憑依者はスタイリッシュなマッドサイエンティスト   作:社畜戦士

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一応タグにも付けましたが、雑に女性陣がドクターのハーレムと化しています。
本当は甘々なラブコメを書きたい気持ちが無いわけでもないのですが、実力的に無理ですね。
雑にファストに女性陣はドクターの毒牙にかかっていきますのでご注意ください。


File04:男は度胸、女は愛敬、オカマは素っ頓狂

「――あ、ドクター」

「あら?」

 

 悶々と現状への不平不満を呑み込みながら帰宅の途に就いていたら、聞き覚えのある声に呼び止められた。

 

「クロメちゃんじゃない。今日はお仕事もう終わり?」

「うん。出動も無いし、訓練も終わった」

 

 アタシを呼び止めたのは、旧知の少女クロメだった。

 恰好は何時もの暗殺部隊の黒一色な制服と、常に手放さないお菓子の袋。

 原作との外見的な差異として、アタシがあげた魔道具の類である【ジュ=ジュ】のアクセサリーや【グリ=グリ】の革袋とかを装備しているけど、他はあんまり変わってないわ。

 

 ……原作開始も間近だけど、色々と手を加えたのにあまり外見的には変化が無いわねぇ。

 まあ夏休みデビューみたいにいきなり金髪ギャル化されても困るんだけど。

 そんな事になったら保護責任者遺棄罪でクロメのお姉ちゃんに呪殺されること請け合いよ。

 別にアタシに彼女の保護監督責任なんて無いし、やらかしたワケでもないけれども。

 

 

 ちなみにアタシの方は割と外見の変化があるわ。

 意図的にやっているものも、そうでないのもあるけど。

 

 まず、メイクをナチュラルメイクに変えた。

 ……オカマロールの呪いの所為でメイクを止める事が出来なかったから、妥協して軽めの物にしたんだけどね。

 まあリアルでも美意識の高い乙漢(おとめ)は美容液とかでケアする程度はしてるらしいし、これくらいならアリでしょ。

 そして口紅を止めて色付きリップにしたのは大きな変化よね。

 

 他にも、魔術科学双方で視力を回復させた事で眼鏡をキャストオフ。

 偶に伊達眼鏡をかけるけども。

 あと、ビジュアルがサングラスの形の魔道具を使う事があるんだけど、コレはアタシ直率の私兵である『チームスタイリッシュ』の制服の一つなのよね。

 まあチームを動かすような面倒な事態には最近ではお目にかかれないけど。

 

 髪の毛はポマードとハードスプレーでキッチリ固めたオールバックにしてあるわ。

 此の身体はどうもかなりの癖っ毛らしく、放っておくと原作のような謎のヘアスタイルに固定されてしまうのよね。

 ソレがイヤだったから、ガチガチにハードな髪形で固定しているの。

 一応白のメッシュは地毛だったから、其処は弄らないでおいたけれども。

 

 あとは白衣を薄い色付きにして、ポーチやバッグなんかを邪魔にならない程度に常に装備しているわ。

 此の白衣や持ち物も全部エンチャント済みの魔改造品よ。

 特にポーチは四次元ポケット状態で【影の倉庫】として大量の物資を常に携帯しているわ。

 内部時間流さえも自由に弄れるコレのお陰で、生ものの素材とかを常に最適な状態で保管出来るのよねぇ。

 

 他には……一応今のアタシは軽い戦闘も熟せるようにはなっているので、得物とかも常時携帯しているのよ。

 まあ、魔術式魔改造品ありきだから武器の性能頼りになっちゃうんだけど。

 それでも分かりやすくガンマンみたいに二丁拳銃をベルトのホルスターに吊るしているので、少なくとも自衛能力程度はあると周囲に目されているわ。

 やっぱ銃砲の類って本人の能力が外見からは判別出来ないのが良いわよねぇ……。

 他にも魔剣とか魔砲とか、【影】の中に武器庫よろしく大量に備えているから、某金ぴかみたいにバビる闘い方も出来るわよ。

 

