インフィニット・オルフェンズ 鉄の華   作:狼ルプス

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鉄華団VSタービンズ

 

『この泥棒ネズミ共が!俺のウィルオー・ザ・ウィスプを今すぐ返せ!』

 

怒り心頭で何度も船を返せと言い続ける男。目の前のモニターに映っているのはCGSの元社長であるマルバ・アーケイだった。

 

「(いや、前も思ったけど長いだろ…)」

 

一夏はイサリビの前の名前の長さに内心でツッコむ。

 

 

「ユージン」

 

オルガはユージンを呼び無言で指を差す。ユージンは何をすれば良いのかすぐにわかりモニターを自分の所に映す。

 

「黙って聞いてりゃあ、さっさと逃げ出した腰抜け野郎が!ふざけた事を言ってんじゃねえぞ!」

 

『誰だてめえ!オルガ、オルガを出せ!!』

 

しばらくすると画面が切り替わり、白いスーツとハット帽を被りこなす男が出て来た。

 

『な、何を『ちょっと退いとけ、おっさん』あ、ああすいません』

 

『さっきからさっぱり話が進んでねえ、あくびが出るぜ。なあ?』

 

「……あんたは?」

 

『俺?俺は名瀬・タービンだ。タービンズって組織の代表を務めさせてもらっている』

 

「鉄華団の代表…オルガ・イツカだ」

 

『何が鉄華団だ!この!』

 

『このマルバ・アーケイとは前の仕事上の付き合いがあってな』

 

目の前の男、名瀬・タービンは今回の事を話し始める。

 

『んで、たまたま立ち寄った火星で久々に再会したんだがえらいボロボロでよぉ。話を聞くとギャラルホルンと揉めて困ってるって言うじゃねえか。んで、俺らんとこなら奴らが手出し出来ねえようにしてやれるんで力を貸そうか?って話になってたんだが』

 

「俺ら?」

 

「タービンズってのはテイワズ直参の組織だ」

 

「何?」

 

「組織の規模はまだ小さいけどあの名瀬って男はテイワズのトップ、マクマード・バリストンと親子の杯を交わしてる」

 

「そりゃあ大物だな」

 

「最悪の展開だよこれは。テイワズまで敵に回したらお終いだ」

 

「確かに、下手したら今後にも影響が出かねないな。どうするオルガ?」

 

「いや、これはチャンスだ。俺達だってテイワズの後ろ盾は欲しかったんだ。その足掛かりをマルバが連れて来たって事なんだぜ?」

 

『おいおい、俺と話している時にこそこそやるな。男同士で仲良いなお前ら?』

 

「おっと済まねえな、続けてくれ」

 

オルガはさっきの事は気にせず名瀬と話の続きを促す。

 

『そうかい』

 

「慎重にね。オルガ」

 

『でなぁ、手助けの駄賃としてCGSの全ての所有物を全部うちが預かるって条件でまとまったんだがよ。調べてみたらどうだ、書類上CGSは廃業、全ての資産は鉄華団とか言うのに移譲されてるじゃねえか』

 

「つまりあんたはマルバから取り損ねたのを俺達から取り上げようってことか?」

 

『そう構えなさんな。ギャラルホルンとの戦闘はこの目で見させてもっらた』

 

「(あいつら、この前の戦闘を見ていたのか?)」

 

『ガキにしちゃあ大したものだ、資産の返還に応じてくれりゃあお前たちのことは悪いようにはしねえよ。うちの傘下でもっと真っ当な仕事を紹介してやる。命を張る必要がねぇ真っ当な仕事をな』

 

「はあ?なんだそりゃ?」

 

『何を馬鹿な!!俺に逆らう汚ねえガキは皆殺しだ!!』

 

「(うるさい、話が進まないな…)」

 

一夏は苛立つがこの場で怒りを露わにしても意味がないので冷静になる。

すると名瀬の隣に居た女性がマルバを無理矢理引き離す。

 

『ま、お前らも結構な大所帯だからな、この先も全員一緒って訳にもいかないからな』

 

「あんた正気か?」

 

『冗談に聞こえたか?』

 

「……みんなバラバラになるのは…嫌だな」  

 

「オルガ!」

 

「悪いなタービンさん、あんたの要求は吞めない」

 

『ほう』

 

「俺達には鉄華団として受けた仕事がある。途中で投げ出すわけにはいかねぇんだ」

 

