憑依者はスタイリッシュなマッドサイエンティスト 作:社畜戦士
「――舐めるなァアアアアアアッ!!」
おっと、一番槍は帝国の元将軍の一人。
今は革命軍の幹部をやっているベルヴァーグを任された女兵士が斬り込む。
【“二挺大斧”ベルヴァーグ】。
両刃の大斧型帝具で、途轍もない重量を誇るパワータイプの武具だ。
その能力は『投擲すると勢いの続く限り標的を追い続ける』という限定的な自動追尾機能。その追尾距離は投擲の運動エネルギーに依存するが、自動誘導系の能力としては中々に手頃なブツだろう。
通常は身の丈ほどもある大斧だが、中心から分離させて片刃の2挺斧に変形させることも可能だ。
常人には持ち上げる事すら不可能な超重量系の武器だが、その帝具を任された幹部兵士は任されるだけの事はあるのか、過不足なく取り回している。
大上段から渾身の振り下ろしを跳躍と同時に叩き込んで来るが……聊か不用心が過ぎるな。
此方が『帝具とか使わないヨー』と言ったとはいえ、いきなり無策で突撃とかアホ丸出しだろ。
まさか敵の言うことを信じちゃいまいな?
いや、態々縛りプレイを楽しんでるんだからこっちから取り決めを破る気はないが、ソレにしたってこの無防備ノーガードスタイルは頂けない。
そんなんだから帝国から将軍職を罷免されて無職で放り出され、そのまま革命軍に逼塞するような人生を送る羽目になるんだ。
「――フン、温ぃ」
「ば――馬鹿なッ!?」
あまりにもあんまりだったので此方もノーガードで斧の一撃を腕で受けて片手で掴み取ると、なにやら幹部何某は酷く狼狽している。
「どうした力自慢。ご自慢のパワーを見せてみろ」
「ぐッ……ッ!?」
彼女の唯一の得物であるベルヴァーグは完全に片手白刃取りの要領で抑え込んでいる。
そして帝具を手放すとか普通は出来るワケが無いし、仮にソレをしたら無手になった彼女をそのまま撲殺するだけだ。
つまり完全に詰んでいる。
「――私を忘れるとは随分呑気だな?」
「しま――」
そしてそんな分かりやすい隙を晒した阿呆は俺の相方に摘み取られる。
「そら」
「カペッ!?」
字幕放送だと<首が折れる音>とでもテロップされそうな実に小気味よい音が響いて女幹部の首が捩じ切られる。
俺達のように首だけでも生存可能な改造でも施していない限りまあ普通に死ぬわな。
「フハハ! 部下の敵討ちなぞガラではないが……意趣返しには良かろう?」
「……ああ、そういや水神隊だっけ? 木端な帝具使いの部下たちがいたな」
そうだったな。
原作での三獣士に相当するリヴァを隊長とした特殊部隊がエスデスの配下には居たんだったな。
何故かいつの間にかニャウとダイダラがウチに居た関係で、彼ら以下の素養の「ギリギリ帝具に適合出来た」だけの三下を部下としてキープしていた。
まあ気が付いたら戦死してたが。帝具こそその時には奪われなんだが、巡り巡って大臣のミス経由で帝具は奪われちまったし。
確かにソレで奪われた帝具を奪い返すのは敵討ちだわな。
「まあ、武器は兎も角帝具は使わん約束だ」
「応、仕舞っておこう」
そう言って無造作に放られたベルヴァーグをそのまま俺の影の中に放り込む。
どうせ使わんのだから粉砕してやっても構わんのだが、流石に国の超兵器扱いの財を勝手に破壊するのは不躾だろうから。
それよりも首から上を喪失して、屠殺されたばかりのチキンのように鮮血を噴出している彼女の遺骸を、俺は敬意を持って掴み、振り被る。
遺体は有効活用してやらないと勿体ないよな。
「いうなれば……南斗人間砲弾……ッ!!」
ただし射出されるのは敵兵也。
ご遺体にも死の尊厳を大事に慮ってちゃんと武器として有効利用いたしますとも。
「ガァッ!?」
「ギャッ!!」
「ぐぇッ!?」
俺の全力投球によって赤熱するほどに加速した遺体爆弾は敵陣に着弾すると汚ぇ花火を咲かせる。
骨や歯ってのは意外と硬いからな。
