憑依者はスタイリッシュなマッドサイエンティスト   作:社畜戦士

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旅行に行っても空いた時間に結局ソシャゲの周回とかしてる…あると思います。


File27:結局普段と同じ事をする

 収穫物を念力で浮かしながら運び、別荘の裏手にある食糧庫と繋がっている勝手口へ向かう。

 其処で一応獲物の精査をするわ。

 貝類は貝毒とかがあるから食べられないのは除外しないと危ないし、山野草も可食出来ないのもあるかもしれないしね。

 まあ素人のボルス母子が食べられないのを取っていないか不安なだけで、他のみんなはちゃんと熟練の審美眼を持っているから心配はしていないわ。

 イエヤス達も田舎暮らしでそういうのはそこそこ得意らしいし。

 ……流石に海の知識は無いんだろうけど、一応書面でデータベースを参照させておいたから、其処迄神経質にならないでもいいと思うわ。

 

 ただ、魚だったら船で神経〆とかにしたのを処理しておかないといけないし、貝類とかも一部は砂抜きとかが必要よ。

 山野草も灰汁抜きとかがいるし、鳥獣は血抜きしたのを解体しないといけないわ。

 まあ鮮度に関しては影とかを使ったから抜群だけど、熟成させた方が美味しかったりもするから其処は適宜対応していきましょ。

 内部時間操作を活用すればその程度はね。

 

 

「ただいま~。今日は山海の幸が大量よぉ」

『おかえりなさいませ、ご主人様』

 

 裏口に入ると解体準備等を済ませていたメイド三人娘を筆頭に使用人達が出迎えてくれたわ。

 早速テキパキと指示を出して食材の下処理を任せていく。

 流石に今日中に全部は消費できないから、他は影の倉庫に仕舞う形になるでしょうけどね。

 

 取り敢えず解体などの力仕事は持っている能力的にそういうのが得意なエアを中心に。

 傷んだ食材とかを見分ける事も可能な魔眼の無駄遣い極まる能力使用により、小物の選別はエアを中心に。

 魚とかをおろすのは意外と手先が器用なファルを中心に。

 後はアタシが山野草なんかの下処理を行うわね。

 メイド長的な立場にある三人娘に指示を任せつつ、他の使用人達にも動いてもらうわ。

 

 

 いや~それにしても……此の南洋地域が赤道直下とはいえ、晩冬の此の時期に此処まで暖かいのは嬉しいわ。

 こういう帝都から遠く離れたプライベート空間だと、普段の忙しなさを忘れられてゆっくり出来るわねぇ……。

 もういっその事此処で隠居したいまであるわ。

 

 でもダメよ。

 放っておくとメタ的な意味で革命軍大勝利のお約束からは逃れられないんだもの。

 そしたら侯爵っていう大貴族のアタシん家は確実に断頭台の露と消えちゃうでしょ。

 連中は共和制を敷きたいらしいから。

 尤も、仮に此のまま革命が成就しても、政治を動かすインテリが足りないと思うんだけどねぇ……。

 

 というか地球の革命史を紐解けば、革命の後の貴族家なんて賊滅の憂き目に遭うのは必定よ。

 それもアタシだけならまだしも、使用人たちまで「貴族の恩恵に与っていた」とかいう理由で凌辱されちゃうでしょうし。

 坊主憎けりゃ袈裟まで憎いって言うけど、歪んだ群集心理は狂気を正義に正当化してしまうのよね。

 そんなん許さないわよ。

 

 アタシはアタシを信じてついてきてくれる子達を守ってあげる義務があるの。

 其の為ならば革命主義者諸君が如何に御大層なお題目を掲げていようが関係無いわ。

 アタシはアタシの身内を守る為に連中を亡ぼすのよ。

 どうせ向こうもエゴを押し付けてくるんだし、此方も極大まで肥大化したエゴで圧し潰してあげるわ。

 

 

 ――とかどうでもいい事を考えながら下処理を終わらせ、調理に関しては三人娘以下使用人達に任せる事に。

 折角だから何が出来るか内緒にしてもらっておくわ。

 その方がバカンス感が出て楽しみに出来るし。

 

 

 


 

 

 

