その眼は、ファインダーは、レンズは、何を捉える。   作:一途一

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定説くんはメタ的に全ての元凶なので今回はお休みです。

100%甘々回です。


このロマンス、甘ーーーーーーーい!!!!!(爆音)


砂浜らんでぶー

日本中が揺れた。 いや、実際に揺れたわけではない。

 

星野アイが今年限りで芸能界を去ることが発表された。

 

彼女曰く、自分は芸能界に居すぎた、と。

 

ファンは勿論、そうでない者にも衝撃が走った。

 

報道各局はこれをこぞって取り上げ、本当の理由がないか調べようとした。

 

まあ、徒労に終わることだが。

 

 

◆◇◆◇

 

 

「嘘だろ…」

 

「え、ママ芸能界辞めるの?」

 

 

俺は驚愕していた。アイが芸能界を去るなんて思ってもいなかった。

確かに最近妙に出掛けたりすることが多くなったのは不思議に思っていたが(それが関係しているのかはわからないが)、ここまで急に発表するとは思わなかった。俺達に隠し事をするなんて本当に久しぶりだった。

 

「お兄ちゃん…でっ、電話電話!」

 

「分かってる。」

 

 

スマホの連絡先を開き、アイに掛ける。

 

 

 

〘現在、電話に出ることが出来ません。ピーという発信音の後に…〙

 

 

 

暫くの待機音の後に流れてきた音声に焦りが出てくる。

 

「お兄ちゃん、ママがいそうな場所は?」

 

「…今日は仕事がないはずだし、社長夫婦も上の階にいるはずだ。だとしたら一つしか無い。」

 

 

 

 

 

 

 

「「あのマンション」」

 

 

珍しく意見が合った。いや、そこしか有り得ないからか。

俺が甘かった。ニノマエの眼にどれほどアイが影響を受けているかを見誤った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気付かないまま虜にされている事も。

 

◆◇◆◇

 

 

 

場所は変わってニノマエ宅。

 

 

 

 

「え、本当?」

「本当。」

 

 

突然のアイさんの告白に唖然とするしかなかった。

僕の家でそんな衝撃的な話をされても困るばかりだ。アイさんは至って真面目な顔をしている。

 

 

「ニノマエくんは目を覚ました。私は今までずっと待ち望んでいたし、ニノマエくんのあの眼が見たくて芸能界にも居続けた。どんなに辛くても、アクアとルビーが慰めてくれるし、何より、ファンの皆に愛されてる。斎藤社長もいつも気にかけてくれるし、ミヤコさんはずっと私達の秘密を隠していてくれた。」

 

 

彼女は僕の手を握る。その眼は、星が煌々と輝いている。

 

「それでも、ずっと何かが足りないの。どうしても埋まらない、そんな場所がある。」

 

「何が…足らないんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

僕がそう聞くと、彼女は悪戯に成功したような顔をして声を放った。

 

 

「うーん、ドライブ…かな?」

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

久しぶりの外の景色は10年前と変わっていなかった。

交差点を忙しく駆け巡る車達に、ビルから漏れる光。

 

今なら美しいとまで言えるような景色が広がっている。

アイさんは見つかるのを避けるために階段を使っているが、僕はまだ杖をつかないと歩けないのでエレベーターを使って降りる。

 

駐車場に着いて、言われた通りの車を探す。左右に2つのライトが付いたアメ車らしい。

流石に車の趣味までは僕は視ることが出来なかったみたいだ。

暫く駐車場をぐるぐる回ってやっと見つけた。アイさんが乗っているのでこの車だろう。

やけに特徴的な車だが、これで正体バレたりしたりしないのか?

