憑依者はスタイリッシュなマッドサイエンティスト 作:社畜戦士
結果、オカマ化の呪いが解けました。その代わり殺意と狂気が際限なく高まっています。
――開戦の合図は、革命軍が一斉に360度から砲撃を行うことで始まった。
挨拶代わりの一斉砲撃。
青銅砲の砲撃とはいえ、無防備に城壁へ喰らえば大きな損害だ。
金属球砲弾での攻撃だが飽和して攻撃を食らえば如何に堅牢な城壁だろうと脆くも崩れ去るだろうよ。
――そう、
「――ふむ、コレが例のモノか」
「応よ、【衝撃変換反射装甲】。食らった攻撃をそっくりそのままお返しするって代物で、今しがた奴さん方が撃ちまくってくれた弾丸は180度反射してお返ししてやった」
言葉にした通り、盛んに撃ち込まれた鉄球弾は此方の防御を
当たり前の話だが、来た道を通って返却された砲弾はそのまま砲門に飛び込み、甚大な被害を与えている。
流石に一度に全ての砲門を開いたワケではなかろうが、少なくとも初手で使われた分の砲は全て潰した。
そして此方の反射のタネが分からない限り、向こうも二度と砲撃をしようとは思わんだろうよ。
城壁上部の物見塔。
エスデスと二人で敵の本陣がある南門の方に陣取っているが、敵も馬鹿じゃあない。
流石にナジェンダ以下敵の首脳部は分厚い敵陣の部隊に囲まれていて、此方からは容易に狙えない。
……まあ容易ならざる手段、
しかし、折角此処まで引っ張ってきたんだ。
一つ一つ敵の備えを引っぺがしてやろうじゃあないか。
コレも女の衣を剥くような愉しみがあって、中々風情がある。
ともあれ初撃はいとも簡単に凌いでやった。
まさか無傷で帝具すら使わずに反撃されるとは思っちゃいなかっただろう。
もしかすると『何らかの未知の帝具』を使って反撃した、とでも思ってるかもしれんが、其処の辺りはどうでもよい。
火砲が通用しないとなれば、次善の策を用意するだろう?
城壁を壊すなら、大質量の攻城兵器でも使いたいのだろうが、流石に無防備に取り付かせるとも思ってはいまい?
「――ほう、危険種を操る帝具とやらか」
「退屈になるくらい想定通りだな」
敵陣の後方に控えていた城壁を見下ろすレベルの超大型危険種の群れが前進を開始した。
原作でもエアマンタを筆頭に『危険種を意のままに操る』って手段は明示されてんだ。
そして、原理こそ違うが同種の帝具は帝国側にも存在した。
なら、事前に対策してねぇワケねぇだろボケが。
危険種を操る帝具。
デカブツってのは良いよな。
こっちにも危険種馴致の帝具があるから分かるが、物理的に大きな戦力ってのは実に良い。
目で見て分かる強さ、安心感。
末端の雑兵にも『アレが有れば自軍は安心だ』と思わせる存在感。
――手始めに、ソイツを奪おうか。
『泣き叫べ、掻き毟れ、絶望を謳え――悲嘆の蓋世』
俺が唱えた呪文――例によって文言は適当だ――によって、瞬時に敵陣が乱れていく。
真っ直ぐに前進していた危険種共が、あっという間に算木を乱して暴走を始めたのだ。
「――狂気感染。帝具如きじゃあ縛れねぇぞ?」
やったことはシンプル。
何なら呪文とすら呼べないモノ。
俺の狂気を部分的に解放して、危険種を操縦していた帝具使いを狙い撃ちにしただけ。
俺の狂気は邪神の叡智というか異界の邪智そのものなので、まあ人間にゃあ耐えられん。
そしてソレを直撃させられた帝具使いを通して、というかその危険種操縦の帝具から伝播して俺の狂気が危険種共に移って、後は御覧の有様だよ。
「よし、初撃は凌いだ。次は任せる」
「うむ、任された」
敵の後方が壊滅状態だが、このスタイリッシュ容赦せん。
エスデスにバトンタッチ。
実は本邦初公開である【氷騎兵】を展開。