 

 ともあれ今のアタシの外見は『フィールドワークも熟せる体育会系研究者』って感じ。

 実際、研究素材の蒐集とかで危険種を狩りに地方へ出向く事もあるし、間違っちゃいないわね。

 【影の倉庫】で身軽に大量の物資を運搬出来るから、リュック一つで帝国領の端から端まで飛び回るのも苦にならないのよ。

 

 

 ――っと、それはさておき……。

「予定が無いなら、今日もウチにお呼ばれしない? 今日はご馳走よぉ?」

「!! ホント?」

「マジよマジ。アタシの昇進祝いだもの♪」

「行く!」

 

 オッケー、お一人様追加ね。

 此の娘は食べっぷりがいいからホスト側としても見ていて楽しいのよねぇ。

 ウチのメイド達とも仲が良いし、他の招待客さんとも親しいわ。

 特にローグちゃんの相手をしてくれるのが有難いのよ。

 

 ……アタシはあの娘には『オカマのおじちゃん』と呼ばれて慕われているけど、子供って容赦が無いからねぇ……。あとちっちゃい女の子ってオッサンの手に負えないわ。

 ああ、それにいい加減アタシもいい年なんだから、髪の毛引っ張られたりしたら禿げを心配しちゃうわよ。いや、魔術的にも科学的にも禿げないけどね。

 肩車したら高確率で髪の毛を掴む癖を止めさせたいんだけど……アタシもボルスみたく覆面か帽子でも被ろうかしら?

 でも、折角遺伝子改良しても残しておいた左前頭部の白メッシュはアタシなりのおしゃれポイントだし、ソレを遮らない形態にしたいけど……。

 

 

 ――ああ、クロメちゃんを招待するんなら先に家に連絡しておかないと。

 お祝いの宴会だから余裕を持って準備はしてあるけど……此の娘は五人前や十人前は普通に食べちゃうものね。

 一応“通信装置”の存在はあまり公にはしたくないし、人の目が途切れてからにしないとだけど。

 

 

<trrrrrr! trrrrrr! trrrrrr! pi!!>

「―――もしもし、アタシよ。今大丈夫かしら?―――」

『―――はい、此方エアです。私は現在全体の指揮をしているだけなので問題無いですよ―――』

「―――そう。じゃあ招待客が増えるんだけど、料理の準備はどれくらい進んでいるかしら?―――」

『―――料理ですか? 八割方準備は終わっていますね。用意してあるのはボルスさん一家の分と、後は副長殿やセリューさんを含めた当家の者達の分です。一応余裕を持って準備はしてありますが―――』

「―――あー、今そこでクロメちゃんと会って招待する事になってね。だから悪いんだけど、プラス十人前くらいお願いね―――」

『―――なるほど、かしこまりました。幸い食材の方は【倉庫】の中に備蓄があるので問題ありませんよ。ただ、クロメさんをお呼びするとなれば……―――』

「―――そうね、デザート系をもう少し追加しましょう。焼き菓子と冷菓が幾らかあればいいでしょうし――「マカロン!!」……マカロンがお望みらしいわ。後は適当にお願い―――」

『―――承りました。それではお早いお帰りをお待ちしております―――』

「―――オーキードーキー。寄り道しないで帰るわよ。それじゃ―――」

<pi!! bu-u-u-u-u>

 

 

 通信終了。携帯端末を白衣の内ポケットに仕舞う。

 ……しかし、アレね。

 此の世界に帝具以外に遠隔通信技術なんて無いものだから、電話してるのを誰かに見られたら『虚空に向かって話しかけるオカマおじさん』に見えちゃうわね。

 世が世だったら盗撮されてSNSに拡散されちゃうわ。性の喜びオジサンかな?

