憑依者はスタイリッシュなマッドサイエンティスト 作:社畜戦士
キャラ崩壊済みですが。
こんなのエスデス将軍じゃない! という批判は御尤も…というか筆者が一番違和感感じてます。
誰だコイツ。
エスデス将軍。
北の辺境で危険種を狩っていた狩猟民族パルタス族の長の娘として生まれる。
子供の頃から既に狩人としての才を持つと同時に残忍な性格も兼ね備えていたと集落では評判だったそうだ。
しかしある時、一人で狩りに出かけていた頃に北の異民族の襲撃があり戻った頃には集落は壊滅していた。
その時に自身の父も失ったがその後も危険種を狩り続け、獲物がいなくなったのを頃合いに帝国に仕官し、瞬く間に将軍へと昇り詰める。
最年少の将軍であるが、『帝国最強』と評されるほどの実力を持つ歴戦の勇将。
最近の主だった功績として、蒙昧にも帝国の治世に叛逆し武装蜂起を行ったバン族の討伐を命じられた際は同僚であったナジェンダ将軍(当時)と共に制圧に向かい、地の利を活かして帝国軍を苦しめてきたバン族の優勢だった戦況を一瞬で覆した。
此の際に採られた戦術は、彼女の強力無比な帝具による一撃で敵の出鼻を挫き、その後に彼女の鍛え上げた精強な部隊によって突破殲滅を図る、というもの。
彼女単体で万単位の敵兵を鏖殺してのけると、その直後に突撃兵たちによって敵陣を斬攪。
宣言通りに彼女と彼女の麾下部隊だけで戦況を神速の速さで覆してみせた。
その後は戦の勝利への褒美として街への蹂躙命令を下し大勢の人間を凌辱、虐殺する。
彼女の部隊の士気が常に軒昂且つ実力も高水準な事の理由の一つに、徹底した信賞必罰方針があげられる。
バン族での蹂躙の例のように、彼女の部隊では戦後に占領地での私掠行為を公認しており、その褒美を目当てに奮起する兵たちも多いようだ。
また、その後に部隊を率いて革命軍と合流しようとしていたナジェンダ将軍を追撃し、その時に彼女の右目と左腕を奪う大手柄を挙げる。
結果的に元将軍は率いていた部隊の大部分を失い命辛々逃げ出しており、此の時の勝敗は誰の眼から見ても明らかなモノとなった。
後のナジェンダ元将軍は暗殺集団ナイトレイドに合流した事もあり、元同僚である彼女とエスデス将軍との因縁は浅からぬのは明白。
エスデス将軍には「機会が有れば元将軍と決戦に挑みたい」とのお言葉を頂いており、帝都を騒がす凶悪犯罪者集団であるナイトレイドとの因縁を清算する尋常の戦いが何時かは繰り広げられるかもしれないだろう。
続いては将軍の貴重なサービスショットの数々を――
「おいコラ」
「? どうしたのよ」
私が額に青筋を浮かべて詰め寄るが、ダーリンは「何故そんな顔をするのか分からない」とでも言いたそうな顔で首を傾げている。
……そんなクールな所も素敵だ。
「なんだ、此の……サービスショットだと?」
「ああ、その事ね? ほら、カメラの技術も大分一般化するようになってきたじゃない? だから今回の軍報では折角だしキレイどころのブロマイドを掲載しようと思ってね」
「それだ、ソレについて聞いているんだっ」
上がってきたゲラをバンバンと手で叩きながら抗議する。
一緒に添えられていた掲載予定のブロマイドとやらは……その、アレだ。
ハッキリ言って恥ずかしいぞ!?
わ、私はこんな貌をしていたというのか!?
こんなの、まるっきり雌の顔じゃないか!!
「??? 撮影会を開いて、マンツーマンでアタシが撮影した写真よ? 今度の月刊誌に載せるってのは、アナタも承諾して撮影したハズだったじゃあないの」
「こ、こんな蕩けた貌をしていたとは思わなかったんだっ!!」
なんだ、この男を挑発するような煽情的な表情はっ。
こんなの、こんなのダーリンの前だけでしか見せないんだぞ!
「う~ん……まあ、ちょっと可愛らし過ぎるかもしれないしねぇ……エスデス将軍って言えば、もっとクールビューティってイメージだもの。此れじゃあ印象変わっちゃうかもしれないし」
「っ!! そ、そうだ、私のイメージにそぐわないだろう!?」
こんなお預けを食らった雌犬のような表情が、帝都の書店に並んで国中に売られるかもしれないだなんて……そ、そんなの耐えられないぞ!?
