憑依者はスタイリッシュなマッドサイエンティスト 作:社畜戦士
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セリュー・ユビキタス。
原作での彼女は端的に言えば『哀れな狂信者』だったわ。
彼女の人格形成には、賊徒との戦闘で殉職した軍人である父の存在が色濃く影響している。
亡き父の今際の際の言葉に従い正義を為す事だけを考えていた、心根で言えば確実に善性の人間。
【正義に殉じて大義を為す】。ソレがセリュー・ユビキタスという人間の全てだったとも言えるわね。
しかし、帝国の闇に気付かず、知らず、考えずにいた所為で、その正義は歪められてしまった。
帝国の軍属として秩序を保ち正義を志すという、ありきたりではあるけれども尊ぶべき善の心で行動し続けていたのはご立派よ。
でも、上司が悉く外道で下衆だった事で、彼女は常に体のいい駒扱いだったわ。
初登場時には帝都警備隊所属の一兵卒だったけれど、上司だったオーガの汚職と暴虐に気付けずに彼を妄信していたわね。
実際のオーガは癒着していた豪商ガマルの犯罪を賄賂と引き換えに悉く無関係な無実の赤の他人に擦り付けて強制逮捕を繰り返していた外道だし、取り調べと称して過剰な拷問を好んでいた事実もある。
そもそも帝国が弱者を踏み躙り搾取するという権力構造にあるという事実を知らない程度にはセリューが箱入りだったこともあって、飢えて盗みに至るような弱者すらも一概に悪と断じて捨てるような善悪の判断が小児レベルで停止しているアホの子でもあったし。
その結果、然るべき報いを受けて誅殺されたオーガの仇を討つだとか馬鹿げた妄動でナイトレイドと争い、両腕を失う程の重傷を負う。
その後は原作の
まあまあまあ、アレよ。此の経歴を見て思うのは、やっぱ教育って大事ね、っていう。
明らかに親御さんが死んだ所為で真面な教育受けてないでしょ此の娘。
その結果善悪観が発達段階で言うところの幼児の段階までにしか発展していない。
悪い事をしたら須らく悪人だ、と考えるような現実を知らない馬鹿の考えをしているもの。
所謂、ハインツのジレンマって奴ね。
モラルを階層的に表すと、セリューの善悪モラルって最下層の第一段階にしかないって事よ。幼稚園児レベルの。
アタシ的にはコールバーグの倫理観よりも、その一段階上のギリガンのケア倫理を履修してもらいたい所だけど。
総じて原作に於ける正義厨な様相は、未熟な精神と知能をマインドコントロールと洗脳教育されて少年兵よろしく隷属させられたが故の結果じゃあないかしら。
知識も碌に無いようだし、そりゃあ上に都合のいい内容を吹き込み放題だったでしょうよ。
そういう意味では彼女も帝国の闇が生み出した犠牲者の一人と言えるかもしれないわね。
ともあれ、そんな学無しガールのままだと原作通りにいいように使われて誰にも救われる事なく一人で惨めに無駄死にしちゃうもの。
だからまだ何処にも所属していなくて、更にヘカトンケイルの帝具に適合していなかった無名の頃に唾を付けて自陣に引き入れたのよ。
無論その後に色々と英才教育を施して、当然のようにヘカトンケイルと適合させて帝具ごと頂いたけれども。
一応今では真っ当なモラルと知識を持つようになっていて、悪・即・斬の境地には至っていないハズ。
少なくとも盗人だろうが殺人犯だろうが詐欺師だろうが、一切の区別なく処刑するような原作マジキチスマイルモードにはなっていないから大丈夫だろうと思うわ。
でも生来の性根って奴はそうそう変わるモンじゃあないのね。
原作では具体化していない曖昧な正義という概念に理想も信念も何もかもを託して彼女はその実現に迷妄していたわ。
其処にあったのは、父の死を切っ掛けとした何某かのトラウマのような感傷なんでしょう。
……そして、ソレは此の世界でも変わりない。
アタシの介入によって英才教育を施したものの、根本的な部分でアタシに依存しているという状況になっちゃってるのよ。
つまり心が弱いという欠点が克服されていない。
まあ依存対象が不滅にして無敵で素敵なアタシだから、ある意味では何かを託して生きるというのには最適かもだけど。
というか、猪突猛進ぶりが原作よりも加速しているような気がしないでもないわね。
前に毎度恒例のエスデス自宅襲撃事件が起きた際に二人がかち合った事があったんだけど、勝てないと知りつつも以降は幾度もぶつかり合ってたのよ。
原作だと上司と部下の関係だったからかもしれないけど、最初の邂逅で腕試しをした時以外で手合わせ以外だと本気でやり合った事は無かったわね。
でも此の世界だとじゃれ合い感覚で地形が変わるレベルの殲滅戦を繰り返しているのよ。
……火力が不足していたセリューの為に、アタシが原作に於ける『十王の裁き』に代わるブツを与えているからなんだけど。
まあアドラメレクに匹敵、いや凌駕すると自負しているアタシオリジナルの【神将器】を12個も持ってるんだからそれも致し方ないんだけどネ。
ショッギョムッジョ!!
