憑依者はスタイリッシュなマッドサイエンティスト   作:社畜戦士

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本日二回目の投稿です。
しばらくは一日二回投稿を目指します。

第二話ですが、粛清します。
今後もこんなノリで雑に殺すし犯すし嬲ります。
肌に合わないのであればブラウザバックをお願いします。


File02:良識派の一掃

◇◇◇帝都宮殿内部大会議室◇◇◇

 

 

 

 宮殿内部の大会議室の中で、ロクゴウ将軍は忙しなく周囲を警戒し続けていた。

 先だって革命軍に渡りを付け、いざ帝国から離反しようと機を伺っていた此の時分に急な招集命令だ。

 何か嗅ぎつけられたと勘繰るのも無理は無かった。

 

「おっ、ロクゴウ!」

「っ! ヘミか」

 落ち着きなく群衆の中から周囲を警戒するロクゴウの背後から声を掛けてきたのは、同郷の旧知であるヘミ将軍だった。

 見知った戦友と会えた事で幾ばくかの余裕を持ち直すロクゴウ。

 

「どうした、随分張りつめた様子だが? 嫁さんを怒らせでもしたか?」

 ヘミは相も変らぬ親しみやすい気安さを感じさせる調子で肩をたたいてくるが、生憎とロクゴウにはソレに冗句を返すような余裕は無かった。

 

「……緊張もするさ。今回集められた面子、どうにもキナ臭いぞ」

 声を潜めてそう告げるロクゴウ。

 ソレに釣られてヘミも周囲に気を配って小声になるが、ロクゴウの懸念は承知の上でソレを否定した。

 

「……そうか? 確かに良識派の多くが今回招集されているが、中にはそうでないのも居るぞ。……まさか、此処でいきなり大粛清って訳もあるまい?」

 

 

 実際の所、ヘミは自身が悪政に反骨する気質の良識派と括られた存在だというのは理解していたし、自らが大臣の専横で圧政に喘ぐ祖国を如何にかしたいと考えている事も否定はしない。

 同郷のロクゴウにすら言っていないが、革命軍に接触している事もあって今回の招集命令には思う所もある。

 しかし、ヘミとしては今回でいきなり粛清されるような事態に陥るとまでは危惧していなかった。

 確かに今の大臣になってからオネストの政敵や良識派の多くが無実の罪で消され続けたが、一応、本当に最低限の一応だが、罪をでっちあげてこそいるが、彼らは皆『罪状を擦り付けられてから処刑』されている。

 

 大臣がおよそ好き放題しているとはいえ、ソレは帝国の絶大な“権力”に依って成り立つ“権威”を下地にしたモノだ。

 つまり、流石の大臣でも『目障りだと感じたので唐突にその場で皆殺しにする』ような真似は出来ない。

 ソレをすれば、大臣が拠り所としている“権力”そのものを否定しかねないからだ。

 権力の力で成り立つ地位は、実の所ある程度の手続きという権力構造の枠組みを前提にしている。

 故に、前提条件こそ破綻しているものの、そのボロボロの枠組みだけはさしもの大臣ですら滅多に逸脱しない。

 具体的には、その場で衆目の中で射殺されるような事態には陥らないと断言出来た。

 

 そういう前提を鑑みれば、こうして集められた人々が『目障りだから』というだけの理由でいきなり処刑、というか粛清されるとは考えていなかった。

 そもそも、確かに良識派の大多数が呼ばれてこそいるが、中には賄賂や横領等の噂があるような酷吏も混じっていた。

 

 第一に、内政官や徴税官だけでなくロクゴウ達のような武官や警備隊員のような文武双方の所属へと満遍なく招集が掛かっているのだ。

 そういう彼らをつぶさに観察してみれば、後ろ盾を持たない無派閥の存在だけが呼ばれているように思えた。

 事実、ロクゴウもヘミも良識派という枠組みにこそ居るが、誰かの後見を得ている訳でも誰かの派閥へ所属している訳でも無かった。

 

 あくまでも『良識派』という区分は『悪政に対し憂慮する良識を持った役人・武官』というだけの曖昧な線引きであり、誰かを旗頭にして一致団結している訳では無い。

 ……そして、そういうリーダーシップを発揮する良識派のトップと呼べる存在が居ないからこそ、こうしてオネスト派が自由の限りを謳歌しているのだが。

 