私が雌犬になるのはダーリンの前だけなんだからなっ。
「えぇ~……じゃあ…………ああ、あったあった。一応他の写真も撮っておいたけど、この中から選んでもらえるかしら?」
「う、うむ。なんだ、他にもちゃんと写真があるんじゃないか。そら、ソイツを寄越せ」
デスクの中をごそごそと漁っていたダーリンが新たに提出してきた写真を検める。
また恥ずかしい写真が出回るようになっては困るので隅から隅まで目を凝らすが……。
「……なんだ、ちゃんとした写真もあるじゃないか」
「まあ、あそこまで興が乗ったのは撮影の後半だもの。その最初の方の写真は硬さが取れてなくてお蔵入りになってたものね」
「……ふむ、確かに多少緊張が見て取れるが……」
……だが、あんなトロトロに溶かされた表情は断じて認められない。
あ、あんなの、衆目に晒されるなど辱めもいいところだぞっ。
私はダーリン以外にあんな顔を見せる気は無いんだからなっ。
「……コレとコレとコレにしろ。それ以外は認めん」
軍服を着こなした正面からの写真と、顔のアップ写真。それと私服のバストアップの写真を提示する。
「えぇ~……アレはアレでゾクゾクするくらい可愛らしい写真じゃないのぉ」
「TPOを考えろと言っているんだっ。私はダーリン以外に肌を晒す事も女の貌を見せる事もしたくないんだっ」
「そんなぁ……」
まったく、破廉恥な。
ダーリンは露出の趣味があるのか?
ソレはいけない。
良妻賢母の私が正しい道に導いてやらねば。
「でもさぁ……アナタがアタシの
「~~~~っ!!」
首筋から顎にかけてを撫でられて、私の女の部分が反応してしまう。
散々調教された事で、こういう触り方をされたら問答無用で濡れてしまう身体になっているんだ。
……いけない、また流されてしまうっ。
「わ、私は――ッ!?」
~~~ッ!?
キスで口を塞がれたっ!?
「ちょ、あの、待って――」
「待たないわ」
あぁ……ダメ……ダメだっ……こ、こんな……こんな場所で………………。
「まったくもうっ。時と場合を弁えろ! こんな人前でチューなんてするんじゃない!!」
「えぇ~? でも、アナタだって後半はノリノリだったじゃない」
「あ、アレはッ!!」
「あー、ハイハイ。アタシも悪かったわよ」
むぅ~……反省の色が見えんぞ。
強引なダーリンもカッコいいけど、偶には私がリードしたいのに。
……でも受けに回るのも意外と快感……ッ!!
「……いや、ゴメンなさいね。アナタが可愛い反応してくれるものだから、ついついイジメ過ぎちゃったわ」
「もうっ、簡単には許さないんだからな、ダーリン」
フンだ。
そう簡単に私が許すと思うなよ。
今みたいにお姫様抱っこで膝の上に乗せて抱き締めてくれるだけじゃ許さないんだからなっ。
甘いパンケーキを沢山作ってくれる程度じゃ許さない。
繋がったまま一晩中愛の言葉を囁いて頭を撫でてくれるだけじゃまだ許さないんだから。
「困ったわね……どうしたら許してくださるかしら、お姫様?」
「ひぅっ」
あ、あぁ……そ、ソレだめ……。
耳元で優しく囁かれるとゾクゾクしちゃう……。
抱き締める力を少し強くされるだけで力いっぱい抱き締め返しちゃう……。
触れ合っている肌の部分を猫みたいに摺り寄せちゃうよぉ……。
……コレは、由々しき事態だ。
早急に解決せねばならない、喫緊の課題である。
まさか私が受けになるとは……。
私は今迄自分の事を攻めだと思っていたのに。
ソレも、徹底的な攻め、Sだとばかり考えていた。
だが、蓋を開けてみればダーリンにいいようにヤられてばかりだ。
今日だってイキ過ぎて気絶しそうになっても、泣いて謝っても許してくれないでとことんイジメられてしまった……。
本当にイキ過ぎで死ぬかと思ったぞ。
途中から意識が曖昧になっていたし。