「えー、ではアタシ達の仕事が一区切りついた事を祝って……乾杯!!」

『乾杯!!』

 

 乾杯の音頭の後に大人達がジョッキをカチ合わせる。

 キンキンに冷えたラガービールよ。勿論財団製ね。

 此の世界にはエールはあったんだけど、所謂日本で言う所のビールであるラガーは無かったのよ。

 まあ大抵は冷えてないと飲めたモンじゃあないものね。

 

 だから、ウチで開発してドンドン売りに出したわ。

 甘さを抑えてあるから、軽くてもガツンとくる後味。

 一気にゴクゴクいくと冷たい喉越しが強く感じられるわ。

 やっぱスーパードライくんの……ビールを……最高やな!

 

 ビールも美味しいけど、料理も一級品よ。

 あの娘たち、また腕を上げたんじゃないかしら?

 教え子の成長を実感できるのは嬉しいわぁ。

 

 今日は海鮮系がメインよ。

 焼き、炒め、蒸し、茹で、揚げ、生、燻し、etc……。

 魚介類だけで此処までバリエーションを持たせられるのは素晴らしいわ。

 帝国は広いから各地に色んな調理法があるんだけど、田舎とかだと焼くか茹でるかくらいしか無かったりするもの。

 国土が広過ぎるのも考え物ね。

 

 その点、ウチの娘達は現世の料理法を教え込んだから、フレンチやトルコ料理や中華や和食やらと、料理人としても大成するだけの技量を身に付けたわ。

 美食って観点ではウチは帝国有数の自負があるわよ。

 

 

 ……ちょくちょくウチに遊びに来ているローグちゃんが将来になって食事関係で困りそうね。

 下手に良い物ばっかり食べた幼少期を過ごすと、大人になって粗食とかに耐えられなくなるのよ。

 要は『舌が肥える』の。

 

 現代日本での例えになるけど、独り立ちして自炊とかするのに、自分の調理スキルが自分の舌に見合っていなくて結局外食しか出来ない……とかって実際にあるのよね。

 その外食にしたって半端なモノは食べられないから、若造の癖にお高い食事事情になっちゃって、カツカツになっちゃうっていう。

 

 ご家庭で美味しいモノを食べてこられたのは間違いなくプラスの経験なんだろうけど、ソレで舌が肥え過ぎちゃうとソレはソレで困るわよ。

 ま、何事も程ほどが大事って事かしら。

 

 

 ちなみにローグちゃん以下未成年にはお酒を飲ませていないわよ。

 一応此の世界での成人は15歳ってなっているけど、ウチでは未成年には飲酒を禁止させているの。

 此の世界の法律的には、未成年でも保護者の許可と監督がある環境ならば飲酒してもいいって事になっているわよ?

 地球でもイギリスとかはそんな感じだし、人種によるアルコール分解能力の違いからくる地域間の差異なんだから、其処は別に気にしていないの。

 ただ、ソレを踏まえても未成年の飲酒が身体に良い訳ではないじゃない。

 成年と未成年ならどっちの方がアルコールに強いのかなんて分かり切った話でしょ。

 よって、当家では15歳未満にはジュースやお茶しか出していませんので。

 

 まあ未成年組はお客様のローグちゃん以外だとウチのメイドや執事の若い衆しか居ないんだけど。

 その若人にしたって、別荘まで遊びに行くのに大所帯で引き連れていく訳にもいかないから、メンバーは少人数よ。

 ただ、彼らにもバカンスで羽を伸ばして欲しいって意味から、今回の旅行には熟年者よりも若い層を中心に連れてきたんだけどね。

 彼らも交代制にして、手が空いている時間帯は好きに遊ばせてあるわ。

 我が家は福利厚生の充実した御家だもの。

 

 

「ドクター、あーん」

「あーハイハイ」

 

 クロメちゃんってば酒宴の時はほぼ毎回こうやって何かしら食べさせようとしてくるのよね。

 恐らく彼女にとって『ご飯を食べさせて貰う』という行為の価値が他者よりもかなり高い位置にあるからでしょうけど。

 『自分がされて嬉しい事は他人もされて嬉しい』ってワケではないんだけど。

 でもかわいいから許しちゃう。

 お礼に後で『アタシがされて嬉しいコトをシてあげる』わ。

 