「あの!私は地球までの護衛を彼らにお願いしています。今鉄華団が無くなられては困るんです」

 

話の途中ブリッジに来たクーデリアが名瀬に話しかける。

 

『あんたがクーデリア・藍那・バーンスタインか。お嬢さんの件は複雑でな、マルバの資産って扱いらしい」

 

マルバの資産と言う言葉に全員が疑問符を浮かべる。

 

「資産?」

 

「どういう意味だ?クーデリア、何か知ってるのか?」

 

「いえ、私はなにも…」

 

一夏は何か知っていると思っていたクーデリアに聞くが彼女本人ですら何もわかっていない状態だった。

 

『…こいつはマクマードの親父に確認しねぇとな』

 

「あの、一ついいですか?」

 

『んん?なんだぁ、丸いの?』

 

「ビスケット・グリフォンと言います」

 

『あ!美味しそうな名前!』

 

「(……変な事を言ってたが気にしないでおこう…)」

 

 

『そのビスケット君が何だ?』

 

「今この場で鉄華団としてタービンズと取引させてもらう事は出来ませんか?」

 

ビスケットの言葉にユージンは何か言おうとするがビスケットはユージンに少し睨んで黙らせる。

 

「俺達はクーデリアさんを地球まで送り届けたいんです。この仕事を成し遂げるにはギャラルホルンの監視を避け、地球まで航路を確保できる案内人がいります。タービンズはテイワズの輸送部門を管理してますよね?その航路を使わせてもらえませんか?もちろん相応の通行料はお支払いします」

 

『駄目だ!話にならん!』

 

「どうしてですか!?」

 

『火事場泥棒で組織を乗っ取ったガキが一丁前の口をきくな!俺はなあ、さっきから道理の話をしてるんだよ』

 

「俺達を見殺しにした腰抜け野郎と取引をしといてそれを言うか?あんな野郎より下に見られているのは面白くねえ」

 

『じゃあお前らはどうすんだ?ガキじゃねえってんだったら、俺を敵に回すくらい分かってんだろうな?』

 

「……さっき言った通りだ。あんたの要求は吞めない。あんたの道理がどうだろうと、俺達には通さなきゃいけねえ筋ってものがあるんだ」

 

『……それは、俺達とやり合うって意味で良いんだよな?』

  

「ああ、俺達がただのガキじゃねえって事を教えてやるよ。マルバ、てめえにもな」

 

『はあ?』

 

「死んでいった仲間のけじめ、きっちりつけさせてもらうぞ」

 

『ふざけるな!それよりオルガ!この前の戦闘に出て来たもう一機の白いモビルスーツはなんだ!』

 

「(マルコシアスの事か…マルバや一軍連中には存在自体教えてなかったな。驚いた顔が見たかったよ…)」

 

一夏はマルバの言っていた白いモビルスーツがマルコシアスとすぐにわかった。

 

「……それをあんたに言う義理もつもりもねぇ、切るぞ」

 

『待て!オル…』

 

マルバが何か言おうとしていたがオルガは無理矢理切った。

 

「慎重にって言ったじゃないか!交渉の余地はあったはずだ!」

 

話が終わった瞬間ビスケットはオルガに怒鳴る。慎重派のビスケットが怒鳴るのも無理もなかった。

 

「分かってるけどな、通すと決めた筋は曲げられねえよ」

 

オルガがビスケットに筋を曲げられないと答える。それを聞いたビスケットは黙る。

 

「敵艦にケツを取られちゃいるが、鉄華団の力を見せつけるにはむしろ好都合だよな。お前ら?」

 

「当たり前だろ!」

 

「おう!目にもの見せてやろうぜ!」

 

「テイワズとの渡りをつける千載一遇のチャンス、ものにするぞ!」

 

「「「「おおぉぉぉぉぉぉ!!」」」

 

「…ふぅ、気合い入れないとな。と、そうだ、オルガ…ちょいといいか?」

 

「ん、なんだ一夏?」

 

「ちょいと耳かして…」

 

一夏はオルガに伝えるとオルガはニッと笑い了承する。

 

「へっ、そりゃいい。その時の反応が楽しみだ」

 

「ああ、マルバの奴に相応しい結末を迎えさせてくれ」

 

 

一夏は静かに気合いを入れ、オルガの指示でイサリビは戦闘体制に移行しブリッジに居た一夏と三日月、別室に居た昭弘もオルガの指示で出撃の為に動いた。

 

