呪霊操術はチート!異論は認めん!   作:蛇狐烏

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 はいはい蛇狐烏ですよ〜っと。
 いやぁ無知とは罪なことでありまして、なんで私過去編の夜蛾先生が学長だと思ったんでしょー…。バカですなぁ。

 まあこんなアホかましますが、温かい目で見てバッカでぇと思った時は教えてやって下さい。
 あと長いよ

 それでは、どぞ


京都姉妹校交流会 団体戦

 

 

 一月後 九月 京都姉妹校交流戦 一日目

 

 

 呪術師にとっての繁忙期が終わり、貴重な人手たる高専生達が任務に出なくても良い高め合う二日間がスタートする。去年は乙骨の圧勝にて終わった為今年は東京校で行われる。その事を今になって知った釘崎は観光出来なくなった恨みを居ない乙骨に吠えていると、京都校の面々が到着する。

 

 

 「あらお出迎え?暇なのね」

 

 

 邂逅一番、何故か先頭に居た真依が東京校生に悪口か微妙なラインの言葉を言い放つ。

 

 

 「真依さん!」

 

 「野薔薇じゃない。久し振り。その荷物はどうしたの」

 

 「あ!いや、これはあの、ソノ……」

 

 「もしかしてソッチだと『京都姉妹校交流会』って呼ばれてるから勘違いしちゃった感じかしら?可愛いわねぇもう」

 

 「心読まないでくださいよ!」

 

 

 バレないように草陰に隠していたキャリーケースやらを発見された上に計画も暴露されてしまった釘崎に残された手段は赤面以外なかった。

 

 

 「真依ちゃん、あの子が言ってた子?」

 

 「そう。釘崎野薔薇ちゃん」

 

 「乙骨いねぇじゃん」

 

 「乙骨が居ないのはいいとしテ、一年二人はハンデが過ぎないカ?」

 

 「呪術師に歳は関係ないよ」

 

 「アンタら登るの速いわね…。歳かしら……」

 

 

 京都校陣営が出揃う。数時間後、いよいよ交流会が始まるのだ。ここに遅れて来た五条が京都校に海外出張の土産と東京校への虎杖生存サプライズを行い、京都校側からも何故か()が持って来た八ツ橋、くずきり、そばぼうろなどの土産を持って来ていた。購入者曰く、「直接渡すのは恥ずかしい」らしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 京都校サイド ミーティング

 

 

 「宿儺の器、虎杖悠仁は殺せ」

 

 

 開口一番楽巌寺はそう言い放つ。

 

 

 「アレは人ではない。故に全て不問、事故として処理する。遠慮も躊躇もいらんぞ」

 

 

 内心いやだなぁと愚痴る三輪の横から真依が、死なないからこそ生きているのではと楽巌寺に質問をする。

 

 

 「死なないからああやって元気に生きてるんじゃないんですか?」

 

 「先の虎杖の死は自死と聞いておる。敵対術師に止めを刺す時気をつけねばならんことは?加茂」

 

 

 楽巌寺は御三家の次期当主でこの中で東堂を除いて一番等級の高く聡明な加茂憲紀に答えさせる。

 

 

 「はい、死後呪いのに転ずることを防ぐために呪力で殺します」

 

 「そうだ。他者の呪力でしっかりと止めを刺せば何の問題ない。現在肉体の主導権は虎杖悠仁にある。宿儺が出てこなければただの一回生だ。縊るのは容易い」

 

 

 突如障子が蹴破られる。犯人は東堂。本人的にどうでも良い長話にこれ以上付き合う気はないらしい。ただ、そんな傲慢を突き通すのを黙って見逃せない者も居る。

 

 

 「下らん。勝手にやってろ」

 

 「戻れ東堂。学長のは話の途中だ」

 

 「十一時からの散歩番組に高田ちゃんがゲスト出演する。これ以上説明いるか?」

 

 「録画すれば良い。戻れ」

 

 「リアタイと録画両方見んだよ。ナメてんのか?」

 

 

 今度は部屋全体を見渡しながら怒りを発露する。

 

