Machinery Gear Armies 作:ナイン(あかいろのすがた)
6時間目の数学の時間。あくびを噛み殺しながら問題を解いていくとようやくチャイムが鳴った。ようやく学校が終わると安堵しながら荷物を纏める。
昨日はチュートリアルをクリアした後疲れて寝てしまったが、今日は金曜日。連休中の用事もないため家に帰ればMGAに集中できる。
掃除ののちSHRを終え、自転車を勢いよく漕いでいく。家までの距離は20分程度。汗をかき始めた頃には到着だ。
「ただいま!」
おかえり、と母が返事をするのを聞きながら自分の部屋に行きゲームを起動する。暗転していく視界の中でこれまでの戦いを思い出す。
いつものクセで選択しそうになったチュートリアルに、もう思い残すことはない。今日初めて、少年はゲーム本編を開始した。
視界が開くと、少年は既にコックピットの中にいた。どこかへ歩いているようで、目の前にはガレージのような巨大な建物がある。
近づくとシャッターが開いていき、機体は中に勝手に入る。操作レバーを動かしてみるが今は動かせないようだ。
周囲を見渡すと鉄のベッドのようなものが並んでおり、機体はそのうちの1つに背中をつける。すると手足が固定され、ベッドはゆっくりと倒れていった。
「おーい!こっちこっち!」
コックピットが開いたので外に出ると、横の足場から男が声をかけてきた。頭の上に何かのアイコンが出ている。
「こんにちは新入りさん。俺はレニー、しがないメカニックさ。あんたの荷物を渡しに来たんだ」
笑顔で自己紹介したレニーは、台車に載せられた箱から手帳くらいのサイズのものを取り出し手渡してきた。カバーを開くと画面が点灯し様々なメニューが表示される。
「それはこの街で生活するためのデバイスだ。あんたの機体の状況やクレジットの残高、地図に時間まで確認できる。詳しく知りたきゃ、ヘルプってとこを読んでみな」
言い切ったレニーが手招きしてきたのでついていくと、出口らしき扉が見えてきた。そこを通る。
広がる景色に圧倒された。
町並みはお世辞にも綺麗とは言えない。建物の高さもデザインもめちゃくちゃで、今にも崩れそうな階段や電灯も見える。
だが広い。チュートリアルの廃墟など比べ物にならない程に。地平線の果てまで町は続いている。幾ら時間をかければ隅々まで回れるだろうか。
「さあ、到着だ」
自慢げにレニーが言う。
「傭兵達の町、『グランギニョル』へようこそ。新入りさん?」
ああ、そうだ。ここからだ。
ここからが、本当の始まり。
チュートリアルの先。
MGAのスタートなのだ。
地図を見ながら町を歩く。どうやら内容は正確なようで入り組んだ地形も問題なく進んでいけた。
「……ここか」
クエストカウンターと書かれたモニターを確認し建物の中に入る。中には頭の上にアイコンのない人間、つまりプレイヤーも多く集まっていた。
「すいません、クエスト情報が欲しいんですけど」
「かしこまりました。デバイスをこちらへ」
人だかりを抜け受付に話しかける。指示に従いデバイスを渡すと受付はデバイスを端末に接続し何らかの操作をした。返されたデバイスを見ると新たなアプリが追加されている。
「こちらのクエストアプリはリアルタイムで内容が更新され、貴方様自身がクエストを発注することもできます」
受付に礼を言い建物を出る。試しにアプリをタップしてみると、NPCクエストとPCクエストの2つの項目が現れた。NPCの方を見てみると、初心者でもクリア出来そうなクエストがちらほらある。
集める素材がどのエリアにあるかも確認できるようだ。同じエリアで達成できるクエストにチェックをつける。
「……とうとう、だな」
エリアへ出撃すれば、初めての戦いが行われる。呆れる程の練習のおかげか緊張はないが、あくまで自身の機体は初期のものでしかない。
油断すればやられるだろうと気合いを入れ直す。どう戦うかの戦術を練りながらガレージへと戻って行った。