高度育成高等学校をAクラスで卒業したオレは大学へ進み、生活費を節約するため、元同級生の一之瀬帆波とルームシェアリングを始めた。(激甘)
事前の触れ込み通り、希望する進路は叶えられたものの、発生する諸費用はすべて自己負担。もはや、毎月1日にポイントが振り込まれることもない・・・(以下省略)
「おかえりにゃさい」
出迎えてくれたのは、薄いピンク色のエプロンを付けた一之瀬だった。輝くようなストロベリーブロンドの髪に、その存在を主張する胸部装甲。どこから見ても、初々しい新妻である。
「お夕飯出来てるから、一緒に食べにゃい?」
「そうか・・・ありがとう。一之瀬は良い奥さんになりそうだな」
「にゃにゃん?!?」
ルームシェアということで、家事全般も交代制にしているのだが、やはり彼女は有能だった。ある1点を除いて、だが。全てをそつなく高いレベルでこなす姿は、さすが最後までAクラス争いをしたライバルだけのことはある。次の当番では、オレも少しは本気を出さないとな・・・
「ど、どう?美味しいかにゃ?」
上目遣いで不安そうに聞いてくる一之瀬。
「ああ、とっても美味いぞ。特にこの味噌汁なんか、毎日作ってもらいたいくらいだ」
オレは素直に感想を伝えた。わざわざ時間を割いて料理をしてくれた彼女に対する、最低限の礼儀だ。
「にゃにゃにゃん?!?そ、それって・・・お嫁さんにしてくれるってことだよね?」ボソッ
「ん?一之瀬?」
最後は何を言ってるのか良く聞こえなかったが、経験上、敢えて触れない方がいいだろう。
「ううん、にゃんでもないにゃんでもない!!にゃはは・・・」
いい加減、そろそろ
すると・・・
ピンポーン♪
「お届け物で〜す」
「にゃーい!」
玄関へ駆けてゆく一之瀬。いや待て、さすがにその口調で応対に出るのは痛すぎるだろ・・・
「ご苦労様です。受け取り印は此処でいいですか?はい、ありがとうございました」
が、一瞬で余所行きモードに切り替わる一之瀬。オレの心配は杞憂に終わった。無関係な第三者とのやり取りは、至極まともなのだ。解せない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ふぅ・・・」
後片付けを終え、ひと息つく。さっきから一之瀬が、もじもじしながらこっちに視線を送っている。ああ、なるほど、トイレか・・・ルームシェアリングでは、こういった何気ない気遣いも大切だ。
さて、じゃあそろそろ寝るか・・・
自然な素振りで席を立ち、寝室へ向かおうとして振り返る。耳まで赤く染めた一之瀬が、オレの袖を掴んでいたからだ。ん?トイレじゃなかったのか。
「どうした?何か用か?」
そして投下される特大サイズの爆弾発言。
「あ、綾小路君さえよければ、その・・・今夜、
「たうわっ?!」
まさかとは思ったが、聞き違いではないようだ。確かこういう時、女性に恥をかかせてはいけないとYahoo!知恵袋に書いてあったな・・・
そう判断したオレは、瞬時に最適解を口にした。
「Yesだにゃん」
(おわり)
【次回第3話:櫛田桔梗】
綾小路君と一緒、嬉しいなっ (腹黒)