精神がドロドロに溶けて、お互いに混ざり合うような倒錯的な快感。
今だけはダーリンに自分だけを見ていて欲しいという独占欲もあるが、アレを毎日ヤられると冗談抜きで私でも死ぬぞ。
…………コレは一夫多妻も止む無しだな。
いや、だが、偶には私が攻めてみたいという気持ちがあるんだ。
何時だったか攻めに転じてみたんだが、気が付いたらぐじゅぐじゅになるまで甘やかされて蕩けさせられていた。
宝物を扱うように優しく触れられ、お姫様に接するかのように恭しく扱われる……。
違う、あんなのは攻めじゃない。
もっと、こう……。
「……シャワーでも浴びるか」
隣で寝ていたダーリンを起こさないようにそっとベッドから抜け出し、浴場に向かう。
……折角だし、湯船にも浸かっておくか。
此処の風呂は天然温泉の泉源からお湯を引いてあるから、常時温かい湯が出ている。
夜中に急に風呂に入りたくなったとしても、一々湯を沸かす必要が無いわけだ。
「――ふぅ……」
やはり風呂はいい。
今迄はシャワーで済ませる事が多かったが、ダーリンの所に通うようになってからは毎回律義に入浴している。
入浴の習慣を持つようになってから気が付いたが、シャワーと入浴では疲れの取れ方が全然違うからだ。
今では兵舎にある将軍としての私室にも浴室を増築した程には風呂に嵌っている。
それに、肌の保湿や美容に此処の温泉は効果抜群なんだ。
今迄そういった女らしさなどには気を使っていなかったが、愛する男性の為に少しでも可愛く美しく見て貰いたいという気持ちが芽生えた。
だからそういった部分についても気に掛けるようにしだしたのだが、色々手を出してみたが此処の温泉に勝る美容効果は無いな。
30分入浴するだけで、翌日の肌の張りがまるで違う。
もうこれだけ劇的に変わっていると、ダーリンが何かの薬品でも仕込んでいるんじゃないかと不安に思う程だ。
……だが、怖いからナニが為されているのかなんて聞けていない。
君子危うきに近寄らずだ。
藪を突いて後ろから鬼に肩を叩かれるのは誰だって避けたいだろうに。
「……藪から出てこないんですね」
「肩を叩いて警告してくれるだけ温情だろ?」
「ドクターならそうと気付かせずに話術だけで自裁させられますしね」
それはそうだ。
此れがどうでもいい奴相手だったら、テリトリーに入り込んだ瞬間に死んだ事にすら気付けない程の刹那の間に解体されるだろうさ。
親しき中にも礼儀ありだ。
ダーリンの逆鱗は、やはり研究開発の部分で口出しをされるのh――うん?
「……ッ!? な、何故ここにいるお前ら!?」
「しぃ~っ! 夜中なんですから、大声出さないでください」
あ、スマン……ってそうじゃないっ。
気が付けば、いつの間にか此の広い浴槽の中にファル、ルナ、エアの三人娘が一緒に入っていた。
此の私が此処まで接近された事に気付けないとは……もしや。
「……ルナ」
「なんでしょう奥様?」
三人娘は私の事を“奥様”と呼ぶ。
まだ結婚していないのだがな。
いや、それよりも……。
「……“眼”を使ったな?」
「……まあバレますか。ええ、ちょっとお話したい事がありまして」
ルナ達は嘗て悪質な奴隷商に騙された所をダーリンに助けられたらしく、二人はその時にそれぞれ肉体の部位を欠損する程の傷を負っていたそうだ。
ファルが両脚を、ルナが左目を。
唯一ファルだけは五体満足だったそうだが、あと少しでも救出が遅れていれば犬に凌辱される所だったとか。
……私も占領政策で散々略奪や凌辱を推奨してきた身だから強くは言えないが、身内がそんな状況になっていたらと思うと反吐が出る。
特に、此の三人も含めたセリューやクロメ達は私とは切っても切れない絆で結ばれているんだ。
具体的には………………そう、竿姉妹なのだからっ!!