 

「――って事で、俺達みたいな無所属の人間を集めて、新派閥でも立ち上げようって考えた輩がいるんじゃねぇか?」

 そういった事情を鑑みて自身の推理を組み立てロクゴウに伝えるヘミ。

 節操無しにこうやって無所属の人間を招聘している以上、碌な輩ではないだろうが。

 そう付け加えて。

 

 

「……なるほど。だが、そんな影響力を持った奴なんて居たか? 派閥の領袖というからには、上級官吏か将軍級の役職の人間だろう?」

 

 ヘミの推察に一定の理解を示しつつも、唯一読めない部分について考えるロクゴウ。

 現時点に帝国で派閥を形成出来るというだけの権力を持っているような人間は、大抵はオネスト閥にしか生き残っていない。

 一応ロクゴウ達のような将軍達も軍閥を形成しようと思えば可能なだけの権力は有しているが、そんな無謀な真似をすればオネストに睨まれて終わりだ。

 そして、オネスト閥から出奔して新たな派閥を創ろうだなんて考える自殺志願者は、そもそもオネストの派閥に入り込めないだろう。

 

 

「――いや、新派閥って意味なら、一人心当たりが居るよ」

「「っ!?」」

 

 声を潜めて密談していた二人の輪に、突然入り込んだ男に驚いて身構える将軍達。

 しかし、誰が声を掛けてきたのか理解すると驚くと同時に喜色を滲ませた。

 

「ラボラ!」

「久しぶりだな!」

 

 果たしてたった今声を掛けてきたのは、二人の同郷であるラボラ技術士官だった。

 普段は頑として研究室から出てこない重度のひきこもりである友人だったが、流石に政府からの呼び出しには応じたようだ。

 挨拶もそこそこに、こうして久しぶりに再会できた事を喜ぶ三人。

 

「――っと、それで、心当たりってのは?」

 暫し旧交を温めていた三人だったが、先ほど話し合っていた疑念について尋ねる。

 

「ああ……実は幾つかの省庁や委員会が統合されて、“局”っていう新しい上位行政府が置かれるそうだよ」

「なに!?」

「本当か!?」

 

 

 それからラボラから語られる内部事情。

 警察庁や技術開発庁などの幾つかの行政機関が統合され、新しく上位行政機関が設置されるという事。

 また、ソレを主導したのは年齢不詳正体不明の『Dr.スタイリッシュ』と呼ばれている男だという事。

 そして、そのDr.スタイリッシュというのが自身の上司であるという事など……。

 

 

「僕も詳しくは知らないけどさ、多分その新しい“局”ってのに多方面への影響力を持たせたいんじゃないの? だからこうして質は問わずに無派閥の人間を、取り敢えず呼びつけたんだと思う」

「なるほど……しかし、その行政機関ってのは何をする所なんだ?」

「おう、こんだけ節操無しに色んな部署から人を集めているんだ。逆に何をする部署なのか分かんねぇぞ?」

「ああ、それなら――」

 

 

 

『あー、あー、アテンションプリーズ♪ 此方は神域の天才科学者Dr.スタイリッシュよぉ♡ ナイストゥミーチュー!』

 

 不意に、大きな拡声が響き渡った。

 いつの間に此の会議室の中に入り込んだのか、白衣の男が会議室に設けられた壇上で大声を出していた。

 何やら棒で固定された筒のような機械から此の広い大会議室全体に響く拡声を出しているが、アレは一体何者だ……?

 招集された人々がそう疑念に思ったのも束の間。

 白衣の男は抱き締めようとするかのように両手を広げて此方を見下ろして宣言する。

 

『皆さまようこそお集まりいただきました。それでは堅苦しいご挨拶は抜きにして――くたばるといいね

 

 

 瞬間、男の両手の五指からそれぞれ衝撃波のような無形の弾丸が連続で射出された。

 ソレは一切の区別なく、射線上に存在した武官と文官を問わずにミンチにしていく。

 

「何ぃい!?」

「どういうこった!?」

「テメエ、オレを誰だt――」

 

 抗弁した者も、そうでない者も、等しく挽肉に変えられていく。

 

「チクショウ、応戦しろ!」

「相手は一人だぞ!!」

「こっちには将軍達だっているんだ!!」

 