――で、そんなイノシシ娘が何を言い出すのかしら?
「ご覧くださいドクター! 武官の分の通知書は既にご用意してございます!! 後はドクターの署名と花押を頂くだけです!!」
「なんだソレは……たまげたなぁ……」
えぇ?
いつの間に。
こんな仕事出来るキャラじゃあないでしょうアナタ。
「……一応確認するわよ」
まあ書式は兎も角、内容さえ合っていればある程度はどうにでもなるからね。
さて、出来はどんなモノかしら……………………って、あら?
「――セリュー?」
「ハイ、なんでしょうドクター!」
セリューちゃんってば、お預けを食らった犬っころみたいに全身で褒めて褒めてってオーラを出しているわ。
でもダメね。全然ダメよ。
「コレ、アナタが用意したモノじゃあないわね?」
「ギクッ!」
口で「ギクッ」 て言っちゃってるじゃあないの。
「筆跡からすると、ボルスやショウイやセイギ達を動員しているわね?」
「ギクギクッ!!」
わかりやすい子ねぇ。
「それからコレは多分だけど、ボルス辺りにアナタの手柄として持っていったらどうかって言われたんじゃない?」
「ギクギクギクッ!!!」
語るに落ちてるわぁ。
まあ別に怒るような内容じゃあないし、軽く注意してその話は終わったけどね。
そもそも部下が手柄を譲るような行為は武官の中では普通に行われている話だもの。
そして文官のショウイ達が無理くり手伝わされていたのなら問題だったけれど、あいつらはウチの最年少将官であるセリューを娘のように可愛がっているから。
だから向こうから言い出したそうよ、今回の手伝いも。
いや、当人同士で納得しているならアタシから言うべきことは何もないわよ。
そんなこんなで当初予定していた今日のスケジュールが半分以上消化されたワケで。
じゃあ空いた時間で何をしようかしら、と考えていたら、セリューが『郊外の観測塔跡地に賊がたむろしているそうなので、
……賊の殲滅と書いてデートと読む修羅の国の住人セリューェ……。
「コロ! 射出、参番!!」
『キュッ!!』
ウェポンコンテナと化した帝具【“魔獣変化”ヘカトンケイル】、愛称コロがセリューに誂えた新機軸の超兵器を吐き出す。
内部空間をある程度異界化させているから出来る芸当ね。
まあ元から小型犬サイズから3mクラスの巨体に変化出来るコロの体内空間は摩訶不思議な様相なんだけど。
人間ポンプよろしく犬ポンプみたいにコロの口内から射出した宝冠をセリューはドンピシャのタイミングで装着する。
ヒーローものの変身シーンのような鮮やかな手際ね。
今セリューが装着したのは十二神将器参番【酉の将器“
十二神将器は早い話がアタシのオリジナル帝具のようなモノね。
色々と魔術的要素を投入した事で従来の帝具とは完全に別個の性能になっているし、何なら帝具を上回る出来だと自負しているわ。
何より拘った部分は、動力を所有者の精神エネルギーに依存しないという所よ。
従来の帝具は負担が激烈な代物で、基本的に帝具を複数使用すれば必ず死に至るとされているし、それは事実よ。
実際に原作では第二のヒーロー的な役割を与えられたウェイブが帝具の同時複数使用に踏み切ったけど、都合数回しか使っていないのにも関わらず内臓が治療不可能なレベルでボロボロになっていたらしいわ。まとめサイトの情報しか知らないけれども。
そんな負担の大きい危険物を戦略上当てにするのはよろしくないので、アタシは自分でオリジナルの武具を製造したの。
ソレの一環が【十二神将器】よ。
名前の通り十二神将をモチーフにした武具で、広範囲殲滅や近接戦闘、幻術や索敵等々と幅広く対応出来るだけの品を揃えたわ。
帝具と違って各々に魔力炉心が備えられており、装着者の負担を最小限に抑える事に成功している。
勿論複数使用しても問題ないわ。
参番は光を攻防一体に扱う【光輝】の能力。
早い話がレーザーを雲霞の如くばら撒く徹底殲滅型能力よ。
力を防御に回せば、レーザーバリアを張れるような出鱈目なブツ。
勿論ビームサーベルにも出来るので、縮退するレベルの熱量か何かしらの斥力等の抗するだけの能力が無いと簡単に輪切りに出来ちゃうわ。
奥の手で自身を光と化す能力もあるわね。
「続けてコロ、士番!!」
『キュキュッ!!』
次にコロが吐き出したのは
此方はシンプルな能力よ。
見た目は華美になり過ぎない程度に華やかかつ武骨さと機能美を兼ね備えた倶利伽羅剣。
その能力は、
奥の手と言えるかは微妙だけど、衝撃を溜め込んで単分子乖離の斬撃に変えて飛ばす能力もあるわ。
ソレを獣化したコロが鷲掴み、どこぞの示現流のように兜割りの姿勢で構えた。
今の士番には帝具からのエネルギーが供給されることで奥の手発動の準備が着々と進んでいるようね。
「ドクター、よろしいですか?」
万端準備を整えたセリューが、襲撃されるだなんて夢にも思っていない賊徒の塒を前に問いかける。
その表情は……あらヤだ、ちょっとキチってきてない?