 

 「いいかオマエら、爺さんもよく聞け。女の趣味の悪いオマエらには疾うの昔に失望している。謀略策略勝手にやれよ。但し次俺に指図してみろ。殺すぞ

 

 

 凄まじい殺気を放ち周囲を威嚇した東堂は真依を連れて部屋を出ていく。楽巌寺も退出してしまって東堂と真依が欠けた京都校陣営は、仕方なく話を続ける。

 

 

 「どうしましょう?あの様子じゃ少なくとも東堂先輩は作戦行動は無理ですよね」

 

 「いいんじゃないかな。どうせアイツは東京陣営まっしぐらだもん。真依ちゃんは多分作戦内容伝えればノってくれるでしょ。だから東堂が勝手に暴れてくれるなら私達は呪霊狩り(ゲーム)に専念すれば良いんじゃないかな」

 

 「だガ、我々は虎杖悠仁を殺さねばならんゾ。東堂は殺すまではしないと思うガ。真依もナ」

 

 「そうなるとアイツを監視して虎杖悠仁に止めを刺す役が必要だよね」

 

 (私は嫌だ)「呪霊の相手もあるからどーせ二人一組(ツーマンセル)ですし丁度いいですしね」

 

 「いや、高専に所属する呪術師の中に虎杖悠仁のような半端者がいるのは由々しき事態だ。交流会以前の問題。加茂家嫡流として見過ごせん」

 

 

 京都校全員で虎杖悠仁を襲撃する。作戦会議はこれで終了した。

 

 

 そう思われた時、西宮のスマホが鳴る。

 

 

 「ん、なんだろ?フムフム」

 

 「誰からだ西宮」

 

 「真依ちゃんから。真希ちゃんの相手は自分がするって」

 

 「……流石東堂と同レベルだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 教室陣営(五条と庵)

 

 

 「話って?」

 

 「?なんでキレてんの?」

 

 「別にキレてないけど」

 

 「だよね。僕何もしてないし」

 

 

 その余計な一言で庵はちょっとキレた。

 

 

 「まあいいや。話は二つ。一つ目は高専に呪詛師、或いは呪霊と通じてる奴がいる」

 

 「有り得ない!呪詛師ならまだしも呪霊!?」

 

 「コミュニケーション可能な(そういう)レベルのが最近ゴロゴロ出て来てんだよね。本人は呪詛師とだけ通じてるつまりかもね。だから京都側の調査を歌姫に頼みたい」

 

 「………私が内通者だったらどうすんの?」

 

 「ないない。歌姫弱いしそんな度胸も無いでしょ」

 

 

 落ち着きかけていた庵は再び余計な一言でキレた。

 

 投げられた湯呑みを無限でガードしながら、五条は話を再開する。

 

 

 「二つ目。ついに交が動き始めてる」

 

 「嘘っ!?この十二年、百鬼夜行以外で一切の報告が上がらなかったあの交が!?」

 

 「まあ確定とまでは言い切れないけどまあほぼ確黒だと思ってくれて良い。悠仁が入学してからすぐにおかしな任務があったんだけど、其所で出た奴とおんなじ奴がまた最近出たっぽいんだよねー」

 

 「だからって交がやったってのは早とちりじゃない?」

 

 

 呪霊は実に多種多様。性能は勿論、姿がよく似てる者なんていくらでもいる。それだけで判断するのは時期尚早だと庵が判断するのは当然だが、五条はそれを否定する。

 

 

 「いやーそれがさ、そん時祓われたハズっぽいんだわ」

 

 「直接は誰も見てないって事?」

 

 「そー。でもソイツ、特級だったんだけど展開してた生得領域も気配も消えたのは確認したんだよ。実際その後戻ってみても居なかったらしいし」

 

 「成程ね。誰も見てない間に交が取り込んで、最近その特級を出したと」

 

 「そ。だからそっち側の生徒にも十分注意するよう言っといてほしいんだよね。ま、もしかしたら内通者が通じてるのが交かもしんないけど」

 