 そうでなくてもただでさえオカマちゃん扱い(外見と言動は事実だけども)なのに、此れ以上のハンディな属性付与は宜しくないわよ。

 ソレがイヤだし、そもそも通信技術を早々露呈させるのも憚られたものだから、こうして人目に付かない場所で電話したんだけど。

 

 

「――終わった?」

「あら、そっちも終わったの?」

「うん。雑魚しかいなかったし」

「そう、ありがとう」

 

 路地裏の奥から血振りをしながら出てきたのはクロメちゃん。

 頭を撫でてやると猫のように擦り寄ってくる。かわいい。

 

 何で唐突に血祭開催に至ったかというと、ちょっと電話する為に路地裏に入ったらお約束パティーンな雑魚共に絡まれてね。

 アレよアレ。路地裏入ったらゴロツキ共に取り囲まれるアレよ。

 「俺TUEEE!!」系転生者の踏み台にされるアワレなやられ役の皆さんね。

 此処は「なろう」の世界じゃあないんだけどねぇ。

 

 しかし生憎とアタシは戦闘要員じゃあないのよ。出来ない訳じゃあないんだけど。

 そういう力仕事はウチの腹黒微笑副官と猪正義厨娘とかに任せてるの。

 だからアタシは無視して通話して、ゴロツキ共はクロメちゃんに掃除して貰ったわ。

 ……こっちの通話は聞こえていたようで、途中にお菓子のリクエストを挟まれたけどね。

 あの男共の断末魔の叫びの中でよく聞こえたわねぇ……。

 まあ、アタシが手掛けた改造兵士の中でも最高傑作の内の一つが此の娘なんだし、それだけの性能があるのは何も可笑しくはないんだけど。

 

「さ、それじゃさっさと帰りましょう。ファルあたりが首を長~くして待ってるでしょうし」

「ん」

 

 クロメちゃんが手を差し出してきたので自然に受け取り手を繋ぐ。

 そしたらアタシの左腕に抱き着いてきたわ。

 まあ、いつもの事なんだけど。

 

 ……此の娘としては懐いた人間に擦り寄ってるだけの心算かもしれないけれども、慎ましやかな二つの膨らみがフニフニ当たってるのよね。

 いや、調整の段階で全裸どころか内臓の中身から骨組織の裡側まで視た仲なんだし、そもそも大人としてそういうのは気にしちゃいけないと思うわ。

 でも、アタシ的には据え膳食わぬは男の恥と思うの。アタシはオカマだけども。

 

 んでそういう信念に従って美味しく摘まみ食いした事が有ったり無かったり。

 でも大丈夫。

 アタシは身内には寛容よ?

 原作でのドクターと違って手勢を使い捨てにしたりしないし、仲間には深い情愛を以って接するわ。

 そして、肌を重ねた相手なら其れ相応の接し方をする心算。

 

 ……いや、今の所は所属の問題でそう頻繁に逢瀬を重ねる訳にもいかないんだけど。

 なんせ、アタシが現時点で自由に采配出来る帝具使いはアタシを含めて4()()よ。

 コレにクロメちゃんまで加えたら、流石にオネスト閥と一触即発状態になっちゃうでしょうに。大臣がどう思うかは兎も角。

 って事で努めて顔を合わせないようにしているのが現状ね。

 

 ……しかしそんなの関係ねぇとばかりにクロメちゃんってば自分からアタシん家に入り浸っているんだけど。

 とはいえ、さしもの彼女も体裁を気にしたらしく、暗殺部隊のメンバーと連れ立ってやって来る場合が殆どよ。

 一応暗殺部隊の彼らはアタシが再調整を加えた関係で面識があるし、何時でも遊びに来ていいって言ってあったからね。

 その結果当家の大広間は学生寮の食堂みたいな賑わいになる事もしばしば。

 

 ……ん? 今日は珍しく一人で居たけど、もしかしてアタシを出待ちでもしていたのかしら?