 抗った者も、逃げ出した者も、容赦なく吹き散らされていく。

 

 

「これ以上、やらせるか!!」

「舐めるなよ!!」

 だが、文官は兎も角武官の中には将軍級の人間達も含まれている。

 彼らは必死に弾丸を回避し続け、徐々に距離を詰めていく。

 ソレに対し男は猫がネズミを甚振るかのように態と余裕を持たせて射線を狭めて包囲していく。

 まるで尽きる事が無いかのような圧倒的な弾幕の前に、集められた人々が一人、また一人と削られていった。

 

「――()った!!」

『――あらん?』

 

 しかし、幾らかの犠牲の上で将軍級の人間達は一斉に距離を詰め、無造作に虐殺を行っていた男の首を斬り落とす事に成功。

 碌な抵抗も見せず、男は頭部と身体が泣き別れになって崩れ落ちた。

 

 

「ざまあみろ!!」

「このクソ野郎が!!」

「これだけの人数に勝てる訳ねぇだろ!!」

 

 満身創痍で悪態を吐く武官達。

 恨み骨髄と、鬱憤を晴らすかのように残った胴体と頭蓋を手持ちの武器でズタボロにし始めるが、誰も其れを咎めはしないし咎めようとも思わなかった。

 それだけ先程までの虐殺は惨いモノだったからだ。

 こうして男が原型を留めていない肉塊に変えられようとも、それだけの報いを受けるべき凌辱を行ったのだから仕方がない。

 

 

 

「痛ぅ……チクショウ、一体何だってんだ……」

「おう、ロクゴウ……何とか生き残ったか……」

「ヘミ! お前も無事だったか……」

 

 そんな中で将軍の二人は生存を喜び合っていた。

 想定外の暴虐が降り注いだが、それでも五体満足で生き残る彼らの実力が伺える。

 

「っ!! そうだ、ラボラは!?」

「生きてるよ。ホラ、あそこ」

 

 ひとしきりお互いの無事を確認していたが、其処で非戦闘員の友人の事を思い出したロクゴウ。

 しかしラボラは運よく生き残ったらしい。

 なんでも、頭を抱えて這い蹲っていたら偶々生き残れたそうだ。

 今は会議室の扉の前で他の非戦闘員の生き残りと何か話し込んでいた。

 

「そうか、良かった……。……ところで、アレは何してるんだ?」

「ラボラ達か。どうも、扉が封鎖されてるらしくてな。帝具持ちの将軍の一人が攻撃してもビクともしなかったんで、脱出手段を探している所だ」

 

 ひとまず白衣の男を始末して生き延びた彼らだったが、現状ではそこまで事態が好転してはいなかった。

 男が何らかの所属から派遣された刺客であろう事は一目瞭然だったが、こうして閉じ込められたままなのだから、第二第三の刺客が送り込まれかねない。

 そして最悪は此のまま閉じ込められたまま部屋ごと潰されかねなかった。

 

「――よし、ならオレも」

『その必要は無いわぁ』

 

 

「「「ッ!?」」」

 

 

 聞こえる筈がない男の声が、室内に響いた。

 その事実に驚愕した生き残り達は、死んだ筈の、既にボロクズになった死体を凝視する。

 しかし、どうしてかズタボロの遺骸は起き上がり、実に流暢な口調で言の葉を紡いだ。

 切り離された首を無理やり胴体に乗せて、虚ろな眼窩で生存者達を睥睨する。

 

『あぁん、随分やってくれたわねぇ……これは、たぁっぷりお返ししないと……割に合わないじゃあないの♪』

 

 瞬間、再度展開される波濤のような弾幕。

 既に終わったものと判断していた多くの生き残り達は、抗う暇もなく蹂躙されていく。

 

「何故だ!? 何故生きている!?」

「アレで死んでないのか!?」

「口を動かしてないで、さっさと殺れ!!」

 

 しかし、流石に先程の銃撃を生き延びただけはある。

 即座に対応し、再度距離を詰めて今度こそと攻撃を加えた。

 ――アレで死なないならば、復活出来ぬように何度も切り刻む。

 誰も口にしなかったが、即座にそう思い至った彼らは今度こそ男をブロック状の肉片に変えてやった。

 

 