 「でもそれじゃ仮に本当に通じてたらどうすんの?下手にバレてるって情報回したら尻尾も出さないかも」

 

 「まあ流石に交もバレてるとは考えてると思うし大丈夫だとは思うよ。まあ歌姫がそれでもって言うなら別に生徒には言わなくても良い。特に問題はないでしょ」

 

 「アンタねぇ、相手は特級よ?流石のアンタでも去年のを忘れた訳じゃないでしょう」

 

 「モチロンさ。でも交は今んとこ生徒が死ぬような事は何もしてない。だから多分大丈夫」

 

 「はぁ……。まあ分かったわ。生徒には言っとく」

 

 

 納得しきれない部分も残ってはいるがこれ以上は無駄だと判断した庵は頭をポリポリと掻きながら五条からの依頼を受ける。

 

 

 「頼んだよ歌姫」

 

 「任せときなさい。アンタの先輩なんだから」

 

 

 庵は滅多に他人を頼らない五条に頼られた事が少し嬉しかったのか、えへんと言い出しそうな笑みで五条に先輩風を吹かせる。

 

 

 「内通者怖くて言えな〜いってなったら言ってよ。代わりに言ったげるからさ」

 

 「言えるわ!!」

 

 

 三度、庵はキレた。

 

 

 暫くして他の教師陣やカメラ役の冥々も入室し、交流会初日の団体戦開始時刻が迫ってきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 東京・京都姉妹校交流会の初日の団体戦がスタートし間もなく東堂が一塊になって動く東京校生達を発見する。それに東京陣営は打ち合わせ通り虎杖に囮を任せ散開するが、東堂の反撃(お返し)の前に虎杖は不覚にも一発でダウンをもらってしまう。

 

 間に呪霊が偶然割り込んだ事でなんとか継戦が可能ではあるが、いくらタフネスに自信がある虎杖でもすぐに立ち上がれない程のダメージを東堂は一撃で作り上げた。

 

 

 ダウンした虎杖を東堂が逃す訳もなく、幾本かの樹木を貫いた距離を一瞬で詰め虎杖の顔面のみ何度も何度も踏み抜く。暫くして虎杖から意識が失われたと判断した東堂は攻撃を止め、興味をなくしたと言わんばかりに立ち去ろうとしたその時、虎杖は立ち上がった。

 

 

 その異常なまでのタフネスと自身の推し、高田ちゃんを知っていたという事実、そして恵や京都校の面々と違い退屈な男ではないと判断した東堂は虎杖に名を尋ね、とある特級呪術師から受け継いだ独断と偏見の対象人格診断テスト(十八番)を投げ掛ける。

 

 「一年、名前は」

 

 「虎杖悠仁」

 

 「そうか虎杖悠仁。オマエに一つ聞きたい事がある。どんな女が好み(タイプ)だ?」

 

 「尻と身長(タッパ)がデカい女の子…かな」

 

 

 その一言が東堂の脳に届いた瞬間、溢れ出す存在しない記憶。その果てに東堂は虎杖を親友(ブラザー)に認定した。

 

 

 

 

 「うん、そのまま真っ直ぐ。でも東堂君居るよ」

 

 〈問題ない。勝手にしろと言ったのはアイツだ〉

 

 

 虎杖は発砲音を聴くとすぐさま移動し回避するがその先にはシン・陰流簡易領域を展開し居合の一太刀にて待ち受ける三輪。虎杖は抜刀されてから大きく三輪を跳び越える。しかしそこで京都校生に囲まれてしまった。

 

 窮地に思われたその時、クラップ音が響いたと思えば樹上から弓を引いて狙いを定めていた憲紀と虎杖の位置が入れ替わっており、憲紀に東堂が怒りの拳を振り下ろす。

 

 虎杖の暗殺に失敗した憲紀らは散らばってゲームに専念することに決めた。

 

 直後呪霊の索敵に向かおうとしていた西宮が恵の鵺にはたき落とされたのを目撃した憲紀は真依とメカ丸をカバーに回す。

 

 そして別れた瞬間を狙い真希と恵が三輪と憲紀を襲撃した。

 

