Machinery Gear Armies 作:ナイン(あかいろのすがた)
更新自体は続けていくつもりなので、他にやることの間にでも読んでください。
イベント開始まで後10分。少年はルーク達と共に、町の中央の広場に集まっていた。
「凄い人数ですね」
「だね。多分ログインしているプレイヤーのほとんどがここに居るんじゃないかな」
その発言が間違いではないと思えるくらい周囲はプレイヤーだらけだ。同クランのメンバーが優先的にチームに分けられるのも理解できる。
「同じチームではなかったですけど、お互い頑張りましょう」
「ああ、幸運を祈る」
「絶対勝とうな!」
ルーク達と別れ、すぐ近くの広場を見渡せる高台へと向かう。広場の上空には開始までのカウントダウンが表示されており、気がつけば1分を切っている。
「どうなることやら」
やれる準備は全てやった、練習も万全だ。きっとイベントの結果はなるようになるだろうという自信もある。それでも、成功が約束される訳ではない。
カウントダウンがゼロになる。視界が白く染まりしばらくすれば、少年は見慣れぬ拠点らしき場所に立っていた。デバイスを確認してみれば、現在地は『ALL FOR ONE防衛拠点K地点』と書かれている。
既にイベントは開始された。ならば行動を起こさなければならない。デバイスで自身の機体の場所を確認し、他に目もくれず走り出す。
眠れる獅子が、世に知られる時が来たのだ。
レーダーの反応を頼りにフィールドを歩き回る。イベント中は民間企業へ依頼ができないようで、防衛拠点のガレージから歩いて出撃しなければならない。
ただ補給は受けられるようなので、ブーストや実弾武器はいざというときは使用して構わないだろう。
「あ、なんか小さいのがいる」
エネミーに近づいて見ると、膝丈くらいの大きさのMGAとも呼べないロボットが何体か密集して歩いていた。こちらに気づいたようで向かってくるが動きは遅い。
万が一にも外さぬよう狙いをつけ、1体ずつ確実に処理する。いつも通り残骸からドロップ品を回収すると、イベント用と書かれているものが含まれていた。これが兵器を起動するための素材というわけだ。
「どれくらい必要なんだろう……」
遠くへ進みながら集める素材の量を考える。イベントの主目的が簡単に終わるようにはなっていないだろうから、きっとかなりの数を用意することになる。効率良く集める準備をすべきだ。
だがそこでもたつけば相手が先に兵器を起動してしまう。戦いに勝つためにはこれら2つの塩梅を見極めねばならない。一度に多くの素材を集められればその負担も減るはずだ。
より多くのエネミーを求め、機体は荒野を進んで行った。
ある程度の素材が集まったので、拠点へ戻ってきた。こちらの姿を視認した同チームのメンバーから通信が届く。
『ドロップ品を向こうのガレージで集めてるから、そっち行ってくれ』
「分かりました」
誘導に従い歩き出す。開いているベッドの1つに機体を置くと、すぐさまプレイヤーが1人近づいてきた。コックピットから出てこちらも近づく。
「お疲れ!ドロップ品どれくらいある?」
「えっと、インベントリの中身はこんな感じです」
「助かる!」
男は満面の笑みで乗ってきたバギーに素材を移す。その後、思い出したように話し出した。
「そういえば、真ん中の方で素材集めのパーティーを編成してるらしいぜ。1人だと大変だろうし、行ってみたらどうだ?」
良い情報を聞いた。確かにパーティーならより多くのアイテムを持ち運べるし、戦闘の危険も減る。男に礼を言い拠点の中央、攻撃兵器の足元へ歩き出す。
15分程歩けば、数人が固まって何か話しているのが見えた。聞こえてくる話題からして、あれが探していた集団だろう。声をかけると、話を纏めていた男が返事をした。
「おや、君はパーティーに参加してくれる人かい?」
「一応、そのつもりで来ました」
「ちょうどいい。あと1人誰か来るのを待っていたんだ」
こちらへ、と促す男性の後ろを見ると、3人のプレイヤーが雑談をしていた。話の流れから察するに、彼らがパーティーメンバーになるのだろう。
「始めまして」
「おっ、よろしくー」
「こちらこそ、始めまして」
「君が最後のメンバー?よろしくね」
先に挨拶をすれば、彼らも挨拶を返してくれる。悪い印象は感じないので、問題なく共に行動できそうだ。
「よし、それでは事前に指示した場所で狩りを始めてくれ。今来た少年には君達から説明を頼む」
「了解です」
一番礼儀正しそうな者が返事をし、ガレージへと歩き出す。後ろからついていけば、来た時と同じくらいの時間で機体の元に到着した。
「全員、出撃してくれ。君には歩きながらデータを見せて説明を行う」
パーティーにそう言った後、こちらを向いて礼儀正しい男は言った。その言葉に従い機体に乗り込む。外に出れば、仲間の機体も待機していた。
「……今から集団行動か」
仲間の機体を目にしたことで、ようやく実感が湧いてくる。苦手意識とまでは言わないが、結局ルークさん達とパーティーを組んだ以外の経験はないし、その経験もマトモなものとは言えなかった。
「いや、きっと大丈夫だ」
後ろ向きになりそうな気持ちを誤魔化すように呟く。チームの和を乱さないために自分から行動したのだから、その結果で迷惑をかけるわけにはいかない。
決意を強くした少年は、仲間からの通信申請にYESを押した。