Machinery Gear Armies   作:ナイン(あかいろのすがた)

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集団戦と新武装。その2。

 

「あのクソ野郎共が……」

 

コックピットの中で恨み節を言う男は、いわゆる初心者狩りの1人だった。ゲームの攻略が行き詰まり、かと言ってちまちま金策をするのも性に合わない。

 

そんな頃に2次応募に当選した新規が来た。チュートリアル報酬で多少の金を持っており、MGAの操縦もおぼつかない素人。格上に蹂躙されるばかりだった男にとって、彼らを蹂躙することは最高の娯楽だった。

 

だからこそ、見下していた奴らに前回の襲撃で撤退させられた時男は怒り狂った。完全に因果応報なのだが、男は自己を顧みられるような者ではなかった。そもそも反省できるなら初心者狩りなどやらないだろうが。

 

ゆえに男は今まで出会った他の初心者狩りに声をかけ、一匹狼であるという最後のプライドすら捨ててあのパーティーを潰しにかかった。

 

「ぶち殺してやるぜ!」

 

こちらの数は5機、前回の相手は4機。そのうえスペックも勝っているなら奴らに勝ち目はない。取り分は山分けと約束したが男はそれを守るつもりは無く、戦闘が終われば後ろから味方を倒すつもりですらあった。それは他の4人も同じだったが……

 

 

 

いずれにせよ、取らぬ狸の皮算用と言わざる負えない考えだ。

 

 

 

5機ともフェイントもかけず正面から突っ込む。敵4機を視認していたからこその行為だったが、レーダーすら確認していないのは重大なミスだ。

 

だからこそ右端の機体は横から放たれたビームにより撃墜された。それに目を奪われている隙に進行方向にグレネードが投げられる。先頭を進んでいた機体が仰向けに倒れた。

 

「何だとっ…」

 

2つの凶器が飛んできた方向を向くが、爆風で前が見えない。そこでようやくレーダーを確認すると、横に1つ、後ろに3つの反応があった。

 

横の反応は今倒れた機体のもの。つまり敵は後ろにいる。そこまで認識したときには反応が1つ減っていた。

 

「もうやられたのか!?使えねえカス共が…!」

 

悪態を付きながら反応に突っ込む。所詮奴らが乗るのは初期機体同然のもの。近づけば力押しで終わりだ。

 

そう考え近づいた男が見たのはこちらに突撃する味方の背中だった。予想外の状況に思考が停止する。相手が隙を見逃すはずもないというのに。

 

初心者狩りの機体ごと突っ込んで来た襲撃者が姿を表す。その姿は男が想像した通りの初期機体。だからこそ男は憤る。

 

「ふざけんな!どんなチート使ってやがる!」

 

今まで蹂躙してきた相手に良いようにされる状況に怒りが抑えられない。ビームライフルを連射するがやみくもに撃った弾は全て回避される。そしてクールダウンに入った一瞬で、ブレードはコックピットに突き刺さった。

 

結局、初心者狩り達は多大な損害のみを得てリスポーンすることになったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「弱くね?」

 

初めてプレイヤーと戦ったときからずっと思っていたことを思わず呟いてしまう。動きは単調、射撃の狙いは甘い。回避は簡単にできる。

 

「……まあ初心者狩りなんてしてる奴らだしな」

 

普通のプレイヤーはもっと強いだろうと結論づけ周囲を見渡す。初心者狩り達の機体はどれもコックピットだけが破壊されており、修理すれば乗れる状態だ。

 

今までは敵の機体に乗るのに抵抗があり資金に変えていたが、ふと考えが浮かんだ。それを提案するためずっと来ていた通信申請を許可する。

 

『キミ、凄いな!あいつらをたった1人で倒すなんて!』

 

怒られると思っていた少年の耳に入ってきたのは称賛の声。本当に良い人なんだなと思わず頬が緩む。

 

「ありがとうございます。あと独断で孤立してすみません」

 

『いや、俺達じゃ足手まといにしかならなかった。キミの判断は正しかったよ』

 

「それでも、俺は迷惑をかけてしまいました。なので────」

 

なんだかんだで、彼らとの探索は楽しかった。それに、彼らの境遇は自分が辿るかもしれなかったが故に同情もある。だからこそ彼は提案する。

 

「────これらの機体を譲りたいと思います。修復すればそのまま使えるでしょう」

 

『なっ!?それは流石に……』

 

メリットを受けすぎだからか、リーダーは遠慮の言葉を言ってしまう。だが思案の表情を浮かべた後、苦々しい顔で頷いた。

 

「気にしなくてもいいですよ?」

 

機体と自分達の回収を依頼しながらリーダーに声をかける。この機体はあぶく銭に過ぎないのだから、譲っても損をするわけではない。だがリーダーは納得できないようだ。

 

『いや、この恩は必ず返す。いくら理不尽な目に遭ったからといって、施しを受けるだけではいけないからな』

 

『ああ、そっちだって遠慮しないでくれ』

 

リーダーだけでなくパーティーメンバーにも説得されてしまった。ここはこちらが折れる方が賢明だろう。

 

「じゃあ、フレンドになって下さい。あと何かあったとき助けてもらうってことで」

 

『もちろん。今はまだ力不足だが、俺達『反逆の引き金(リベリオントリガー)』はキミの危機に駆けつけられるようになってみせるよ』

 

「そりゃどーも」

 

襲撃の緊張はとうに消え、パーティーメンバーの笑い声が回線に響く。回収に来たヘリのコンテナの中でもそれは消えることはなかった。

 

 

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