……まだ頭が茹っているようだな。
まあいいや()
其の為、ダーリンは二人に対して再生医療を施した。
現代の医術では到底完治不可能な傷だったからな。
クローニングを用いた先進医療を施したそうだが、その際にちょっとした仕掛けをしてある。
ファルの両脚は“精霊の脚”に。
ルナの左目は“魔眼”に。
そして自ら志願したエアの両腕は“悪霊の
ファルの両脚の仕掛けは、呪文解放によって空を征く羽馬の脚に変化する。
ルナの魔眼は【
エアの両腕は霊化の術により何処までも伸びる“防御不能の触腕”となり、無数に枝分かれしたソレは波濤のような術の弾幕を張る。
故郷から奴隷商に売り飛ばされた以上、帰るべき場所も無くなった彼女達はそのままダーリンに雇われたそうで、今では立派に筆頭侍女として此の家を切り盛りしている。
最初は『今後誰かに襲われたとしても何とかなるように』という想いで施された処置だったようだが、今では彼女達もダーリンの補佐をしたりする為に個々の能力を磨いている。
実際に彼女達がダーリンの為にその能力を使う事態には早々なり得ないだろうが、その心意気は立派なものだ。
そしてルナの魔眼だが、結界と言っても多様な能力を持つ。
単純に防御するための壁を張る物から、対象を閉じ込めて攻撃を跳ね返す類の物。
そして、特定の対象の気配を遮断する物。
今回使われたのは此の能力だろう。
此の気配遮断を使われると、目の前に居て此方に触れられていたとしても対象を知覚する事が不可能になる。
……コレさえ使えば暗殺なんてやり放題だろうな。
だが流石に無敵という訳でもなく、結界の維持には相応に体力を使うらしい。
まあ、暗殺という手管はダーリンの忌避する所だ。
余程の事が無い限り、その手段を強いる事は無いだろう。
「――話したい事だと? 一体なんだ?」
ルナの魔眼の考察はさておき話の内容だ。
態々こうして邪魔の入らない場所でないと話せない内容か……。
……まあ、心当たりが無いでもないが。
「単刀直入に申し上げます。奥様はご祝言の時期についてどのようにお考えでしょうか?」
「……これはまた、答えにくい事を……」
思った通りの質問だな。
だが、答えに窮する内容である事に変わりはない。
そもそも、私が相思相愛のダーリンとまだ祝言を挙げていないのは偏に政治が絡む問題に発展しかねないからだ。
私は濁流派の武官筆頭。
そしてダーリンは中道派の文武領袖。
……まあ、端的に言って両者の婚姻は難しいだろう。
私の後ろ盾は大臣であり、ダーリンはリスト侯爵家当主である自身を筆頭にした元良識派の中でも真っ当な連中による連合を背景に中道派として地盤を確立している。
当然、元良識派の連中で今迄に大臣派によって脅かされた事が無い人間など居ない。
此処でいきなり私が鞍替えをしてしまえば、大臣派からも中道派からも疎まれかねないだろう。
その場合、ひいてはダーリンの足を引っ張る羽目になりかねない。
私は男の生き方の妨げになるような女にはなりたくないんだ。
となれば、現状では今すぐに結婚という訳にはいかない。
私とて曲がりなりにも将官の一人だ。
何処ぞの大将軍殿と違って政治的な忖度を理解出来る程度の頭はある。
抑々ダーリンと昵懇の仲になっている現状ですら危ない橋を渡る有様なんだ。
そう易々と旗色を変える訳にはいかない事くらい理解しているが、だからと言ってソレに納得しているわけではない。
……だが、少なくとも私の頭ではその事に対する劇的な解決策は思いつかない。
此の事に関しては周りに頼れる人間もいないし、何処から此の件が漏れるかもわからない以上はそう簡単に口に出す事も憚られた。
その結果、こうしてお忍びの関係がズルズルと続いてしまっている。
何時かは大手を振ってダーリンと結ばれたいとは思っているが、少なくとも現状ではソレも難しい。
さて、どうしたものか…………。
「――私とて、叶う事なら明日にでも祝儀としたいさ。だが、私の立場がソレを許さぬ」
仮に、何もかもを捨て去る事でダーリンと結ばれる事が可能なのだとしたら、私は一切の躊躇なくソレを為すだろう。
だが、私にも背負ってきた立場や柵がある。
ソレは単純に放棄する事で解決するハズも無く、寧ろ上手く処理しなければ何時までも付きまとうハメになるだろう。
そもそも、無責任に何かから逃避するような真似はダーリンが忌み嫌う事だ。
私にも多くの部下がいるし、それらを捨て去るような事をすればダーリンに叱られるだろう。
……ソレは、イヤだぞ。
そういうワケで、立場が私に自由な振る舞いを許さないのだ。
仮に大臣の追求が伸びてこなかったとしても、多くの柵が私を雁字搦めにし続けるだろう。
ソレで最も恐れる事態は、私の存在がダーリンの重荷になるという場合だ。
私は愛する人の負担になどなりたくはない。
「成程。では、結婚の意思は有り、と。其処は相違無いですか?」
「何を今更。私のダーリンへの愛執はお前たちも知るところだろうに」
「いえ、ただの確認です」
うん?
