ようこそ間違いだらけのルームシェアリングへ   作:いろはす@

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第1話:堀北鈴音

高度育成高等学校をAクラスで卒業したオレは大学へ進み、生活費を節約するため、元クラスメートの堀北鈴音とルームシェアリングを始めた。(無謀)

 

 

事前の触れ込み通り、希望する進路は叶えられたものの、発生する諸費用はすべて自己負担。もはや、毎月1日にポイントが振り込まれることもない。そしてここに、晴れて苦学生としての日々が始まったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえりなさい」

 

 

出迎えてくれたのは、薄いピンク色のエプロンを付けた堀北だった。流れるような黒髪に、すらりとした肢体。どこから見ても、初々しい新妻そのものである。

 

 

「夕ご飯出来てるわよ。お風呂も沸いてるわ・・・それとも、わ、私にする?」ボソッ

 

 

最後は何を言ってるのか良く聞こえなかったが、経験上、敢えて触れない方がいいだろう。

 

 

「そうか・・・ありがとう。堀北は良い奥さんになりそうだな」

 

 

「・・・っ?!?」

 

 

ルームシェアということで、家事全般も交代制にしているのだが、やはり彼女は有能だった。ある1点を除いて、だが。全てをそつなく高いレベルでこなす姿は、さすが生徒会長を務めてAクラスで卒業しただけのことはある。次の当番では、オレも少しは本気を出さないとな・・・

 

 

そんなことを考えながら、なぜか玄関口で悶えている堀北を避けて中へ入ろうとしたのだが・・・

 

 

「待ちなさい」

 

 

「たうわっ?!」

 

 

豹変した堀北に襟元を掴まれ、引き摺り戻される。

 

 

「ゲホゲホ!ど、どうした?」

 

 

「女性の匂いがするわ」

 

 

「へ?」

 

 

予想外の言葉に、間抜けな声が出てしまった。

 

 

はぁ・・・単なるルームメイトでしかない堀北に、とやかく言われる筋合いは無いのだが・・・誤解は早めに解いておかないと、面倒な未来しか見えない。さすがにもう、コンパスが出てくることはないだろうが・・・(巨大フラグ)

 

 

「別に言い訳するようなことでもないが、心当たりは無いぞ。だいたい、お前に何の関係が有るんd・・・」

 

 

「いいからそこに立ちなさい!!」

 

 

「ハイ、スミマセン」

 

 

わざわざ言う通りにする必要もないのだが、下手に抗うと彼女は一切家事をしなくなるので、結局困るのはこっちなのである。(経験済み)

 

 

仕方なく直立不動の姿勢をとったオレの身体を、隅々まで嗅ぎ回る堀北。完全に変態だ。そして・・・

 

 

「この香りは・・・やっぱり・・・!!」

 

 

何がやっぱりなのかはさっぱりだが、かわいらしいピンクエプロンのポッケから、何やら取り出す鈴音さん・・・ってまじかよ?!

 

 

「あっぶな・・・!!」

 

 

鼻先を掠めたのは、特大サイズの製図用コンパス。おいちょっと待て!さすがにそれは冗談にならないぞ!?

 

 

「今のを躱すとはいい動きね。何か習っていたのかしら?」

 

 

「習字とピアノを少々・・・とか言ってる場合じゃないよな、これ」

 

 

鈍い銀色に光るコンパスを手に、無表情で立ち尽くすルームメイト(堀北鈴音)。完全にハイライトが消えている。どうしてこうなった?何だか、浮気がバレて問い詰められている気分だ・・・

 

 

そう、完璧美人の堀北鈴音は、とても嫉妬深いのである。高校3年間で目覚ましい成長を遂げた彼女だったが、この点ばかりはむしろ退化したと言わざるを得ない。

 

 

さっきも言った通り、堀北自身は良い奥さんになるだろうが、たかがルームメイト相手にこれでは、将来の結婚相手(パートナー)はさぞ苦労するだろうな。まあ、オレには関係ない話か・・・

 

 

 

 

 

 

 

そう思う綾小路であったが、その結婚相手として自分が既にロックオンされていることには、終ぞ気付かないのであった。

 

 

 

 

 

 

 

(おわり)




【次回第2話:一之瀬帆波】

にゃ?!わ、私が綾小路君と・・・にゃははは・・・
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