【影】の中にしまっておいた数百万の氷騎兵を続々と召喚し、敵陣の真正面にズラリと並べた。
【氷騎兵】。
文字通りエスデスの帝具能力で操縦する氷で出来た騎兵で、複数の氷騎兵を自動操縦にする事でこのように数百万の軍勢を一人で用意出来るって寸法よ。
勿論無から氷を生み出せるエスデスの能力にかかれば、爆散しても瞬時に再生成することが可能。
どころか体力と気力の続く限り無限に生み出し続けられる。
「後ろが盛り上がっているが、こっちも楽しもうじゃないか! 氷騎兵突撃!!」
エスデスの威勢の良い掛け声とともに氷騎兵が眼前の敵兵に吶喊する。
見るからに無機質なその氷の兵隊は、敵の陣地に到達すると……そのまま次々と敵兵を蚕食していく。
「一応ダーリンとの鍛錬で私も成長しているからな。氷騎兵は一体一体が超級危険種並みだ」
「ほォ、そこまで成長していたか」
エッヘン、とドヤ顔でほほ笑むエスデスは可愛らしいけども、イチャつくのは後にしようか。
戦場で盛って醜態を晒すワケにもいかねぇしな。
ともあれ戦況だ。
氷騎兵はエスデスの言の通り一体一体が超越級の特記戦力。
ソレを無から無限に量産出来てしまうんだから、敵対する連中にはたまったものじゃあないだろうよ。
だが既に戦端は開かれているんだ。
もはや後戻りは出来ねえよ、お互いにな。
「精々足掻いてみせろ。闘争は嫌いじゃあないんだ」
ところ変わって此方は宮殿内部。
私、セリュー・ユビキタス大佐は部隊を率いて待ち伏せをしています。
ソレを待っている訳です。
決戦の場に居られないのは業腹ですが、あくまでも対人戦闘に特化した皆さんを率いる関係上、不測の事態を防ぐ為にも、ある程度の対応力を持った人間が必要……そうドクターにお願いされましたからね。
ドクターたっての願いとなれば、否応なしに頷くしかありませんよ。
ソレに、目標をちゃっちゃと始末してしまえばドクターに加勢しに行けますし。
「――って事で早く来て欲しいんですけどねぇ……」
コロを手の中でムニムニと弄りながらそう独り言ちるけど、そろそろ予定作戦時間だ。
どうせ殺される以外の結果は無いんだから、警戒とか慎重さとか、そういうのどうでもいいから早いところやられに来て欲しい。
「――大佐、来たようッスよ」
「お、やっとですか」
コロを吸っていたらイエヤス君がそっと進言してきた。
いけないいけない、ついコロ吸いに夢中になってしまった。
「ウェイブ君、数は?」
「――特記戦力のレオーネ……後は雑兵と、
「結構」
私のレーダー能力型神将器の拾番、【寅の将器“
なら……一応壱番と肆番、後は念のために捌番と玖番も起動しておきますか。
「スピアちゃん、お客さん用のオモテナシをご用意してあげて」
「りょーかい」
スピアちゃんがブツを取りに行って戻ってきて、それから数分で敵勢は此処に雪崩れ込んできた。
事前情報通りにレオーネと雑兵数名、後はお二人が居る。
「――なん、だ……こりゃ!?」
おっと、レオーネ女史は此方が事前に用意したオモテナシに驚いてくれたようだ。
そこまで喜ばれると手間をかけた甲斐がありますね。
「えーと、コウケイ、ドウセン、サイキュウ。そっちの最重要目標なんでしょう? 事前にこうして生き腐れにして磔にしておきましたよ」
うん、話が早くて実に良いですね。
サイキュウは兎も角、コウケイとドウセンはどう考えても利より害の方が大きいですからね。
だからこうやって間引いておくわけです。
……サイキュウは、正直能力はあるから微妙なんだけど、此の状況で逐電しようとするような背信者には相応しい末路でしょ。
「……なんだアンタら。まさかソレを手柄に寝返りでも打とうってのか?」
おや、女史ってば随分と面白い解釈をしますね。
勿論そんなワケないですよ?
