憑依者はスタイリッシュなマッドサイエンティスト 作:社畜戦士
何故だ。
いやぁ、謁見は
空気が死んでるのが視覚化出来そうなくらいだったわ。
それもこれもオネストって奴の仕業なんだ!!(迫真)
まったく、ホモセックスなんて生産性が無いでしょ。
個人の趣味嗜好をとやかく言う気は無いけど、公の場で曝け出すのは止めて欲しいものね。
変態なら変態らしく、誰にも迷惑をかけないように自重して生きて欲しいものだわ。
そもそも全裸にペニスケースのみで三角木馬に跨る変態が同僚だなんて、いい気分じゃあないわよ。
あんな若人が一体何処で道を踏み外してしまったのかしら。
「――いや、ふざけんな」
「あら? どうしたのよウェイブちゃん」
アタシは見ての通りオカマだけど性的嗜好はストレートよ?
「んな事聞いてねえ!! さっきの俺の扱いは一体全体どういうつもりですかッ!?」
「??? 何かおかしなことでもあったかしら?」
親切心からちょっとしたお節介を焼いた心算だったけど、ソレが不満だったのかしらね。
「おかしいことだらけですよッ!! 親切心!? お節介!? どういう意味ですか!? 俺はアレ以来大臣の愛人なんて言われてるんスよッ!?」
どういう意味って、言葉通りよ。
此のイェーガーズが大臣の私設組織である以上、その部隊運用から行動方針に至るまで、ありとあらゆる面でオネスト大臣の恣意で動く素養があるワケで。
そしたら、後ろ盾が無い存在は下手すると大臣に帝具を奪われて謀殺されちゃうのは自明の理じゃない?
だからアタシ達特務所属の中道派の人員や、暗殺部隊というオネスト閥とは厳密には違う派閥に所属するクロメちゃんみたく何かしらの派閥の後ろ盾が必要ってのは、コレはもうコーラを飲んだらげっぷが出るくらいに当たり前のお話よ。
その点、海軍所属だったけど特に派閥の後見を得ていないアナタは立ち位置が危なっかしくてね。
だから先だっての乱痴気騒ぎでアナタの
実態がどうであれ、アレで周囲の連中は間違いなくアナタの事をオネスト閥の人間だと認めたでしょ。
ソレも、大臣の愛人っていう相当に私的な人員としてね。
少なくとも周りはそう忖度するもの。
そうなれば、少なくとも大臣が直々にフリーハンドを動かさない限りはアナタが除かれる心配は無いって事になるのよ。
そして、下の連中による忖度を抜きで部隊を動かす場合の話になるんだけど、流石に大臣が自分の手で創設した部隊の人間を何の瑕疵も無く処刑したりするのは政治的に不可能になるからなんだけど。
「――と、いう訳で。コレで晴れてアナタは政治的に大臣閥の庇護下に入れたワケよ。やったね!」
「えぇ……(困惑)。思ったよりも真っ当な理由があった……」
失敬ね。
ノリと勢いだけで生きてるワケじゃあないのよ。
偶には頭も使うわ。
という具合でウェイブちゃんの事情はうっちゃっておいて、イェーガーズ結成記念パーティーを執り行う事になったわ。
まあ身内だけでやる細やかなモノだけども。
さっき飾り付けをしておいた特殊警察控室だけど、水回りを始めとしたキッチン設備も含めた各種施設が備え付けになっているわ。
ガスコンロは中華料理に使えるくらいに火力の高いモノを態々設えてあるわね。
コレはエスデスの方で施設整備の段階で口出しをしていたからなんだけど、勿論アタシの方で調理するのに使うからよ。
ま、今日はウェイブちゃんのお土産で海鮮系にしましょうか。
一応コースメニューというよりは会席料理って感じにしようと思うわ。
先付はたこわさとホタルイカの旨煮。一緒にコメで醸したライスワイン(要はポン酒)も付くわよ。
吸い物はハマグリのお吸い物。出汁が濃くて五臓六腑に染み渡るわ。
向付は熟成した魚介のお刺身盛り合わせ。お刺身は新鮮なコリコリしたのより熟成したまろやかなのが個人的に好きね。
煮物はノドグロの煮付け。季節ものだし、焼きと迷ったけど焼物との兼ね合いで。
焼物はキンメダイ。脂の乗った極上の逸品ね。
酢の物はシンプルなキュウリとワカメの酢の物。口直しに最適よ。
揚げ物は各種海鮮の天ぷら。味付けは出汁か藻塩の好きな方を選んで頂く感じね。
蒸物は海鮮茶碗蒸しと、マツタケとハモの土瓶蒸し。どちらも繊細でありながら出汁の旨味がガツンと来るわ。
