篠目歩は相談役である   作:チョコーン

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最初に言います。
あんだけ遅れた癖に全然進んでなくてすいません!!

色々忙しかったんです……後歩君が所々余計な事ばっか言うんです……シクシク。


アサガオを撫でた日

―――東郷美森という少女を初めて見たときの僕の第一印象は、正に大和撫子という印象だった。

 

それしか感じていないという訳じゃなく、決して僕の語りが薄すぎて語りに語れてないとかそんな訳じゃない。

ただ、彼女はあまりにも魅力的過ぎた(あの胸で中二は無理でしょ)。

 

そんな彼女だが、前回の初戦では一人変身できずにいた。

まぁあんな場所に唐突に送られて戦え何て常人じゃ無理だろう。

……その理論だと僕の世界の人達みんな常人じゃ無いみたいじゃん。

 

兎に角、今回はそんな彼女の成長に纏わる話を語るとしよう。

丁度いい機会だ、僕も彼女について話したかった。

 

――あぁそう、最後に一つ。

 

 

 

 

 

 

 

―――今思えば、この時の僕に彼女を語る資格何て、ある筈なかったんだ。

僕は彼女の事を、分かっていながら、何一つ分かっていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、学校が終わり直ぐ様自宅に直行しようとした所を友奈達に捕まり、僕はそのまま勇者部の部室へと強制連行されたのだった。

 

何でもこれから先のバーテックスの戦いの事とか、僕の入部祝いをするだとか何だとか。

あぁそうだ、これについても話しておこう。

 

今日から僕は、学校に登校する際、あの刀も持っていくことにした。

まぁ剣道バックが偶々あの相談所の中に置いてあったからそこまで大変では無かったよ。問題点が有るとすれば枯羅統の声が普段より煩くなっているから、授業中大騒ぎになったことかな……(幸い全員が同じ空耳を聞いたという事で収まった)。

 

まぁそんなこんなで僕は入部されましたと。

 

……で、今は何をしてるのかと言うと。

 

「わぁっ!スゴいモフモフ!歩君の精霊スゴいモフモフ!」

 

「そうか?僕的にはゴワゴわぁっ!?」

 

 

……各々の精霊を出しあっていたのであった。

と言うかコイツ噛みやがった。いやこれは噛んだと言うよりついばむだな。

 

「誰かゴワゴワですって?もう一度言ってみなさい」

 

「……かっ枯羅統さんはモフモフです」

 

「よし」

 

よしじゃねぇよ鳥。お陰で指の骨折れたわ。

……あ、この精霊についてだが、勇者になると突然現れた変な生物……、と言うより、各々に配られたマスコット的存在だろうか? もうよくわからないや。

マスコットと聞くと嫌な思い出しか蘇ってこないが、皆の精霊はそんな思い出も消してくれるほどカワイイ。

見てくれ友奈の『牛鬼』を、ビーフジャーキーをムシャムシャと、可愛くないか?

いやぁ何て可愛いのだろうか。若干共喰いなんじゃないかと思ったけれど、まぁそこは気にしないでおこう。

 

「それにしても……どうして歩君の精霊だけ喋る事ができるのかしら?」

 

「そう言えば確かに」

 

「……別に、喋ったり喋らなかったりは関係ないでしょ。第一私は精霊じゃな『ムシャッ』」

 

「あっ」

 

……牛鬼が枯羅統の頭にかぶりついた。

 

「〜〜!! 何すんのよ! 話しなさいってこの! じっくり味合わないで! 話して! 痛い痛い痛い!」

 

「美味しそうだったんだろうなぁ。鳥肉だし」

 

「関心してる場合じゃないよ!」

 

「むぅ〜ぷはぁ! 何なのよもう……歩! ちょっとこっち来なさい!」

 

「え? っていたたた!? おいくちばしで引っ張るな引っ張るなー!!」

 

引っ張る勢いが強すぎて(食い込んでんのよ)僕はそのまま勇者部部室を後にした。

何してくれとんじゃ。

 

 

◆▲○♡◆

 

 

「はぁ……あーもう! さっきから散々よ! 歩! 一刻も早くここから脱出するわよ! 良い?」

 

「脱出するって……どうやってだよ? 僕も探ってみたけど、それと言ったものは何一つも無かったぜ」

 

「は? ……チッ、もういい私一人でも見つけてやるわ」

 

「あっおい! 離れすぎるなよー!」

 