「どうでもいいじゃないですか。……コイツらの首が欲しかったんでしょ? くれてやります。話はソレからでは?」
私たちにどんな思惑があろうとも、ノーリスクでターゲットを始末出来るチャンスが転がってきたんです。
乗らない手はないでしょう。
仮に女史が勘違いしたように私たちが寝返りの対価として彼らを差し出したとしても、最悪は「敵の言うことを聞く必要は無い」とか言って反故にしても誰も文句は言えません。
つまり、差し出されたイケニエ連中を始末するのが絶対として、その後はどう転がそうにも今は此のターゲットを無傷で片付けるのが先決。
となれば、そりゃあ標的を処理するのは当然。
色々言いたいこともあったんでしょうが、女史を筆頭に宮殿突入部隊の皆さんは磔にした彼らを綺麗さっぱり息の根を止めてくださいました。
ウンウン、実に素晴らしい。
帝国に巣食う寄生虫をまた一匹駆除できましたね。
「――じゃ、殺ろっか」
『ッ!?』
何やら驚愕しておいでの皆様方ですが、此方も慈善事業やってるわけじゃないんですよ。
彼ら佞臣共を手ずから殺させてあげたのは、慈悲のようなモノで。
ナニも為せないまま死ぬよりいいでしょ、って程度の労りと友愛ですね。
当然、やるべき事を出来たんだし後は殺してやっても文句は言わないでしょ?
「あなた方は立派に戦ってきました。艱難辛苦に耐えて、よく頑張りましたね。感動です、おめでとう。…………じゃあ、サヨウナラ」
コレは戦闘ではありません。
結果の分かりきった粛清ですよ。
――ああ、ちなみに遠距離能力持ちや対軍能力持ちは外で狩りを手伝っていますね。
スピアちゃんとか普通に大量破壊能力持ちなんですが、イエヤス君とウェイブ君だけでは万が一もありますから。
私は部隊指揮官として此の場に居ますので、二人の直接的な護衛というか予備戦力として居てもらったわけです。
まあ二人の戦闘力に不安がある訳ではないですが。
あくまで『村雨に類するような即死能力や毒物』を警戒しての配置ですね。
勿論私たちは既存の薬毒なんかで殺せるものではないのですが、念には念を入れました。
また、一応最後の最後の奥の手として、宮廷警護責任者の帝具使いの方も気配を完全に消して控えてくださっていますよ。
ドクターの助力と改造もあって、此処、宮殿中庭と同化した彼は思考だけで空間から攻撃を生やすことが出来ます。
時空間を無視して指向性の罠や攻撃を放てる彼は、拠点防衛型としては破格の性能を持っていますね。
汎用性という点では著しく劣りますが、その分特化型の性能に仕上げたので。
まあ流石に彼の出番も無さそうですが。
「――よっし、ミッションコンプリートって感じですね」
「ば、馬鹿な……」
標的は特記戦力の女史を残して全滅です。
まあ殺した彼らは名前も分からないようなモブですから、特に意識せずに潰したんですが、彼女は違います。
ナイトレイドの一員として大々的に手配されている超凶悪犯。
そんなの公開処刑しないと勿体ないでしょう。
「うん、じゃあレオーネさんでしたっけ? このまま生殺しで処刑の日まで慰み者になっていただきますけど、何かご意見が有れば仰ってください。聞くだけ聞きますよ?」
「――ぜだ……」
「うん?」
何やらブツブツ言ってますね。
処刑の時に良い悲鳴を上げさせる為に顔周りは無傷で潰してあげた筈ですが、言語機能にでも障害が出たんでしょうか?