ガラスや金属にも傷をつけられる。
そして人間の7割は水分だってのはよく聞く話だが、勢いよく加速して叩きつけられる液体とか普通に人を千切れる。
血肉の詰まった肉袋が運動エネルギーに従い着弾すると、まあ爆散するわな。
で、骨や歯がいいアクセントになって周囲を巻き込んで破片効果を呈するんだ。
うむ、死者に対する敬意溢れる実に優しい攻撃だとも。
「ハハッ、帝具やらは使ってねぇぞ?」
「不満だったら武器にされなければよいのだ」
とか言いつつ二人でその辺の兵士を生きたまま引っ掴んで振り回す。
当然すぐに原型を留めずに使い物にならなくなるが、その時は『最後まで役目を果たしてくれてありがとう』、という感謝の気持ちを込めて砲弾にしてぶん投げる。
骨弾、骨剣、骨棍棒、その他諸々。
ただし命も一緒についてくる、ってな。
暫しそうやって遊んでいるが、流石に初手で無策に突っ込んできたあのアバズレが例外だったようで、他の連中は慎重に守りを固めて此方の疲弊を狙っているようだ。
まあ常識で考えるとたった二人で100万人規模の軍勢を殺しきるとか眉唾物だし残当。
消耗戦ならばあちらに分がある、って考えも理解出来るんだ。
――ただ、想定が甘いんだよ。
人間、いや……生物としての強度が違う、格が違う、位階が違う。
これだけ殺しまくってきたのに、思考停止して長期の消耗戦とかいう最低に面白くない消極策を選ぶとかマジで軍事の適性無いわこいつら。
『たった二人ぽっちで100万の敵を殺し尽くせる訳がない。こうして異界に敵軍を全て閉じ込めたのがその証拠。命懸けで我々を削って、後を残存兵に託す心算だろう……』
どうも連中、というか現場の最高指揮官であるナジェンダはそう思い込んでいるようだ。
頭ん中ハッピーで人生楽しそうだなオイ。
勿論俺らがそんな殊勝な考えしてるワケねーんだわ。
普通にこのままのペースでもお前ら皆殺しにするのに苦労なんてしねーぞ。
たった
「――今だ!!」
『――■■■■■■!!――』
「お?」
「おっと」
土中に隠していた危険種がアリジゴクのようにその大顎を開いて飛び出してきた。
……が、勿論知ってるっての。
お前らを此処に呼び込んだのは俺だろうが。
まさか範囲指定で誰を連れてきたのか分からないとかだと思ってんのか。
誰と何が何処にあるのかなんて全部知悉しとるわ。
「マトがデカイ」
「速さが足りん」
「なぁッ!?」
『――■■■■■■!?――』
危険種故の生命力はあるが、それでも頭蓋を神経節ごと引っこ抜かれて尚活動出来るような生命体でもないからな。
食いついてきたその頭を握りつぶしてぶっこ抜くと、残った胴体がビクビクと蠕動する。
見た目は虫系のグロ画像だが、この程度で気勢を削げるようなかわいらしさなんてねぇしな。
「デカブツは便利だな」
「うむ、さっきも言ったがマトがデカイ」
『ぎゃああああああッ!?』
これまでと同様に此の危険種の遺体も死体棍棒としてリサイクルだ。
死体をフルスイング。
得物がデカイから風圧だけでもズンズン潰せるな。
……そういや危険種馴致の帝具使い氏は発狂から立ち直っていたって事か?
横やり入れられたら面倒だし見つけ次第破壊しないと。
「圧し潰されて死ね」
「ハハハッ、脆すぎるぞキサマら!」
「――そこまでだ!!」
お? あのブサイクな仮面は、バルザックだったか。
【“超力噴出”バルザック】。
持っている潜在能力を100%引き出せるとかいう産廃。
装着者が元々持っている潜在能力以上のモノは発揮できない。
そんなモンは自前の修練で力を使えるようになっておけ雑魚共。
ともあれそんなゴミを装備した何某が此方の注意を引くように小隊を率いて俺達の前に立ち塞がるが、どう贔屓目に視ても俺達を足止め出来る程の能力は無いようだが。
命懸けで部隊ごと特攻して玉砕してもコンマ1秒もかからず終わるぞ?
