「へッッッッぶし!!!」
「ちょっと旦那ってば、風邪ー?」
「う、うむ…風邪ではないはずだが…こう、鼻が急にムズムズと」
「やっぱり風邪でしょ。ほら、お腹出して寝るから」
「…今夜から気をつける。
しかし…この様な間者の真似事などをしていて大丈夫か?いや、お館様の仰られることを信じておらぬわけではないが」
「忍の使い道は何時だって間者紛いのことだったろ。旦那は気にしないで、堂々と表を闊歩しなさいって」
「闊歩と言うのは些か気が引けるぞ。着飾ったお、お、女子も多い」
「先頭切って敵さんの首狙いに行ってた旦那が何言ってんの。
軍の連中も流石にこの状況じゃ認めざるを得なくなってくる。ま、過去に政府として廃刀令を出しちまった以上、お上の方々は意地になって認めねぇだろうけど」
「…見て見ぬ振りか、流石の俺も気に食わぬ」
「それが『集団』、『組織』だぜ、旦那。
そこで、大将が動いたワケよ。秘密裏に情報の共有を行い、如何に被害を減らせるかってとこ」
「ふむ、お館様はその先を見ておられるのだな。事が静まった時に、幾人が残っておるのか」
「自衛で済むなら楽だったんですけどねぇ。そうもいかないのが現状。割合的に両手中、指4本でも足りるかどうか」
「生き残るだけでも賞賛すべきだ」
「そういや…ここいら、あの派手派手お祭り男が出没するんだよね…」
「派手…?お祭り…?」
「額当てにジャラジャラ宝石つけてる自称神な勘違い大男」
「俺はお祭り男ならば前田殿を思い浮かべるな。
政宗殿も自らを神ではないが竜王と名乗っていた!」
「あー……ウン、そんな感じそんな感じ」
「その、お祭り男殿とはどこで知り合ったのだ?」
「アレよ、親同士が敵対してるっていう、アレ。
俺様は結局旦那のとこに拾われたから、奴らがどんな末路に至ったかは詳しく聞いてないですけどねー。屍の状態は惨かったって噂はあったっけ」
「……う、後ろに」
「え?何、旦那。声ちっさいよ。普段、俺様以外といる時は騒がしいくらいじゃない」
「だが、後ろに件のお祭り男殿らしい者が居るぞ」
「相っ変わらず、その頭はド派手だな!橙ってなんだよ。何食ったらそんな色になんだ」
「げ」
「んで、この見るからに生真面目で初心そうな青少年を引き連れて花街にでも行くつもりか?」
「はぁ?おたくこそ、その内少年を女装させて花街に潜り込むんじゃないの?」
「ハ!んなことありえねぇよ。第一、俺には3人の嫁がいるんだぜ。潜り込ませるならそっちだろ」
「へー、奥さんが3人もいるなら、花街なんかに行かないだろ」
「いや、花街には行く」
「その奥さんたちにはっ倒されればいいのに」
「は、破廉恥でござる!!」
「おーおー、初心だなァ」
「ウチの旦那を揶揄うのやめてくんない?」
「首尾はどうよ。そっちでも色々調べてんだろ」
「 一 般 人 に教えることは何にもありません。
いーい?おたくはね、扱い的には一般人なの。そのかるーい頭に入ってる?
用がないならほら行った行ったしっしっ」
「チッ、まァ、俺もついさっき指令が出たところだ。軍人様に構ってる場合じゃねぇ。
ぶらついてる軍人様と違って俺は派手に忙しいからな」
「俺様たちも仕事だっての。こんなお祭り大男に構わず行こうぜ、旦那。…旦那?」
「某は…某は未だ、未熟者なりィイイイ!!!」
「うるさッ」
「我が魂は燃え滾るぁぁああ!!それ即ち烈火の如くゥウウウ!!我が生涯は常に鍛練あるのみィィィイイイ!!是非、貴殿とのお手合わせをォォオオオ!!うおぉぉおおお!!おやかたさばああああ!!!」
「あいつもう行ったけど」
「なんとッ!?」