達磨でも声は発せる筈ですが……。
「
……おや、なんだそういう話でしたか。
まさか本当に気付いてないとは……。
「気付いてなかったんですか?」
「……何?」
……ふむ。まあこれから死ぬ彼女にも本当の事くらいは教えてあげますか。
ソレが無聊の慰みになりましょう。
「あーどーもどーも。ご紹介に与りましたチェルシーちゃんです。革命軍にはスパイ目的で入りました~」
「――なんだと!?」
うん、そうなんですよね。
彼女は裏切った訳ではありません。
最初から我々の手勢なんですよ。
気付かなかったあなた方が間抜けなだけで。
だからアホ面晒して「うらぎった~」なんて言われても困ります。
「じゃ、じゃあアカメはどうした!? アカメが裏切る筈が無いだろ!?」
「あー……」
やっぱり気付いてなかったんですね。
コレは可哀そう。
……じゃあネタバラシといきますか。
「TYPE:A、命令です。メモリーを
「オロロロロロッ!!」
「ッ!?」
私のオーダーに従ってA型ドールが口腔から記憶媒体をイジェクトします。
その結果――。
「――はい。アカメちゃんはとっくの昔にお人形になってました~っと」
「……ハァ!?」
そうなんですよ。
アカメちゃんは以前のロマリー街道での戦いで鹵獲して、既に人格は
今まで彼女の肉体を動かしていたのは追加で挿入したゼリー型人格データに過ぎないんですよね。
オリジナルの人格データは瓶詰してクロメさんが部屋に飾ってますよ?
「仲間が中身入れ替わってたのに気づかないとか……ハァー。やめたらこの仕事?」
あまりに無能が過ぎますね。
お仲間がゼリー人形になってるのに気づくことも無く此処まで来ちゃうとか……。
「――うそだ……ウソだぁああああッ!?」
ところがどっこい。嘘じゃありません。コレが現実。
まるでギャンブルで全財産を溶かした支配人のような顔で絶叫する女史を梱包して、拷問室へ配送依頼を出しておきます。
私たちはコレから表の決戦に加勢しないといけませんので。
……結局私は碌に戦闘しませんでしたね。
多勢との決戦では壱、肆、捌、玖は使いどころがあまり無いですし……。
なーんか、折角創っていただいたのに日の目を見ずに終わってしまいそうですねぇ。
「あぁ勿体ない勿体ない」
精々連中が予想外に奮戦してくれることを祈りましょう。
その時は使い損ねた神将器の出番も有ればいいんですが。
――ナイトレイド、残り
後はもう終わりまで一直線なので、今日は連続で投稿します。
多分コレで全部の神将器の出番はあった。ほぼ使ってないのもあるけど。
壱番【亥の将器“
形状は手のひらサイズの水瓶。能力は某ハンペン隊長の斬魄刀。
万が一敵が致命の攻撃でも繰り出してきたら即座に幻に堕として生き腐れにする予定だったが、抵抗空しく簡単に鎮圧出来たので出番が無かった。
肆番【申の将器“
形状は装着者の背中から出現する光背。能力はサイズや質量、質感などを無視して万物に変身するというもの。
質感も変えられるので『地球上には存在しない物質』に変化して絶対防御状態にもなれる。もし敵が攻撃を当ててきたらコレで緊急防御を考えていたが、一矢報いることもなくボロカスに出来たので出番が無かった。
捌番【辰の将器“
形状は手のひらに乗るサイズの青蓮華。能力は超高精度の未来予測。
発動すればほぼ完全なる予知が可能になり、敵の行動を全て知覚して支配する事が出来る。敵が予想を超えた行動をしてきた場合に備えて用意したが、予測を裏切るほどの活躍も無かったので出番は無かった。
玖番【卯の将器“
形状は宝棒。能力は完全再生。
復元呪詛が完成する前に使われていた超再生機構。細胞の一欠けらでも残っていれば即座に復活可能な異常な再生力を与える。敵が以下略。
万が一復元呪詛を無効化なりされた時の為に重ね掛けしたが、結果は御覧の通り。
―やっぱり未使用だった奴―
終番【全神の将器“
形状は全身を覆う瑠璃光。能力は全ての神将器を同時に発動可能というもの。
神将器としては例外的に使用者に負担を強いる為、決戦時に奥の手として発動させることを目的とした機能。
しかし鍛錬時以外で傷を負うことすら無かったのでお披露目の機会が無かった。