少し訝しんだが、見た目通りコイツらはあくまで囮のようで、そのままバルザックの率いる部隊と俺達を挟んで丁度反対側から別の帝具使いが奇襲(笑)を敢行した。
……最初から気付いているんだがな。
実行者はヘヴィプレッシャーの所持者。
【“大地鳴動”ヘヴィプレッシャー】。
マイク型の音波攻撃を行う帝具。
奥の手で全周囲に怪音波を放って行動不能に陥らせる『ナスティボイス』とやらがあるんだったか。
――で、まあ背後から奇襲した心算の奴さんはそのまま俺達を射程に収めてナスティボイスを発動。
バルザック部隊は耳栓をしていて範囲内にあっても平気なようだ。
……耳栓程度で防げるとかゴミ能力だな。
NARUTOの中忍試験編に出た音忍知らねえのか。
音波は耳を塞いでも脳を揺らすモンじゃねぇのか。
「今だ!!」
俺達が内心冷めてると、ソレを『動けなくなった』と判断しちゃったらしいバルザック部隊は突撃槍でランスチャージを敢行。
――が、この程度の騒音でどうにかなるような生易しい肉体じゃねぇからな。
「今じゃないんだな、コレが」
「ギァっ!?」
「ピギッ!!」
「ギュエっ!?」
ランスの穂先を無造作に蹴り返すと、柄の部分が逆噴射されて彼らをモズの早贄の如き有様に貶める。
スマンな、肉体強度が違うんだ。
数打ちの鈍らだろうが最上級の業物だろうが刃物で傷とかつかんぞ。
「そこだ!!」
そうしてバルザック部隊を指揮官のバルザック何某ごと刈り取ると、間髪入れずに次の手が飛んでくる。
……どうにも彼らには連携だとか戦力の逐次投入は悪手だとかの意識が無いようだな。
まあそれはさておき次の挑戦者。
文字通り飛び込んできたのはダイリーガーじゃないか。
【“快投乱麻”ダイリーガー】。
それぞれが異なる属性を持った6つのボール型帝具。
相手に投げつけることで様々な効果を発揮するが、投擲するまでの隙が大きいのが弱点。
コレは皇具として量産したくらい俺が知り尽くした帝具だが、能力はそれぞれ焔の球(火炎属性)、雷の球(雷撃属性)、氷の球(氷雪属性)、嵐の球(疾風属性)、腐の球(腐食属性)、爆の球(爆裂属性)。
何処かのアホ大臣の所為で革命軍側に渡った時期を考えると然して習熟に時間を取れなかったハズだが、まあ属性の球を投げるだけだからな。
今回も暴投するようなことは無く普通に対象を燃やし尽くす焔の球が正確に投球される。
――ので、そのまま鷲掴みにして燃え盛る球を投げ返す。
「馬鹿n――」
末期の言葉すら残せずにソイツは一瞬で消し炭に。
まあ俺らと違ってマグマで溶岩水泳が出来る生物じゃないもんな。
残当残当。
『――今の帝具使わないの条件に抵触しないかなぁ……?』と内心疑問に思っていたら、フラリと無防備にスペクテッドを装備した男が躍り出て来る。
【“五視万能”スペクテッド】。
相手の表情から施行を読み取る“洞視”、遠く離れた場所まで見渡す“遠視”、衣服の上から装備などを見通す“透視”、筋肉の動きなどから次の動きを見通す“未来視”、相手に幻覚を見せる“幻視”の「五視」を操る力を持つ。
俺らが折角凶賊のザンクから回収したのに大臣のヘマで敵側に渡った曰く付きの帝具だな。
何やら無防備オジサンがドヤ顔で俺達の方を凝視しているので、どうも幻覚を見せてる心算らしい。
例によってそういうのが効かない俺らにとってはアホ面晒して敵の前で無防備に棒立ちしてる間抜けが目の前に居るだけなんだがね。
よって、そのまま二人でクロスボンバーを放って首を刈り取る。
「キュペっ!?」
「そら(敵の前で棒立ちになってたら)そう(なる)よ」
……うーむ、ちょっとマンネリになってきたな。
次は首を狩らずにジョネス方式で心臓を抜き取ったりしちゃおうか。
……いやジョネスじゃねえわジョネスは
キルア方式だな。
「――む?」
「あー、危険種を操る帝具使いか」
何やら面倒くさいことに、お次の相手は敵陣最後方で動かずに此方へ危険種を嗾けている件の帝具使い。
邪魔だが、あそこまで行って帰って来るの怠いな。
「――よし、投げ返そう」
「使い手を始末すれば危険種も暴走するだろうな」
取り敢えず厄介な帝具使い、もっと確実性を採るなら帝具ごと破壊しよう。
そう考えて突っ込んできた怪獣クラスの危険種の群れを持ち上げてブン投げるのを繰り返す。
初弾で帝具使いごと圧壊させると、残った危険種たちは支配の軛から外れて暴れ出す。
そのまま革命軍の方に行くなら願っても無いので、此方に来ないよう狂気を少し解放して威嚇。
自然に生きる彼らはすぐに危険を察知して回れ右をして遁走してくれた。
そしてそのまま敵陣の真っただ中に突っ込んで大暴れしている。
「さて、お次は――」
「エクスタス!!」
おん?
