憑依者はスタイリッシュなマッドサイエンティスト 作:社畜戦士
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さて、大臣からの報告で、帝都外郭地方都市の方向にてナイトレイドが揃って発見された……という情報が上がったわ。
場所は東ロマリー街道。
帝都近郊南側にあるとされるナイトレイドのアジトから更に南東の方角で、進行方向には南に革命軍本部と東に安寧道本拠のキョロクがある絶妙な地点。
既に「ナイトレイドがボリック副教主をターゲットにしている」という報告を上げてある以上、大臣はコレに危機感を覚えたんでしょうね。
此処でナイトレイドを追跡し、出来る限り叩いてキョロクへと援軍に――そういう命令を出してくれちゃったわ。
……そろそろ打ち止めになる原作知識では、コレが連中の罠だってのは知ってるのよ。
ナジェンダは自身を餌にして狩人隊を釣り上げ、分断策に出て、片方を総力で襲撃。
特に重要標的として位置付けていたボルスとクロメを狙っての作戦……って奴ね。
まあ、情報の不自然さから、原作知識云々が無くても罠だって見抜くことは難しくないわ。当たり前だよなぁ?
帝都で暗殺稼業をしていた頃は徹底的に衆目を避けて姿が露見しないようにしていた(ホントォ?)のに、今回に限っては団体さんでその行動を目撃されている……。
此処が地方だから手配状況が杜撰だってのを差し引いても、多分に疑わしい状況でしょうに。
ある程度の目端が利けば、『自らの姿を囮にして追撃者を釣り上げようとしている』と推察するのは難しい事ではないわ。
アタシはおろか、エスデス以下狩人隊の全員が、それこそウェイブちゃんですら罠だって知ってるけど……まあ上位者の命令ですもの。
部隊の存在意義としても、対ナイトレイドを想定しての部隊である狩人隊は、連中との対決は望むところでしょう。
罠があろうと食い破るって意気込みね。
それ故、敢えて此のガバガバ命令を受諾したアタシ達。
車両や航空機は使わず、今頃必死こいて配置についているであろうナイトレイド諸君の為に騎馬で(アタシ基準で)ゆっくり追いかける事にしたわ。
此方の存在を追う革命軍側の観測班に見つけて貰わないといけないものね。
転移で直接乗り込んだりしたら、準備の整っていない連中を色々な意味で
そして、ロマリー街道の中央通りまで到着した我々が情報を洗い直すと、連中が
原作だとボスのナジェンダが東に、暗殺部隊出身の裏切り者アカメが南に。
二手に分かれた事でイェーガーズを分断し、戦力が半減した所に総力戦を仕掛けた、ってのが一連の流れだったのよ。
ご丁寧に東にナイトレイドのボスでエスデスと因縁があるナジェンダが向かったと偽装し、実際にはイェーガーズ最強戦力が抜けて与しやすい状態になったと目された部隊を全員で袋叩きにするという作戦。
その作戦内容の成否と戦略性についてはさておくとして、此の世界では大幅に増員されている狩人隊。
ソレを撒く為に連中が考えたのは、東と南の囮に加え、西にも人を分散させる策を用意したらしいわ。
東と南は原作通りにナジェンダとアカメが囮として行動。
そして肝心の西側だけど……連中、火を放ちやがったわ。
西に少し向かった先にある山道と門前町。
皇拳寺の寺院が幾つかあるそこそこの規模の街なんだけど、此の世界の悪漢が大抵『元皇拳寺〇段』とかの武芸者であるように、結構悪堕ちする人間を抱えやすいのが此の寺社の特徴なもので。
皇拳寺の教義が『健全な精神は健全な肉体に宿る』って代物で武術を奨励している教えなのを換骨奪胎し、唯々暴力を磨き上げるだけの破戒僧が運営する寺院が生まれやすいというのが理由ね。
名前から分かる通り、なまじっか皇室からのお墨付きを得て勅願寺一派としての特権があるが故に誰も手出し出来ない、ってのも問題を根深くしている要素よ。
ともあれそんな半グレが多く所属している寺院が入り乱れているからか、ナイトレイドの奴輩めは一罰百戒とばかりに
……一応素行が悪いって言っても犯罪なんてやっていない寺院の方が遥かに多いし、そもそも寺院は兎も角、門前町には何の罪も無いのに……。
