高度育成高等学校をAクラスで卒業したオレは大学へ進み、生活費を節約するためにひとり暮らしを始めた・・・はずだったのだが。(誤算)
「おかえりなさい」
出迎えてくれたのは、薄いピンク色のエプロンを付けた雪ノ下雪乃だった。雪のように白い肌と、艷やかな黒髪。どこから見ても、初々しい新妻である。この際、どうやって家の中に入ったのかは取り敢えず置いておこう。
「で、なんの用だ?」
「えっと・・・うちの比企谷君が、いつも貴方に迷惑ばかりかけていることを謝りに来たの」
「はぁ・・・?」
いまいち話が読めない。
「ことある度に高度育成高等学校に現れては、原作をかき乱してごめんなさい」
そういうことか。
「いや、二次創作だからオレは別に構わないが・・・」
「そうはいかないわ。近頃の彼は、些か調子に乗りすぎているの。捻デレボッチとか言っておきながら、実際はHACHIMANでやりたい放題。さすがに目に余る所業よ」
・・・確かに最近、随所でヤツと絡む機会が増えてきたような気がする。オレは率直な感想を口にした。
「まぁ正直なところ、ヤツがオレよりも優秀とかいう設定ばかりで、うんざりしているのは事実だな」
いくらご都合主義の結果とはいえ、あんな文化系の腐り目一般人が、ホワイトルームの最高傑作と呼ばれたオレより強いわけがない。ましてや・・・いや、これ以上はやめておこう。
「でしょう?しかも、
容赦ないな。大炎上待ったなしだな。
「そう言えば、雪ノ下たちはいつも酷い扱いをされているみたいだな」
歯に衣着せぬ彼女の物言いに、こちらも思わず本音が溢れる。ヤツの居るところ、必ずや旧知の敵役で雪ノ下一味あり、というのはもはや様式美と言っても過言ではない。目の前の雪ノ下雪乃はもちろん、葉山隼人もひたすらヤツを誹謗中傷するばかりだし、由比ヶ浜由衣に至っては、幼児レベルの悪口をリピートするだけの壊れたスピーカーだ。
「そ、そうなのよ!いつも見るに堪えないアンチ役ばかり・・・
一瞬、辺りの空気が凍る。これが氷の女王・・・
「お、落ち着け。それで、いったいどんな用件なんだ?」
「はっ?!熱くなりすぎたわ、ごめんなさい」
オレの言葉で我に返った雪ノ下は、ようやく本題に入った。
「用件は他でもないわ。そう、今日から私たちがルームメイトとして、貴方のお世話をすることになったの。家事全般から、その、よ、夜のお世話まで・・・そうね、五等分の花嫁とでも思ってちょうだい」
「・・・は??」
さすがにオレの頭脳でも、全く理解が追い付かない。
「お詫びの印と思ってくれて構わないわ。ちなみに、これはもう決定事項よ」
「一応聞くが、拒否権は・・・?」
「あるわけ無いでしょう?」
優しく微笑む雪ノ下に気圧されつつも、なんとか逃げ道を探して会話を繋ぐ。押しかけ美少女とひとつ屋根の下とか、オレはまだ、こんな形で『敗北』を知りたくはない・・・(切実)ん?
「いま、私たちって言わなかったか?」
「ええ、そうよ」
彼女の返答と同時に、奥からぞろぞろと新手の美少女たちが現れた。いや、若干1名、おかしいのが混じっていたような・・・てか、ここってオレの部屋だよな??
「ゆきのんが言う通りだよ。ヒッキーがあやぽんに迷惑かけてるんだから、私たちが謝るのは当然だし!」
あやぽんってのは斬新だな。
「そうですよ!せんぱいがご迷惑をおかけしているなら、かわいい後輩としてそのフォローを・・・はっ?!無表情のイケメンとか非常に気になりますけどやっぱりムリですごめんなさい」
自分でかわいいとか口走るあたり、あざとさもここまで来ると、むしろ清々しいものがある。櫛田と勝負させてみたら見ものだろう。
「どもども!うちのゴミぃちゃんがご迷惑をおかけしているみたいで、すみません。妹として、心よりお詫び申し上げます。あ!今の小町的に超ポイント高い♪」
確かヤツは重度のシスコンだったはず。その妹と同居するってことは・・・(恐怖)
ん?五等分・・・ひとり足りないぞ?
「安心したまえ。奉仕部顧問の私が色々とお世話してやろう」
頼もしい笑顔を見せる白衣姿の黒髪ロング・・・やはり俺のルームシェアリングはまちがっている。これじゃ、四等分の花嫁とその
「たうわっ!?」
「きみ、いま何か大変失礼なことを考えていなかったか?」
「ハテ?ナンノコトヤラ・・・」
「・・・次はないからな?」
鼻先へ突き付けられた拳に、思わず冷や汗が背中をつたう。正直に告白しよう。いまのパンチ、相手が寸止めしていなければ確実に食らっていた。このおばさn・・・オネエサン、まさかホワイトルームからの刺客なのか?いや、いくらなんでも、それだと年齢的に計算が合わない・・・たうわっ?!
「・・・次はないと言ったよな?」
振るった拳を撫でながらうそぶく、アラサー独身女性教師。オレは敢えて、無表情で応じた。
「まったく・・・君はサエやチエから聞いていた通りだな・・・去年、私の教え子にも君にそっくりなヤツが居てね・・・」
「それは
「なっ?!」
一瞬、目を見開く平塚教諭。
「ふははっ・・・本当に君ってヤツは・・・一度、朝までとことん飲み明かしたいものだな」
たとえ彼女がどれほどの酒豪だとしても、最後にオレが勝っていれば良い・・・いや、ムリだな、それは。(悪寒)
ちなみに彼女は高校時代の同級生たちと、いまでも互いにサエちゃん、チエちゃん、シズちゃんと呼び合う仲であるらしい。そして、かつて高育三人娘とまで呼ばれた美少女たちは、歪な実力至上主義の教室で揉まれた結果、いまや全員が残念美人となり果てたのであった。
誰か、3人纏めてもらってやってくれ・・・たうわっ?!(一撃轟沈)
(おわり)
【次回最終話:茶柱佐枝?】
あっぶな・・・?!