ナーロッパ系お嬢様、狩人になる   作:興梠 すずむし

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3話目ですわ!


令嬢決意→焼肉賛歌

つ、疲れましたわ……。

 

途中から分厚い毛皮で覆われて、大きく反り返った牙が特徴的な草食獣であるポポの()く通りかかった村人の荷車に乗せていただいたとはいえ、命をかけた戦闘は心身共に強く疲労を残しましたわね…。

 

「さ、着いたぞ。ここがポッケ村だ」

 

「まぁ…!」

 

そこには雪で覆われた大小様々な家が山の地形に沿うように建てられ、水車が回りどこかと行き来できるような古めかしさがありながらも文明を確かに感じるものがあったり、(わず)かながらに店の類いもあるようで活気も申し分ない美しき村がありましたわ。

 

村に着いた後自宅へ入り装備を脱いで戻ってきたオルヴァが私と同年代の青年だったことに驚きつつ、村長の元まで案内されました。

 

「おんやまぁ、可愛らしいお嬢さんだわぁ」

 

「あら、ふふっ。ありがとうございますわ」

 

「話はオルヴァ坊から聞いとるよ。自己紹介からいこうかの。このオババがこのポッケ村の村長さ。気軽にオババと呼んでくれればいいよ」

 

「ご丁寧にありがとうございます。シアと申しますわ」

 

 

深々と頭を下げて丁寧にカーテシーを、と思いましたらスカートを切り落としたことを忘れておりましたわ。なので、形だけで失礼いたしますわね。

 

「ほほっ。ドスランポスに大立ち回りしたと聞いたが存外元気そうだの」

 

「はい。回復薬を分けていただいたので、おかげさまで」

 

「そうかいそうかい」

 

無事を確認した村長改めオババ様は安心したように笑いながら頷いて話を始めました。

 

「今、この村にはハンターがオルヴァ坊しかおらんくての。お嬢さんは何やら人を探しとると言うではないかい」

 

「はい、大事な妹分ですわ」

 

話を聞いて数度頷くオババ様。

 

「なら、ハンター稼業を生業(なりわい)としながら探すとよい。お嬢さんも妹さんを探すのにお金が必要になるだろうしねぇ」

 

「……(わたくし)でお力になれるなら」

 

「ふむふむ…。覚悟は出来てるようだね。ポッケ村はお嬢さんを歓迎するよ」

 

先程までの村の長としての顔をくしゃりと崩して優しげに笑いかけてくださりました。

ハンターとなるにあたって必要なことは大きな建物、集会所の横の小道にある訓練所にて教官から教えていただけるとのことなので行ってみましょうか。

 

□ □ □

 

「よく来たな。ここがポッケ村初心者演習場だ!ここではハンターとしての基礎や武器の扱いについて学べるぞ!」

 

「よろしくお願いしますわ」

 

大変元気のよろしい教官様に挨拶し、ハンターとなるべく学ぶ時間の開始となりました。

武器種はオルヴァの使っていた初心者御用達で扱いやすい片手剣、

手数と属性で攻めてダメージを狙う双剣、

とにかく重い一撃を求めつつ要所で盾として使える大剣、

リーチを取りながらもそれなりに威力のある太刀、

頭を狙うことでスタンも取り得るハンマー、

メロディによって様々なサポートができる狩猟笛、

堅実に守りを固めながら隙を見て攻撃できるランス、

矛が銃身となっており一定の威力は確実に見込めるガンランス、

取り回しが良く動きやすいライトボウガン、

重量はあり動きにくいですが威力のあるヘヴィボウガン、

軽快に移動しつつ距離をとって戦えますがスタミナの管理に苦労する玄人向けの弓と、計11種類があるようですわ。

 

一通り触ってみないことにはなんとも言えませんわね。

 

というわけで教官様に教わりながらひとつずつ触っていくことにしますわ。

 

まずは片手剣。

 

「なるほど、盾で殴ればスタンも…」

 

道具も武器を出したまま使えることを考えれば便利なのかもしれませんが、生憎(あいにく)と片手で扱う武器ではダメージを与え難い印象が強いですわ。

首を狙った際に聞こえたブチブチと筋肉が切れる音とその後の痛みにぶるりと身が震えますわ。

その点を考えると両手持ち、もしくは遠距離武器が好ましいですわね。

ですが、モンスター達があのランポス達のような小さなものだけなわけもありませんわ。今後のためにも「切る」「打つ」「撃つ」の攻撃手段が確実に欲しいですわ。

 

そうですわね…。「切る」は太刀、「打つ」は狩猟笛、「撃つ」はライトボウガンにしましょう。

 

その3つを徹底的に鍛えますわよ!

 

太刀は攻撃を当てると錬気と呼ばれる力が溜まり、最大になると感覚が研ぎ澄まされて威力と切れ味が上がるのだとか。そう、何を隠そう(わたくし)、錬気が感じ取れましてよ〜〜〜っ!!

