海のなき声   作:安西常陸乃介柿右衛門

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初作品であるため、つたない部分もあると思いますが暖かい眼で見守ってやってください


プロローグ

 2013年、人類は史上初めてすべての国による大同盟を結んだ。

「人種」「民族」「思想」「宗教」「地政学」・・・政治的思惑以外のありとあらゆる軛を捨てて結ばれた大同盟であった!

 

 

 

すべては「それ」と戦うために・・・

 

 

 

「それ」が何時現れたのかははっきりしていない。

20世紀末にはすでに表れていたという説もある。

 

「それ」が正式な記録に登場したのは21世紀初頭、インド洋における海難事故だった。

 

リベリア船籍の貨物船ハリスン4号がコロンボ沖にて火災を起こし、乗組員からの救難信号を受けたスリランカ海軍により船長以下乗組員十数人が救出されるもハリスン4号は沈没した、

という一見よくある海難事故のはずだった。

 

だが海難審判において見張り員はこう証言した。

 

『レーダーに小型の光点が現れたので、双眼鏡で確認したところ海上に佇む人影と小型の鯨のようなものを発見。次の瞬間人影や鯨から何か飛翔体が発射され、ハリスン4号の左舷が爆発、炎上した。消火もままならず、救難信号を発し脱出した。』と。

 

最初は見張り員が何らかの薬物を使用していたことによる幻覚と思われた。が、

医師による検査の結果、見張り員から薬物はなにも検出されなかった上に精神状態にも何の異常も認められなかった。

 

荒唐無稽な話ではあったが、海難審判所はハリスン4号の残がいや乗組員の証言から

「小型ボートに乗っていたテロリストによるテロ攻撃」と断定し、閉廷。

 

後にとあるテロ組織が犯行声明をインドの新聞社に送り付けてきた事からマスコミも

テロ事件として報道した。だが、数週間後新聞社に犯行声明を送り付けた人物はテロ組織とは全く関係のない愉快犯であった事が判明。

 

 

では「誰」が?「何の為」に?

 

 

真相は闇の中であったが、やがて人々の記憶から忘れ去られた・・・

 

 

 

 

 数年後、徐々に世界中の海で同様の事件が発生すると同時にさらにはっきりとした目撃証言や映像が世界に広まったことで「それ」は多くの人間に認知された。

 

鯨のようなもの、そして信じがたいことだが、「人」が水上に立っていたのだ!

 

新種の生命体か?宇宙からの飛来者か?真相は不明であるが、

「それ」が小型漁船だろうが大型タンカーだろうが軍艦だろうが無差別に船を攻撃し、人々に危害を加えていることは紛れもない「事実」だった。

 

被害を受けた各国の軍は「それ」に攻撃を行わんとした。が、一部の人間が

 

「まずは対話を行うべきだ!いきなり攻撃を仕掛けるなんて野蛮だ!」

「武器を持たず話し合えばわかってくれる!」

「彼らにも『生存権』がある!アメリカ先住民などの悲劇を繰り返すつもりか!!」

「彼らは初めて見た人類に怯えているだけだ!かわいそうに!」

 

などと声高に主張し、これらに同調した一部政治家やマスコミの圧力により

軍による攻撃は一時見送られることになった。

 

流れが変わったのはとある反戦団体がフィリピン沖にて目撃された「それ」に接触を試みたことからだった。

『人類の初めての他の知的生命体とのファーストコンタクト!!』

『一緒に酒を飲めばわかってくれることを証明する!』

などと某動画投稿サイトに生放送で接触の様子を投稿したのだ。

 

結果は燦燦たるものだった。

 

反戦団体のメンバー達は鯨のような「それ」に襲われ残酷ショーの始まりかと思ったその時、人型の「それ」が現れ鯨たちを下がらせた。

人型をし、多数の砲を担いだ姿をした「それ」は反戦団体のメンバーたちの質問に答えた。

 

彼らの名は、『深海棲艦』・・・そして質問に答えた「それ」は『戦艦棲姫』と名乗った。

「戦艦棲姫」は「深海棲艦」とはかつての戦争で沈んだ艦艇やその乗組員の怨念、無念、怒り、といった人間の「穢れ」から生まれたのだと答えた。

 

「で、では、あなた方の目的は?」

怯えながらもインタビューを続ける反戦団体員に対し「戦艦棲姫」はこう答えた。

「『繁栄』サ・・・オマエタチト同ジクナ・・・ニンゲンノ『負ノ感情』コソ、我ラノ糧。

 コノ様ニナ!!」

『うわああああぁぁぁぁぁ!!!!』

 

周りにいた「深海棲艦」達が中継中の反戦団体のメンバーに襲い掛かったところで生放送は終了した。

この生放送で人類はようやく彼ら深海棲艦がすべての人間の敵であることを認識するとともに、

この瞬間から人類と深海棲艦の戦争が始まったのであった。

 

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