「ムムムっ。ドクター、此方もどうぞ!!」

「いやちょっとまだ食べてるかr――」

 

 そして其処でセリューが対抗意識を見せるのも毎回のお約束。

 ちょっと行動が小学生レベルなんですがそれは……。

 クロメにファッションとかお化粧とかのオシャレを教えてあげられるくらいには女子力高い癖に、この子って異性の気の惹き方が小学生男子基準なのよねぇ。

 最近じゃあエスデスの方が女の子らしい説あるわ。

 まあポンコツなセリューも愛しいんだけど。

 

「……私も食べさせましょうか?」

「いや、アナタくらいはしっかりしてくれないかしら……」

 

 其処でニューフェイスのスピアが天然発言。

 アナタってそんなキャラだったのね。

 知らなかったわ……。

 なんせ原作では数ページで退場したものね!

 ちなみに酒癖が最悪な事が判明している彼女には暫くの禁酒命令が出ているわ。

 本人も納得しているし、当分は酒精からは遠ざけるが吉ね。

 

「――美味っ」

「……コレ、私たちの故郷でも食べてたアシガバードのお肉だよね?」

「だよな? ……今日罠で捕まえたって聞いたから、特別な飼育されてた高級な奴とかじゃないよな?」

「うーん、調理技術の差かぁ……」

 

 何やら当家の抱える料理人たちの技術に慄いている様子なのはサヨとイエヤスの二人。

 二人が驚いている通り、その辺で狩猟採集したジビエが、純粋な調理技術によって極上の一品に化けた次第。

 まあ、彼らが故郷で食べていたのって多分、血抜きして解体する段階で既に味が落ちている奴でしょうし。

 こっちも伊達に相対的未来の知識を持っているわけじゃないのよ。

 枝肉にした時点でもう味に差が出ているでしょうね。

 

 

 酒宴もたけなわ。

 大人たちの殆どが悪酔いとかしない性質なんだけど……一人だけ絡み上戸なのがいるのよね。

 

「えへへ~……ダーリン♡」

「……なぁに、エスデス?」

「呼んだだけぇ~♡」

 

 か わ い い(語彙崩壊)

 

 酔うと女は三割増しね。

 此の娘ってば素面になったら羞恥で悶える癖に、酒は止めないのよ。

 まあ酒の力を借りないと上手に甘えられない性質だからね、仕方ないね。

 

 向こうから甘えてくるんなら、此方もがっぷり四つに組んで全力で迎え撃つ姿勢よ。

 此の“神の御手(パーフェクター)”無しでも発揮されるゴールデンフィンガーによって骨抜きにされると良いわ。

 

 ホラホラホラホラ。

 此処かしら? 此処が好いのかしら?

 アナタの性感帯は既に熟知しているわよぉ。

 フフフ……此の極上按摩(ナデポ)で落ちない雌はいないわ。

 さあ、にゃんにゃん鳴きなさいッ!!

 

「ふにゃあぁあああ……♡」

 

 アタシの膝の上でエスデスがちょっとヤバイ感じに痙攣しているわね。

 快楽に耽るその有様は退廃的で、いっそ美しいまであるわ。

 というかコレってイってないかしら?

 ……流石にローグちゃんの教育に悪いわね。

 

「ボルス、悪いけど……」

「あ、いや、大丈夫です。もうお眠みたいで」

 

 将軍が幼子の教育に悪い絵面を晒しているものだから、有害情報を排除(フィルタリング)する為にローグちゃんを客室に誘導しようかと思ったら、ローグちゃんは既に夢うつつ状態だったわ。

 マリアさんに抱かれてうつらうつらとしているご様子。

 まあ時間も時間だし、お腹いっぱいになったら仕方ないわよね。

 

 

 ……そうね、取り敢えず一回此処で締めるとしましょうか。

 飲み食いを続けるかは別にして、いい時間だし此処でお開きといきましょう。

 その後に各自客室に戻るかまだ飲み食いをするかは各々に任せて、締めの音頭を取るべきね。

 