ご飯は海鮮炊き込みご飯。ウニやアワビやロコ貝などの貝類をふんだんに混ぜ込んだ潮汁でそのままご飯を炊くという豪快且つ贅沢な逸品で、磯の風味が感じられて美味しいわよ。
汁物は海鮮をふんだんに使った寄せ鍋。コレは原作で男衆が作っていたのと大差ないわ。
香物はゴボウと大根と人参の浅漬け。根菜類は短時間で浅漬けにするのは難しいんだけど、その辺は色々と魔術の無駄遣いをね。
最後は水物なんだけど、果物としてリンゴと、水菓子としてミカンと柚子のゼリー。どれも旬の果物だし、コースメニューを締めくくる一品として過不足無い出来栄えだと自負しているわ。
――以上、和の会席料理をイメージして一席仕上げたわ。
殆どアタシ達が調理していたんだけどね。
ウェイブちゃんも原作同様に多少の自炊スキルはあったようだけど、流石にアタシ程のレベルではなかったわ。
そしてなんやかんやで各種スキルアップが為されていた特務勢とクロメちゃんにも及ばないので、殆ど下処理ばっかり任せてたわよ。
まあ彼も料理人になる為に帝都まで来たわけじゃないでしょうし、其処は別にいいのよ。
厳格な会席料理のマナーではご飯が出た時点で酒をストップするのが習わしなんだけど、今回の席は堅苦しい社交場じゃなくて、身内で細々とやる宴席ですもの。
当然酒盛りは続けるわよ。
何なら酒肴として突き出しを追加するまであるわ。
そもそも此の世界における日本的な立ち位置である【倭の国】風ではあるものの、厳密には倭国の流儀でやってるワケでもないんだし。
そして倭国にもまだ確立した会席料理のマナーってのは無かったハズ。
いや、流石に倭国には密入国しかしたことないから、詳しくは知らないんだけどね。
まあ食事のマナーなんて最低限周囲に不快感を与えずに楽しく食べる事が出来ればソレでいいわよ。
和食ならお店のグレードにもよるけど、洋風のフルコースみたく厳密に流儀を守らせる事も無いし。
今必要なのは、楽しく飲んで食べて騒ぐ事が此の場で求められるマナーって事よ。
「――ってワケで乾杯!!」
「「「乾杯!!」」」
純米大吟醸中取り無濾過のひやおろし、銘は【神殺し】。
栓を開けて真っ先に感じるのは、まるでメロンのような甘く芳醇な吟醸香。
口当たりは軽くスルっと入っていくのに、後味でお酒の奥深さを染み渡るように感じ入る事が出来る複雑な味。
日本酒が苦手って人にありがちな、「甘ったるくてキツイのが日本酒」という先入観を打ち壊してくれる事請け合いよ。
飲みやすく口当たりもまろやかで、日本酒初心者にお勧めしたい逸品に仕上がっているわ。
今回用意したライスワインは此の神殺しを筆頭に、日本酒ビギナーの子達にもお勧め出来る飲みやすい部類を持ってきたわ。
一応神秘は一切ナシで醸したけど、秘蔵の日本酒の中には黄金の蜂蜜酒と同じで神秘を宿した代物もあるわよ。
まあ流石に今回は必要ないから持ってきてないけど。
聖銀の時と違って、ポン酒の製造方法は既に確立されてあるんですもの。
試供品って事で身内で消費する段階にはないのよ。
まあまあそんな事はさておき、飲めや歌えの酒宴の始まりよ。
今回の趣向としては、ウェイブちゃんの持ってきた海産物のお土産を最大限活用して食事会、って事になったわ。
幸いにして彼の持ち込んだ海産物もノドグロやキンメダイやアワビやらと、そこそこに質の良い品々が在ったから、食材のグレードに関しては文句なしだったのよね。
後は料理人の腕の見せ所なんだけど、一応アタシもそれなりに料理が得意だし、配下の連中も長い付き合いの中で色んな手伝いをさせてきたから、料理くらいなら結構なお点前よ。
そういう背景で出来上がったコース料理だけど、素材の味を活かして料理人の腕前も加味して、結構な健啖家の割に味にうるさいエスデスも満足のいく出来栄えになったわ。
倭国料理なんて物珍しいってのもポイントなんでしょうね。
刺身くらいは此の国にも伝わってきてるけど、和食の繊細で深遠な奥深さの全てが帝国で理解されている訳ではないもの。
そうなれば、真新しさは勿論として、実際に味で勝負しても満足してもらえるのはそうおかしな話ではないでしょ。
それにしても……旨い酒に、美味い飯、そして佳い女!