だから逐次投入やめた方がいいんだが。
俺の内心での突っ込みは飲み込むが、どうも敵はこのままでは埒が明かないと思ったのか一度に4名の帝具使いを突っ込ませてきた。
初手でエクスタスによる金属発光での目晦まし、か。
地味だが堅実で有効な策だな。
――効果が有ればな。
「帝具に頼るな」
「地力が足りん」
『なッ!?』
彼らは知らなかったようだが、というかそろそろ気付いて欲しいんだが、俺らって人間の性能を大きく凌駕してるんだよ。
当然此の程度の目晦ましじゃ視界を塞げないし、仮に目を潰されても気配察知の感覚だけでこいつら程度は捌ける。
アユダス、だったか?
能力不詳の大鎌使いが鎌を振り被るが、確かソレって安寧道で確保した奴だろ。
当然だがあれからさほど時間が経ってないので、奴さんも大鎌の扱いに習熟出来ている訳ではないようだ。
まあフィクションだと鎌使いとかよく出てくるし、死神や農耕神なんかのメタファーとして世界各地の神話でもよく使われるが、実際に鎌を武術で扱うのは結構な難易度だ。
武芸十八般だとか武芸百般だとか言われるモノの中にはソレもあるが、その辺の街道場でお手軽に習える得物って訳ではない。
――何が言いたいかっていうと……。
「未熟が過ぎる」
「ビベッ!?」
流石に現実には存在しない大鋏使い程ではないが、一端の武人とは到底言えない練度の鎌使いは懐に潜り込まれると大きく動揺。
そのままゼロ距離で密着すると鉄山靠で衝撃を徹して内臓をミンチに。
一撃で体内がオシャカになった彼女は七孔からピンク色の体液を撒き散らしながら崩れ落ちた。
そのまま流れるように衝撃波を放つ杖使いに相対。
髑髏の意匠の杖とかいう美的センスゼロのソレを放ってきたが、この程度は口腔から放つ逆位相の衝撃波で相殺出来る。
「ガァ!!」
「なにィ!?」
肉体が放つ音撃だけで完封されたことで完全に頭が真っ白になったらしい彼を、そのまま特殊な歩法で抜き去って気付かれることなくモツを抜き取った。
そしてシャイニングフィンガー気分でヒートエンドしてやる。
「爆散――!」
「ガフっ……!?」
臓物を破壊することで初めてダメージに気付いた彼は肉体の喪失に気付いて即死する。
ウム、漫画的なやられ方で芸術点が高いぞ。
チラとエスデスの方を見ると、残りの三人の内二人の帝具使いを始末している所だ。
最初にやられたのは無謀にもエスデス相手にレイピア型帝具での剣術勝負を仕掛けた女性。
「私にレイピアで挑むとは……驕れるな雑魚め」
「あべしッ!?」
俺があげた最高クラスの業物であるレイピアを常に佩刀しているエスデスは、素の剣術も出鱈目に強い。
そんな彼女に同じ土俵で挑む愚かさよ。
レイピア型帝具使いはどうも何らかの直接戦闘系の能力を持っていたようだが、鍔迫り合いすら起こさずに瞬時に蓮コラじみたグロ肉に変えてやったことで帝具の能力すら判明せずに敵兵は即死。
勿論武器は人間素材由来とか以外は使ってない。ちゃんと脊髄剣を使っていたとも。
「ヒッ……!?」
「戦場で足を止めるな愚か者」
そして相方が無惨な最期を迎えたのを目撃したもう一人の帝具使い(推定)だが……パッと見は無手っぽいんだが、能力が判明するまで待ってあげる道理も無し。
流れるように懐に飛び込んだエスデスは残りの一人へ手刀を叩き込む。
肩甲骨をぶち割って、上半身の腰寛骨まで鯵の開きのように割いてやった敵兵は、末期の言葉すら残せずに物言わぬ肉塊に成り果てる。
ソレを見届ける間もなく、以心伝心で通じ合った俺達は前後から仲間が次々とやられて完全に戦意を喪失しているエクスタス使いを強襲。
此度はサンドイッチ式延髄斬りだ。
「「ツープラトンアタック!」」
「コパッ!?」
放ち終わってから「ヤベ、また首狩り技じゃん」と反省したが、ソレで技の完成度が鈍る訳でも無い。
そのままエクスタス使いは黒ひげ危機一髪のように首だけがポーンと吹っ飛んでいく。
コミカルな死に方ですねと感心したわ。
「――ん? おい、帝具使いはもう全滅しちまったようだ」
「なんだ、歯ごたえが無いな」
実は帝具って特有の反応というか存在感というか、とにかくそういう代物があってな。
で、ソレで判別するに……もう連中の
実に詰まらん。
もう隠し玉が無いって事じゃないか。
じゃあ後はプチプチ連中を潰すだけかよ……。
「――そら、どうした革命軍。調子はどうだ? 頼みの綱の帝具使い共は全滅だ」
「精鋭とやらも斬滅寸前、だが雑兵はまだそれなりに残っているか……」
エスデスと二人で確認するが、ちゃんと彼らもまだ抵抗の意思を見せてくれている。
ウンウン、そうでないと困る。
まだ何か奥の手があるのだろう?