嬉しさ余って太刀に決めたところはあったかもしれませんが後悔はしてませんわ。

 

狩猟笛は武器ごとに必要なメロディと効果があるので覚えるのが大変ではありますが、汎用性の高さを見込んでの採用ですわ。

 

遠距離武器に関してはドスランポスの動きを見るとヘヴィボウガンでは立ち回りに不安が出ますし、弓ではやはりスタミナが持ちませんでしたわ。消去法ではありますが、やはり扱いやすいものが良いと判断してライトボウガンとなりました。

 

練習を重ね、イメージしたランポスと戦える程度には扱えるようになった3種の武器に満足した私はすっかり日が暮れてしまった今日は集会所で過ごし、明日またオババ様の元に伺うことにしました。だって今家なき子ですもの。オルヴァのお家にお邪魔する訳にもいきませんし。

 

中の方々に事情を説明して1晩過ごさせていただきましたが、トレジャー爺様。お話は大変興味深いものでしたがさすがにちょっと寝かせて欲しかったですわ。

 

□ □ □

 

「おや、おはようお嬢さん。随分と眠たそうだねぇ」

 

「ふぁ…。失礼、オババ様。トレジャー爺様のお話を聞いていると眠れなくて」

 

「ほっほっほ。大変だったろうねぇ。仕事を任そうかと思ってたけど今日はオルヴァ坊も休みだ。ゆっくり休みなさい」

 

「申し訳ありませんわ…」

 

ほっほっほ、と笑いながら許してくれて良かったですわ。空いてる家が見つかったとの事なのでそちらに案内していただけましたし、ようやく休めますわね…。

暖かそうな防具や、武器1式、支度金まで貰ってしまいましたわ。

オババ様のこのご恩はしっかり報いなければなりませんわね。

 

家の中を見てみると家具もある程度揃っているようですわ。

寝具も充分快適に使える…というかすっごくモフモフしてますわねこれ気持ちよすぎじゃありませんこと?色合いを見るにポポの毛皮かしら…。

後は水浴び場に…魚を模した飾りのあるこれは下の掘り抜きにある灰を見るに暖房器具でしょうか…。

 

そして部屋の奥へ入ると、そこは部屋よりも広いキッチンとなっていましたわ。

調理器具も揃っているご様子。オババ様には感謝してもし足りませんわね。

 

「さて、部屋も検め終わりましたし、睡眠の時間ですわぁ〜…」

 

部屋に戻り、衣服を部屋に置いてあった簡素なものに着替えてベッドに倒れ込んでしまいましたわ。

淑女にはあるまじき行為ではございますが今ばかりは許されてもいいはずですわ…。

うとうととし始めた私の耳に、何やらドアを叩く音が。

……寝入りを邪魔されると無性に腹が立ちますわね。

居留守を使おうとするも中にいるのはバレているのか再度響くノック。殺意が湧きますわ…!

 

仕方なく疲労困憊(ひろうこんぱい)な体にムチ打ち、ドアを開けるとオルヴァが立っていましたわ。どうしてくれようかしらこの男。

 

「………………ご機嫌よう」

 

「……お、おぉ。1晩経ったにしては疲れすぎじゃないか…?」

 

「諸事情で寝れてないんですのよ」

 

「あぁ〜…そりゃ悪かった。出直した方がいいか?」

 

「わざわざ訪ねてもらったのに、そんなことできませんわ…」

 

寝不足でフラつく頭を抑えて要件を聞くことにしました。

 

「ん、じゃあ手短に。はい、これ。入居祝い」

 

そう言って差し出されたのは赤色と白色をした肉の塊でした。

 

「これは?」

 

「赤いのがポポノタンで、こっちがホワイトレバー。どっちも昨日ポポから取れたばかりだからまだ新鮮だけど早めに食べてくれ」

 

「あら、これはご丁寧に。感謝しますわ」

 

「おう、しっかり休めよ〜」

 

自宅に戻って行くオルヴァを手を振って見送りながら、手渡された肉を見て胃がくるるる…と主張を始めてしまいましたわ。

 

……これでは眠れませんわね。早速いただきましょうか。

 

その後、火を通しただけの簡単な調理しか出来ず勿体ない気もしましたが歯ごたえがあるポポノタンとトロリと口の中で溶けるようなホワイトレバーはとても美味しく、できるなら毎日でも食べたいと思うほどでしたわ。

しかし狩りをしなければあまり出回らない品なのだとか。それに生態系維持を考慮して毎日狩るようなことがあってはならないらしいですわ。

……場所を借りて養殖を試してみようかと本気で思いましてよ。

 

美味しいものでお腹も膨れて、その後は次の日の朝まで快眠だったことをここに記しますわ。




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