「――というワケで解散の音頭を頼むわよ、ラン」

「何が“というワケ”なのかは分かりませんが、僭越ながら終わりの挨拶をさせて頂きます。本日はお日柄も良く――――」

 

 あら、流石アタシの副官ね。

 ノータイムで挨拶に移れる辺り、大分訓練されているわ。

 挨拶の内容も長過ぎず短過ぎずで、それでいて要所を抑えた上手なお話になっている。

 コレなら聞いていても眠くならないわ。全国の校長先生も此のくらいの話術を身に付けて欲しいものよ。

 ……こういう時に毎回全部を丸投げ(無茶振り)し続けたら、そりゃあいつかはスピーチの腕を上げるわよね。

 

 

 

 という具合で解散になったので、三々五々みんなが客室に戻っていくわ。

 アタシ的にはもう少し飲んでいたかったけど、完全に性欲に茹った貌で女性陣がベッドに引きずり込む姿勢を取っていたので断念。

 エスデスに至ってはだっこちゃん人形状態でアタシの至る所にキスマークを付け続けていたわ。

 其処迄されたら、流石のアタシも応えてあげないと(オカマ)じゃあないじゃない。

 半ば引きずられる形でベッドルームに連行されるのを受忍したわよ。

 

 

 ……此の色付いた空気に感化されたのか、サヨとイエヤスの二人も何か桃色空間を形成していたわ。

 一応避妊はして欲しいものね。

 アタシが無害なピルを開発したから、ゴムや外出ししないのが常態化している我が家では偉そうに言えた口じゃあないんだケド。

 

 とはいえ、明らかに処女と童貞の二人組が家族計画の事について予め考えてくれるなんて望み薄だわ。

 後でサヨにはアフターピルを処方してあげましょう。

 ……一応保健体育的な内容は教えたハズだけど、こういうのって実感が伴わないとどうしても身に付かないものね。

 それにヤりたい盛りの若い男の子に自重しろ、なんて言っても聞かないでしょ。

 況や言ってない以上は、ねぇ?

 

 

 


 

 

 

 旅先で少し大胆になる女の子……アリよ。

 

 

 翌日の朝餉の席で初々しい反応を見せる若人二人を肴に食後のお茶を楽しんでいたら、そろそろエスデスを帝都に送らないといけない時間帯になったわ。

 こう見えてこの子は仕事には誠実だし、事務処理能力も相応に高いのよ。

 其の為、帝都に駐在している将軍として現時点でそれなりの仕事を任されているわ。

 だから日々の業務を疎かに出来ない以上は今日も出勤しないといけないんだけど……。

 

「チューして」

「……え?」

「いってきますのチューだ。してくれないと仕事に行かないぞ」

「えぇ……(困惑)」

 

 一体どうしたのかしら、この子ってば。

 確かに閨ではこれくらいに可愛い反応を見せるけど、今みたいな周囲に人目がある時にこういう振る舞いをするのって、それこそ酔っぱらってる時くらいなモノだったんだけど……。

 

 ――まあいいわ、しちゃう。

 

「んっ……♡」

 

「んむ……うっ……ぁん……っ♡」

 

「うぁ……ぁむ……くっ……あ♡」

 

「っ!? ふぁ……ひぅ……っ♡」

 

 

 たっぷり30分くらいかけてエスデスの口内を蹂躙してあげた後、ちょっと腰砕け気味の彼女を帝都の執務室まで転移で送迎したわ。

 その際に聞いた話じゃあ、ちょっとばかし旅先の空気に中てられたらしく、「自分も少し大胆になろう」と思ったそうよ。

 

 まあその心境の変化は好ましいモノだから歓迎するとして、アタシは今やるべきタスクを熟しましょう。

 具体的に何を為すべきかと言えば……此の順番待ちをしている女の子達が満足するようキスをシてあげる事ね。

 

 エスデスに感化されたのかしら?

 昨日あんだけ乳繰り合ったのに、衰え知らずねぇ……。

 まあアタシも色事は嫌いじゃあないし、此処はガンガンいこうぜ、よ。

 

 

 

 フフフ……アタシ達の冒険は此れからよッ!!




まだ終わりじゃないぞよ。もうちっとだけ続くんじゃ。
…いやまだ全然続けますけどね。
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