だからまだ士気が崩壊していない。
是非、見せてくれたまえ。
「指揮官クラスはあと少し」
「どうするんだ?」
「「どうするんだ、
ホラ、何を躊躇しているのか知らんが、このままじゃ嬲り殺しだぞ。
早いところ奥の手でも切り札でもなんでも見せておくれ。
「此処が最終決戦と定めてきたのだろう? 大将首は此処だぞ? 命を懸けろ!!」
『――ッ!!』
うーむ、まだ煮え切らない様子。
……もう少し発破をかけるか。
「最後の一兵になるまで死力を尽くせ。死に物狂いで足掻き続けろ。仲間の屍を超えてでも此の身に刃を届けろ……」
「「闘え、戦え、鬪え、戰え、鬨え、斗え!!」」
二人でアカメが斬る! 名物のキチ顔を披露しながら煽っていく。
遊戯王の顔芸にも引けを取らないよね此の作品。
「――ッ!! バケモノめ! 化け物同士、仲良く殺し合えッ!!」
『――■■■■■■!!――』
……あ?
何やらナジェンダの下知で、残りの兵士たちの大部分が自らにとあるアンプルを打ち込んでいく。
アレは……。
――アレは……【危険種化薬剤】。
文字通り、其の身を危険種へと即座に変ずる外法の科学だ。
向こうさんの科学者連中が開発していたのは知っていたが、まさか本当に使うとは……。
『――■■■■■■!!――』
「うわぁああああ!?」
「ギャッ――」
「ぐぇッ!?」
みるみるうちに目の前で暴走する人造危険種たちによる無差別な破壊が振りまかれていく。
逃げ遅れた雑兵を巻き込んで、というか危険種同士ですら食い合いが起きている。
当然だろう、此の界隈では世界最高の技術を有する俺でもなければ、『人間を瞬時に危険種へと変化させる』薬物なぞ、今の人類の技術力では身に余る代物だ。
人間の意識を保つなんて不可能で、ソレをコントロールするなどもっと無理だ。
……大方
マジで死んでからも尚祟るなあのゴミカスめ……。
――というか、アレだな。
嗚呼、成程……という気分だ。
何処かの人間好きの吸血鬼の気持ちが痛い程理解出来た。
こんな気分、分かりたくなかったな……。
「糞共が、手前らは犬の餌だ」
『――ッ!?』
一瞬。
瞬きの間に、
何をしたか?
――超速度で残存兵を全員一人ずつ素手で解体して達磨にして回っただけだ。
……結局解体屋ジョネス方式じゃん。
何と言うか……寂しい? いや、侘しいのか?
……本当に気分が悪い。
外法に頼ってでも何かを為す、という……そういう歪みない気概や信念の類が有ればマシだった。
だが……こいつらは、唯々安易で楽な手段に逃げただけ。
ソレは、なんというか……今まで此処で命を張っていた全ての存在に対する冒涜のように感じた。
いや、散々生命倫理尊厳を汚辱しまくってきた俺が言うことじゃあねぇけどよ……。
ソレは、なんか違うじゃん?
主人公様たちの陣営が、味方を使い捨ての化け物に変じて使嗾するとか……世界が許しても俺は許さんわな。
人間って、なんか、こう……もっと美しいモノであって欲しいんだ。
――だから無為に終わらせた。
外道に頼ったその歪みの集大成。
ソレが此の有様だ。
「だらしねぇ連中め。仕方ないから責任もって、綺麗にキッチリ
……現実の幕引きってのは案外呆気ないもんだな。
もうコレで完全に閉幕。
残りの残党を完璧に駆除すりゃ後は天下泰平の時代って寸法さ。
――さて、もうひと仕事頑張りますか。
――ナイトレイド、全滅。(チェルシーはスパイ。アカメは人格排泄)
ということで決着。
次回はエピローグ的な話をして完結になります。