ピリピリしてんなぁ、いつもと違う世界に来たからだろうな。

しかしこれからどうしようか……あの野郎、正門前まで連れていきやがって、こっからあそこまでまぁまぁ遠いぞクソが。

 

文句言ってても仕方ないよなぁ。戻るとするか。

 

溜め息付けながら僕は戻った。

 

「……お?」

 

ふと、目線を前に向けると、渡り廊下に友奈と東郷がいた。

あの後何があったの? と、思いながら二人に近付いてみた。

 

二人に話しかけると、「あっ篠目君! だいじょ……ぶじゃなさそう?」と友奈に心配された。

あー……そういや首から血出てんだった。

 

「平気平気、それよりどうしたんだ? ……東郷の方は落ち込んでるみたいだけど」

 

「えっと……それがね?」

 

 

 

 

 

 

「成る程、良くわかったよ」

 

何でも昨日の戦闘で自分だけ何もできなかった事に対して落ち込んでるとの事だ。

 

そう言えば昨日、東郷だけは変身してなかったな。

……まぁ、確かに周りの人達が立ち向かってる中、自分だけ何もできないってのは辛いよな……。

 

「仕方ないよ。あんなの普通出くわしたら、逃げる以外方法無いんだから、……てか、あの時の僕らの方が異例だから……」

 

「そう……でも、そうだったとしても、怖いのよ」

 

「怖い?」

 

「あの時、出来なかった覚悟を私はこれから先もできるかどうか考えると、怖くなってくるの……。皆が戦う中私だけ見ているだけで、弱いままでいるのが……」

 

東郷の顔が更に深く曇る。……こりゃ相当参ってるな。

けど、東郷の話しを聞いていると、少し、同情って言うと違うけれど何かこう……僕も似たような感覚に陥った事があった。

 

あぁ、思い出した。相談役になった頃だっけ。

 

「……別に、そんなに深く考えなくてもいいんじゃないか?」

 

「え?」

 

「東郷の気持ちもよく分かるよ。……僕もさ、昔―――って程でもないけど、無力感に打ちのめされそうになったときがあったんだ」

 

「でもさ、色々経験していく度に、そんな自分でも役割を持てるって事に気づいたんだ」

 

その結果、色々上手くいったようでいってないような感じに今はなっているけれど。

……まぁ成功でしょ。成功と思ったら成功なんだ。

 

「だから、そんなに落ち込まなくてもいいと思うよ。何だったら、何か後方支援用のを大赦から貰えば……いや、無さそうだな」

 

話じゃそいつらも、樹海化したら動けなさそうだしなぁ。

それが出来たら苦労しないし、用意して無さそう。

 

となると、どうするべきか。勇者である三人のフォロー?

いや、それが出来ないんだった。

なら……方法としては。

 

「なんなら、僕が東郷の側にずっといてあげるよ」

 

「え……!?」

 

よし、まぁこれが一番だろう。

前回ので僕は近接に向いてないのは分かったんだ。

ならずっと東郷の足になってればいい。

 

「でっでも、篠目君は友奈ちゃん達と同じで奴等を倒せるんだから……」

 

「えっと……その、前回ので反省しまして……」

 

「吹っ飛ばされてたもんね……」

 

「そ、……だからさ、僕に東郷の足になるのを任せてくれ。絶対に守ってみせるよ」

 

 

「――――」

 

 

……あれ? 東郷固まっちゃった。

な、何かとんでも無い事言ったか……?

流石に足になる発言が不味かったか? 出会って数日の奴にそんな事言われるのは流石にキツいよな……。

 

「……迷惑だった?」

 

お前返しがそれで良いのかばかむ、返しならもう少しあっただろう。

 

「ううん、そんな事ないわ。――寧ろ」

 

「?」

 

「寧ろ、嬉し―――!?」

 

随分と突然というべきか、なんとまぁ間が悪いというべきか。

どちらにせよ、とんでもなく最悪なタイミングで、時が止まった。

先程まで見た景色も、似ても似つかない不思議な空間へと変わったのだ。

前回僕はこれに気づきもしなかったが、こうも突然に来ると反応に困るぜ。

 

アプリを確認し、今回はどんなのが来てるかと思っていた僕だが、そこにはとんでもない事が書いてあった。

 

そう、バーテックス三体である。

 

「……射手座、蟹座、蠍座」

 

一体で駄目なら三体ってか、相当あっち側も焦っているのか?