 

 憲紀と分断された三輪は必然的に真希とタイマンを張ることになる。

 

 鍔迫り合いを止めた時、東堂の山彦が真希と三輪の耳に届く。虎杖暗殺に失敗した理由を何となく理解した真希は、何故三輪が憲紀から離れたのかを尋ねる。

 

 

 「虎杖君のことはごめんなさい。言い訳にはなりますが私は皆とは違う。これから先、宿儺の器である虎杖君は上層部や悪質な呪詛師に狙われるかもしれない。そんな彼の実力を確かめておきたくて私は襲撃に参加していました。でもだからと言って交流会の"勝ち"を譲る気はありません」

 

 

 交流会の活躍は関わりの浅い呪術師にも広く伝わる。学生の中には交流会を利用し昇級のチャンスを狙う者も少なくない。三輪もその一人だ。

 

 三輪は一般貧乏家庭の出身でまだ幼い弟が二人いる。三輪は彼らに明るい未来を歩かせてやる為、一刻も早い自立と高い給料を欲しているのだ。

 

 だが、それは真希とて同じこと。真希は真希の目的の為、三輪は三輪の目的の為、"勝ち"は譲れない。

 

 

 「オマエ、真依と仲良いだろ。良いヤツ過ぎる」

 

 「えぇ勿論」

 

 「手加減しねェよ?」

 

 「問題ないです!そういうつもりで言った訳ではないので!」

 

 

 交流会が始まる数月前、三輪はふと休憩中の真依に姉である真希の実力を訊いた際、決して侮って挑んで良い相手ではないと聞かされてはいた。例え三輪が準一級(・・・)だとしても。

 

 

 大刀という長物を森という障害物が多い難しい環境で自由自在に振り回し、天与呪縛の影響で底上げされた身体能力から繰り出されるパワーとスピード。数度の攻防で三輪はほぼ正確に真希の実力を把握していた。

 

 

 「流石真依のお姉さんですね。二級位なら難なく祓えるでしょ」

 

 「お褒めに預かり光栄だな」

 

 「やっぱりお家事情ですか」

 

 「真依もか」

 

 「はい」

 

 

 真希と真依は実家である禪院家にて酷い扱いをされて生きて来た。「禪院家に非ずんば呪術師に非ず。呪術師に非ずんば人に非ず」そんなクソを公言するようなド底辺共を見返す為、真希は昇級を望んでいるのだが、家がそれを邪魔をしているのだ。だが交流会の活躍によってはそれも難しくなる。

 

 故に真希は止まれない。

 

 

 「そろそろ終わりにしましょう」

 

 「寂しいこと言うなよ」

 

 「これ以上は狗巻君にリソースを割く訳にはいかないので。それに…」

 

 「何だよ」

 

 「いえ、気にしないで下さい。それよりも、次で決めます」

 

 

 三輪はそういうと納刀し、虎杖にも披露したシン・陰流簡易領域を形成する構えに入る。

 

 真希はそれを居合と判断し、リーチの差を捨て呪具をへし折る。そして刃がついていない方の柄を投擲し、同一直線上に暗器も投げる。三輪の意表を突き、逆に隙を作る算段。

 

 しかし、

 

 

 (避けたか)

 

 

 三輪の簡易領域の縛り。簡易領域の維持が解除されるのはあくまで展開時から両足(・・)が離れた時。体勢を崩す分には何の問題もない。

 

 真希の動きから呪具の投擲を読んだ三輪は最小限の回避で真希に接近戦を強要する。

 

 

 (この場面でリーチを捨てる判断。やはり強い。でも!)