 

扉を開けて車に乗り込むと、アイさんが誇るような顔で僕に話しかけてきた。

 

「かっこいいでしょ?この車。別に車に詳しい、って訳なんじゃないんだけど。高かったんだよ〜」

 

「因みに車種は?」

 

「ダッジチャージャーの1970年型。」

 

 

思い出した。ワイスピに出てた車だ、これ。反応に困るな…

 

 

「そう、なんだな…」

「そこ、引かない!なんちゃってね。あははっ」

 

 

気分が下がらなくて何よりだった。そのまま車は発進して、道路に出る。

車を運転するアイさんはやけにかっこよく視えた。状況によって変幻自在にキャラを変える女優の片鱗が視えた気もする。

 

「そんなに私が可愛いかな?」

 

「うーん、どっちかと言うとかっこいいかな…」

 

しょぼんとしないでくれ。僕が悪いみたいになる。

 

 

車はその後も暫く走り、海岸線に出てきた。

 

「いやー、昼に見るのもいいけど、夜も夜で景色がいいですなー」

 

確かにその通りだ。海岸や道路に散りばめられている照明に照らされる波が何とも綺麗だった。

 

「よし、ちょっとそこら辺の駐車場に車停めて海行こっか。」

「夜なのに?」

「夜だからでしょ。昼だったら人が居るから行けないよ?」

「うーん…」

「もしかして海苦手?」

「い、いや、そ、ソンナコトナイヨ。」

「めっちゃ汗出てるけど、ほんと?」

「ほ、ほんとほんと。」

「疑わしいなぁ。ふふふ。」

 

車は駐車場に入り、停車した。エンジンを切ると彼女は車を出た。

僕もそれに従って出ようとすると、彼女が手を差し伸べてきた。

 

「元々ニノマエくんを支えるために一緒に住もうなんて言ったんだから、ほら。」

「あ、ありがとう…」

「お礼なんて要らないよ。私がしたくてやってるんだから。」

 

片方の手は杖を付いて、もう片方はアイさんに連れられている。

 

砂浜を歩く彼女の顔はとても明るかった。そのまま周りを明るくさせそうな眩しさがあった。

暫く歩いて、近くの階段に二人で腰を下ろした。アイさんが喋る。

 

「アクアと、ルビーと、斎藤社長と、ミヤコさん。私達が一緒に住むことを聞いたらびっくりするかな?」

「そうだね、きっとびっくりするよ。特にアクアさんとルビーさんはね。」

 

今思うと『一緒に住む』というのは『同棲』とほぼど同義なのだ。今更気づいた事実に苦笑いしてしまう。

僕も言葉を紡ぐ。

 

「…僕は、いつの間にか十年経ってて、正直頭が追いついてない。アイさんの眼も変わったし、一瞬だけ見たあの二人も大きくなってた。」

「自分が取り残されているかも、なんて事も思った。」

「まあ、そんなのは結局杞憂だったんだよ。僕はこんなでもきっとやっていける。これからもね。」

 

「…そうだね。ニノマエくんならきっとやっていけるよ。」

 

 

 

その瞬間、僕はキスされた。比喩しようがないからそう表現するしか無い。

 

 

 

 

「ニノマエくんが私のファーストキス。なんちゃって。」

 

 

彼女は微笑んだ。聖母マリアのように。

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

それを眺めている男女が四人いた。

 

 

「き、キスしてるるるるる」

 

「アクア君が壊れた!」

 

「今の完全にニノマエさん受けだったよね!!ニノマエさんから手を出してたら殴ってたかもしれないけどママから手を出したのなら良し!」

 

「ああ、終わった…週刊誌に取り上げられて終わりだ…」

 

 

一人は壊れたように悲しみ、

 

一人はそれを慰め、

 

一人はそれを祝福し、

 

一人はこれから先の事を案じて絶望ていた。

 

 

だが、この空間は幸せに包まれている。

 

あの二人は、寄り添うように座っている。

 

陽が段々と顔を出してきた。

 

 

 

 

二人の幸せが末永く続きますように。

 

 

 

THE END

 

 

 

 

THE EN

 

 

 

THE E

 

 

 

THE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

THE START : THE LAST LIE

 

 

 

 




エフェクトの試験も兼ねてみました。どうでしょうか?これからもしかしたら気まぐれで使うかもしれません。


評価してくれると定説くんが喜んで皆さんの所にシリアス展開をお届けしに行きます。

誤字、脱字等があった場合は訂正させて頂きます。
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