ナーロッパ系お嬢様、狩人になる   作:興梠 すずむし

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本編4話目ですわ!
チラッと色んなモンハン作品に触れていく予定なのですわ。


雪山鳥竜→忍寄気配

あれから1週間ほどが経ち、依頼を3つほど済ませましたわ。

 

雪山草摘み。雪の山のガウシカ。ブランゴを倒せ。

雪山草は時期が良かったのかよく取れて助かりましたわ。

ガウシカには狩猟笛で向かいましたが、突進のタイミングに合わせて振るって頭に当てれば楽に倒せはしますが…角が折れてしまうことがあって中々骨が折れましたわ。

ブランゴは白い毛に覆われた赤い顔の四足獣でしたが、やはりどこでも猿型の生き物は連携がとれていて厄介でしたわ…。

 

さて、今日も今日とてお仕事ですわ!

 

「オババ様、今日はどのような依頼がございますか?」

 

「ふむ、お嬢さんに任せられそうなのはこのくらいだの」

 

そう言ってオババ様から渡されたのは2枚の依頼書。

 

肉食竜の討伐、忍び寄る気配、と……2つとも討伐依頼のようですわ。

 

 

 

この、うん、依頼名からして明らかに不穏ですわ…!?

えぇ、何なに…?おびえる青年からの依頼、ですの?

ポポを探して山へ入ったが怯えて山頂へ逃げてしまった。きっと何か潜んでいる。なるほどなるほど。

 

「この依頼、何かあるのですわね?オババ様」

 

「うんむ。近頃、ティガレックスという強力な飛龍が雪山を根城にしておるようでの…。あやつはポポを主に捕食しておるから今回納品に必要なポポノタンの納品にあたって遭遇する確率が高いのよ」

 

「…ティガレックス、ですか」

 

以前オルヴァから聞いたことがあります。彼もポッケ村のハンターになる直前の依頼の際に遭遇したことのあるモンスター。その性格は至って凶暴。強靭な顎と爪、その行動範囲の広さから目撃情報もそれなりにあるのだとか。

この依頼を受けるのなら遭遇する可能性の考慮しなければならないですわね。

 

「…遭遇した際にはどのように対処すればよろしいかしら」

 

そう聞くとオババ様は難しい顔をなさって、苦々しさを一杯に表した顔で話し始めました。

 

「初心者が叶うような相手ではない。遭遇したら無理をせずに逃げることを第一に考えるんだよ。いいね?」

 

「……はい。(わたくし)も死にたくはありませんから」

 

オババ様の話を聞いて考えを改めました。

王国では驚異になるような魔物はかつての国王様に任命された人類最強の戦士、勇者様によって殲滅(せんめつ)され、二つ名は大層なものであるものの一般的に等級とされる冒険者の方々にでも対処可能な魔物が多かったですが、やはりここは別の世界であるのでしょう。

その名に見合った実力、戦闘力の高さがあるのでしょう…!

ティガレックス。その名は轟竜!

その名からも凄まじい力の強さを感じます!

 

ですがポポノタンの納品が必要とのこと。

確かにあの美味しさは必要性の塊ですわ!お気持ち、痛いほど理解しましてよ!

 

「この2つの依頼、両方受けさせいただいてもよろしいかしら」

 

「まぁ構わんけども……ティガレックスのことを考慮すると時間的に少々難しいかもしれんよ?」

 

「…何とかしてみせますわ!」

 

「はいよぉ。じゃあ頑張りなさい」

 

オババ様から了承を得た私は2つの依頼を達成すべく尽力を尽くすことを誓い雪山へ(おもむ)きました。

 

□ □ □

 

まずは白いランポスのようなモンスター、ギアノスの討伐から済ませましょうか。

ここ最近はポポの数が減っていたせいか話には聞いていたけれど実際に見たことはないんですのよね。

 

かの飛竜は腹休めをしているのか鳴りを潜めていて少しずつポポが戻ってきている影響からか、それに伴ってギアノスも増えつつあるのだとか。

山に入った村の子どもに被害が出ている以上、早急に対応しなければなりませんわね。

 

ランポスの近縁種ということでここに来たばかりの出来事を思い返して少し緊張しますわ…。

 

今回選んだのは《骨》という名の簡単な作りの太刀。ドスランポス戦での軽いトラウマを払拭(ふっしょく)すべくなるべく当時と似た状況で討伐に挑むことにしましたわ。

 

「……未だに生き物を切る、という感覚には慣れてないのが不安ですわね」

 

そう。何を隠そう(わたくし)、「打つ」と「撃つ」は実践しましたが生き物の命を奪う感覚が如実に手に伝わる「切る」が苦手なんですのよ…。

 

しかし、いつまでも避けてはいられませんわ!