スーツに着替え終え、マルコシアスコックピットに向かう。主力武装は変わらず大太刀、右腕に装着されているシールド、前回の戦闘でグレイズから奪ったライフル一丁とワイヤークロー、一夏はマルコシアスを起動するため、コックピットの中に入ろうとすると突然おやっさんが声をかける。

 

 

「悪いな一夏、バルバトス同様こんな中途半端の状態で出させるのは申し訳ないが」

 

「大丈夫です。別に気にしてませんから」

 

おやっさんにそう言った後一夏はマルコシアスのコックピットの中に入り阿頼耶識を接続し、システムを起動させおやっさんが離れているのを確認しハッチを閉じる。

 

 

「……やっぱり、所々負荷が掛かってるか。こればかりはマルコシアスを信じるしかないか。いつか絶対に万全な状態に修理させてやるからな…」

 

一夏はマルコシアスを信じて操縦桿を握る。起動が完了すると機体がカタパルトに固定されハッチが開く。

 

『カタパルトスタンバイ。出撃、どうぞ』

 

「織斑一夏、マルコシアス…出撃する!」

 

カタパルトから射出され、敵へ向かう。後ろから三日月のバルバトス、昭弘のグレイズ改が来る。

 

「お待たせ」

 

「待たせたな一夏」

 

「待ってないよ。それより二人共、来たぞ」

 

前方に敵を二機、確認出来た。

 

「俺が青色の方を、三日月と昭弘はピンク色の方を!」

 

『『了解/分かった』』

 

一夏は二人に指示を出して二手に分かれ、ライフルを青い機体へ向けて撃つ。青い機体はそれを回避しマシンガンを俺に向けて撃つ。一夏それを回避し、ライフルを撃ち続ける。青い機体に数発当たるが距離が遠いせいであまりダメージを与えられなかった。

 

「やっぱ遠くだと効かないか。もっと近づかないと」

 

一夏は接近戦に持ち込む為青い機体に近づことした時突然イサリビから通信が入る。

 

『一夏!三日月!昭弘!』

 

「どうした?ビスケット」

 

『今、イサリビにモビルスーツの攻撃を受けているんだ!』

 

「な!?もう一機居たのか!?」

 

『ああ、しかもそいつ、かなり足が速くてね。イサリビからの攻撃じゃ当てる事が出来ない』

 

「機動力に特化した機体か…分かった。三日月、明弘、前の二機を頼む。俺はイサリビの援護をする」

 

『了解』

 

『ああ。任せろ!』

 

 

一夏は相手をしていた青のモビルスーツから背を向けそのままイサビリのの方へ向かう。

 

『行かせないよ!』

 

一夏の相手をしていた青いモビルスーツは追いかけようとするが

 

 

『邪魔はさせないよ』

 

三日月のバルバトスが一夏を追いかけようとしたモビルスーツを妨害し一夏はそのままイサリビへ全速力で向かっていく。

 

 

 

 

 

 

一夏は三日月と昭弘に敵を任せ、イサリビの方へ向かい、イサリビに攻撃している敵モビルスーツを確認する。

 

「あれか!」

 

イサビリを襲っている敵のモビルスーツは大型のバックパックを装備し、物凄い速さで移動しており、一夏は狙いを定めてライフルを敵モビルスーツに向けて撃つ。

 

「俺達の船に…手を出すな!」

 

敵はマルコシアスに気づくと予想以上の速さで後ろを取る。

 

「何っ…ぐあ!?」

 

一夏の予想外の動きをした為敵からの攻撃を受け、脚のスラスターを破壊される。

 

「くそ!」

 

残ったスラスターを吹かし、ライフルを敵に向けて撃ちながら追いかけるが全て当たらない。高速移動をしているのに関わらず的確に攻撃を当て続ける。

 

「ぐ!?」

 

敵の攻撃が装甲に当たり一部が破壊される。敵は一夏の周りを回りながら攻撃し続ける。

 

「く!このままじゃ埒が明かない!」

 

何とかこの状況から脱しようと考える。すると敵がこっちに攻撃しながら突っ込んで来た。敵の攻撃を受け、頭と胴体、そして左肩の装甲の一部が破壊される。

 

「くっ……そこだぁぁぁぁぁ!!」

 

だがこのチャンスを逃すまいと一夏は左腕のワイヤークローを射出させ、敵を拘束する。

 

「捕まえ…うおっ!?」

 