だが、憎らしい事に策としてはこれ以上なく有用ね。
南と東に帝国のヘイトが高い元将軍と元暗殺者を動かすことで否応なく注目を集めておきながら、追加で西側に人口密集地への放火という凶悪犯罪を起こす……。
人道に唾を吐きかける下劣な発想で、大義とやらの為に正道を嘲笑う行いだけど。
コレで、連中は民衆の味方を気取ってるんだから……救えないわ。救う気も無いけど。
しかし、文句を言っても現状は変わらない。
此処は、適切に迅速に動くべきよ。
「ふむ……副隊長、部隊を3つに分けるべきかと思うが?」
報告を受け少しの間逡巡したエスデスは、部隊を分散することを提案したわ。
アタシが連中の所在地や思惑を明かしていない以上、現状だとソレは適当な意見ね。
「賛成よ。各部隊に飛行戦力をそれぞれ配置して、3・3・4で均等に分けましょうか」
どうせ戦力的には各員が単騎でも連中を全滅させられるんですもの。
部隊を分断させられることへの戦力的不安は無いわ。
「うむ、では私の隊、ドクターの隊、ランの隊だな」
既に氷を操作しての飛行を修得済みのエスデスは、立派な空戦能力持ちよ。
よって、機動力と部隊指揮の為に三次元の視点を得られる我々は、それぞれ分散して隊を率いる事に。
「エスデスは能力的に火災の消火に向かうべきね。高機動堅牢なウェイブと、万能型のセリューを連れて行きなさいな」
「うむ」
「了解です」
「かしこまりました!」
猛火をも氷結させられるエスデスなら、能力的に一番消化に向いているわ。
アタシも万能性では右に出るモノが居ないから、その気になれば火消しも可能よ?
ただ、此処は消防活動として動く以上は、分かりやすい帝都の顔として認識されてる将軍のエスデスが向かった方が受けはいいでしょうね。
狩人隊はあくまで帝都の不穏分子を討伐するのが主任務である以上、特権こそあっても地方で消防吏員に協力するなんてのは、すぐには飲み込めない輩もいるでしょうし。
面子や体面なんてのは、地方の方がネチっこくて頑固な時もあるものねぇ……。
そういう意味では突き抜けた暴力性を帝国全土で知られるエスデスは都合が良いわ。
地方貴族や領主がゴチャゴチャ抜かしてきても「うるさい死ね」で終わるし。
うん。エスデス、暴力はいいぞ!!
脇を固めるには、今言ったように能力すべてが高い水準で纏まり、狩人隊で上限を超える鍛錬によって得た圧倒的な戦闘力を持つウェイブが丁度良いわ。
元の帝具が全身鎧で身体能力の底上げも出来るグランシャリオだったのを、アタシが手ずから改造。
外見的にはあまり変化は無いけど、既に凡百な並みいる帝具を突き放す性能を獲得しているのよ。当然飛行能力も完備。
ソレを過不足なく操る彼は、“使われる者”、即ち兵士としては既に一種の理想形にあるわ。
“使う者”、即ち将校としての極みに位置するエスデスとは相性も良いでしょうね。
そして、12の能力を有する万能型神器、神将器を持ち、加えて改造強化を施した生物型帝具のヘカトンケイルを操るセリュー。
どんな事態にも即応可能で、本人の資質も非常に高いとくれば、背中を預けるのにこれほど頼もしい存在はいないわね。
彼女の広域殲滅能力の高さからして、対多数戦で範囲攻撃を連発出来るという要素は見過ごせないわ。
帝具と違い使用者の体力や精神力を必要としない神器や神将器は、理論上は普通に無限に使い続けることが出来ちゃうのよ。勿論現実的な意味での体力は消耗するけど。
よって、エスデスと違って対軍戦闘で常に敵兵全員に圧力をかけ続けることが可能。
もしナイトレイドが此方の隊にベットしていたら……ソレはソレで面白そうねぇ……。
「では、ドクターは東へ。随員はイエヤスとサヨがいいだろう」
「ええ」
「ウッス!」
「了解しました」
戦力的には間違いなく最強で万能であるアタシと、此の中では一番経験が浅い二人をサポートできるように二人を纏めてアタシの所に。
普段から此の二人はペアでの連携を重点的に鍛えているし、近距離型と遠距離型を揃えて運用するのは妥当な判断よ。
そもそもアタシは魔術だけでなく科学と、最近は錬金術にも手を出したことで、出来ないことが無いくらいには万能なの。