この魔法の使えない世界で、人よりも幾倍も強きモンスターの闊歩(かっぽ)するこの世界で生き残るためには!

 

オババ様に聞きましたわ。

ここぞという時にハンターが言うべき一言があると。

偉大なる先達たるハンター様方。この言葉、お借りいたしますわ。

さあ───

 

「ひと狩りいきますわよ────ッ!」

 

□ □ □

 

「うぅ…!ゲェッホエホ!ォェ」

 

淑女に有るまじき醜態を晒しながらツタを握りしめ、耐寒飲料であるホットドリンクも飲んでいないのに汗水垂らして登っておりますわ。

 

雪山を根城にしているギアノス達の元へ向かうべく、キャンプを出てひたすらに山頂を目指すことにしましたわ。

このツタを登らずとも洞窟を抜ければ雪山へ着くとは言われております。しかし、しかしですわ皆様。

測量技術の発展した我が国で、ダンジョン内の正確なマッピングに詳細な情報が記載された地図が一般的な場所にいたんですのよ(わたくし)

こんな図と線と数字が振られただけの簡素な地図1枚で洞窟探索に出かけられるほどウホウホ原始的な頭をしてないんですのよこちらはぁ!!

いえ、こちらの方々をバカにしているわけではありませんのよ?

ただ文明っ子の私には少し、ほんの少ぉ〜しばかり不安が大きいというだけでして、えぇ。

 

それはそれとしてあの猪畜生(ブルファンゴ)……!

せっかく登りきった私を突進で突き落としてくださりやがってほんとうに腹立たしいったらッ!!

コホン、失礼。

積もりに積もった雪のおかげで助かりましたが無傷というわけにも行かず。死にかけましたわ。

 

しかしこの世界は不思議ですわね。

薬草を生で食べても食あたりは起こしませんし、それで即座にある程度の傷が治るんですもの。味も悪くないのが素敵ですわ。

 

さておき、ついでと言っては何ですがあのモンスターから欲しい素材もありましたから前哨戦といきますわ。

ギアノス達に肉をかじり取られないように少しでも斬る感触に慣れませんと。

 

「さて、お相手願いますわよ」

 

再度登りきった私は前足で地面を掻いてこちらを威嚇するブルファンゴと対峙しましたわ。

 

こちらに狙いを定めて真っ直ぐに駆けてくるブルファンゴ。

武器を出したまま横を通り過ぎるように転がって避け、後ろを向いているブルファンゴに斬りかかりますわ。

 

弾かれることこそないものの、固いものを切り裂く手応え。

数度切り裂かれたにもかかわらず体勢を整えると突進の準備を始めました。

草食系のモンスターでさえ、天然の鎧となるほど固く引き締まった筋肉。

血は確かに出ているのにそれでも問題ないとばかりに命尽きるまで動き回る尋常ではない生命力。

この世界のモンスターはどれをとっても元の世界の魔物達とは比べ物になりませんわね。

さて、終わりましたわ。

 

「あなたの命、大切に扱いますわ」

 

胸の前で両手を合わせて頭を下げます。

 

人もモンスターも自然の一部。お互いが利益ではなく、生きるために命をいただく。

 

ただの精神論と言われてしまえばそれだけですが、ある時青と橙の柄をした太刀を背負ったまとまりのない髪型をしたいい加減なハンター様が仰った事でしたが、心がずっと軽くなったのです。

 

奪った命に囚われず、その命に何を見出すのかが大切。

 

そう言う彼はキノコをつまみにかじってお酒に酔っておられましたが、語るその顔は真剣でした。

 

キノコキノコうるさいのと色々といい加減なところは少し、と思わなくもありませんでしたが総じて良い方でしたわね。

その心の在り方においては尊敬できるハンターでしたわ。

 

奥へ進めば、いよいよギアノスとの戦闘ですわ。心してかかりませんと。

 

山から吹き付ける風が冷たくて敵いませんわね…。

支給品に入っていたホットドリンクを飲みましょう。

 

ゴクリとひとつ喉を鳴らし、飲み下すと一気に体が温まりましたわ。

凄まじい効果ですわね…。これなら雪山でも問題なく活動できそうですわ。

 

