Machinery Gear Armies   作:ナイン(あかいろのすがた)

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チュートリアルと大苦戦。その3。

 

 

 

挑戦開始から20日目。

 

彼は他のチュートリアルステージを再びプレイしていた。

 

あれから何度も挑戦を行い最後の発光状態までたどり着いた回数も大きく増加した。故に分かったことがある。

 

 

 

あれに勝つのは不可能だ。

 

 

 

この結論はなにも奴が強すぎて勝てないことの言い訳ではなく、物理的に対応が間に合わないのだ。後手で動いていたのではそのまま撃墜される。相手の動きを予測し操作してもそれを見てから動きを変えられ撃墜される。発光状態になる前に全力で距離を取ってもそれ以上の速さで一瞬で追いつかれ撃墜される。

 

挙句の果てには両足をちぎってやったのにも関わらず意味の分からないブーストとビームライフルの連打で敗北した。ビームライフルはあんなに連射できないはずですけどねぇ……。

 

しかし、全敗のデスマーチの中で何の発見もなかった訳ではない。奴が発光状態になる条件、それが分かったのだ。

 

奴の機体の体力が3割を下回ること、恐らくはそれが条件。

 

厳密にHPが定められているゲームではないので、あくまでその数値の算出は目分量だが、これはほぼ間違いない。

 

だが、この情報を活かし敵機の体力を3割ギリギリまで削り発光状態に移行させずに倒そうとした時、奴が自分の左腕を引きちぎって発光しだしたのには目を疑った。正直勝たせる気ないだろと思った。

 

勝利への意欲こそ衰えずむしろ強くなってはいるが、とれる手段を全てやってしまって勝てずにいる以上手詰まりの状態だ。

 

なので気分転換がでらなにか忘れている情報がないかを確認しに、既にクリアした1から9までのチュートリアルをプレイし直しているというわけだ。

 

基本的な歩行訓練やブーストの使用方法、現在装備している武装の説明を聞いていくが、新情報と呼べるものは見つからない。チュートリアルをクリアした報酬も一度しか受け取れないので、実入りのある結果を得ることはできなかった。

 

ただ気分転換くらいにはなったので、そのまま次のチュートリアルをプレイする。今乗っている機体や、ゲーム本編の世界観の説明が読み上げられた。

 

Machinery Gear Armeis、略してMGA(マギア)。今まさに搭乗している人型兵器の名称であり、このゲームのタイトルでもある。

 

貴方は陰謀と戦乱が広がるこの世界で、MGAに乗り込み戦う傭兵として生きていくのだ!という世界観の解説が行われていく。

 

それが終わると、今度はゲームシステムの説明が始まった。

 

 

 

MGAに搭載されているエネルギー炉は、ヒカリ粒子というエネルギーを生み出しています。エネルギー武装のほとんどがこの粒子により稼働しています。

 

フィールドに出撃したMGAは、民間の輸送会社(NPC)に連絡することで回収することができます。ただし、このサービスを利用する度に費用が掛かります。

 

撃墜されたMGAも同様に回収することができますが、〈全壊〉状態になっているMGAは修復できず、一部のパーツを回収するのみが可能となります。

 

また、コアパーツを回収できれば、強化プログラムなどの特殊武装は次の機体に引き継ぐことができます。

 

 

 

ゲーム本編を開始していない彼にはまだよく分からない部分もあったが、目を閉じたまま、リラックスして音声を聞いていく。その数分後に説明は終わり、チュートリアルは終了した。

 

ゆっくりと目を開き、コックピットの中を見つめる。まるで懐かしいとでも言うように。

 

 

 

勝機は見つかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

挑戦開始から23日目。

 

敵MGAの加速の出だしをリボルバーで抑え、ビームライフルの銃口を傾け近くの建物に隠れるよう誘導する。影に姿が消えてしまう前に放たれたビームが、奴が持つ同じ弾を放つ銃を破壊した。

 

ビームライフルのクールダウンの隙をつくためか、敵機は即座にこちらに向かってくる。両手の銃器をベルトに納め、エネルギーブレードを展開した左腕を振り抜く、フリをする。

 

本当の目的は敵の右腕を掴むことだ。エネルギーブレードは手首から発生する。つまり根本を抑えれば動かすことができない。奴が左腕を使う前に胴体に握り拳で右ストレートを叩き込む。

 

ブレードを展開していない腕への警戒が弱まるのに気づいたのは17日目ごろだっただろうか。過去の戦闘を思い返しながら、再び引き抜いたライフルで今もこちらから距離をとる敵、その腰のリボルバーを狙撃する。

 

武装の破損も、奴の体力3割ラインに含まれるのはあらかじめ確認している。ということはつまり。

 

既に幾度となく拝んだ粒子の変色。赤く光り輝く怪物は、己との間にある距離を一瞬で無為に帰すことができるだろう。それにも関わらず奴は油断しない。真隣のビルの根本をブレードで崩し、こちらへの牽制を行う。しかもそれが本来の目的ではない。

 

真の狙いは大量の瓦礫が落ちることによって発生する爆風だ。瓦礫を回避している最中に視界を奪われるのは敗北に直結する。戦っている相手が怪物であれば尚更だ。

 

即座に飛び上がり、上から瓦礫が落ちてこないようにする。後方に下がっても圧倒的加速で殺されるだけだ。故にブースト方向の一瞬の切り替えを強制させる。たとえ誤差に過ぎないとしても。

 

レーダー上にて凄まじいスピードで動く点の位置を確認する。直線的に突っ込んでくる行動はこれ以上の小細工は不要と宣言しているに等しい。

 

だが上方向に逃げたことにより爆風で敵の視界も奪われる。MGAの来る方向へライフルを構え発射する。しかし当たらなかったようで怪物は目の前へと現れた。左腕のフェイントも今度は通用しない。腹部を貫かれ機体が爆発していく。

 

500を超える敗北を重ね、既に3週間近く経過している。終わりなどないと錯覚すらしてしまうほど高い壁。

 

 

 

それは恐らく()()()()()()()()()()()

 

訪れるであろう最後を心待ちにしつつ少年はログアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

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