憑依者はスタイリッシュなマッドサイエンティスト   作:社畜戦士

65 / 70
至高のアレについての説明と、枷が外れる時。


File60:至高の帝具と総攻撃前夜

 ――そうして、幾らかの小競り合いを繰り返した帝国側と革命軍だったけど、遂に明日、総攻撃を敢行するという情報が両陣営に既に出回っている。

 まあ革命軍としては戦意高揚の為に周知したことでしょうけど、流石にコレだけの大軍同士の決戦で奇策や奇襲は実現不可能ですもの。

 となれば、いついつに攻め込むって話が両陣営で知れ渡っていても仕方ないわ。

 

 ……ソレに、一概に悪い話じゃあないのよね、ソレ。

 寝返りを打つようなクズ共を炙り出しに出来るんだから、精々利用してやらないと。

 

 既に帝都は大隔壁大門を遠巻きに数百万からなる連合軍が包囲していて、360度ビッチリと犇めくような大軍が布陣を終えている。

 敵陣地の後方には大型の危険種の姿も見えるし、数えるのも馬鹿らしいほどの大量の砲門や弾丸火薬、輜重の部隊と、当然ながら膨大な数の兵隊。

 コレだけの大軍に完全に包囲されているんだし、そりゃあ『大臣を手土産に革命軍に下れば生き延びれるか……?』なんて考えちゃう馬鹿共が出てくるのも当然の話ではあるのよね。

 

 ソレが実行可能かどうかはさておき、大臣の首級を手土産に~って考える佞臣連中は結構な数()()わ。

 居た。そう、過去形なのよ。

 どうしてって、そら宮中には特定の相手への敵意や害意を持った存在を瞬時に肉塊に圧縮する天罰術式を張り巡らせたからだけど。

 流石に平時にコレやったら人材不足に陥るからやってなかったけど、今の此の情勢でトップに対する敵意を持つって、要はそういうことですもの。

 今まで散々大臣に媚び諂って美味い汁啜ってきた癖に、自分だけは生き延びようだなんて、そうは問屋が卸さないわよ。ちなみに問屋を差配してるのも卸売りを管理してるのも為政者であるアタシなんで。

 

 畢竟、決戦において戦力として必要なファクターは限られているから、今更佞臣の文官連中が全滅しようとも大勢に影響は無いのよね。

 その為、もう必要ないって事で大粛清を執り行った次第。

 貴族共や文官連中の大部分を呪殺したけど、その分の欠けた人員はウチで用意した傀儡兵を宛がったわ。

 正直言えばその程度の些事に使うには勿体ない性能なんだけど、もう人員が余ってるんですもの。

 その結果、万夫不当の武辺を備えた文官(傀儡兵)が大量に宮殿に詰めるという事態になったわ。

 

 まあ、連中が寝返りを画策したのも分からないでもないのよ?

 首都を完全に数百万の軍勢に取り囲まれ、大将軍であった近衛のブドーが白昼堂々と侵入してきた賊に既に討たれている。

 その上で敵側には多数の帝具使いが確認されているし、見張りからの報告で敵に大量の大型危険種を馴致する手段があるのも分かっている。

 此処まで不利な条件がそろっていたら、弱気になるのも仕方ないでしょうよ。

 

 ……ただ、ソレは我々の事を舐め過ぎよねぇ。

 生憎と我々は十年単位で此の状況を想定して下準備をしてきたし、何なら対応するだけの戦力も用意してある。

 ソレを知らないまでも、ある程度の軍事への理解が有れば負け確定の革命軍に転ぶ、なんてのは悪手だって分かって欲しかったんだけど……。

 ソレが出来ないからこその無能な佞臣なのよね。

 

 結局、無能共は最期まで無能が故に自ら死ぬ運命を辿ったって事かしら。

 

 まあどんな事情があろうとも、此の苦境にあって造反背信利敵離反……そういう覚悟の無い行動をするゴミ共は合法的に掃除しちゃうから。

 究極的にはアタシの本懐として、国というプラットフォームさえ残ればソレでいいのよ。

 よって、少しでも怪しい行動をとったアホ共は軒並みサツガイ。

 

 役人が足りなくなるとかの懸念は無いわ。

 もう既に国の要職を全てウチの人員と傀儡兵、後はごく少数の真っ当な執政官で完全充足出来た以上、地方が独立戦争なりを起こしてきたとしても国そのものは十全に機能出来る状態ですもの。

 というか地方で今回の反乱に加わった連中も日和見してた連中も全てが捕捉済みだから、決戦が終わったら全員殺すけどね。

 

 今までソレをしなかった最大の理由である大臣が政敵足り得なくなった以上、最早遠慮容赦斟酌をしてやる必要性が無いものだから。

 その代わりアタシは超良い統治をするわよ?