 そもそも月末である今日、クロメちゃんが暗殺部隊の皆と連れ立っていないのもおかしな話よね。何時もならパーッと食べ歩きに行く筈ですもの。

 ……ああ、そういえば先々週くらいにアタシの今日の予定を聞かれたっけ。

 

 ――という事は、今日はヤる気で来たようね。

 なら、アタシも一人のオカマとして全力で応えてあげないと。

 ちょっと元からヤる予定だった娘達との兼ね合いもあるから、「男一:女複数」の乱交祭りになっちゃうけど。

 

 

 


 

 

 

「…………ハァ…………」

「ドクター、大丈夫?」

 

 ……コレが大丈夫なモノですか。

 帝都と郊外の境目辺りにあるアタシの邸宅まで二人で歩いてきたんだけど……まあ萎えるような出来事が待っていたわ。

 なんで自宅の玄関口に濃密な殺気が充満して待ち構えているのよ。

 玄関開けたら5秒で死亡が有り得るって、どんな修羅の国よ。

 スペランカー先生でももう少し生き易い世界に生きてるわよ。

 自分の家に帰宅したら暗殺者が待ち構えてる時の心境って……。

 

 

「――まぁいいわ開けちゃお」

 

 

 玄関ドアを開いた瞬間、氷の礫が面制圧の如き密度で水平方向へと横殴りに飛び込んできた。

 氷の槍にしていないだけ、手心を加えてくれている……そう思える程に()()()に毒されてきたアタシがイヤになるわぁ……。

 

「――木偶之棒(デクノボウ)

 

 咄嗟に掌に呼び出した得物――誰が何と言おうとコレは聖剣よ――で空間制圧の氷撃を縦真っ二つに切り払う。

 手にした木の枝のように見える(事実その通りのモノだけど)聖剣で空間を裂いた事で、真空が生じて斬撃から逃れた氷の礫もソコへ吸い込まれていく。

 ひとまずコレで初撃は凌いだ。

 しかし、その程度で満足するような大人しい謙虚な奴なら、端っからこんな危険なスキンシップを試みたりしないわね。

 こんな触れ合いはノーセンキューなんだけど。ストレスがマッハよ。

 

「――そら、次はどうだ?」

 

 下手人はドS極まりない嗜虐心に満ちた笑みで追撃を敢行。

 下方向から氷の(かいな)が無数に伸びてきて動きを阻害しようとしてくる。

 上方向からは左右に開いた氷の咢が展開され、此方を噛み殺そうとする。

 

 此処で上にしか逃げ場を残していないのがコイツの狙いなんでしょうが、そうしたら背後に居るクロメちゃんが巻き込まれるから跳躍はナシよ。

 と、なれば――。

 

「――押し通るわ」

「ッ!! ほう」

 

 手に握る得物で輝線を描くようにして下段の氷の(かいな)を一瞬の内に粉砕。

 かなりの密度を込めた堅い氷だったようだけど、目にも留まらぬ連撃をジグザグに繋いだ事で氷腕は刹那の内に木端微塵よ。

 そしたら大分下方向に空間が生まれたので、姿勢を地を這うように異様なまでに低くしてダッキング、そして前のめりにスウェー。

 その動きはまるで、そう、例えるなら蜘蛛の動きね。

 某『殺人貴』リスペクトよ。

 あんな大層な“眼”が無くとも、モノの呼吸を聞ければ万物は(ころ)せるけどね。

 

 氷の咢をやり過ごしたら、手に氷剣を生み出して応戦しようとしてくれやがった変態加虐嗜好性癖女に向けてデクノボウの切っ先を向ける。

 コレは何も伊達や酔狂で使っているんじゃあないのよ。

 実利一辺倒で此の装備選択(アッセンブル)なの。

 

「――“放て”木偶之棒(デクノボウ)

「グッ!?」

 

 瞬間、木の枝の先端から封じ込められた衝撃が解き放たれた。

 受けた衝撃を蓄積して解放するだけの単純な能力だけど、氷塊を斬撃で粉微塵に撃砕する程の衝撃を切っ先に集約して放ったのよ。その威力は推して知るべしね。

 その絶大な威力に、さしもの彼女も堪えきれずに造り出した氷剣ごと吹っ飛ばされる。

 