遊戯王並みの顔面崩壊がキてるわよ。
まあいいや()
「よろしい?」
折角だし、アタシも乗るわよ此のマジキチウェーブに。
「よろしくないわけでもあるのか? 命令は出ている。オマエは兵士なのだ。断然攻撃あるのみだ。粉砕してやれ」
何処かの剣歯虎を従えた中尉を意識して悪人面を浮かべる。
「突撃開始」
総数二名の突撃隊。
真正面から吶喊し、立ち塞がる物皆磨り潰して撃砕していく。
レーザー砲の一撃は直線上にある物質を悉く蒸発させていく。
ビームサーベルの斬攪は切り結ぶ事すら出来ずに相対した存在を一切合切消し飛ばす。
コロによる斬滅も突入した先から一直線に敵陣を食い破り、抵抗する意味さえ見出せずに肉塊の山を築いていく。
「――おっと、アタシも見てばっかりでないでお仕事しないとね」
眼下には這う這うの体で他の仲間を犠牲に逃げ出した賊共が見える。
勿論逃がす筈もないので、このまま虐殺よ。
「伸びろ【リーチ】」
呪文に従ってアタシの腕が伸び行く様はさながらゴムゴムの実の能力者。
指先に展開した【肉の融解】が作用して、対象は豆腐のように容易く貫かれて絶命していく。
此方に逃げてきた数名を腕一本で貫いて早贄にしてやったわ。
ついでだしこいつらの血肉を使って【シュド・メルの赤い印】を描くとしましょう。
『畏れよ 恐れよ 血の匂い纏いし災いの神 この地に舞い降りん』
気分は鮮血神殿。
血肉によって空中に刻まれた呪印によって結界型の吸魂領域が発生。
内部の敵性生物は悉く生命力を吸い尽くされて衰弱していく。
そしてこれだけのデバフがかかれば後はセリューとコロの独壇場よ。
身動きの取れなくなった雑魚共を一匹ずつプチっていくだけの単純作業。
賊徒の殲滅は襲撃開始から僅か十分足らずで終了した。
「フンフーンフフーン♪」
隣を上機嫌で歩くセリュー。
100万ドルの笑顔でクレープをぱくつきながら鼻歌を口ずさむ姿は、とても数十分前に兇賊を嬲り殺しにしていたサイコパスと同一人物とは思えないわ。
まあ平時なら兎も角、乱世に等しい末期の帝国ではこのくらいの図太さが無いと逆に生きていけないものね。
犯罪者を駆除するのに一々心を乱していたら、それこそ原作で登場した首切りザンクみたいに精神を病んでキチっちゃうわよ。
現実世界でも戦争帰りの兵隊が極限状態から精神を蝕まれて終戦後も継続して精神症状に苛まされていたじゃない。ランボーよろしく。ココハベトナムジャナイ
自分と同じ“人”を殺す事を是とする職業に就く人間は、何処かで自分なりの折り合いを付けていないと何時か自分の心を殺してしまうのよ。
ま、それはそれよ。
アタシもセリューもゴミを掃除した程度で気に病むような奇特な精神構造をしていないもの。
だから特に気にせず一般的な範疇のデートを楽しむとしましょう。
幸いにしてアタシの財団のおかげで市場に多種多様な商品が溢れかえるようになっているから、ウィンドウショッピングも現実世界と同様に楽しめるくらいに充実しているわよ。
流石に雑誌を日刊で発行するのは難しいけど、週刊誌程度なら何とか可能だったし、装飾品とかも子供のお小遣いで買える程度に値段を抑えてあるわ。
そういうワケで目抜き通りをぶらぶらと出歩くだけでも相応に楽しめるの。
偶にウチの系列じゃない個人商店の出店があるけど、アタシ達的にはそっちの方が楽しみね。
一応ウチの店だとどんな末端でもアタシの目が入っていない部分を探すのが難しいくらいだから、見た事のない新商品とかってあんまり無いのよ。
その点ウチと全く関係無い露店とかだと、流石にグレードは落ちるけど新鮮な商品が取り揃えられてあるわ。
まあピンキリのキリ寄りが多いんだけど。
それでも露店商とかってそういう一期一会の商品に出会えるのが醍醐味だしね。
……偶にウチの商品を幾らか弄ってオリジナルだと偽って売ってるクソ野郎がいるから、そういう輩は衛兵にチクって取り締まって貰うわよ。
