外に自分の素性は明かしていないので誤魔化しながら教える。一夏と三日月は食べ終えた食器を片付ける。

 

「あ!そうだ。二人共ちょっと良い?」

 

「ん?なんだアトラ」

 

「今からみんなにお弁当を届けたいんだけど手伝ってくれないかな?」

 

「良いよ。一夏は?」

 

「俺も良いぞ。丁度食べ終わった所だし。それでアトラ、弁当は?」

 

「ちょっと待って、今持ってくるから」

 

アトラはそう言うと厨房に行く。俺は食器を片付けてしばらく待つとアトラは大きなバックを二つ持って来た。

 

「お待たせ!」

 

「良し、行くか」

 

俺と三日月はアトラが持って来たバックを一つずつ持つ。

 

「え?持ってくれるの?」

 

「女の子に重い物を持たせるわけにはいかないだろ?こう言う力仕事は男の役目だ」

 

「一夏の言う通り。これは俺達が持つよ」

 

「……ありがとう、二人共」

 

「それじゃあ、行こうか」

 

「うん」

 

「ああ」

 

一夏達は作業中のみんなに弁当を届けるために食堂を出た。弁当の配達の途中にクーデリアと会い、少し話した後一緒に行く事になり今は倉庫に来ていた。

 

「みなさーん!お疲れさまー!お昼ですよー!」

 

アトラの一声に作業していた子供たちが集まって来た。

 

「ほら」

 

「ありがとうございます!」

 

「大丈夫だよ。まだあるから」

 

「ど、どうぞ」

 

「ありがとうお姉ちゃん」

 

「はい」

 

「ありがとう一夏さん」

 

一夏達は子供たちに弁当を渡した後、トレーニング中の昭弘に渡すためトレーニングルームに向かった。トレーニングルームに着くと三日月は弁当を一つ持って入る。

 

「昭弘、昼飯」

 

「ふぬう、ああ、そこに置いといてくれ。ふん」

 

昭弘は腹筋をしながら弁当を置いとくよう三日月に頼む。

 

「じゃあ、ここに置いとく」

 

「三日月、一夏。後でシュミレーター、付き合えよ」

 

「うん、良いよ」

 

「俺も良いぞ」

 

昭弘と約束をし、最後にモビルスーツの格納庫に向かうためにエレベーターに乗る。

 

「じゃあ、そのテイワズって人の所に行くの?」

 

「アトラ、テイワズは人じゃなくって会社の名前だ。だよな、クーデリア?」

 

「ええ。ただ、仲介に頼める人物が居ないので簡単にはいかないようですね」

 

 

「ふ~ん」

 

その中で三日月は興味無さげに呟く。

 

「ふ~んって、興味ないのですか?大事な事ですよ?」

 

「別に?オルガがちゃんとしてくれるだろ?大体、あんたがなんで地球に行くのかを良く分かってないし」

 

「え!?私達、地球へ行くの!?」

 

「言ってなかったっけ?」

 

「う、うん。でもどうしよう。おしゃれな服とか持ってないのに」

 

「そのまんまで良いんじゃないの?」

 

「だって、地球に行くんでしょ?田舎者だって思われないかな?」

 

「いや、服は貴族以外は対して変わらないと思うぞ?」

 

「私が地球に行くのは、火星の人々の自由な暮らしを勝ち取る為です。300年前の厄祭戦によって、再分化されていた地球の国家群が四つの経済圏に統合されてたのは知ってますよね?」

 

「知らない」

 

「あ、そうですか。一夏の方は…」

 

「俺はある程度は…」

 

一夏はこの世界の知識については身につけており、歴史についてもある程度身につけている。クーデリアは気を取り直して話を進める。

 

「それを受けて火星、木星などの圏外圏でも、それぞれの経済圏による分割統治が積極的に進められました。クリュセ自治区は経済圏の一つアーブラヴの支配下に入ったのですが開拓時代に結ばれた不利な惑星間経済協定の名目の下、長年の不当な搾取にさらされてきたのです。この状況を改善するために私は地球のアーブラヴ政府と交渉を続けました。そして先日、アーブラヴ代表である蒔苗東護ノ介氏が対話のテーブルにつくことを初めて了承してくれたのです。私の目的は火星の経済的な独立を勝ち取る事、それが全ての火星の人々の未来につながる事を信じています」

 

クーデリアは地球へ行く理由の説明が終わるとアトラは拍手をする。

 

「クーデリアさん凄い!」

 

「ふ~ん。じゃあ、あんたが俺達を幸せにしてくれるんだ」

 

「え?」

 

クーデリアは三日月の言葉に一瞬呆けた顔をするが直ぐに顔を引き締める。

 

「ええ、そのつもりです」

 

「(だいぶいい目をするようになったな…クーデリア)」

 

エレベーターの扉が開くと一夏達はエレベーターから出た。格納庫に着くとおやっさんと数人の子供たちがモビルスーツの整備をしていた。

 

「お疲れ様で~す。お弁当で~す!」

 

「おう…ありがてぇ。お~い!区切りの良い所で飯にしようやぁ!」

 

「了解!」

 

「やった飯だ!」

 

区切りを着いた子ども達が一夏達の所に集まりみんなに弁当を渡す。

 

「俺もこっち手伝おうか?」

 

「ああ、力仕事の時にな。今は細かい調整をやっているからよ。一夏はともかくお前は字を読めねえだろ?」

 

「そうか、分かった」

 

「三日月、貴方字を読めないのですか!?」

 

「うん?」

 

「うんって…だってこんな複雑そうな機械を動かしているのに?」

 