一先ず僕らは先輩達と合流する事にした。

 

 

 

 

 

 

 

「三体同時ね……難易度上がりすぎじゃない?」

 

「でもこっちはよに……三人ですし! 大丈夫ですよ!」

 

「友奈ちゃん? ナチュラルに言い淀んだよね?」

 

良いよ良いよ! 僕は戦力外ですよ! ここで東郷を守りきりながら語ってやりますよ!

 

「……じゃあ歩はそこで東郷を守ってて、アイツ等はこっちで片付ける!」

 

「了解!」

 

……とは言ったものの、どうすべきか。あのグローブを使いすぎるのも良くないと思って置いてきたし、それに傷を受けたときの対処が……。

 

 

「なにボソボソ言ってんのよ」

 

「うおっ!? かっ枯羅統……!」

 

「これが樹海って所かしら? そんでもって何してんのよ。護衛? 無防備なのに?」

 

「え? 篠目君、昨日のグローブ持ってきてないの?」

 

「……あれはちょっとな」

 

あれは東郷の様な……いや、勇者部の少女達の肉眼に映って良い代物じゃない。

何なら僕でさえもそれに当てはまる。

 

僕の体内構造がバレれば、どんな事になるのやら。

 

「―――じゃあ、私を使えば?」

 

「え?」

 

「何故か知らないけど……この姿の私ったら、刀に変形できるみたい」

 

「そんなご都合な事を!? ありがたや!」

 

「嫌なプライドと宿題は捨てちゃいなさい。守りきるなら守るなりのもんは持ってなさんな」

 

あまりの事でテンションが可笑しくなっている僕だが、それを見る東郷の顔が引きつってるのを僕は見逃さなかった。

流石に自重し前線を確認してみると、今回現れた三体に、ある違和感を感じた。

 

「……枯羅統、あれ」

 

「分かってるわ……どうやら本当に数で押し切るって訳じゃなさそうね」

 

蟹座、射手座、蠍座。

僕の個人的主観と現状での考えでは、アイツ等はお互いがお互いの弱点補っている。

蟹座の装甲で戦闘役二体への被害を抑え、射手座による長距離射撃、及び無数の針の雨で近づこうにも近付けないようにし、蠍座の攻撃で殺す。

 

……友奈がアイツと一人で戦闘してるのが少し不安だ。

アイツの針、どう考えても人を殺す形状だ。

 

「少しでも行動を謝れば一撃死って所かしら? 蠍って事は、急所に当たんなくても毒とかで……」

 

「あっそうか!……で、その近くにいる射手座は……って、ん?」

 

あれおかしいな、何か僕の目の前に大きい何かが写ってるんですが。あっこれあれか、そういうことね僕を標的にしてますねこれ!?

 

「歩! 何ボーッとしてんのよ! その刀なら切れるんだからぶった斬りなさい、早くしないと東郷まで巻き込むわ!」

 

「えっ!?……こうか!?」

 

僕は刀に変形した枯羅統を縦に大きく振った。すると何という事だろう、見事に矢は真っ二つになったのだった。

 

「切れ味はオリジナルと同じくらい良くしてるわ、そいつで東郷を守りなさい」

 

「……えっと、枯羅統さん」

 

「? 何よ、良いから早く――――」

 

「あの場合はどうすればいいですか?」

 

先程の攻撃は、一度人の身体に当たれば無事じゃ済まない程の大きさの矢による長距離狙撃技。

しかし今僕の目の前に見えるのは、雨の如く無数に降り注ぐ針。

 

今さっき枯羅統がオリジナルと同じと言ったが、そのオリジナルは確かにどんなに大きいモノも切れるが、小回りの利くモノには向いていない刀なのだ。

 

……まぁ、お分かりの通りだとは思いますが、そう、僕にはもう何もできません。

てかあれどう見たって一人に対して撃つ技じゃ無いだろ! 何でよりにもよって僕に撃ってきてんだあのバーテックスゥゥゥ!!

 

 

 

◆▲○♡◆

 

ただ見ていた、皆の勇姿を。

ただ見ていた、奴らの強さを。

ただただ見ていた、風先輩に樹ちゃん、そして友奈ちゃんが奴らに傷つけられるのを。

 

「……て」

 

―――見ていた。目の前で、見ていた。

私の側にいると言っくれた彼を。

私の足になると言ってくれた……歩君を。

 

「……め……て」

 

目の前で、串刺しにされるのを。

私は、見ていることしかできなかった。

 

「やめて!もう私から何も奪わないで!!」




主人公を騙るこの男、強さは期待できないが、原作を少し変えることにおいては天才的。

歩「僕は憂いてます」

枯「あっそ」
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