 

 

 とはいえ体勢が崩れた事実は変わらない。最も洗練された有利を崩した今を好機と見た真希は、迫りつつ居合を不発させる為再び暗器を投げる。しかし次は顔ではなく脚。

 

 体勢を崩してまで居合の構えを崩さなかったのは崩せなかったのだと判断した為だ。

 

 

 三輪は仕方なく暗器を弾き落とすが、真希が二度目の鍔迫り合いに持ち込む。どの道折った呪具のままでは残りの戦闘は厳しいと判断し、合気の要領で三輪の刀を太刀取りするつもりなのだ。

 

 だがそれで取られてしまうなら三輪は準一級になど成ってはいない。

 

 

 「マジか!!」

 

 「貴女の今後を考えればそれが最も効率良いですからね」

 

 

 真希が三輪を投げようとする前に三輪は真希の勢いを利用し投げ飛ばす。

 

 真希も着地の隙を潰しつつ意識外の攻撃を行う為最後の暗器の投擲を試みるも、三輪は簡易領域を維持したまま身を翻し(・・・・・・・・・・・・・・・)暗器を避ける。

 

 

 先程も説明したが、簡易領域が強制解除されるのはあくまで両足を離した時。つまりは片足なら依然展開は可能なのだ。

 

 三輪は片足で半回転しながら納刀し再び居合の構えを取る。

 

 立ち上がった真希に残されたのは正面突破のみ。一か八か真希は仕掛ける。

 

 

 三輪の横薙ぎの一閃に対し放った真希の振り下ろし。呪力の加速による高速の抜刀と天与呪縛によるフィジカルギフテッドの一太刀。三輪は直前で横薙ぎから燕返しに変えることで呪具を弾き飛ばし峰打ちを真希の首に叩き込み、この場を制したのは三輪であった。

 

 

 (勝った!!!)

 

 

 そう三輪が一瞬油断し、憲紀から言われていた狗巻対策(呪力による脳の防御)を忘れた瞬間、

 

 

 〈《眠れ》〉

 

 「しまっ……!ムニャムニャ

 

 

 三輪はその場で眠ってしまった。

 

 

 「ッチチ、悪りぃな棘」

 

 〈しゃけ〉

 

 

 狗巻の呪言の発生源は真希のスマホだ。三輪に投げ飛ばされた際、三輪の意識が暗器に割かれた瞬間真希は万一の為ノールックで狗巻に通話をかけスピーカーモードにしておいた。

 

 刀同士がぶつかり合う音を聴いた狗巻は呪言を発動し、真希は刀を離した時ポケットからスマホを三輪に投げた。

 

 

 「たく、私もまだまだだな」

 

 〈おかか!〉

 

 「そーゆー意味じゃねぇって。ありがとな棘。じゃまたあとで」

 

 〈ツナマヨ〉

 

 「さてと、こっちは貰ってくぜ」

 

 

 真希は眠っている三輪から刀を拝借して呪霊狩りに戻っていく。

 

 この戦闘の一部始終を見ていた歌姫が低級とはいえ呪霊のいる森に放置は危険だと三輪の回収に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真依の援護射撃により釘崎が戦闘不能に陥り、西宮に数分前のメカ丸の射撃を共有しているタイミングで真希は真依の前に現れた。

 

 「なんだ、仲間呼ばねぇのか。私は二対一でもいいんだがな」

 

 「馬鹿言わないでよ。私達姉妹なのよ?」

 

 「だったらお姉ちゃんって呼べよ、妹」

 

 

 チラッと、真希の脳内に過ぎる団体戦開始前の記憶。後輩二人とパンダが物陰から自身の身の上とそれを考慮した上での陰ながらの応援と奮起。それが真希のやる気を掻き立てた。

 

 

 「何笑っちゃってんのよ!」

 

 

 その言葉と共に放たれたゴム弾は真希によって真っ二つに切断されあらぬ方向へ飛んでいく。真希はすぐさま真依の死角に入り真依の立つ枝の下へ潜り込み剪定する。

 

 真依も負けじと落下中に発砲するが失敗。無防備な腹を呪力で強化した腕を挟んだものの蹴り込まれる。

 

 越えられない差。一卵性双生児の双子として産まれたにも関わらず、二人には才能の差があったことを真依は再認識する。

 

 