 此の馬鹿女が帝国のヤベー程強い将軍とはいえ、流石に物理法則を超越した存在ではないからねぇ。

 ……いや、後々時空凍結とかいうザ・ワールドみたいな技を会得するんだったかしら。

 ……まあ今はそこまで至っていないから問題無いわ。

 続けて此方から追撃。

 

「――四円に堕ち往く嘆きの河よ 原初の鋳造者は草を食み、王佐の顧問は掠奪を赦し、殉教の叛逆者は血を流し、背徳の会計者は首を括る 月輪現れれば天運、鉄風吹き荒べば天命、神威厳かなれば天意 流離いの刻印・豹皮の門扉・反抗の障碍・三十枚の銀貨 嗚呼、その身は最早許されぬ 煉獄の支配者よ、その三つ頭の咢で九圏を飲み乾せ――氷牙征嵐

「なッ!?」

 

 敢えて相手と同じ氷結系の技、此方は魔術を選択。

 先程粉砕した氷の粒と咢の支配権をも掌握し、逆に彼女に差し向けて拘束してやった。

 追加で呼び出した氷河の大嵐で凍り付く程の極低温にして氷結させる。

 最早身動き一つ取れず、僅かに顔を歪めるだけのサド女。

 ツン全開の内面がよく表れた外見だから、見た目だけなら「くっころ」状態ね。

 ちなみに詠唱は適当よ。今回はオサレな死神風にやってみたわ。

 

 

「……チッ、何故解けん?」

「ハァ……一応アタシの手札の一つ使ってんのよ。そう簡単に振りほどかれたら堪ったモノじゃないんだけど」

「ほぅ、まだ手札を隠していたか。そうでなくてはな」

 何やら女はしたり顔でウンウン頷いている。

 ……反省の色ナシ、と。

 流石にこうも毎回奇襲を敢行されては、温厚なアタシと雖もブチ切れるわよ?

 

 

「……他に言う事は?」

「うむ、ステーキのソースはブラックペッパーで頼む」

「――ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるふ るるいえ うが=なぐる ふたぐん

「む? それは一体n――アババババババ」

 

 

 


 

 

 

「憂鬱だわ……此の馬鹿女に目を付けられたのがアタシの人生に於ける一番の災難よ……」

「ドクター、元気出して」

 クロメちゃんがせっせと酌をして慰めてくれる。かわいい。

 あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~。

 

「むむむ! ドクター、コレも美味しいですよ!」

「あらありがとう」

 そう言いながら「あ~ん」してくれるのはセリューちゃん。かわいい。

 “海魔”の酢の物は材料が何なのか知らなければ美味しく頂けるモノねぇ。

 ナマコみたいにコリコリしてて美味しいわ。珍味よ珍味。

 お酒が進むわぁ。

 

 

 

 いやぁ……本当になんでこうなったものかしら。

 隠す話でもないからもう言っちゃうけど、毎度毎度の襲撃ごっこを敢行していたのは皆大好きエスデス将軍よ。

 何故かリアルではヒロイン勢の中でもダントツの人気を誇るエスデス将軍だけど……「アカメが斬る!」の読者って訓練された紳士ばっかりなのかしらね?

 ……まあアタシも作品のヒロインとしては好きだったわよ?

 ……現実として襲撃常習犯になっている此奴を見てそんな呑気な感想は出てこないけども。

 

 それはさておき、以前に何が琴線に触れたのか知らないけど死合を申し込まれて、文字通りの殺し合いを繰り広げた事があるの。

 死んでも生き返れるとはいえ、アタシも少なくない回数を殺されて、その数百倍の回数エスデスを鏖殺してやったわ。

 ……結果、こうして定期的に自宅へ襲撃を仕掛けて“殺し愛”を楽しんでる馬鹿女が出来上がったのね。

 相手はオネスト閥の最高戦力なものだから、下手に粗略に扱えない。

 政治的にも軍事的にも帝国で重要な位置を占める将軍職だし、そもそもオネスト閥とアタシの派閥との微妙な関係が災いして、「向かってきたら適当に相手してやる」という場当たり的な対応を繰り返すハメになった。