クーデリアはバルバトスを見ながら言う。

 

「字を読んで動かすわけじゃ無いからね。モビルワーカーと大体一緒だし、後は…勘?」

 

「か、勘?」

 

「そんなに驚く事かな?」

 

「あの、学校とかには?」

 

「行ってないよ。行った事がある奴の方が少ないんじゃないかな?一夏は行った事があるんだっけ?」

 

「ああ、行ってたよ。途中までだけど」

 

一夏の場合、正確にはこの世界に来る前の事になるが、一夏の通っていた学校は英語の授業も一年の時点で行っている為、読み書きは出来るようにはなっている。

 

「まあ、生きてくだけで精一杯の奴が多いからな。マシな施設に居た奴はいくらかは教わってはいるんだがな」

 

「そうですか」

 

「配り終わったよ~」

 

配達を終わらせたアトラが戻って来た。

 

「アトラは字を読めるんだっけ?」

 

「うん!おばさんに教えて貰ったから」

 

「三日月、もし良かったら読み書きの勉強をしませんか?」

 

「え?」

 

「私が教えますから!読み書きができればきっとこの先、役に立ちます。本を読んだり手紙や文章を書くことで自分の世界を広げることができます!」

 

「うーん…」

 

クーデリアの話を聞いた三日月は少し考える。

 

「…いい機会だし教えて貰えよ三日月。お前がやりたいって言ってた農場に関する本とか読めるようになるぞ」

 

「そうか、じゃあ、やってみようかな」

 

一夏は後押しするように三日月に言うとやる気になった。そこにタカキと数人の子供たちが来た。

 

「俺も読み書きを出来るようになりたいです!一緒に教わっても良いですか?」

 

「俺も俺も!」

 

「俺にも教えてよクーデリア先生!」

 

「せ、先生?えっと」

 

クーデリアは困った顔で一夏達の方に向き、一夏は頷き後押しをする。

 

「良いんじゃないか教えて上げても。な、クーデリア先生?」

  

「い、一夏まで。…ええ、私で良ければみんなで勉強しましょう」

 

「やった!」

 

「すげぇ勉強!」

 

それを聞いた子供たちははしゃぎ始める。この光景を見ると日常と言うものがどれほど大事なのかみに染みる一夏だった。

 

「みんな偉いわね。うん!じゃあ私も教えて上げるからいつでも聞いてね」

 

アトラがそう言うと子供たちは嫌そうな顔をする。

 

「ア、アトラかぁ」

 

「俺、クーデリア先生が良いなぁ」

 

「俺もクーデリア先生に教わりたい」

 

「む!何よ!何が不満なの!」

 

「落ち着けってアトラ」

 

一夏はアトラをなんとか宥める。その後一夏は格納庫に残り、三日月達は読み書きを教わる為別の場所に移動した。

 

「おやっさん、俺は何をやればいい?」

 

「ああ、お前にはマルコシアスの整備を頼む」

 

「了解」

 

残った一夏はおやっさんと共にマルコシアスの整備をすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…リアクターの調整って難しいな。それに所々変な負荷がかかっててこの辺は専門家に任せないと無理な範囲だな。はあ、束さんが居れば簡単に治せたのかな…」

 

一夏は技術者の束のことを思い出す。一夏の中では彼女が本当の天才であり。この世界の技術も数日もすれば理解できるし改造や修理も出来ただろうと想像していた。

 

そう思っているとおやっさんが一夏の様子を見に来る。

 

「一夏、マルコシアスの方はどうだ?」

 

「お手上げですよ。こればかりは専門の技術者に聞かないと分かりません」

 

「そうか、まあしょうがねえよ。バルバトスはろくな資料がない上、マルコシアスに関しては何かしらのロックがかかって閲覧も出来ねえしな…」

 

「そうですね」

 

バルバトスは資料がろくにない為ある意味お手上げ状態だが、マルコシアスには何かしらのデータ資料が存在しているが、セキュリティロックがかかって閲覧出来ない状態だ。

 

「その、おやっさん」

 

「ん、どうした?」

 

「その、中々言えなかったんですけど…初めてマルコシアスを起動した時何か映像のようなものが頭の中に流れ込んできたんです」

 

「映像?一体何を見たってんだ?」

 

「その、なんというか…目の前にモビルスーツとは違う腕が6本もある大きな機械の化け物がいてそいつを難なく倒していく光景が見えたんです」

 

一夏はあの時の光景を思い出しながらおやっさんに説明する。

 

「腕が6本?そりゃ確かに化け物じみてんな」

 

「冗談でそんな事いいませんよ」

 

おやっさんはしばらく考え込み一夏はマルコシアスに触れる。

 

「あの時、お前は俺に何を見せたんだ…マルコシアス」

 

初めて起動させた際に何かしらの映像を見ているのを思い返していると一夏とおやっさんは出来る範囲で整備をしていくと突然警報がなった。

 

「なんだ?」

 

「おやっさん、少し外します!」

 

「お、おう」

 

一夏は急いで格納庫から出てブリッジに向かう。何があったのかを聞くとフミタンから他船からの停止信号と伝える。

 

『ガキども!!俺の船を返せ!』

 

突然モニターに鉄華団にとって見知った顔が映る。

 

「マルバ⁉︎」

 

目の前に人物を見て驚く一同。モニターに映る男はかつてのCGS社長マルバ・アーケイだった。

 

今作一夏のヒロインについて

  • クーデリア
  • アジー
  • オリヒロイン
  • 元の世界に戻った際のISのヒロインの誰か
  • 作者に任せる
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