Machinery Gear Armies 作:ナイン(あかいろのすがた)
ブーストを使い横に移動しながらライフルを放つ。敵の弾がこちらの横を通り過ぎ、逆にこちらは機体のど真ん中を貫く。爆発により視界が白くなり、収まれば後には残骸だけがあった。
これで撃破したエネミーは7体目。ここ『最衰たる古戦場』に来てから10分足らずで遭遇した数とは思えない。今もレーダーには複数の反応がある。
「戦闘系エリアとは書いてあったが、この量はさすがに……」
素材の回収場所がなく、エネミーからのドロップを狙うのみとなっているという解説に偽りはなかったようだ。とはいえ全てのエネミーが至近距離にいるわけでは無く、近づかなければ戦闘にもならない。
しかし戦わなければ収穫もゼロだ。歩行でブーストを節約しつつエネミーに近づき、死角からライフルを放つ。胸部を撃ち抜かれた敵機はそのまま爆発した。
消耗を避ければ長時間戦い素材を集めることができる。また、機体ごと運搬より安い値段で素材運搬が依頼できるのでインベントリも問題ない。
そのまま狩りを続けること1時間。2回素材の運搬を依頼しさらに今のインベントリが半分くらい埋まったため、そろそろ引き上げる準備をする。
「素材、余らない仕組みで良かったな」
素材を集め過ぎたかと思ったが、クエスト達成には過剰な分の素材も安くはなるが買い取ってもらえるとヘルプに書いてあった。無駄にはならないだろう。
結局リボルバー等も使わずに済んだので、機体の整備代は最小限だろう。運搬を依頼し、ヘリが来る地点で待機する。
「……なに?」
レーダーに妙な反応があった。距離が離れているにも関わらずまっすぐにこちらへ向かってくる。特殊なエネミーかと警戒するが、目の前に現れた機体には頭の上のアイコンがなかった。
つまり遭遇したのはプレイヤーだ。臨戦体勢に入るとすぐに通信が来た。目の前のプレイヤーが出したものらしい。
「こんな機能あったのか」
YESと答えると相手のコックピットが映し出される。ふんぞり返った金髪の男はクールな顔に似合わない口調で言い放った。
『おう新人。そのショボい機体壊されたくなけりゃ有り金と素材全部よこしな』
チンピラのカツアゲのような脅しに困惑する。相手の機体は見た目は豪華で少なくとも初期装備よりは強いのだろう。
だがこの距離ならブレードを先に当てた方が勝つ。多少の性能差で勝ちを確信できる状況ではないし、そもそも条件が重すぎて呑めない。交渉にすらなっていないのだ。
「お断りします」
『なら死になぁ!』
返答とほぼ同時に両前腕に装着されたマシンガンを放ってくる。がその動きは見え見えだ。着弾する前に近くの遮蔽物の裏に入る。
相手は瓦礫に発砲を続けているようで爆音が響いている。しばらくは弾切れになりそうもない。
『オラオラどうした雑魚野郎!さっさと出てこいよ!』
繋がったままの通信から聞こえる煽りを無視し状況を分析する。マシンガン以外に確認できた武装は右手のビームライフルのみ。他にも装備されているものはあるだろうが、使わせなければ何の問題もない。
(これくらいなら行けるか)
タイミングを計り影から飛び出す。そのまま加速し横に回る。敵MGAのガトリングがこちらに向けられる前に両腕を一発で同時に撃ち抜いた。
『は?』
パイロットの声を聞き反応できていないことを認識。そのまま機体は曲線を描くようにカーブし敵の懐へ。このままブレードを使えば撃破できる。ここで1つ考えが生まれた。
あえてエネルギー炉ではなくコックピットを狙い、機体が爆発しないようにする。どちらにせよ操縦者がいなければ機体は動かない。物言わぬ人形と化したMGAを前に、自らの考えを検証してみる。
「やっぱりだ!これも回収できる」
表示されたメニューには民間企業への連絡の項目が存在し、実行もできるようだ。トラブルが起きないかと思ったが、初心者を一方的に襲うような悪質なプレイヤーに遠慮は必要ないかと考え回収する。
追加で来た2つのヘリに載せられ、少年は町へ戻っていった。