「――はぁ、はぁ、はぁ……!!」

「今度こそくたばっただろ!!」

 消耗激しく、息も絶え絶えに肉塊を油断なく睨みつける生存者達。

 しかし――。

 

 

『――残念でした♡ 痛くも痒くもないわぁ』

 

 そう宣言しながらまるで時を巻き戻すかのように肉片が継ぎ合わされていく。

 あまりに非現実的な光景を前に唖然として立ちすくむ彼らの眼前で、白衣の男は襲撃前と寸分変わらぬ身体へと完全に再生しきっていた。

 その悍ましい姿に、完全に絶句する生き残り達。

 

『はぁ……少しはやれるのかと思ったけど……所詮何処の派閥にも入れて貰えなかった雑魚共ねぇ……』

 役者のように大仰な仕草で悲観を露わにする男。

 最早男の顔には、生存者達への興味が一切残されていなかった。

 そして、至極淡々と宣告する。

 

『アナタ達は……失格よ』

 スッと、空気を撫でるかのように無造作に片腕を振るった男。

 

「――がっ!?」

「ぎぇっ!?」

「ギャッ!?」

 

 

 しかし、不可視の“何か”が腕の直線上に居た彼らを薙ぎ払っていく。

 見えない剛爪にでも切り裂かれたかのように、凪の先に居た全員が一瞬で細切れにされてしまった。

 

「テメ――」

「この――」

 

 そして返す手で腕をぐるりと回せば、残りの生存者達は全員バラバラにされてしまう。

 其処に一切の貴賤は存在せず、唯々等しく“死”だけが降り注いでいた。

 

 

 

『――という事で、合格者ゼロ名。無党派層の方々は皆仲良く人生から落第でオシマイよ――』

 

 

 

 朗々と歌い上げるように語る男。

 その周囲には物言わぬ骸となった肉片と、夥しいまでの量の血液だけが散らばっていた。

 

 此処でない何処かを見詰める男の視線の先には、男の手で事前に設置されていた何かの機械装置が在る。

 球面レンズが特徴的な四角い機械装置……ソレは此処ではない別の世界では、ビデオカメラと呼ばれる撮影機械だった。




一応一話当たりの文字数は5000字を目安に考えています。
多い・少ない・丁度いいなどあればご意見をお聞かせください。

補足。マイク機器やカメラ機器を此の世界の人間が初見のように書いてますが、原作では都民武芸大会でウェイブがマイクで司会をしていました。
ただ、他の描写では電子機器が其処まで発展しているようには見えませんでした。
そこで、此の作品ではAV機器を始めとした電化製品は基本的にドクターが開発して流通させている設定にしています。
勿論独自設定です。


今回使用した魔術。

・【ガンド】及び【フィンの一撃】。呪いだけではなく物理的な被害を与える呪弾。今回は某俺の両手は機関銃(ダブルマシンガン)風に使用した。

・【邪眼】。本来は悪運や病魔の呪詛を与える程度の代物だが、強力な邪神の加護――というより、邪神そのものによる叡智――が施された此の邪眼は対象へ強力な幻惑と錯乱の呪詛を始めとした様々なデバフを施す。犠牲者達が迷うことなく攻撃に移ったのは其の為。他にも幻覚や魅了等の多様な能力がある。

・【癒し】。魔力量に依って回復するヒール魔術。莫大な魔力供給によって致命傷どころか肉片にまで分割されても即座に再生が可能になった。

・【“空”の属性魔術】。階梯は長子(中級)の属性魔術。今回使用したのは純粋エーテルを放つ空の魔術。魔術的素養の無い人間には不可視の一撃になり、最後の空撃で生き残りを満遍なく斬殺した。

・【属性強化】。属性魔術を強化する。強化によって唯の中級魔術が必殺の一撃に昇華された。

・【上級の使い魔】。下級・中級の使い魔の制約を全て失くしたモノ。実は今回は魔獣(クトゥルフ産)を変成させた分身に虐殺を行わせていた。そもそも本体はあの程度では“態と”喰らわない限り通常攻撃は無効化される。

・【皮膚の制御】。対象に肉体を細胞レベルで変成させる。コレで使い魔を分身として形成した。このほかに【ゴルゴロスのボディ・ワープ】で似たような事も出来る。
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