敵がいきなりスラスターを吹かして無理矢理引き剥がそうとする。

 

「ぐうぅぅぅぅぅ!な、なんで速度だ…(やっぱ慣性制御が万全じゃないからもろに来るな)!!」

 

 

敵はかなりの速度で振り回し一夏は歯を食いしばり強烈なGに気合いで耐え続ける。敵モビルスーツに振り回されながらもライフルを撃ち続けていると敵モビルスーツから通信が来た。

 

『そっちは慣性制御が追いついてないんでしょ?早く離さないと苦しいだけだよ?』

 

「え…こ、この声…」

 

敵パイロットの声に一夏は初めてこの世界に来て以来の驚愕をしていた。なぜなら、その声は紛れもなく前の世界の幼馴染の声にそっくりだったからだ。

 

「そ、その声…箒…なのか?」

 

『はあ?あんた何言ってんの?私はホウキって掃除道具の名前じゃないわよ!』

 

「す、すみません…(そうだ…何勘違いしてんだ俺…この世界に俺の知ってる人がいるはずがないだろ)」  

 

一夏は戦いの中だと言うのに素直に謝罪するのだった。

 

『ありゃ、結構素直じゃん。それよりも早く離したら?このままじゃ身体が保たないよ?』

 

「お気遣いどうも……けど離したらお前はまたイサリビを沈めに行くんだろ?」

 

『戦いってのはそうゆうものでしょ?』

 

「ごもっともだ。じゃあなおさらオルガ達の邪魔をさせる訳にはいかないな!」

 

一夏はライフルを敵に向けて再度撃ちだすが…敵は銃弾を躱し、目の前にあった岩に叩きつける。

 

「ぐっ!」

 

『バイバイ少年。楽しかったよ♪』

 

マルコシアスを叩きつけた敵はその場を離れようとする。

 

「逃がすか……よ!」

 

一夏は易々と逃すわけがなく、岩に大太刀を深く差し込み踏ん張りながらワイヤーを引っ張る。

 

『うえ!?』

 

敵はまさかの事態に声を上げ、そのまま同じ岩に叩きつけ、その隙に突き刺していた大太刀を折って刃折れの状態で振り上げる。

 

『ちょっ…自分で武器折るって!』

 

「これで!」

 

一夏はそのまま刃折れの大太刀を振り下ろす。

 

『く!舐めるなぁぁぁぁ!!』

 

突然、敵機体のバックパックから腕が展開される。

 

「な!?」

 

一夏は腕が展開された事に驚き、敵は右腕に持ったシールドでを受け流す。

 

「往生際が悪いな、あんた…」

 

『あんたこそ、しつこい男は嫌われるわよ』

 

「生憎こう言うのはしつこいタチでな『ミカ!一夏!昭弘!話はついた!』!オルガ?」

 

突然、オルガから通信が入った。

 

『手間かけさせたなアミダ、アジー、ラフタ。戻って来てくれ。こいつらの話を聞く事にした』

 

そして次に相手側の通信からは名瀬の声が聞こえた。相手は途中で戦闘が終わった事に不服そうに言い、一夏は息を整える。

 

「はあ、終わった…のか?」

 

『そうみたいだよ。あ~あ~、良い所だったのに~』

 

「……そうか…終わったんだな……とっそうだ。オルガ」

 

『なんだ一夏?』

 

「マルバの奴、どうなった?」

 

『へっ、泡吹いて気絶してるぞ。傑作だったぞありゃ…』

 

「そっか、まっ…落とし前としては十分か。殺されないだけ感謝してほしいな…」

 

上手くいったのが分かると一夏は力を抜く。

 

 

 

 

「お疲れ様…マルコシアス。無理させてごめんな…」

 

 

一夏はボロボロになったマルコシアスにここまで頑張ってくれた事に労いの言葉をかける。その時一夏の労いの言葉に反応したのか、少しだけツインアイが光を増していたが、それに気づく事はなかった。

 

 

なんとか戦い抜いた一夏達はその後すぐオルガから帰投しろと指示され、イサリビに戻った。

 

しかし今回の戦いで鉄華団は主力戦力である一夏と三日月のモビルスーツ、マルコシアス及びバルバトスは機体のダメージが酷く、まともに戦えない状態になってしまった。

今作一夏のヒロインについて

  • クーデリア
  • アジー
  • オリヒロイン
  • 元の世界に戻った際のISのヒロインの誰か
  • 作者に任せる
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