奥へ進み、歩き続けることしばらく。細い手足を軽快に動かし、数匹でポポを囲む影を見つけましたわ。

 

ランポスのような体躯に白い鱗に青い模様、鋭い爪はそのままに雪上でも走れるようにかいくらか平たく、雪をつかめるようになった足。

 

「……これが、ギアノスですわね」

 

目を逸らさぬまま息を深く吐き、太刀を構えますわ。

一匹がこちらに気付き鳴き声を上げ、その声に反応して残りの4匹がこちらに顔を向けます。

 

「村の子どもたちに手を出したこと、後悔させて差し上げますわよッ!」

 

太刀を握る手に力を込めたところで、ギアノス達が後ろに視線を向けていることに気がつきました。

予感に従って横へ飛び退くと後ろから一匹のギアノスが私の頭のあった場所を通り過ぎて行くのが見えましたわ。

 

「集団戦闘学も馬鹿にはできませわね…!」

 

学院で習った授業を頭の中でサッと流して再度向き合います。

その1、集団で行動する敵は頭が悪かろうが連携をとるもの。常に別働隊を警戒して臨むこと。

 

「その2、失敗すれば正面からが一般的!多対一ではなく一対一を意識して立ち回り、常に背後を気にすることッ!」

 

飛びかかってきたギアノスの一撃を避け、後ろから噛み付こうとしている個体を太刀を振って牽制する。

 

「その3、視野を広く保って地形を把握!時には利用しすること!」

 

上段から斬りかかり、その隙を狙って飛びかかって来たギアノスを切り払いつつ下がり背後を突かれないよう大岩を背に対峙する。

 

「そして追記。地形は相手も把握しているものとする。利用するなら警戒を割くこと、ですわ」

 

大岩の上から私目掛けて飛び込んできたギアノスを切り上げで首をはねましたわ。

これであと5匹ですわね。

 

1匹いなくなったことで怯んでいる今がチャンスですわ!

思い切り踏み込んだところで、判断が遅れて動けていない個体を一閃。怯んだところに剣先を突き込み、切り上げ、切り払い。力尽きて地に伏しましたわ。これであと4匹。

 

あっという間に2匹いなくなりしり込みしていらっしゃるご様子。

 

「一気にいきますわよッ!」

 

錬気を解放する赤いオーラを纏いながら群れに向けて突っ込みましたわ。

 

□ □ □

 

ギアノスは強敵でしたわね。

 

いやまぁほんとに強かったですけども。

あとは不穏なポポノタン納品だけですわね。

少し進めばポポの群生地があったはずですし、早めに終わらせてしまいましょう。えぇ、そうしましょう。

嫌な予感がビシビシしますけれども。

 

少し歩いて、開けた場所に出ましたわ。

岩陰に隠れてキョロキョロと辺りを見回すこと数分。

 

「なぁんだ杞憂でしたわね!まぁ早いに越したことはありませんしお命に感謝しつつ手早く───」

 

ほっと一息、いざポポノタンと息巻いて1歩踏み出した瞬間。それは高所から凄まじい衝撃とともに雪を巻き上げて降り立ちました。

息が獰猛さを隠しもしない口元から荒々しく吹き出され、橙と青に彩られた猛々しい肉体を惜しげも無く晒してポポの前に現れました。

そして、空気を吸い上げる音がして慌てて耳を塞ぎました。

 

──────キィン、と聞こえてから一瞬。

慌ただしく逃げるポポの足音も、吹き付ける風の音も何もかも。

世界から音が消え去りました。

 

体に叩きつけられる音の塊。たまらず後ろに倒れ込みました。

音が止んで体を起こすと、私の数歩先でポポを()んでいる竜がいました。

口を閉じる度にバコリ、バコリと空気の()もる音がします。

骨ごと噛み砕かれたポポから染み出した血の匂いがここまで漂って来ました。

 

これが、《轟竜》ティガレックス。

 

私は音を立てないように積もった雪の中を必死に身をかがめてその場からゆっくりと、ゆっくりと逃げ出しました。

 

麓の方にポポが降りてきていたのでポポノタンの納品は問題なく完了しましたが、あの竜を相手にできる人類がいるのか(はなは)だ疑問ですわね。

 

「しかしあの柄、どこかで見た気がしますわね……。イマイチ、ピンと来ませんが」

 

とりあえず帰りましょう。ここでなんてとてもじゃないけど落ち着けませんわ。




ストーリーズのあのティガ太刀のハンター様大好きですわ!
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