空を飛ぶのもそうだし、眷属召喚での物量戦も可能で、直接戦闘だけでなく、毒物や結界などの搦め手も大好物とくるわ。
そして四将軍の一角として、大軍を率い続けてきた経験から指揮能力も相当に高い。
こうなれば小隊規模の部隊指揮くらい、ワケないわ。
イエヤスは既に実戦を経て能力も精神性も完成しつつあり、どこぞの『将軍級の器の少年』にも引けを取らない自信があるわよ。
経験という意味では間違いなく此方の方が密度の濃い経験値を積んでいるから、罷り間違ってもウチの子たちが負けるなんてあり得ないと確信しているしね。
流石にこんな野良試合では許可を出せないけど、万が一、億が一に負けそうになったら、奥の手である
同様にサヨも兵士としての完成度は極まりつつあるわ。
彼女は弓兵としての適性か、観の眼が元来から高い水準で備わっていたのよね。
そこで兵士としてよりは直接戦闘も可能な、“戦える指揮官”としての育成をしたところ、此の年齢で既に一流の将兵としての能力を具備しているわ。
勿論兵卒としての能力も申し分ないし、奥の手にも目覚めた彼女ならば、対軍戦闘も容易ね。
「なるほど、それでは私は残りの皆さんを率いるという事で」
「オッケー」
「よろしくお願いします」
「ランくん、よろしくね」
ランは言わずもがな高速空中機動戦での三次元対応能力がずば抜けているわ。
特務軍副将軍としての経歴から、戦略構想に明るい指揮官として全体の動きを見るのにも適していることでしょう。
追加で与えた雷の神器によって必殺級の威力での空中からの援護も可能で、鍛えたことで本人の近接戦闘能力も高い水準にある。小技として雷を纏う、なんてのも出来るしね。
遠近で隙が無い上に、基本的に空中からの指揮と援護に徹すればナイトレイドではマインの砲撃以外では打つ手が無いわよ。
そうなればマインとランは射撃戦に集中することになるでしょうが……ま、相手のお手並み拝見ってところかしら。
クロメは骸人形による質を兼ね備えた量による圧倒的物量戦を得手としているから、こういう開けた地形での対多数戦に最適ね。
本人の調整によって得た不死身の再生能力と圧倒的な身体能力と歪みない精神性もあり、単体戦力としても直接戦闘に不安は無いわよ。
調整と改造によってTを2体1対の個体として存在を定義出来た事で、八房の骸人形はもう一枠空きが出た次第。
よって、超級危険種を更に一体追加したわ。
コレで彼女は単体で
スピアは此の中では一番軍属の経験が浅いけど、元から皇拳寺槍術“皆伝”の練達者だったのを、此方に来てから鍛えに鍛え上げて今や最高段位の“極伝”に至っているわ。
アタシが与えた
狩人隊に参加するに至って、彼女も鍛錬を続けている現状、生半可な練度の敵では鎧袖一触で蹴散らすことになるでしょうよ。
ボルスは実は狩人隊の中では一番指揮官適性が高く、近~遠距離まで対応可能な神器と本人の格闘戦能力の高さもあって前線指揮官として十分以上の働きを期待できるわね。
元々耐火儀式を始めとする此の世界特有の技術で耐久力を上げていたけど、アタシの方で各種強化を施したことで耐久力という意味では中々に仕上がっているわ。
神器の性能も非常に高く、基本的に相手に当たれば即死のオワタ式になっている始末。
相手さんには精々ネズミのように逃げ回ってもらうことになるわね。
「――よし。それでは各員迅速に対応しろ。言うまでもないが、相手は帝都に仇なす最後のネズミだ……。情け容赦など無用、着実に追い詰め仕留めてみせろ!!」
「「「了解!!」」」
という具合に部隊を分けて、各部隊は行動開始。
原作とは少々違う展開だから、どうなることやら……。
ただ、確実に熾烈な帝具戦になる事は間違いないわねぇ。
はてさて、誰が死ぬ事になるやら……。
説明描写が長くなり過ぎたのでもう一回挟みます…。
文章を簡潔にまとめるのが難しい…。
あと、ナイトレイド諸兄を擁護しますと、前回のドクター襲撃によって危機感を最大限刺激された結果が今回の経緯です。要はドクターが煽り過ぎた結果、こうして犠牲を無視してでも狩人隊を潰そうと画策している訳ですね。
ドクター『アタシは悪くないわ』