Machinery Gear Armies   作:ナイン(あかいろのすがた)

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第3回イベント。その4。

 

違和感に最初に気づいたのは少年だった。

 

「……皆さん、何かおかしくないですか」

 

『どうしたんだよ?』

 

「ほら、あそこに」

 

少年が指差した先にはエネミーの残骸があった。それだけなら不思議な光景ではないが、今いるエリアを通るときにエネミーを倒した記憶が彼にはなかった。

 

なのにエネミーが倒された痕跡がある。ということは誰が他の者がここに居ると考えられる。

 

「シュールさん、誰ががこの辺りに来た連絡は?」

 

『少しお待ちを。………いえ、誰もいないようです』

 

拠点と通信中だったシュールに問いかけるが、答えは否。ならばこの残骸は一体────

 

そこまで思考が巡った所で、ようやく少年は事態を把握した。状況を仲間に説明しようとした瞬間、横にいた男の機体がビームで貫かれる。

 

「っ、隠れて!」

 

攻撃された方向から逆に逃げ大岩に隠れる。残る2人の仲間も同じように動いたのを確認してから、即座にビームを発砲した。

 

4体いた機体の内先頭のものが爆散するが、残りは即座に散開しこちらを各個撃破しようとする。

 

通信を聞いたが仲間は動揺を抑えられていない。今無理に合流しても連携は困難。ならばすぐに敵を倒し仲間の援護に向かうべきだ。ビームライフルを構え迫る敵機を見据える。

 

牽制のビームを放ちながら歩いて接近してくる敵を射撃するが、ブーストにより横へ回避される。勢いを抑える隙を狙い2射目を行うもまたもや回避。ビームはあらぬ方向へ向かっていった。

 

再度ブーストを吹かし敵が近づいてくる。牽制を行いつつブレードを展開すればとっくに両機は至近距離、最早逃げる術は存在しない。

 

と思っていたパイロットをあざ笑うが如く機体の腹に膝蹴りが刺さる。ブレードを振るうため伸び切っていた腕では対処が間に合わず、吹き飛ばされた敵機は地面に背をつける。

 

しまった、と理解はしていてもどうにもならない。初期機体同然とは思えない動きに驚きながら、構えられるライフルを見ていることしかパイロットにはできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コックピットが抜け落ちた機体の横を全速力で進む。他の2人は引き撃ちをしながら離れていってしまったので距離が遠い。

 

「援護間に合うか……?」

 

通信はいつの間にか閉じられていたのでレーダーを頼りに荒野を駆ける。そう時間を置かずにシュールを見つけられたが、彼の機体の左腕はなくなっていた。

 

ビームライフルをベルトから引き抜き射撃する。不意をついた一撃はコックピットを破壊し、仲間の危機など嘘のような静寂が訪れた。

 

「大丈夫ですか?」

 

『……はい、なんとか』

 

聞こえてくる声に覇気はなく、失敗を悔いる感情に満ちていた。その気持ちを気遣いたいところだが、もう一人を助けに行かねばならない。

 

『待ってください、もうダメです。パーティー欄の名前が黒くなっていますから』

 

反対方向に向かおうとした少年に声がかけられる。パーティー欄の名前からは確かに光が消えており、話の流れから察するとやられたプレイヤーの表示は黒く変化するのだろう。

 

『あの人を追いかけた機体の武装は強力でした。恐らく、僕たちが2次応募組だと機体から見抜いたのでしょう』

 

あくまで冷静にシュールは持論を述べていく。実際自分達の装備は初期の武装の強化版程度の物であるし、他の機体にシュールは撃墜されかけていた。

 

『助けてくれてありがとうございます。……2人の機体の残骸を、回収しておきましょう』

 

幸い歩行は問題なく行えたシュールと共に、襲撃された地点へ向かう。初手でやられた男の機体に回収の依頼を出し、もう一人が逃げた方向へと進んでいった。

 

途中で残った敵に襲われないか警戒していたが、どうやら杞憂だったようだ。少年とシュールの目の前では2つの機体がお互いの胸を貫いている。つまりは相討ちになったのだ。

 

『不意打ちを受けたのに、よくぞここまで……』

 

呟きながらもシュールはデバイスを操作し回収依頼を出す。どちらの機体も損傷は少ないので、短期での接近戦が行われたのだろう。

 

周囲を警戒しつつしばし待機する。その間にシュールは通信で襲撃を受けたことを報告していた。

 

『……はい。襲撃された地点はここです。……4機でした。まず一人が落とされ、その後仲間が……』

 

その後も通信は続いたが、エネミーも襲撃者も現れることはなく回収のヘリは到着した。敵味方どちらの残骸もコンテナに詰め込んだ後、2人もそれぞれのコンテナに乗り込む。

 

「お疲れ様でした」

 

『はい、お疲れ様でした』

 

労いの言葉をかけ、背筋を伸ばす。今回の戦いは今まで以上に厳しいものだった。自分を追う敵こそすぐに対処できたが、仲間の援護はほとんどできず、辛うじて最後に間に合っただけ。

 

やはり単純な力だけでは通用しない。戦場の厳しさを痛感しながら、少年達は拠点へ帰還した。

 

 

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