そういえば、こいつらも分かり切ったような内容の話なんだ。
ソレを今更改まって聞いてきたという事は、何かしらの思惑があるとみていいのか。
「――ふっふっふっ! 話は全て聞かせて貰いました!!」
「……セリュー? 何時の間に……」
気が付いたらセリュー・ユビキタスも浴場内に現れていた。
本当に此の魔眼は厄介極まりないな……。
「……それで、私以上に猪武者なお前が何を言う気だ?」
コイツはどう見てもガチガチの武官だ。
あまり策謀の類は得手ではないハズだが……。
「フハハハハーっ! 某腹黒副官殿に丸投げして考えた此のプランを聞いてもそんな事が言えるのかなーっ!」
……やっぱり猪武者じゃないか。
深夜のお風呂場密会同盟で有意義な話し合いをした翌日。
今日は帝都で募兵が行われる日だ。
本来ならば将軍が直接面接をしたりすることは有り得ないが、私は掘り出し物が無いか気になってこうしてお忍びで査察に来る事が多い。
そもそも、優秀な人材は【特務軍】に流れやすい土壌が出来ている以上、青田買いは積極的に行っていかないと軍隊の質が保てなくなる。
故に私はこうして気配を消して募兵に並んでいる人間を観察するのが常になっているわけだ。
昨夜の話し合いで新たに定めた目標の達成の為にも、優秀な将兵は幾ら居ても足りないからな。
……まあ、大抵は原石にも満たない鉄屑ばかりで辟易とするものだが、こういうのは根気強く粘るのが肝要だ。
最近、北方異民族を撃滅しきったばかりなので、北方軍は今の所無期限の休暇状態なんだ。
その休暇を鍛錬にばかり充てるのもなんだし、私はヘッドハンティングの機会を探っているという状況になる。
まあ、大部分はダーリンとイチャイチャする時間に割いているが。
しかし日中からずっと盛っている訳にもいかないので、こうやって仕事を自分から探して熟している。
私は磨き上げられた輝石を砕くのも好きだが、輝きを秘めた原石を研ぎ澄ますのも嫌いじゃない。
そういう意味では募兵で未熟な果実を見て回るのも苦にはならないからな。
そもそも、ダーリンの手にかかれば大抵の屑鉄を黄金に変異させる事だって難しくは無いんだから。
となれば、後は多様性の問題だ。
剣士なら剣士を。槍使いなら槍使いを。弓兵なら弓兵を。
そういう手札の多様性を揃えて磨き上げるのが重要だと私は思う。
「――ま、全ては私が楽しむ為に帰結するんだがな」
そう独り言ちて溜息を吐く。
どうも今日は応募者の質が良くない。
どいつもこいつもゴミクズばかり。
此れなら態々ウチに引き込みたいとも思わないな。
全く、雑草共がぞろぞろと数ばかり多くて困る。
大不況の昨今、兵士は抽選になる程の人気職だが……特務軍は兎も角、他の軍隊に其処迄の供給容量は無い。
故に、多くの人間が抽選で漏れて特務に流れるという良くない流れが出来ている。
此の流れは根本的な原因を如何にかしない限り変えられないのだが…………。
「――なんだよ試すくらいいいだろ!!」
「ふざけんな! 兵士になるのすら抽選が必要なんだ!!」
うん?
また騒ぎが起きているな。
見れば、剣を背負った少年が募兵の担当官に締め出されていた。
ある程度自身の腕に自信がある人間は最初から部隊長レベルでの士官を要求する事が多い。
あの少年もその類だろう。
当然だが一々武辺者の腕前を見てやる程の時間的余裕も無いので、そういう輩は放り出されるのだが…………ふむ。
「――だったら騒ぎを起こして名を売るか? でも捕まるかもしんねーし……」
「おい、キサマ」
何やらブツブツと不穏な事を口走っていた少年に声をかける。
フフフ……成程、今日は
「お困りのようだな? 感謝するがいい。私が手を貸してやる」
此の少年……特大サイズの原石だッ!!
というわけで次回から原作編です。
逃げてータツミ超逃げてー。
追記:章管理をミスりましたが、原作編に入るのは次回からです。お目汚ししました。
【CAUTION!】
本作はアンチ小説です。
全方位にヘイトバラ撒くし原作主人公陣営だろうと色々ヤります。
帝国だけでなく革命軍もアンチ対象です。
基本的にはドクター陣営以外は大体酷い目に遭います。
以上の事をご注意ください。
それでも良い、という方は次回以降の更新をお待ちください。
受け付けない方は…ブラウザバックをお願いします。