 帝国民だ異民族だって差別しないし、税もいい感じで商売繫盛、農民も楽だし兵も規律いいし、超絶良い国造りするってホント。

 

 

 

 さて、情勢はこんな具合だけど、一応見せ札として用意した戦力の話もしておきましょう。

 

 至高の帝具。銘は【“護国機神”シコウテイザー】。

 皇帝の一族のみが扱えるという始まりの帝具で、早い話が超大型の人型機動兵器よ。

 ビームやミサイルなんかの面制圧兵器を多数装備していて、火砲が前装式の大砲しかないような世界では破格の制圧力を有する超兵器ね。

 全ての帝具の元となった最初の帝具らしいんだけど、少しばかり今の時代には合わないのよね、コレ。

 

 始皇帝は戦乱を下した武人だったから仕方ないんだろうけど、普通は皇帝が武辺を誇るなんて時代じゃないから、現代って。

 それなのに『皇帝の一族にしか使えない』なんて極めて重大な制約を付けるとか、大局観が無さ過ぎでしょ。

 

 過去がどうであれ、現代に皇帝の一族と言えるだけの、即ちシコウテイザーを起動できるだけの適合率を持った血族ってのは、某大臣の暗躍によって現皇帝しかいないのよ。

 アタシも『至高の帝具を起動できるのは皇帝の一族だけ』だなんてアホな仕様は知らなかったものだから、態々別の皇帝の血脈を確保しとこうとか一切考えてなかったし。

 仮に事前に知っていたらクローニングでもなんでも使って頭数を用意しただろうけど、もう遅い。

 

 なら皇帝に扱わせればいい、だなんてアホな事は考えないわよ?

 皇帝は傀儡でしかないから、ありとあらゆる能力が平均的な子供よりも低いのよ。

 況や大人と比べるまでもないし、武人どころか一般兵未満の能力しか持たないガキに、人型巨大兵器なんて扱えるかしら……?

 

 生憎とアタシは現実主義者なので。

 早々に皇帝を操縦者として仕立て上げるプランは廃棄したわ。

 

 そもそも此の至高の帝具。

 確かに対軍能力クラスの巨躯に、圧倒的な殲滅火力を有するわ。

 当然その巨体に見合った防御力と近接格闘能力も有り、雑兵どころか並の帝具使いの群れすらも一方的に潰せるだけの性能はあるわ。

 それこそ、何処かの国を正面から踏み潰せるほどの隔絶した性能。

 いうなれば『対国兵器』って冠してもいいんじゃないかしらね。

 

 大勢の軍隊というのは、文字通り一国を相手にするような戦力になるものよ。

 現状のように国を包囲する異民族も含めた多くの敵と、ソレを支える兵站と仕組み。

 まさに対軍を超えた対国の様相を示しているでしょ。

 某型月で対軍宝具の上位に対国宝具が位置づけされがちなのはそういう理由かしら、とか思ったり。

 

 故に、此の対国兵器である至高の帝具を持ち出すのも間違いではないんでしょうが……大前提として、ソレを操縦できるのが軍事教練なんて受けた事もない甘やかされて育った傀儡のガキだけ、ってのがね。

 当然だけどそんな無能に大局を委ねるだなんて自殺志願者みたいな真似は出来ないわ。

 

 そもそもあれだけの軍勢を、安易に超火力で薙ぎ払うなんてナンセンス。

 此処で皇帝の帝具で雌雄を決してしまえば、少々()()()()()ことになりかねないもの。

 

 更に言うのであれば……民心慰撫は特務の本業。

 此処まで事態を持ってくるにあたって、打つべき手は幾重にも打ってきたわよ。

 大体、あんなクソガキに最後に全部を持っていかれるのは業腹なのよね。

 

 まあ、人型巨大兵器っていう浪漫は否定しないし、見せる戦力としては有意でしょうよ。

 あくまでもイミテーションとしてね。

 

 

 ――さて、至高の帝具についてはこの辺でいいでしょう。

 敵の戦力について話しましょう。

 

 敵の継戦能力も無限じゃあないのよ。

 末端を削りに削ってきたけど、革命思想なんてのは病気(麻疹)のように広がっていくもの。

 だからいつの間にかオルグされた民間人が戦列に加わっているんだけど、ソレにも限度ってものがあるわ。

 対して、此方は文字通りに無限に戦えるし、何なら増える。

 魔術がチートだズルだってのは散々言ってきたけど、まだその本質の1%も見せ切れていないのよ。

 

 

 

 ――そして、此処まで引っ張って最終決戦までを演出したんだ。

 もう我慢なんざしねぇよ。

 こっから先は、狂気と暴力、絶望と猟奇による饗宴の時間だ。

 革命主義者共め、一人も生かして帰さねえから覚悟しとけ。

 

 

 戦争だ。

 待ちに待った大戦争のお時間だ。

 殺そう、敵も味方も殺し尽くそう。

 もう()を縛るモンは何もねぇ。

 敵兵を殺し、敵将を殺し、敵の危険種を殺し、敵の民間人を殺し、一人残らず皆殺しにしてやろう。

 

 ああ、愉しみだ。

 実に愉快な気持ちだ。

 遂に戦争の火蓋が切って落とされる。

 お互いに殺したり殺されたりしよう。

 血飛沫と臓物、死体と呪詛が溢れる戦場で、お互いに譲れないモノを掲げて殺し合おう。

 守るべき何かを胸に、最期の尊厳すらも凌辱され尽くして傷つけ合おう。

 

 楽しみで仕方が無い。

 嗚呼、血沸き肉躍る狂乱の宴は目前だ。

 折角こんな時間にこんな場所までやって来たんだ。

 とっても気持ちの良い殺戮を見せてあげよう。

 

 此処だ。

 俺は此処に居る。

 殺しに来い。殺されに来い。

 事此処に至って、俺を不可侵とするなど不可能だろう?

 大戦争を演出している諸悪の根源は、此処に居るぞ?

 さあ――最終決戦の始まりだ!!




ニア 選択肢『自重を捨てる』を選びました。
『皆殺しルート』が解放されます。

『皆殺しルート』が解放されたことにより、選択肢『■■■■■■』が解放されます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。