それらの全てを堪能出来るってんだから、ソレはこれ以上ないってくらいに満ち足りた瞬間ね。
今はエスデスの時間だからエスデスがアタシの膝の上に横向きに座って只管甘えているわ。
セリュー以下女性陣はすぐそばで順番待ちをしてるわよ。
流石にエスデスも初対面のウェイブちゃんの目の前でだいしゅきホールドしてる姿は見せなかったようだけど。
まあアタシも其処まではっちゃけられたら困るからいいんだけどね。
でも、ウェイブちゃんってば酒が入って豹変したエスデスの姿を見て顎が外れんばかりに驚いているわ。
……ウン、確かに世間の評判とは違い過ぎるものね。
でもそんなに穴が空く程見つめられると困るんだけども。
「……む? おいキサマ。なにを厭らしい目で見ている」
「へっ!? い、いや、その……」
「上官に向かって下卑た視線を向けるとは見下げ果てたヤツだ。コレは矯正が必要だな」
アタシに向かってキスの雨を降らしていたエスデスだったけど、ウェイブちゃんからの熱視線が気に障ったのかドSモードに突入してしまったわ。
胸を逸らして見下しているけど、アタシに抱き着いたままだと格好もつかないわよ?
そして既にいじられキャラが定着してしまった節が在るウェイブちゃんェ……。
まあMのケがある彼ならご褒美みたいなモンでしょ。(原作による熱い風評被害)
よって放置推奨よ。
その間アタシはお酒を飲みつつ女の子と戯れるとしましょうか。
フッフッフ……こんな上玉と良質な酒と肴を同時にお店で愉しもうものなら、べらぼうな金額を要求されるわ。
でも身内だからそんなサービス料は発生しない。ステキ!
「ンッ……どくたぁ、わたしにもちゅーしてくだしゃい♡」
「……スピアちゃんにお酒飲ませたのは誰かしら?」
いや、別にいいんだけどね。
でもアナタ絡み上戸だから程ほどになさいよ。
酔いが極まると脱ぎだすしね。
「ドクター、私も私も」
「むむっ、抜け駆けはずるいですよっ」
そう言ってアタシを取り合う女の子達。
あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~。
「……アレ? ボルスさん、マスクのデザイン変わりました?」
「あ、分かる? ドクターが新しく開発した新素材の布地を使っててね。前より快適性とかが優れてるけど防御力は寧ろ上がってるんだ」
「へぇ、そうなんですか。……そういえば、防護服のデザインも変わってますよね?」
「うん、こっちも従来の耐火法儀式に加えて魔術付与を行ってあるから、軽量化してるけど各種性能は向上しているよ」
「なるほど……制服と言えば、ウチの軍装もデザインを更新するという話が上がってましたよね。アレはどうしましょうか?」
「ああ~……私たち首脳陣が丸ごと特殊警察に異動だもんね。暫くは無理じゃないかな?」
「それもそうですね。……私としては南部に大きな動きの無い今の内に装備や人員の更新をしておきたかったんですが」
「う~ん、人員だけでも増員出来たし、装備とかは最悪今のままでも何とかなるからね。寧ろ、有事の際にも首脳部不在で最低限の通常業務を行わせる練習にしたらどうかな?」
「ああなるほど、それもありですね。それでは――」
ちなみに男性陣は酒の席でもお仕事の話をしてたわ。
ソレってあんまり楽しい飲み方じゃあないと思うけど、こういうのは個人の自由ですもの。
寧ろ酒が入ってる方が円滑に話し合いが出来るって人もいるでしょうし、其処は各人に任せるわよ。
まあ何か契約事を結んだり人事を決定したりとか、そういう大きな決断をするワケじゃないならとやかく言わないわ。
あくまでも話のついでに懸案事項について話し合うってんならあまり目くじらを立てる事もないでしょ。
そんな中でアタシは女性陣に取り合いをされて女体に溺れていたわ。
流石に直接的な行為こそしてないけど、体液交換くらいは普通にしてたし。
そしてサヨとイエヤスは二人でイイ感じに色気づいていたし、全体的に場の雰囲気は桃色空間になっていたわね。
ランとボルスはこういう時に女性陣に関わると馬に蹴られるって理解しているから、ちょっと距離を置いてくるのよ。
賢明な判断ね。
……そしてウェイブちゃんは氷で出来た拷問具で駿河問い等の拷問をされていた事を此処に記しておくわ。……何も悪い事してないのにね。
新入りが拷問されてる横で飯食いながら駄弁る野郎二人も相当に毒されています。