 実家禪院家にて当主の弟の娘として生まれた二人にお世辞にも呪術師としての才能はなかった。片や一般人程度の呪力しか持たない天与呪縛(役立たず)、片や呪力効率が悪い術式の代表例とも言える構築術式(ハズレ)。そんな二人はかの頭呪術な家で凶兆としての特別な評価などない哀れな子供であった。

 

 十五歳頃。真希は家を出て高専に入学することを決めた。

 

 生き辛い家を変え、今まで自分達を見下してきた者達を見返す為、何より片割れの居場所を作る為。彼女真希は家を出た。

 

 「大嫌い。でも」

 (大好き。だから)

 

 

 禪院真希は禪院真依の生得術式を知っている(・・・・・)

 

 

 構築術式は決して良い術式とは言えない。呪力消費が激しく術者の体への負担が大きいからだ。現在の真依が構築出来る弾丸は一日()発が限界。

 

 術式を知っている相手とはいえ、ブラフを張る為のリボルバーから放たれた六発目の弾を切り刀を振りきったところに撃ち込まれる幻の七発目の弾丸。

 

 だが、真希は弾丸を素手でキャッチして事なきを得ていた。多少手のひらを負傷したものの逆にいえばその程度。

 

 

 真希は弾を放り捨て、空しい抵抗をする真依を見て不信感を募らせる。

 

 『この程度なのか』と。

 

 禪院家を出る前から二人は独自の訓練を重ねていた。とはいえその頃二人はまだまだ幼子と言って差し支えない年頃。精々ランニングやら軽いトレーニングやらで、呪力と術式を持っている真依はその練習を日々怠らず努力していた。

 

 あのまま腐ることなく努力を続けてきたのなら何故こんなにも己の妹は体術と呼べるものもなく、グリップによる打撃も行わない。弱すぎるのだ、あの日々を過ごしたとは思えぬほどに。

 

 

 「なんでオマエそんなに…………ッ!」

 

 

 終わらせる為峰打ちを仕掛けようとした瞬間、真希は気がつく。

 

 

 (幻は一回だけじゃないのよ!!)

 

 

 超至近距離からのもう一発の弾丸。真依は対姉戦における史上初の勝利を確信_________しきれなかった。

 

 

 「ッラァァァァァ!!!」

 

 (そんな!?でもまあ……)

 

 

 自分の、自慢の姉ならば、きっと越えて来るに違いないと思いつつ、それでも勝ちたい。勝ってみたい!そう願う気持ちは止められなかった。だから真依は少しだけ安堵した。禪院家でも認められず、自分には無かった才能が確かに磨かれ、そこに在るのが解ったから。

 

 

 「流石ね、お姉ちゃん…………」

 

 「危なかったけどな、妹」

 

 

 姉には無い才能が少しだけ、憧れに届いた気がしたから。

 

 

 「……………大好き」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 電話を切った狗巻はパンダがメカ丸から借りてきたスマホを恵の玉犬から受け取り、呪言を使って返したらとき、団体戦の勝利条件であるはずの二級呪霊ではなく準一級の呪霊を発見する。

 

 狗巻は同等級である為問題なく祓えるが他の東京校生はそうではない。自身が責任を持って祓う為呪言を発動しようとしたその時、突如何者かによってその呪霊の体に無数の棘が突き刺さる。

 

 何者かと探ろうとした狗巻は驚愕に顔を染める。

 

 "特級"。通常の枠組みから外れた存在が何の前触れもなく出現した。最早交流会以前の問題。しかも呪力感知に引っかかりにくい目の前の存在が他にも危害を加えるつもりならば。

 

 その未来を防ぐ為、狗巻は交戦しつつの情報伝達を試みる。

 

 

 《あら、一人ですか》

 

 「しゃけいくら、明太子」

 

 

 森への畏怖から生まれた特級呪霊、花御である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 どうよ。
 いんやあ長いなぁ(笑)
 できればアニメ数話分を上手いこと纏められればとは思うんですが、ある程度変化して出るとこは書かなきゃなあって感じなのでどうしても

 そんなでも読んでやろうじゃあねぇかって方はこれからもどうぞ宜しく。

 それでは、また

禁断の質問!今んとここの小説、オモロイ?

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