 ――そうこうしている内に調子に乗ったコイツがご覧の有様よ。

 

 …………いや、マジで何でよ。

 というか割と高濃度の狂気を頻繁に付与させてんのに一向に発狂しないわねコイツ。熟練の探索者でもそうはならんやろ。

 原作でもデモンズエキスを飲み干したくらいに狂気耐性があったようだけど……一応アタシの放つ狂気は深淵の神々が持つ死の叡智だから、桁が違うのに……。

 勿論、今日みたく高密度の狂気付与で一時的に心神喪失に追い込む事は出来るのよ。

 ……でも、数時間したらケロッと治ってるのよね……。

 流石公式チートと言ったところかしら。

 

 

「――む、ぅむ……?」

「……目ぇ覚めやがったわね此の馬鹿女」

 

 女の子達に酌をして貰って楽しんでいたら、どうやらエスデスも覚醒したようね。

 常の尊大で居丈高な振る舞いが嘘のように、あどけない少女然とした仕草で目を覚ます。かわいい。

 ――ただし拘束されたまま。

 

「おお、おはようスタイリッシュ。腹が減ったぞ。コレを外せ」

「あらそう。ふんぐるい むぐるうなふ くとぅぐあ ふぉまるはうと んがあ・ぐあ なふるたぐん いあ! くとぅぐあ!

「む? 一体何を――キャァッ!?」

 

 アタシが呪文を詠唱したら、思いの外可愛らしい悲鳴を上げたエスデス。

 ちなみに呪文は毎度の事ながら適当よ。クトゥグァ関係無いし。

 悲鳴が少女みたいでギャップ可愛いんだけど……普段からそうしてれば可愛げもあるってモノなのに。

 残念ながら常の挙措は怜悧さとはかけ離れた暴君か女帝のような有様なのよねぇ。

 

「な、何をした!?」

「いえね? ちょっとアナタの服を【生きた魔物】に変じただけよ」

「何てことをしてくれる!? ちょ、いや、ァンッ!?」

 

 エスデスはうねうねと蠢く生きた服に全身を締め付けられて身悶えしている。

 その心地はさながら素肌に蛸を無数に這わせるが如し。

 触手プレイは実際スバラシイ。古事記にもそう書いてる。

 ……古事記は兎も角葛飾北斎は書いてるわ。鉄棒ぬらぬら先生マジリスペクト。

 此の【生きている衣服】……本来の使い方ではないけど、いい具合に辱める事が出来ているようね。

 …………よし、放置よ。




今回使用した魔術。

・【ジュ=ジュに魔力を付与する】。防護呪具『ジュ=ジュ』を作成する。

・【グリ=グリに魔力を付与する】。所有者の能力を向上させる革袋を作成する。

・【生きている衣服】。標的の衣服を生きて動く肉に変える。対象を長時間締め付ける事で絞め殺す。肉の衣服は抵抗して剥ぎ取る事が出来れば死滅して助かる。その代わりに全裸になるが。

・【門の創造】。転移する為の出入り口である門を作成する。門を通っている間は『この世の何処にも無い場所』を通り過ぎている。コレを弄って亜空間を利用した倉庫を虚数空間と繋げて【影の倉庫】として利用している。アイテムボックスとして使える。




【挿絵表示】

・Dr.スタイリッシュ。魔改造済みなので原作とは大きく容姿が異なる。目つきが絶望的に悪い。筋肉質だし髪型はオールバック。異界の薬物で作った紙巻きたばこを嗜む。常人が副流煙を吸うと秒で即死する。



【挿絵表示】

・【木偶の棒(デクノボウ)】。見た目はその辺の木の棒だが、中身は魔術的に改造を施した聖なる樹木の一片。溜め込んだ衝撃を任意で放出する機能がある。



魔術の設定列挙とか規約的にどうなるんでしょうか。
要らないのであれば今後は控えます。
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