酷い奴だとウチの商品をそっくりそのまま高値で転売して、しかもオリジナルを謳っているカスがいたりするわ。
そういう人間の屑を摘発する為にもこうしてデートで各地の市場を見て回るのは大事なのよ。
……趣味と
そのまま露店を冷かしていたら大分いい時間になったので、適当なカフェに入ってランチタイム。
建前としては実地の市場調査という事にしてあるんだけど、まあお為ごかしもいいところね。
とはいえまるっきり嘘ってワケでもないもの。
お役人が調査とかで訪れると、賄賂である程度流しちゃうのが何処でも普通に起きているわ。
帝国全域に文化として根付いてしまっている賄賂をいきなり失くすなんてのは無理だから、ソレも一概に否定出来ないんだけどね。
腐敗帝国の賄賂と中抜きの文化を舐めない方がいいわよ。
今すぐ賄賂を禁止したら清濁併せた全ての役人が生活出来なくなるし、忖度を受けられない商店も善悪問わずほぼ壊滅するわ。
だから現実を見ないで理想論だけ振り翳しても意味が無い、どころか害悪なのよ。
……でも、アタシとしては自分の財団の店をどんどん入れていけばいいだけだから、最悪は市場支配を推し進めていっても何も問題は無いんだけど。
賄賂の禁止で他の店が潰されても、その代わりに洗脳木人形で24時間365日働ける奴隷共を労働に使う価格崩壊店舗を乱立してやればいいんだし。
……寧ろその方がいいかしら?
市場の競争力が失われるだろうけど、不老不死のアタシがいる限りはいずれアタシの天下が訪れるのは揺るがない事実なんだし。
となれば、とっととアタシの影響力を拡大していくべきかしら?
ま、今はまだいいでしょう。
それよりも今日の夕飯が何なのか考える方がまだ建設的よ。
「あむっ! う~ん、美味しいです♪」
「よく食べるわねぇ……」
いや、ホントに。
内燃炉心を埋め込んだからだけど、セリューって一日に摂取可能なカロリー量が成人男性の優に数十人分になるのよ。
勿論下限リミッターも設定してあるから、常に飢餓状態ってワケでもないんだけど。
それでも多少大食い程度には毎日食べているわよ。
というか食い溜めが出来るから、最近の彼女の食事量だと年単位で冬眠が出来るくらいなんだけど。
まあ、毎日スイーツをドカ食いしても太らないってのは此の年頃の娘っ子にはたまらないんでしょう。
……でも昼食にパンケーキをセレクトする辺りちょっとオカマのオジサンにはついていけないわぁ。
アタシはオカマだけど、別に心は男だし身体も男なのよ。
邪神のほくそ笑みを向けられているらしいアタシの精神に何らかのロール判定が常時ぶっ壊れてかかっているからオカマ的言動をせざるを得ないだけなの。
アタシ的にはセックスもジェンダーも全て男性なんだから。
というか野郎相手には勃たないからねアタシ。
『オカマだけど性的にはノーマル』ってガチなのよ。
まあそういう事情から、女性の考えなんてさっぱり分からないの。
アタシの精神性は転生前のアラサー社畜オッサンのままなんだから。
流石に此の世界に来て幾らかの前世からは考えられないような人生経験を積んだからには、ある程度此の世界に順応出来ているけれども。
それでも十代女子の頭の中なんて理解不能よ。
というか前世的な考えなら多少は応用が利くけど、此の世界のマッポー的女子の考えなんて意味不明だから。
例えばよく言うけれど、『男性は結婚を意識して女性と交際するが、女性は結婚と交際は最初から別に考える』って奴。
まあ平和な日本の通念なんだけど、賛否は兎も角此の世界ではこういう平和ボケした考えは異端よ。
此の世界では最初から『交際=結婚の前段階』だから。
そりゃあ誰もが皆、何時死ぬとも知れぬマッポー世界の住人だもの。
『交際はしてもいいけど結婚は無理かなぁwww』なんて温い事考えてる暇はないのよ。
つーか、田舎の方だと娯楽なんてセックスくらいしか無いから、最初からお付き合い(直喩)するケースが多いわね。
……あら、何の話だったかしら?
「むむむっ、甘いモノは別腹なんですよっ」
「……改造的な意味で機能性の話は……野暮だからしないでおくわ」
ああ、此の店が臨時休業に追い込まれそうになってる話ね。
金に物を言わせてセリューの食欲を満たすがままに注文をしたら、昼には少し遅めに来店したハズが中々の繁忙ぶりをもたらしたわ。
というか店長が涙目で『もう食材がありません……!!』とか言ってたけど、追加で札束を取り出して「待つから今すぐ買いにいきなさい」って言ってやったわよ。
札束ビンタは良い文明。古事記にもそう書いてある。
「アタシは甘いモノって嫌いじゃあないけど、やっぱり沢山食べるなら普通に肉とかがいいわねぇ」
「えぇ~? ドクターもお菓子作りとか好きじゃないですか」
「“好き”のレベルが違うのよ。主食の代わりにケーキを食えるのは女の子だけだからね?」
アタシも頭脳労働者として、高カロリー食は好むわよ。
勿論料理も好きだしお菓子作りも大好きだけど。
『料理は科学』とも言うし、実際理系で料理好きって多いしね。
一度に好きな量を作る為にお菓子作りって自分でやった方が早いから、此の世界でも料理系は趣味にしているわ。
実際、此の世界には存在しない現世のスイーツを作るならアタシが最初に作るのが一番手っ取り早いし。
まあだからってホールケーキやクリームたっぷりのパンケーキを三食の代わりには出来ないわ。
アタシの選好って酒飲みのオッサンが強いんだもの。
塩っ辛いのが好きなのよ。所謂辛党ね。
実際、今アタシが食べているのはBLTサンドとかカツサンドとかだし。
こういうオシャレなカフェで手の込んだ料理って意外と当たり外れがあるんだけど、此処のメインはスイーツ系らしいわ。
オムライスやナポリタンとかはあんまりアタシの好みに合わなかったけど、パンケーキやスフレなんかは光るものがあったし、サンドイッチ系も一応イケるわね。
「まあ、アナタが幸せそうに食べてるのを見るだけでアタシも楽しいから別にいいんだけどね」
「ふぇっ!? え、えへへへ……もうっ、不意打ちはやめてくださいよドクター」
「あら、いいじゃないの。そういう照れてはにかんだ笑顔も好きだもの」
本当に初心な反応をしてくれるから可愛いわよねぇ此の娘。
こりゃあ悪いオカマのオジサンに食べられちゃってもシカタナイね。
そんなこんなでイチャイチャしつつカフェの厨房へ深刻な過剰労働を強いる事暫し。
セリューも満足したようなので、支払いを済ませて退店する。
ちょっとばかし無理をさせちゃったから、代金には程よく色を付けてあげたわよ。
――尚、この後めちゃめちゃセックスした。
今回使用した魔術。
・【リーチ】。腕、或いは触腕を伸ばす呪文。
・【肉の融解】。死体の肉を一瞬で溶かす。生者に対して使った場合は凡そ3倍のコストが必要になる。
・【シュド・メルの赤い印】。空中に指で印を描くと赤い紋章が浮かび上がる。印の効果範囲に居る生物は身体が震えて痙攣し、内臓や血管が発作を起こしたかのようにひきつる。徐々に生命力を失っていき、最後には死に至る。
十二神将器。
壱番【亥の将器“
弐番【戌の将器“
参番【酉の将器“
肆番【申の将器“
伍番【未の将器“
陸番【午の将器“
漆番【巳の将器“
捌番【辰の将器“
玖番【卯の将器“
拾番【寅の将器“
士番【丑の将器“
王番【子の将器“
終番【全神の将器“
詳細は再登場した際に本文で説明するかもしれません。